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30秒でわかるまとめ
- 主任保育士になる条件は、保育士の法令に書かれていません児童福祉法や設備運営基準に「主任保育士」の語はなく、法令データで見つかったのは国家公務員の給与の表だけです。
- 国の解説は、主任保育士を施設長と並べて書いています保育所保育指針の本文にこの語はなく、解説の6か所に、自己評価や研修の助言を施設長と担う立場として出てきます。
- 加算は、主任をクラス担当から外して専任にすることを求めます主任保育士専任加算は、必要保育士数を超えて代替保育士を置き、延長保育などの事業を複数行う園が対象です。
- 主任本人の資格や経験年数は、加算の要件にありませんキャリアアップ研修のマネジメント研修も、対象は「主任保育士の下で」ミドルリーダーを担う人とされています。
※主任保育士の給与の水準は保育園の園長の年収、園長(施設長)になる条件は保育園の園長になるにはで扱っています。

先に結論:「主任保育士」は、保育所の法令に出てこない言葉です
主任保育士になる条件が国の資料に書かれているかを、法令から順に確かめました。
| 法令 | 「主任保育士」が出てくる回数 |
|---|---|
| 児童福祉法 | 0回 |
| 児童福祉法施行令 | 0回 |
| 児童福祉法施行規則 | 0回 |
| 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(以下「設備運営基準」) | 0回 |
出典:e-Gov法令API(法令ID 322AC0000000164/323CO0000000074/323M40000100011/323M40000100063)の全文を編集部が検索(附則を含む)
保育所の職員や運営を定めた法令に、「主任保育士」という語は1回も出てきません。資格の名前としても、置かなければならない職員としても、書かれていないということです。保育所に置く職員を定めた条は保育園の園長になるにはで扱っています。
範囲を広げて、e-Gov法令APIのキーワード検索で「主任保育士」を検索しました(2026年10月28日)。該当したのは1件で、人事院規則九―八(初任給、昇格、昇給等の基準)です。この規則の別表第一は、国家公務員の俸給表ごとに、職務の級と「標準的な職務」を並べた表です。その中の福祉職俸給表の表に、主任保育士が出てきます。
| 職務の級 | 標準的な職務(抜粋) |
|---|---|
| 1級 | 生活支援員、児童指導員、保育士又は介護員の職務 |
| 2級 | 相当困難な業務を行う主任児童指導員又は主任保育士の職務 |
| 3級 | 特に困難な業務を行う主任児童指導員又は主任保育士の職務 |
出典:人事院規則九―八(e-Gov法令API 法令ID 344RJNJ09008000)別表第一 ヨ 福祉職俸給表級別標準職務表(職務の文言は原文どおり。2級・3級はほかの職務を並べた号を省略)
この表が決めているのは、国家公務員の職務の級の目安です。主任保育士になるための資格や経験年数は書かれていません。民間や自治体の保育所の主任保育士に、この表がそのまま当てはまるものでもありません。

保育所保育指針の本文にも、「主任保育士」の語はありません
保育所の保育の内容を定めているのは、保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号。以下「指針」)です。編集部が指針のPDFの全文を検索したところ、「主任保育士」は0回でした。
職員の資質向上を扱う第5章は、主任という呼び名の代わりに「職位」という言葉を使っています。
「保育所においては、保育の内容等に関する自己評価等を通じて把握した、保育の質の向上に向けた課題に組織的に対応するため、保育内容の改善や保育士等の役割分担の見直し等に取り組むとともに、それぞれの職位や職務内容等に応じて、各職員が必要な知識及び技能を身につけられるよう努めなければならない。」
出典:保育所保育指針 第5章1(2)「保育の質の向上に向けた組織的な取組」(原文どおり)
「保育所においては、当該保育所における保育の課題や各職員のキャリアパス等も見据えて、初任者から管理職員までの職位や職務内容等を踏まえた体系的な研修計画を作成しなければならない。」
出典:保育所保育指針 第5章4(1)「体系的な研修計画の作成」(原文どおり)
指針は、職位に応じた知識と技能、初任者から管理職員までの研修計画を保育所に求めています。一方で、職位をどう呼ぶか、誰をどの職位に就けるかは書いていません。施設長の責務を定めた第5章2は保育園の園長の仕事内容で扱っています。

国の「解説」には6か所。施設長と並ぶ管理職として出てきます
指針には、厚生労働省が作った「保育所保育指針解説」(平成30年2月。以下「解説」)があります。解説のPDFの全文では、「主任保育士」は6回出てきます。どれも施設長と並べて書かれています。
| 場所 | 場面 | 主任保育士の書かれ方 |
|---|---|---|
| 第1章3(3)の解説 | 職員の協力体制による保育の展開 | 施設長や主任保育士のリーダーシップの下に、職員一人一人の力や個性が十分に発揮されることが大切 |
| 第1章3(4)イの解説 | 保育所の自己評価 | 施設長や主任保育士等のリーダーシップの下に、保育の内容とその運営について、組織的・継続的に行われる |
| 第1章3(5)イの解説 | 計画から改善に至る一連の取組 | 施設長や主任保育士等の管理職をはじめ、経験のある保育士等が中心となって理解を共有する |
| 第4章2(3)アの解説 | 保護者への個別の支援 | 支援の中心となる保育士等を、施設長や主任保育士、他の保育士等と役割分担を行いながら支える |
| 第5章1(2)の解説 | 職位や職務に応じた知識及び技能 | 職員は、施設長や主任保育士等と共に、自身のキャリアを考え、職位や職務に合った能力を身に付けるための研修を受ける |
| 第5章4(3)の解説 | 研修の実施に関する留意事項 | 施設長や主任保育士、研修担当の職員をはじめ、リーダー的な立場の職員が、研修について情報提供や助言を行う |
出典:保育所保育指針解説 各節の解説(要約。「場面」の欄は解説の見出しや指針の項目をもとに編集部が付けた)
このうち1か所を原文で読みます。
「保育の計画から改善に至る一連の取組に当たり、施設長や主任保育士等の管理職をはじめ、経験のある保育士等が中心となって、保育所の職員全体がその方向性や基本的な考え方について理解を共有することは、保育の質の向上を図っていく上で欠かすことができない。」
出典:保育所保育指針解説 第1章3(5)イの解説(原文どおり)
解説は、主任保育士を「施設長や主任保育士等の管理職」と書いています。ただし、主任保育士になる条件や選び方には触れていません。解説は告示ではなく厚生労働省の解説書なので、この記事では解説の言葉を「指針が定める」とは書きません。
公定価格:保育所の基本分単価の職員構成に、主任保育士の名前はありません
私立保育所の運営費(公定価格)の算定ルールは、こども家庭庁・文部科学省の「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」(以下「留意事項通知」)に書かれています。保育所の分は別紙2です。本記事は、令和8年4月8日の最終改正を反映した改正後全文(こども家庭庁が令和8年7月27日に掲載を更新したもの)を読みました。
別紙2のII 1(2)は、基本分単価に含まれる職員構成として、保育士、施設長、調理員等、非常勤事務職員、嘱託医・嘱託歯科医を挙げています。この列挙に、主任保育士という職名はありません。
出典:留意事項通知 別紙2(保育所(保育認定2・3号))II 1(2)「基本分単価に含まれる職員構成」
この列挙の中にある施設長の条件は保育園の園長になるには、年齢別配置基準の数字は保育士の配置基準の改正で扱っています。
別紙2で主任保育士の名前が出てくるのは、特定加算部分の「主任保育士専任加算」と、それを前提にした療育支援加算の部分です。
同じ列挙には栄養士の名前もありません。調理員等の人数と、栄養士の関わり方を配置・兼務・嘱託に分ける栄養管理加算は保育園栄養士の調理員兼務|国の加算は「兼務」を別の区分にしていて、基本額は月50,000円ですで扱っています。
ここが本題:主任保育士専任加算は、「主任を専任にすること」を園に求めています
加算の要件の柱書は、こう書かれています。
「主任保育士を保育計画の立案等の主任業務に専任させるため、基本分単価(6)及び他の加算等の認定に当たって求められる「必要保育士数」を超えて代替保育士(注1)を配置し、以下の事業等を複数実施する施設に加算する。なお、当該加算が適用される施設においては、保護者や地域住民からの育児相談、地域の子育て支援活動等に積極的に取り組むこと。なお、主任保育士がクラス担当を兼務することは適切ではなく、代理で行う場合であっても、1月を超えて兼務が継続している場合、加算は適用されないこと。」
出典:留意事項通知 別紙2 VI 1.(1)「加算の要件」柱書(原文どおり。(注1)は代替保育士の範囲についての注)
柱書から読み取れることは3つです。
- 加算の対象は施設です。柱書は「施設に加算する」と書いています。
- 求めているのは、主任保育士を主任業務に「専任」させることです。そのために、必要保育士数を超えて代替保育士を配置します。必要保育士数は、基本分単価の年齢別配置基準などから計算する保育士の数です(別紙2 II 1(2)(ア))。
- 主任保育士がクラス担当を兼務することは「適切ではなく」、代理で行う場合でも、1月を超えて兼務が続くと加算は適用されません。
柱書の「以下の事業等」は、次の7つです。このうち複数を実施していることが要件です。
| 号 | 事業等(要約) |
|---|---|
| i | 延長保育事業 |
| ii | 一時預かり事業(一般型) |
| iii | 病児保育事業 |
| iv | 乳児が3人以上利用している施設 |
| v | 障害児(軽度障害児を含む。)が1人以上利用している施設 |
| vi | 災害時の対応のマニュアル等の整備と、原則月1回の研修・訓練の実施等を行う取組 |
| vii | 乳児等通園支援事業 |
出典:留意事項通知 別紙2 VI 1.(1) i〜vii(要約。各号の細かな条件は省略)
viiの乳児等通園支援事業は、令和8年4月8日の改正で加わったものです(新旧対照表の改正前の欄にはありません)。加算の認定は、施設が所在する市町村長が、設置者からの申請を受けて確認したうえで行います(同(2))。
この要件のどこにも、主任保育士本人の資格や経験年数は書かれていません。書かれているのは、園の保育士の配置と、園が実施する事業です。
FAQは、クラス担当から離れた主任が何をするかを書いています
こども家庭庁の「公定価格に関するFAQ(よくある質問)」(第32版、令和8年7月24日時点版)は、主幹教諭等/主任保育士専任加算の問(No.57)で、こう答えています。
「主幹教諭や主任保育士等が学級担任やクラス担当から離れて、指導計画の立案や地域の子育て支援活動等に専任できるようにするものですので、主幹教諭や主任保育士等が学級担任やクラス担当等を兼務することは適当ではありません。なお、主幹教諭や主任保育士等が教育・保育に従事することを一切排除するものではなく、その役割を適切に果たす観点から、例えば、園運営の企画・調整、他の教諭や保育士等に対する指導・助言、学級担任やクラス担当等の職員が休んだ場合に代理で教育・保育を行うことを妨げるものではありません。」
出典:こども家庭庁「公定価格に関するFAQ(よくある質問)」第32版 No.57 答の前半2文(原文どおり)
専任といっても、保育に一切関わらないという意味ではありません。FAQが例に挙げているのは、園運営の企画・調整、他の保育士等への指導・助言、担当の職員が休んだときの代理です。
同じ別紙2の療育支援加算には、「主任保育士専任加算(21)の対象施設において、主任保育士等を補助する者(注3)を配置」する形が置かれています(別紙2 VI 2.(1))。障害児の保育の加算でも、主任保育士が専任になっている園であることが前提の1つになっています。
研修と処遇改善の通知では、主任保育士は「上の立場」として出てきます
「保育士等キャリアアップ研修の実施について」(平成29年4月1日 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長通知。令和8年3月6日一部改正)は、前文でこう書いています。
「現在、保育現場においては、園長、主任保育士の下で、初任後から中堅までの職員が、多様な課題への対応や若手の指導等を行うリーダー的な役割を与えられて職務にあたっており、こうした職務内容に応じた専門性の向上を図るための研修機会の充実が特に重要な課題となっています。」
出典:「保育士等キャリアアップ研修の実施について」前文(原文どおり)
研修の対象者を定めた部分でも、マネジメント研修の対象者はこう書かれています。
「アの分野におけるリーダー的な役割を担う者としての経験があり、主任保育士の下でミドルリーダーの役割を担う者(当該役割を担うことが見込まれる者を含む。)」
出典:同通知 別紙「保育士等キャリアアップ研修ガイドライン」3(1)イ(原文どおり)
ガイドラインに出てくる主任保育士は、研修を受けるミドルリーダーの「上」の立場です。研修分野の対象者に、主任保育士そのものを挙げたものはありません。マネジメント研修は、処遇改善等加算(区分3)で副主任保育士が修了すべき研修に含まれています(「施設型給付費等に係る処遇改善等加算(区分3)に係る研修修了要件について」令和7年9月16日 I 1(3)ア)。
処遇改善等加算の通知も、主任保育士の位置を書いています。区分3の賃金改善の注に、次の括弧書きがあります。
「園長以外の管理職(幼稚園及び認定こども園の副園長、教頭、主幹教諭等及び主幹保育教諭並びに保育所等の主任保育士をいう。以下同じ。)」
出典:こども家庭庁成育局長・文部科学省初等中等教育局長「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和8年4月8日最終改正)第2の3(2)(注2)(原文どおり)
国の通知は、保育所の主任保育士を「園長以外の管理職」と位置づけています。区分の仕組みや、研修を修了した主任保育士等の扱いは保育士の処遇改善手当はいくらかで扱っています。
ここまでの資料が書いているのは、主任保育士の役割と、主任を専任にする園の体制までです。誰を主任保育士にするかの基準は、本記事が取得した資料には見当たりませんでした。
この記事が扱っていないこと
- 主任保育士の給与の金額。冒頭のリンク先で扱っています。
- 主任保育士専任加算の加算額(単価)。告示の単価表は取得していません。
- 公立保育所の主任保育士の任用と、自治体独自の基準。地方公務員の人事や条例の領域で、取得していません。
- 認定こども園の主幹保育教諭等の扱い。本記事は保育所(別紙2)だけを読みました。
- 保育所保育指針の改定の審議。こども家庭庁が「平成30年度~」として掲載している現行の指針と解説だけを読んでいます。
- 主任になるまでの年数の目安。民間の調査や求人情報の数字は一次資料ではないため、使っていません。
保育士が主任をめざすときに確認できること
- 園が主任保育士専任加算を算定しているか。算定している園では、主任保育士がクラス担当を兼務しないことが前提です。
- 主任保育士がクラス担当を兼ねていないか。代理で行う場合でも、1月を超えて兼務が続くと加算は適用されません。
- 主任の仕事として何を任されるか。FAQは、園運営の企画・調整、指導・助言、休んだ職員の代理を例に挙げています。
- 副主任やリーダーの職位があるか。マネジメント研修の対象は「主任保育士の下で」ミドルリーダーを担う人です。
- 研修について誰に相談できるか。解説は、施設長や主任保育士などが研修の情報提供や助言を行うことを求めています。
よくある質問
Q. 主任保育士になるのに、特別な資格は要りますか。
A. 本記事で確認した児童福祉法・同法施行令・同法施行規則・設備運営基準に「主任保育士」の語はなく、なる条件を定めた条も見当たりませんでした。私立保育所の主任保育士専任加算の要件にも、主任本人の資格や経験年数は書かれていません。
Q. 何年働けば主任保育士になれますか。
A. 年数を定めた国の資料は、本記事が取得した範囲にはありませんでした。処遇改善等加算の区分3で経験年数が書かれているのは副主任保育士等と職務分野別リーダー等で、主任保育士についてではありません。
Q. 主任保育士はクラス担任を持ちますか。
A. 主任保育士専任加算を算定する園では、主任保育士がクラス担当を兼務することは適切ではないとされ、代理で行う場合でも1月を超えて兼務が続くと加算は適用されません。加算を算定していない園の扱いは、本記事が取得した資料には書かれていません。
Q. 主任保育士になるための国の研修はありますか。
A. 保育士等キャリアアップ研修ガイドラインの研修分野に、主任保育士そのものを対象にしたものはありません。マネジメント研修の対象は「主任保育士の下でミドルリーダーの役割を担う者」とされています。
Q. 主任保育士は管理職ですか。
A. 処遇改善等加算の通知は「保育所等の主任保育士」を「園長以外の管理職」に含めています。保育所保育指針解説も「施設長や主任保育士等の管理職」と書いています。
迷ったらここ
主任になる条件は法令に書かれていない
児童福祉法や設備運営基準に「主任保育士」の語はありません。公定価格の主任保育士専任加算は、代替保育士を置いて主任をクラス担当から外し、主任業務に専任させることを園に求めています。
- 応募先の園が主任保育士専任加算を算定しているか
- 主任保育士がクラス担当を兼ねず、主任業務に専任しているか
- 副主任やリーダーの職位があり、どう発令されているか
まとめ
児童福祉法・同法施行令・同法施行規則・設備運営基準・保育所保育指針の本文に、「主任保育士」という語は出てきません。e-Gov法令APIの検索で見つかったのは、国家公務員の福祉職俸給表の標準的な職務を並べた人事院規則九―八の表だけでした。
国の資料で主任保育士が出てくるのは、保育所保育指針解説(施設長と並ぶ管理職として6か所)と、私立保育所の公定価格の主任保育士専任加算などです。加算は、必要保育士数を超えて代替保育士を置き、主任保育士をクラス担当から外して主任業務に専任させることと、延長保育などの事業を複数行うことを、園に求めています。
主任保育士本人の資格や経験年数は、本記事が取得した資料のどこにも条件として書かれていませんでした。主任をめざすなら、応募先の園が加算を算定しているかと、主任に何を任せているかを確かめておきましょう。

