保育士の処遇改善手当はいくらか|令和7年度から一本化されました

目次

30秒でわかるまとめ

  • 保育士の処遇改善手当は、個人の額が決まっていません加算は施設に対する公定価格の上乗せで、通知が定めているのは賃金改善のルールです。
  • 3つの加算が、1つに一本化されました処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲが令和7年度に1つになり、いまは区分1・区分2・区分3と呼ばれます。
  • 半分以上は、毎月の賃金で改善する決まりです区分2と区分3を併せた改善見込額の2分の1以上を、基本給などで改善するとされています。
  • 区分3には、研修を修了した職員が要ります概ね7年以上または概ね3年以上の経験年数と、別に定める研修の修了が条件になります。

※賞与を含む1年目の賃金の動きは保育士1年目がつらいとき、企業主導型保育の助成の仕組みは企業主導型保育の年収、認定こども園との制度の違いは認定こども園と保育園の違いで扱っています。

電車ごっこ(認可保育園保育士)

先に断ります:「1人あたり◯万円」という制度ではありません

処遇改善等加算は、施設・事業所に支払われる公定価格の加算です。国が保育士個人に手当を配る仕組みではありません。

通知が定めているのは、加算を受けるための要件と、受け取った額をどう賃金の改善に充てるかです。1人あたりの支給額は、施設ごとの配分によって変わります。

本記事は、その配り方のルールを条文にあたる文書から読みます。

お受験教室

ここが本題:令和7年度から一本化されました

根拠は、こども家庭庁成育局長・文部科学省初等中等教育局長の連名通知「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和7年4月11日付け。最終改正 令和8年4月8日付け)です。

通知の前文に、経緯が書かれています。

「保育士等の処遇改善に係る公定価格上の加算として、平成27年度以降、処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを設けてきたが、複数の異なる加算制度や加算を取得するための事務手続については、制度が複雑でわかりにくく、事務作業が煩雑で、多大な事務負担が発生しているという指摘がなされてきた。」

「処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを処遇改善等加算として一本化し、制度の簡素化や事務手続きの負担軽減を図ることとした。」

出典:「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(こ成保2967・文科初第250号/最終改正 こ成保3198・文科初第171号)前文(原文どおり)

本通知は令和7年4月1日から適用され、令和5年6月7日付けの旧通知は廃止されています。「加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」という呼び方は、いまの通知にはありません。

公務員試験の勉強

いまの区分は3つです

第1の1「目的」に、区分の中身が書かれています。

区分呼び名何に要する費用か
区分1基礎分職員の平均経験年数の上昇に応じた昇給に要する費用
区分2賃金改善分職員の賃金の改善に要する費用
区分3質の向上分職員の技能・経験の向上に応じた追加的な賃金改善に要する費用

出典:同通知 第1の1「目的」(区分の呼称は原文どおり)

目的の文はこう続きます。「賃金体系の改善を通じて「長く働くことができる」職場環境を構築し、もって質の高い教育・保育の安定的な供給に資するものとすること。」

区分1、区分2及び区分3のいずれも取得していることは、1歳児を5人に1人で配置した施設に対する1歳児配置改善加算の要件の1つにもなっています。ほかの要件は保育士の配置基準の改正|3歳児の経過措置は令和10年3月末まで、4・5歳児は「当分の間」ですで扱っています。

区分1の要件は「キャリアパス要件」です

区分1を受けるには、次の2つに適合すること(または区分3の適用を受けていること)が求められます。通知はこれをキャリアパス要件と呼んでいます。

#要件
(1)ア職員の職位、職責又は職務内容等に応じた勤務条件等の要件(賃金に関するものを含む)を定めていること
(1)イアに掲げる職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系を定めていること
(2)資質向上の目標と具体的な計画を策定し、研修の実施または研修の機会を確保し、全ての職員に周知していること

(1)については、「就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての職員(非常勤職員及び法人の役員等を兼務している職員を含む。)に周知していること」とされています。

(2)の計画には、次の2つが含まれます。

  • 研修機会の提供又は技術指導等を実施するとともに、そのフィードバックを行うこと
  • 幼稚園教諭免許状・保育士資格等を取得しようとする者がいる場合は、資格取得のための支援を実施すること(例として、研修受講のための勤務シフトの調整や休暇の付与、交通費、受講料等の費用負担の援助)

出典:同通知 第2の1「区分1の要件」(原文どおり)

資格取得の支援まで、要件の中に書かれています。就業規則や賃金体系が書面で整備され、全職員に周知されていることも要件です。

役職ごとの給与の水準として、私立保育所の施設長・主任保育士・保育士の常勤の給与月額(賞与込み)を並べた表は 保育園の園長の年収|私立の施設長は賞与込み月額580,354円、12か月分で696.4万円ですで扱っています。

受け取った額の使い道にも、決まりがあります

区分2と区分3には共通の要件が置かれています。

#要件
(1)区分2と区分3のそれぞれで、「加算による改善等見込総額」が「加算見込額」を下回っていないこと。翌年度に実績が加算額を下回った場合は、その全額を速やかに職員の賃金として支払うこと
(2)区分2と区分3を併せた加算による改善見込額は、2分の1以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善すること
(3)加算当年度の途中で国家公務員の給与改定に伴う増額改定が生じた場合は、それに応じた賃金の追加的な支払を行うこと
(5)賃金改善の具体的な内容を職員に周知していること

出典:同通知 第2の2「区分2及び区分3に係る共通の要件」

(2)が、働く側にとっていちばん効きます。一時金だけで配る形にはできず、少なくとも半分は基本給か毎月の手当で改善することになっています。

なお、通知は退職金と法人の役員等としての報酬を賃金から除いています。

加算を受けた園で働く保育士の年収が、月給・時間外などの手当・賞与でどう組み立てられているかは保育士の年収の平均は427.6万円|賞与がいちばん多いのは、10〜99人の企業でしたで扱っています。

区分3には、研修を修了した職員が必要です

区分3の要件は、次に掲げる職員(通知は研修修了者と呼びます)が少なくとも合計1人以上いることです。

区分経験年数そのほかの条件
副主任保育士等
(副主任保育士・専門リーダー等)
概ね7年以上職位の発令や職務命令を受けていること/別に定める研修を修了していること
職務分野別リーダー等概ね3年以上職位の発令や職務命令を受けていること/6つの分野のいずれかを担当していること/別に定める研修を修了していること
園長又は主任保育士等―副主任保育士・中核リーダー・専門リーダーを対象とした別に定める研修を修了していること

職務分野別リーダー等が担当する分野は、通知に列挙されています。

「乳児保育」「幼児教育」「障害児保育」「食育・アレルギー」「保健衛生・安全対策」「保護者支援・子育て支援」

出典:同通知 第2の3「区分3の要件」(分野名は原文どおり)

判断の時点は加算当年度の4月1日時点です。ただし年度途中に研修修了者を1人以上確保できた場合は、要件を満たすこととなった日の属する月の翌月から加算を適用できるとされています。

園に確認できること

  • 就業規則等に賃金体系が書かれ、周知されているか。区分1のキャリアパス要件そのものです。
  • 賃金改善の具体的な内容が職員に周知されているか。区分2・区分3の共通要件に入っています。
  • 基本給や毎月の手当として改善されているか。併せた改善見込額の2分の1以上がここに向くことになっています。
  • 自分が職務分野別リーダー等に当たるか。概ね3年以上の経験年数と、6分野のいずれかの担当、研修の修了が条件です。
  • 資格取得の支援があるか。区分1の要件に、勤務シフトの調整や費用負担の援助が例として挙がっています。

よくある質問

Q. 結局いくらもらえますか。
A. 通知は個人への支給額を定めていません。加算は施設・事業所に対する公定価格の加算で、配分は施設ごとに決まります。

Q. 加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲはどうなりましたか。
A. 令和7年4月1日から一本化され、いまの通知では区分1・区分2・区分3という呼び方になっています。令和5年6月7日付けの旧通知は廃止されました。

Q. 一時金で配られても問題ありませんか。
A. 区分2と区分3を併せた改善見込額は、2分の1以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善することとされています。

Q. 非常勤も対象ですか。
A. 区分1の周知の要件は「全ての職員(非常勤職員及び法人の役員等を兼務している職員を含む。)」と書かれています。配分そのものの扱いは施設によります。

Q. 研修はどこで受けますか。
A. 通知は「別に定める研修」としており、研修の内容はこの通知には書かれていません。

Q. 企業主導型保育でも同じですか。
A. 制度が別です。助成の仕組みは企業主導型保育の年収で扱っています。

迷ったらここ

賃金改善の中身を、書面で見る

通知は賃金改善の具体的な内容を職員に周知することを要件にしています。だから「いくら上がったか」は聞ける前提になっています。

  • 賃金改善の内容が職員に周知されているか
  • 基本給や毎月の手当で改善されているか
  • 就業規則等に賃金体系が書かれているか
保育士の転職サービスを比較する

まとめ

処遇改善等加算は、施設・事業所に支払われる公定価格の加算です。個人への支給額は通知に書かれていません。

令和7年4月1日から加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲが一本化され、いまは区分1(基礎分)・区分2(賃金改善分)・区分3(質の向上分)という呼び方になっています。

区分1の要件はキャリアパス要件。職位・職責・職務内容に応じた勤務条件と賃金体系を就業規則等に書面で整備し、全職員に周知すること。資質向上の計画と研修、資格取得の支援も入っています。

区分2と区分3を併せた改善見込額は、2分の1以上を基本給・決まって毎月支払われる手当で改善することとされています。賃金改善の具体的な内容を職員に周知することも要件です。

区分3には研修修了者が合計1人以上必要で、経験年数は概ね7年以上または概ね3年以上とされています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

目次