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30秒でわかるまとめ
- 保育士資格を取る側の特例は、試験の全部免除という形です幼稚園教諭免許状を持つ人が養成施設で特例教科目を修得すると、保育士試験の全科目が免除になります。
- 対象は、3年以上かつ4,320時間以上の実務経験がある人です幼稚園、認定こども園、保育所などでの勤務が数えられ、複数の施設での勤務を合算できます。
- 特例教科目は4科目8単位。こども園で2年なら6単位になります3年の要件に加えて、幼保連携型認定こども園で保育教諭として2年以上かつ2,880時間以上勤めると、2単位を修得したとみなされます。
- 最後は令和11年度末の保育士試験と案内されています令和6年の告示の改正で延びた期限です。逆向きの、保育士が幼稚園教諭免許状を取る特例は文部科学省の制度です。
※逆向きの、保育士が幼稚園教諭免許状を取る特例は幼稚園教諭になるには、保育士試験そのものの仕組みは保育士試験の仕組みで扱っています。

まず全体像:「幼保特例」には向きが2つあります
「幼保特例」は通称です。本記事が確かめたこども家庭庁と文部科学省のページに、この名前の制度はありません。中身は、向きの違う2つの特例です。
| 向き | 国の資料での名前 | 案内している省庁 |
|---|---|---|
| 幼稚園教諭免許状を持つ人が、保育士資格を取る | 幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例 | こども家庭庁 |
| 保育士の登録をしている人が、幼稚園教諭免許状を取る | 幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例 | 文部科学省 |
出典:こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」、文部科学省「幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例」の各ページ
どちらも、幼保連携型認定こども園で働く保育教諭に、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を持ってもらうための期限付きの措置です。こども家庭庁のページは、特例の目的を免許・資格の併有を促進することと書いています。
この記事は、保育士資格を取る側を読みます。幼稚園教諭免許状を取る側の要件は、冒頭のリンク先で扱っています。

ここが本題:根拠は、保育士試験の「全部免除」です
保育士資格を取る側の特例は、養成施設を卒業する道ではなく、保育士試験の道の上に置かれています。児童福祉法施行規則 第6条の11の2第1項です。
「都道府県知事は、こども家庭庁長官が定める基準に該当する者に対しては、その者の申請により、筆記試験及び実技試験の全部を免除することができる。」
出典:児童福祉法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100011)第6条の11の2第1項(原文どおり)
条文の見出しは「全部免除」です。この「こども家庭庁長官が定める基準」が告示で定められていて、幼稚園教諭免許状を持つ人の特例はその中に置かれています。
こども家庭庁のページは、資格を取るまでの流れをこう書いています。
「特例制度の対象者は、保育士養成施設において最大8単位(2単位4科目。学校にもよりますが、要する日数としては通学制の場合、20日間程度と見込まれます。)の特例教科目を修得した後に保育士試験によって資格を取得します。」
出典:こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」(原文どおり)
読みどころは3つあります。
- 学ぶ場所は保育士養成施設です。大学の教職課程ではありません。
- 資格は「保育士試験によって」取得します。試験の全科目が免除になった人も、保育士試験の手続を通ります。
- 条文は「その者の申請により」「免除することができる」と書いています。要件を満たした人が、自分で申請する仕組みです。

対象者:幼稚園教諭免許状と「3年以上かつ4,320時間以上」
特例の対象者は、幼稚園教諭免許状を持ち、次の施設で「3年以上かつ4,320時間以上」の実務経験がある人です。
| # | 実務経験として数える施設 |
|---|---|
| 1 | 幼稚園(特別支援学校幼稚部を含む) |
| 2 | 認定こども園 |
| 3 | 保育所 |
| 4 | 小規模保育事業A型・B型を実施する施設 |
| 5 | 事業所内保育事業(利用定員が6人以上の施設)を実施する施設 |
| 6 | 国、都道府県、市町村が設置し、保育所と同じ業務を目的とする公立施設(保育所を除く) |
| 7 | 離島その他の地域で特例保育を実施する施設 |
| 8 | 幼稚園併設型認可外保育施設 |
| 9 | 認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書の交付を受けた施設(1日に保育する乳幼児の数が6人以上)。ただし、利用する児童の半数以上が一時預かりの施設と、半数以上が22時から翌日7時までの利用の施設を除く |
出典:こども家庭庁「保育士試験の実施について」(通知)記の8(1)。番号は編集部が付した
数え方について、こども家庭庁の資料には次のことが書かれています。
- 複数の施設での合算ができます(こども家庭庁のページ)。
- 4,320時間は、概要資料で「6時間×20日×3年(36ヶ月)」と説明されています。年数だけでなく時間数の要件があります。
- 受験の申請には、施設が出す実務証明書が要ります。9の認可外保育施設で働いた人は、特例の施設であることを都道府県知事などが証明する施設証明書も要ります(通知 記の8(2)(3))。
- 施設が廃園していても、設置者が存続していれば証明が可能とされています。証明ができない場合は、その実務を加算することはできません(こども家庭庁のページ)。
こども家庭庁のページは、いま就労していない人や、幼稚園や保育関係の仕事をしていない人も活用できると書いています。ただしその場合も、上の施設での実務経験の要件はそのまま必要です。
学ぶのは特例教科目4科目8単位。こども園で2年なら6単位
保育士養成施設で修得する特例教科目は、次の4つです。
| 特例教科目 | 3年特例 | 幼保2年特例 |
|---|---|---|
| 福祉と養護(講義) | 2単位 | 2単位 |
| 子ども家庭支援論(講義) | 2単位 | 1単位 |
| 保健と食と栄養(講義) | 2単位 | 2単位 |
| 乳児保育(演習) | 2単位 | 1単位 |
| 合計 | 8単位 | 6単位 |
出典:こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」3.、同「保育士資格取得の特例の概要」
「幼保2年特例」は令和5年度からの上乗せの特例です。3年以上かつ4,320時間以上の実務経験に加えて、平成27年4月の子ども・子育て支援新制度の施行後の幼保連携型認定こども園で、保育教諭として2年以上かつ2,880時間以上勤めた人は、8単位のうち更に2単位を修得したものとみなすとされています。
また、過去に保育士養成施設で通常の養成課程の教科目を学んだ人は、8単位の全てを受講する必要がない場合があると、こども家庭庁のページは書いています。学んだ養成施設に確かめることになります。
試験科目は、3つの段階で免除されます
こども家庭庁の概要資料は、免除を3つの段階に分けて書いています。
| 段階 | 免除される科目 | 特例か |
|---|---|---|
| 1. 幼稚園教諭免許状を持っている | 保育の心理学、教育原理、実技試験(保育実習実技) | 特例ではない(免許状を持つ人に共通) |
| 2. 3年以上かつ4,320時間以上の実務経験がある | 1に加えて、保育実習理論 | 特例 |
| 3. 特例教科目を修得した | 修得した単位数に応じて、社会福祉、社会的養護、子どもの保健、子どもの食と栄養、保育原理、子ども家庭福祉 | 特例 |
出典:こども家庭庁「保育士資格取得の特例の概要」、「保育士試験の実施について」(通知)記の7(4)・記の8(4)
こども家庭庁のページによると、3年特例で8単位、幼保2年特例で6単位を修得すると、保育士試験は全科目免除になります。修得したのが4単位だけなら全科目免除にはならず、修得した単位に応じて一部の科目が免除されます。
全科目が免除される人については、受験申請期間が年4回設けられている、ともページに書かれています。
期限:最後は「令和11年度末の保育士試験」です
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 平成26年度の保育士試験から | 特例による受験が始まる |
| 令和5年度の保育士試験から | 幼保2年特例による受験が始まる |
| 令和6年9月27日 | 令和6年こども家庭庁告示第14号の適用。特例の期間が延びる |
| 令和11年度末 | この時期の保育士試験が最後 |
出典:こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」4.(4)、「保育士試験の実施について」(通知)前文
ページの書き方はこうです。
「(令和11年度末の保育士試験が最後になります。)」
出典:こども家庭庁「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」4.(4)(原文どおり)
期間の数え方は「改正認定こども園法施行後15年」です。こども家庭庁のページは、特例の期日がこの法律の施行の日から10年間だったところ、15年間(令和11年度末)に延長になった、と説明しています。それまでは令和6年度末までの特例でした。
最後の年に要件をそろえた人には、1年の猶予があります。通知の記の8(5)②です。
「ただし、改正認定こども園法施行後15年の最終年に特例教科目を修得した者等は当該年の次の年の保育士試験において特例による受験を可能とする。」
出典:こども家庭庁「保育士試験の実施について」(通知)記の8(5)②(原文どおり)
こども家庭庁のページは、令和11年度に特例教科目を修得した場合や実務経験を満たした場合は、令和12年度の保育士試験を特例により受験できると書いています。
ただし注意点があります。同じ通知は、片方の免許・資格で「保育教諭」として勤務できる特例期間を15年間としたうえで、その期間の後、この猶予で受験する人は保育士資格を取得するまでの間は「保育教諭」として勤務することができないことに留意するよう書いています。
認定こども園の経過措置と、同じ15年にそろえてあります
保育士資格を取る特例の期限は、幼保連携型認定こども園の経過措置と同じ期間に合わせてあります。
- 延長のもとになった法律は、令和6年法律第53号(令和6年6月19日公布)です。こども家庭庁のページは、この法律と令和6年こども家庭庁告示第14号によって、保育教諭等となることができる期間と、保育士資格取得の特例の期日が15年間に延びたと書いています。
- e-Govに収録された令和6年法律第53号の附則第1条第1号は、認定こども園法一部改正法の附則第5条の改正規定と、教育職員免許法 附則第18項の改正規定を、公布の日から施行するとしています。
- 附則第18項は、保育士の登録を受けている人に幼稚園教諭免許状を授与する場合の検定の特例で、期間を「認定こども園法一部改正法の施行の日から起算して十五年を経過するまでの間」と書いています。こちらが逆向きの特例です。
出典:教育職員免許法(e-Gov法令API 法令ID 324AC0000000147)附則第18項、同法に収録の令和6年法律第53号 附則第1条
1つ例外があります。こども家庭庁のページは、片方の免許・資格で主幹保育教諭・指導保育教諭になれる特例の延長期間は12年間(令和8年度末)だと注意書きをしています。令和6年法律第53号の附則第1条第1号も、主幹保育教諭などの語を削る部分を、公布の日に施行する規定から除いています。
片方の免許・資格で保育教諭として働ける経過措置そのものの中身は、認定こども園と保育園の違いで扱っています。
この記事が扱っていないこと
- 特例で保育士資格を取った人の数。本記事が取得したこども家庭庁の資料に、特例による人だけの数はありませんでした。
- 告示の本文。令和6年こども家庭庁告示第14号と「こども家庭庁長官が定める基準」の本文は取得していません。中身は、こども家庭庁のページと通知で確かめています。
- 養成施設ごとの開講時期や受講料。こども家庭庁は特例教科目を開設している養成施設の一覧(令和8年度)を掲載していますが、本記事は一覧の中身と費用を扱っていません。
- 都道府県ごとの受験申請の日程と手数料。試験を行う都道府県の案内の領域です。
- 幼稚園教諭免許状を取る側の要件の詳細。文部科学省の特例で、幼稚園教諭になるにはで扱っています。
幼稚園教諭として働く人が確認できること
- 働いた施設が、対象の施設に入るか。認可外保育施設なら、施設証明書が出るかも確かめられます。
- 勤務の時間数が4,320時間に届くか。年数だけでなく時間数の要件があり、複数の施設は合算できます。
- 実務証明書を出してもらえるか。証明ができない実務は加算できないと、こども家庭庁のページは書いています。
- 勤め先が幼保連携型認定こども園か。保育教諭として2年以上かつ2,880時間以上なら、幼保2年特例で6単位になります。
- いつの保育士試験に申請するか。令和11年度末の保育士試験が最後と案内されています。
- 主幹保育教諭・指導保育教諭の立場か。片方の免許・資格でなれる期間は令和8年度末までと、こども家庭庁のページに注意書きがあります。
よくある質問
Q. 幼保特例制度とは何ですか。
A. 通称です。本記事が確かめたこども家庭庁と文部科学省のページに、この名前の制度はありません。幼稚園教諭免許状を持つ人が保育士資格を取る特例(こども家庭庁)と、保育士の登録をしている人が幼稚園教諭免許状を取る特例(文部科学省)の2つを指して使われています。
Q. 特例教科目を修得すれば、保育士試験を受けなくてよいのですか。
A. こども家庭庁のページは、3年特例で8単位、幼保2年特例で6単位を修得した場合、保育士試験は全科目免除になると書いています。ただし資格は「保育士試験によって」取得する仕組みで、児童福祉法施行規則 第6条の11の2第1項による全部免除の申請が要ります。
Q. いま幼稚園で働いていなくても使えますか。
A. こども家庭庁のページは、現在就労していない人も活用できると書いています。ただし、幼稚園や保育所などの対象施設で3年以上かつ4,320時間以上の実務経験があることが要件です。
Q. 期限はいつですか。
A. こども家庭庁のページは、令和11年度末の保育士試験が最後になると案内しています。令和11年度に特例教科目を修得した場合や実務経験を満たした場合は、令和12年度の保育士試験を特例により受験できます。
Q. 養成施設では何を学びますか。
A. 特例教科目は、福祉と養護、子ども家庭支援論、保健と食と栄養、乳児保育の4つで、各2単位の合計8単位です。幼保2年特例では、子ども家庭支援論と乳児保育が各1単位になり、合計6単位です。
迷ったらここ
保育士資格の特例は最後の試験から数える
幼稚園教諭免許状を持つ人の保育士資格取得特例は、令和11年度末の保育士試験が最後と案内されています。実務経験は3年以上かつ4,320時間以上で、勤めた施設が出す実務証明書が要ります。
- 勤め先が特例の対象施設か(認可外保育施設なら施設証明書が出るか)
- 実務証明書を出してもらえるか、複数の園の勤務時間を合算できるか
- 幼保連携型認定こども園で保育教諭として働くか(2年以上かつ2,880時間以上で6単位)
まとめ
「幼保特例」は通称で、向きの違う2つの特例を指します。保育士資格を取る側は、こども家庭庁の幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例です。
根拠は児童福祉法施行規則 第6条の11の2の「全部免除」です。幼稚園教諭免許状を持ち、3年以上かつ4,320時間以上の実務経験がある人が、保育士養成施設で特例教科目8単位(幼保2年特例は6単位)を修得すると、保育士試験は全科目免除になります。申請は本人が行います。
期限は改正認定こども園法の施行後15年で、令和11年度末の保育士試験が最後と案内されています。令和6年こども家庭庁告示第14号で延びた期限で、保育教諭の経過措置と同じ期間にそろえてあります。主幹保育教諭・指導保育教諭については令和8年度末までと注意書きがあります。

