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30秒でわかるまとめ
- 保育士の条文で「保育士は」と始まる禁止は2つです信用を傷つけるような行為をしないことと、業務で知った人の秘密を漏らさないことです。性格を条件にした条はありません。
- 登録を失う場面は、条文に書かれた事由に限られます取り消さなければならない場合が3つ、取り消すことができるのは2か条に違反したときです。向き不向きは入っていません。
- 「豊かな人間性と倫理観」は省令の総則の言葉です児童福祉施設の職員一般に向けた条で、訓練を受けた者という条件と同じ一文に並んでいます。
- 指針は倫理観を、研修で高めることと並べて書いています倫理観と人間性を基盤としたうえで、研修等を通じて知識と技術の向上に努めると続けています。
※辞めるかどうかを調査データから考える記事は保育士を辞めたいとき、園の人間関係を法律から整理した記事は保育士の人間関係に疲れたらで扱っています。ここでは、保育士について書かれた条文そのものを読みます。

先に範囲:保育士の条文は「第一款 保育士」の22か条です
児童福祉法は、第1章 第7節の最初に「第一款 保育士」を置いています。第18条の4から第18条の23まで、枝番の第18条の20の2・第18条の20の3を含めて22か条です。
| 条 | 書かれていること |
|---|---|
| 第18条の4〜第18条の6 | 定義、欠格事由、保育士となる資格 |
| 第18条の7〜第18条の17 | 養成施設への指導、保育士試験、指定試験機関 |
| 第18条の18〜第18条の20の3 | 登録、登録の取消し・消除、特定登録取消者、雇用する者の報告 |
| 第18条の21・第18条の22 | 保育士本人に向けた禁止 |
| 第18条の23 | 保育士でない者の名称の使用制限 |
出典:児童福祉法(昭和22年法律第164号)第18条の4〜第18条の23(e-Gov法令API 法令ID 322AC0000000164)。区分は編集部
22か条のうち11か条(第18条の7〜第18条の17)は、養成施設と試験の事務の条です。そしてこの22か条に、「適性」「性格」「人間性」「倫理観」「熱意」という語は1度も出てきません。第18条の23と保育補助の関係は保育補助にできないことで扱っています。

ここが本題:「保育士は」で始まる禁止は2か条です
22か条のうち、保育士を主語にして本人の行為を禁じているのは2か条です。1つめが第18条の21です。
「保育士は、保育士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。」
出典:児童福祉法 第18条の21(原文どおり)
児童福祉法の本則で「信用」という語が出てくるのは、この1か所だけです。どんな行為が当たるかを並べた条は、第一款にはありません。
2つめの第18条の22は、正当な理由なく業務で知った人の秘密を漏らすことを禁じ、保育士でなくなった後も同じとしています。条文と罰則の整理は保育補助にできないことに任せます。
どちらも「〜してはならない」という行為の禁止です。明るいか、器用か、体力があるかといった人の性質を条件にした書き方ではありません。その日その場で、するかしないかを自分で選べることが書かれています。

「なれない人」の定めは、第18条の5の5つの号です
第18条の5は、保育士となることができない者として5つの号を置いています。
| 号 | 内容(要約) |
|---|---|
| 第1号 | 心身の故障により保育士の業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの |
| 第2号 | 拘禁刑以上の刑に処せられた者 |
| 第3号 | 児童の福祉に関する法律の規定で政令で定めるものにより罰金の刑に処せられ、3年を経過しない者 |
| 第4号・第5号 | 保育士登録・地域限定保育士登録を一定の規定で取り消され、3年を経過しない者 |
出典:児童福祉法 第18条の5第1号〜第5号
人の状態を指しているのは第1号だけで、中身は施行規則が定めています。
「法第十八条の五第一号の内閣府令で定める者は、精神の機能の障害により保育士の業務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。」
出典:児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)第6条の2の2(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100011)(原文どおり)
人見知り、要領が悪い、注意されると落ち込む——そうした特徴は、この定義に入っていません。
登録を取り消すのは、第18条の19に書かれた場合です
| 区分 | 場合 | 根拠 |
|---|---|---|
| 取り消さなければならない | 第18条の5第1号から第3号までのいずれかに該当するに至った場合 | 第1項第1号 |
| 虚偽又は不正の事実に基づいて保育士登録を受けた場合 | 第1項第2号 | |
| 登録を受けた日以後に、児童生徒性暴力等を行ったと認められる場合 | 第1項第3号 | |
| 取り消し、又は名称の使用の停止を命ずることができる | 第18条の21又は第18条の22に違反したとき | 第2項 |
出典:児童福祉法 第18条の19第1項・第2項
「都道府県知事は、保育士が第十八条の二十一又は第十八条の二十二の規定に違反したときは、その保育士登録を取り消し、又は期間を定めて保育士の名称の使用の停止を命ずることができる。」
出典:児童福祉法 第18条の19第2項(原文どおり)
第1項の3つの号と第2項のどこにも、覚えが遅い、子どもとの関わりに自信がない、といった事情は入っていません。
第1項第3号と、特定登録取消者の登録(第18条の20の2)、雇用する者の報告(第18条の20の3)は、児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)で加わった規定です。e-Govの改正履歴で、令和5年4月1日施行の版とその直前の版を比べて確かめました。同じ改正で、第18条の5の第3号・第4号の年数は2年から3年になっています。
これとは別の法律(令和6年法律第69号)による仕組みは保育士の犯歴確認が12月25日開始で扱っています。e-Govに載っている児童福祉法の未施行の改正7件の版も読みましたが、第一款の22か条の文言は変わりません。
人柄を表す言葉は、省令の総則にあります
法令が人柄に触れている条もあります。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(以下「設備運営基準」)の第7条で、見出しは「児童福祉施設における職員の一般的要件」です。
「児童福祉施設に入所している者の保護に従事する職員は、健全な心身を有し、豊かな人間性と倫理観を備え、児童福祉事業に熱意のある者であつて、できる限り児童福祉事業の理論及び実際について訓練を受けた者でなければならない。」
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第7条(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100063)(原文どおり)
- 置かれているのは第1章 総則です。児童福祉施設の職員一般に向けた条で、保育士だけを名指ししていません。
- 設備運営基準の本則で「倫理観」「熱意」が出てくるのは、この第7条だけです。
- 同じ一文に「できる限り児童福祉事業の理論及び実際について訓練を受けた者」と続きます。
- 第18条の19の取消しの事由に、設備運営基準の条は入っていません。
「豊かな人間性」を測る物差しや、満たさない人を除く手続きは、この条に書かれていません。人柄の言葉はあっても、第18条の19の取消しの事由とは結びついていません。
保育所保育指針は、倫理観を「基盤」と書き、続けて研修を書いています
保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号)は、設備運営基準 第35条に基づく告示です。第5章「職員の資質向上」の1(1)はこう書いています。
「子どもの最善の利益を考慮し、人権に配慮した保育を行うためには、職員一人一人の倫理観、人間性並びに保育所職員としての職務及び責任の理解と自覚が基盤となる。各職員は、自己評価に基づく課題等を踏まえ、保育所内外の研修等を通じて、保育士・看護師・調理員・栄養士等、それぞれの職務内容に応じた専門性を高めるため、必要な知識及び技術の修得、維持及び向上に努めなければならない。」
出典:保育所保育指針 第5章1(1)(原文どおり)
指針の全文で「倫理観」が出てくるのは2か所です。もう1か所の第1章1(1)エも、保育士は「倫理観に裏付けられた専門的知識、技術及び判断をもって」保育を行うと書き、「専門性の向上に絶えず努めなければならない」で結んでいます。「適性」「性格」の語は出てきません。
指針は倫理観や人間性を、研修や自己評価と同じ段落に置いています。持っているか、いないかで人を分ける書き方は、ここにはありません。
法律の側にも同じ向きの規定があります。児童福祉法 第48条の4第3項は、保育所に勤務する保育士に、相談・助言のために必要な知識及び技能の修得、維持及び向上に「努めなければならない」としています。第18条の21・第18条の22の「してはならない」とは書き方が違います。研修の機会を用意する施設側の定めは保育士1年目がつらいときで扱っています。
適性を疑い始めたら、園の外で話せる場所
ここまでの話は、「向いていないと感じるのは気のせいだ」という意味ではありません。条文に書かれていない物差しで自分を測っているとき、つらさの出どころが職場の側にあることもあります。人の配置、休みの取りにくさ、相談しにくい雰囲気は、「向き不向き」の言葉にしまい込むと確かめられなくなります。
- 総合労働相談コーナー(厚生労働省):解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどの労働問題が対象です。専門の相談員が面談もしくは電話で対応し、予約不要・無料です 総合労働相談コーナーのご案内
- こころの耳(厚生労働省):働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトです。電話・SNS・メールの相談窓口がまとまっています こころの耳
この記事が扱っていないこと
- 「信用を傷つけるような行為」の具体例。条文に列挙がなく、通知や処分の例は取得していません。
- 児童生徒性暴力等の範囲。条文は令和3年法律第57号 第2条第3項の定義を引いていますが、その法律は取得していません。
- 第18条の5第3号の「政令で定める」法律の一覧と、取消しの件数。取得していません。
- 保育士試験と養成施設。保育士試験の仕組みで扱っています。
- 民間の適性診断や調査の数字。法令ではないため使っていません。介護職の同じ問いは介護職に向いてない人の特徴です。
保育士として働くときに確認できること
- 悩んでいることが、行為の禁止に関わる話かどうか。本人に向けた禁止は第18条の21と第18条の22の2か条です。
- 守秘の範囲を、園がどう説明しているか。写真や連絡帳、私的な発信の扱いは、園の決まりで確かめられます。
- 職員同士で学び合う場があるか。指針 第5章3(1)は、職場内での研修の充実が図られなければならないとしています。
よくある質問
Q. 保育士に向いていない性格は、法律で決まっていますか。
A. 児童福祉法の第一款 保育士(22か条)に、性格や適性を条件にした条はありません。本人に向けた禁止は第18条の21と第18条の22の2か条で、どちらも行為の禁止です。設備運営基準 第7条は職員一般に「豊かな人間性と倫理観」などを求めていますが、登録の取消しの事由には入っていません。
Q. ミスが多いと、保育士の登録を取り消されますか。
A. 第18条の19が挙げているのは、欠格事由に該当するに至った場合、虚偽又は不正の登録、登録後の児童生徒性暴力等、第18条の21・第18条の22の違反です。業務上のミスそのものを事由にした条はありません。ただし行為の内容によっては信用を傷つける行為に当たり得ます。個別の判断は本記事では扱えません。
Q. 一度登録を取り消されたら、もう保育士になれませんか。
A. 第18条の5第4号は、第18条の19第1項第2号・第3号又は第2項による取消しから3年を経過しない者を欠格としています。児童生徒性暴力等で取り消された人などは「特定登録取消者」とされ、第18条の20の2により、登録を行うのが適当であると認められる場合に限り登録を行うことができます。
Q. 子どもが好きでないと、保育士は務まりませんか。
A. 本記事が読んだ児童福祉法・設備運営基準・保育所保育指針に、子どもが好きであることを条件にした規定はありませんでした。指針 第5章1(1)は、倫理観、人間性、職務と責任の理解と自覚を「基盤」と書いています。
迷ったらここ
向いてないと感じたら、条文の外を確かめる
児童福祉法が保育士本人に禁じているのは信用を傷つけるような行為と、秘密を漏らすことの2つで、性格や適性を条件にした条はありません。つらさの出どころは、職場の条件の側にあることもあります。
- 新しく入った人への研修や、相談できる相手がどう用意されているか
- 職員同士で学び合う場(職場内での研修)があるか
- 守秘の範囲(写真・連絡帳・私的な発信)を園がどう説明しているか
まとめ
児童福祉法の第一款 保育士は22か条で、本人に向けた禁止は第18条の21(信用を傷つけるような行為)と第18条の22(秘密を漏らすこと)の2か条です。登録を取り消さなければならない場合は3つ、取り消すことができるのは2か条に違反したときです(第18条の19)。
人柄の言葉は、設備運営基準 第7条と指針にあります。ただ、どちらも訓練や研修と同じ文・同じ段落に置かれ、登録の取消しとはつながっていません。
向いているかどうかを決める条文はありませんでした。決まっているのは、してはいけない2つの行為と、資格を失う場面の一覧です。自分を測る前に、条文の外にある職場の条件を確かめてみてください。

