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30秒でわかるまとめ
- 保育士が目指す園長の責務は、指針の第5章に書かれています保育所保育指針は「施設長の責務」として、法令等を遵守し、保育の質と職員の専門性向上に必要な環境の確保に努めることを挙げています。
- 研修の機会を確保するのも、施設長の責務の1つです全体的な計画や各職員の研修の必要性を踏まえ、体系的・計画的な研修機会を確保し、勤務体制を工夫するよう求めています。
- 省令が主語を「長」にしているのは、健康診断などです設備運営基準 第12条は、入所時と少なくとも1年に2回の定期の健康診断などを行うことを、児童福祉施設の長に求めています。
- 安全計画や運営規程は、施設に作成を求めています安全計画、業務継続計画、運営規程などの主語は施設です。施設の中で誰が担うかは、省令に書かれていません。
※園長になる条件は保育園の園長になるには、給与の水準は保育園の園長の年収で扱っています。

先に言葉の整理:指針は「施設長」、省令は「保育所の長」と書きます
| 資料 | この職の呼び方 |
|---|---|
| 保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号。以下「指針」) | 施設長 |
| 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号。以下「設備運営基準」) | 保育所の長/児童福祉施設の長 |
| 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(以下「認定こども園法」) | 園長(幼保連携型認定こども園) |
保育の内容が指針に従うことは、設備運営基準 第35条が定めています。この関係は保育士の指導案の書き方で扱っています。
設備運営基準は、第1条で「職員」の範囲を決めています。
「設備運営基準は、都道府県知事の監督に属する児童福祉施設に入所している者が、明るくて、衛生的な環境において、素養があり、かつ、適切な訓練を受けた職員(児童福祉施設の長を含む。以下同じ。)の指導又は支援により、心身ともに健やかにして、社会に適応するように育成されることを保障するものとする。」
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100063)第1条第2項(原文どおり)
設備運営基準で「職員」と書かれた定めは、施設の長も含みます。指針の側でも、国の「保育所保育指針解説」(平成30年2月 厚生労働省。以下「解説」)が「保育に携わる全ての保育所職員(施設長・保育士・看護師・調理員・栄養士等)を「保育士等」としている」と書いています(解説 第1章1(1)の解説)。

まず指針:第5章の「施設長の責務」は2つの項目です
指針の第5章は「職員の資質向上」です。冒頭で、職員の資質向上と専門性の向上を図るよう努める主体を保育所としたうえで、2番目の項目に「施設長の責務」を置いています。
「施設長は、保育所の役割や社会的責任を遂行するために、法令等を遵守し、保育所を取り巻く社会情勢等を踏まえ、施設長としての専門性等の向上に努め、当該保育所における保育の質及び職員の専門性向上のために必要な環境の確保に努めなければならない。」
出典:保育所保育指針 第5章2(1)「施設長の責務と専門性の向上」(原文どおり)
「施設長は、保育所の全体的な計画や、各職員の研修の必要性等を踏まえて、体系的・計画的な研修機会を確保するとともに、職員の勤務体制の工夫等により、職員が計画的に研修等に参加し、その専門性の向上が図られるよう努めなければならない。」
出典:保育所保育指針 第5章2(2)「職員の研修機会の確保等」(原文どおり)
どちらも、主語は「施設長は」、語尾は「努めなければならない」です。指針の中で、施設長を主語にして責務をまとめて書いているのは、この2つの項目です。

指針の本文に「主任保育士」の語はなく、解説が施設長と並ぶ管理職として主任保育士を書いています。主任保育士になる条件が国の資料にどう書かれているかは主任保育士になるには|法令に資格の条件はなく、国の加算が園に求めるのは主任を「専任」にすることですで扱っています。
解説は、施設長が理解しておく法令を広く書いています
「法令等を遵守し」について、解説はこう書いています。
「保育の実施と運営上の根拠となる法令はもちろん、基本的な関連法令(福祉分野に限らず、雇用・労働、防災、環境への配慮に関するもの等)や、保育に関わる倫理等を正しく理解しておくことが必要である。」
出典:保育所保育指針解説 第5章2(1)の解説(原文どおり)
園長に求められる法令の理解は、児童福祉の法令だけに限られていません。同じ節で解説は、自己評価や第三者評価の実施、保護者の苦情解決などを通して保育の質の向上を図り、地域住民に保育所に関する情報を提供することも挙げています。
研修については、解説は「研修に参加する職員の代替となる職員を配置するなど、勤務体制の調整や工夫を行うことが求められる」としています(解説 第5章2(2)の解説)。研修の機会を用意することと、研修に出られる勤務を組むことが、ひと続きで書かれています。
第三者評価は、社会福祉法 第78条を土台に、国の指針が受審を「望ましい」としている仕組みです。働く側が園を選ぶときの見方は 保育士の園見学チェックポイント|職員の数と経験年数は、府令が定める公表の項目ですで扱っています。
指針で施設長が名指しされるのは、ほかに2か所です
編集部が指針のPDFの全文を検索したかぎり、「施設長」という語が出てくるのは、第1章3(3)アと第5章だけでした。「施設長の責務」以外で出てくるのは、次の2つです。
「施設長、保育士など、全職員による適切な役割分担と協力体制を整えること。」
出典:保育所保育指針 第1章3(3)ア(原文どおり)
「施設長等は保育所全体としての保育実践の質及び専門性の向上のために、研修の受講は特定の職員に偏ることなく行われるよう、配慮する必要がある。」
出典:保育所保育指針 第5章4(3)(原文どおり)
一方で、計画づくりは、指針の本文では「保育所」が主語です。施設長の役割を書いているのは解説のほうです。
| 事項 | 指針の本文の主語 | 解説の書き方 |
|---|---|---|
| 全体的な計画 | 保育所は(第1章3(1)ア) | 施設長の責任の下に作成されるものであるが、全職員が参画し、共通理解と協力体制の下に創意工夫して作成することが重要 |
| 研修計画 | 保育所においては(第5章4(1)) | 施設長は全体的な計画等を踏まえて、具体的な研修計画を作成する必要がある |
| 健康及び安全 | 第3章に「施設長」の語はない | 施設長の責務の下に全職員が共通して認識することが必要 |
| 事故防止 | 第3章3(2)アに「施設長」の語はない | 事故防止のためのマニュアルを作成するなど、施設長のリーダーシップの下、組織的に取り組む |
出典:保育所保育指針 第1章3(1)ア、第3章、第5章4(1)、同解説 第1章3(1)・第3章・第3章3(2)・第5章4(1)の解説
指針は告示で、解説は厚生労働省が作った解説書です。この記事では、解説の言葉を「指針が定める」とは書きません。
省令で主語が「長」になっている条は、総則と保育所の章に3つです
設備運営基準の第1章(総則)と第5章(保育所)で、「保育所の長」「児童福祉施設の長」が主語になっている条を編集部が抜き出すと、次の3つでした(第1条第2項の「職員」の範囲の定めを除く)。
| 条 | 見出し | 長が主語の定め |
|---|---|---|
| 第12条 | 入所した者及び職員の健康診断 | 入所時の健康診断、少なくとも1年に2回の定期健康診断及び臨時の健康診断を行う |
| 第34条 | 保育時間 | 保育時間を定める(認定こども園と保育園の違いで扱っています) |
| 第36条 | 保護者との連絡 | 保護者との連絡に努める(保育士の保護者対応とクレームで扱っています) |
出典:設備運営基準 第12条、第34条、第36条
ほかの記事で扱っていない第12条を読みます。
「児童福祉施設(児童厚生施設、児童家庭支援センター及び里親支援センターを除く。第四項を除き、以下この条において同じ。)の長は、入所した者に対し、入所時の健康診断、少なくとも一年に二回の定期健康診断及び臨時の健康診断を、学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)に規定する健康診断に準じて行わなければならない。」
出典:設備運営基準 第12条第1項(原文どおり)
除かれている施設に保育所は入っていません。保育所の子どもの健康診断は、条文の上では保育所の長が行う形です。第2項は、乳幼児に対する健康診査などが相当すると認められるときは、その全部又は一部を行わないことができるとし、その場合は長が結果を把握しなければならないとしています。
省令は、計画・規程・体制づくりを「施設」に求めています
設備運営基準の総則には、計画や規程、体制づくりを求める条が並んでいます。主語は「児童福祉施設」又は「保育所」で、「長」ではありません。
| 条 | 主語 | 求めていること | 語尾 |
|---|---|---|---|
| 第6条の3第1項・第2項 | 児童福祉施設 | 安全計画を策定し、必要な措置を講じる。職員に周知し、研修及び訓練を定期的に実施する | しなければならない |
| 第6条の3第3項 | 保育所など | 保護者に、安全計画に基づく取組の内容等を周知する | しなければならない |
| 第6条の4第2項 | 保育所など | 送迎を目的とした自動車を日常的に運行するときは、車内の児童の見落としを防止する装置を備え、所在を確認する | 行わなければならない |
| 第9条の3 | 児童福祉施設 | 業務継続計画を策定し、職員に周知し、必要な研修及び訓練を定期的に実施する | 努めなければならない |
| 第10条第2項 | 児童福祉施設 | 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修と、感染症の訓練を定期的に実施する | 努めなければならない |
| 第13条第2項 | 保育所 | 施設の運営についての重要事項に関する規程を定めておく(11の号) | 定めておかなければならない |
| 第14条の2第2項 | 児童福祉施設 | 職員であった者が業務上知り得た秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じる | 講じなければならない |
出典:設備運営基準 第6条の3、第6条の4第2項、第9条の3、第10条第2項、第13条第2項、第14条の2第2項
安全計画は「しなければならない」、業務継続計画は「努めなければならない」と、語尾が違います。どちらも主語は施設です。第13条第2項の11の号には、「職員の職種、員数及び職務の内容」(第3号)や「虐待の防止のための措置に関する事項」(第10号)があります。
職員を主語にした定めもあります。第9条の2は、職員が入所中の児童に対し当該児童の心身に有害な影響を与える行為をしてはならないとし、第14条の2第1項は、職員が業務上知り得た秘密を漏らしてはならないとしています。第1条第2項により、ここでいう職員には施設の長も含まれます。
苦情の窓口(第14条の3)と業務の質の評価(第36条の2)も、主語は施設の側です。中身は保育士の保護者対応とクレームと保育園の監査で見られること、職員の研修の機会の条(第7条の2)は保育士1年目がつらいときで扱っています。
ここが本題:主語が「施設」の定めを、「園長の義務」と言い換えません
| 資料 | 主語 | 例 |
|---|---|---|
| 設備運営基準 | 児童福祉施設の長/保育所の長 | 健康診断、保育時間、保護者との連絡 |
| 設備運営基準 | 児童福祉施設/保育所 | 安全計画、業務継続計画、運営規程 |
| 設備運営基準 | 職員(施設の長を含む) | 虐待等の禁止、秘密保持 |
| 指針 | 施設長 | 法令等の遵守、必要な環境の確保、研修機会の確保 |
| 指針 | 保育所 | 全体的な計画、研修計画 |
出典:設備運営基準・指針の該当部分。表の整理は編集部
設備運営基準は、安全計画や運営規程を、施設の中で誰が担うかを書いていません。実際には園長が中心になって進める、と言いたくなる場面ですが、この記事が取得した資料にその書き方はありません。条文どおりに言えるのは、義務を負うのは施設で、指針と解説が施設長に責務と役割を置いている、というところまでです。
なお、設備運営基準は、都道府県などが条例を定めるときのもとになる基準です(第1条)。実際に保育所に適用されるのは、所在地の条例です。
幼保連携型認定こども園の園長は「園務をつかさどり」ます
「園長は、園務をつかさどり、所属職員を監督する。」
出典:認定こども園法(平成18年法律第77号、e-Gov法令API 法令ID 418AC0000000077)第14条第4項(原文どおり)
同じ条の第5項は、副園長について「園長を助け、命を受けて園務をつかさどる」としています。幼保連携型認定こども園教育・保育要領(平成29年内閣府・文部科学省・厚生労働省告示第1号)は、全体的な計画についてこう書いています。
「各幼保連携型認定こども園においては、園長の方針の下に、園務分掌に基づき保育教諭等職員が適切に役割を分担しつつ、相互に連携しながら、教育及び保育の内容並びに子育ての支援等に関する全体的な計画や指導の改善を図るものとする。」
出典:幼保連携型認定こども園教育・保育要領 第1章第2の1(4)(原文どおり)
保育所の設備運営基準と指針には、「園務」という語は見当たりませんでした。園長を置くこと自体の条は認定こども園と保育園の違い、園長の資格は保育園の園長になるにはで扱っています。
この記事が扱っていないこと
- 園長(施設長)になる資格・条件と、給与の金額。冒頭のリンク先で扱っています。
- 都道府県等の条例と、自治体の運用。取得していません。
- 未施行の改正。e-Govの改正履歴では、設備運営基準に令和8年12月25日施行と令和9年4月1日施行の改正が「未施行」として載っています。前者で加わる条(児童対象性暴力等の防止)は主語が「設置者」です。本記事は令和8年10月1日施行の現行版を読みました。
- 指針の改定の動き。こども家庭庁が「平成30年度~」として掲載している現行の指針だけを読んでいます。
- 児童福祉法や労働関係の法令が設置者・事業主に求めること、保育所以外の園や事業の管理者。取得していません。
保育士が園長の仕事を確かめるときに確認できること
- 運営規程の「職員の職種、員数及び職務の内容」。第13条第2項第3号の事項です。
- 安全計画の研修・訓練の予定。職員への周知と定期的な研修及び訓練が施設に求められています(第6条の3第2項)。
- 業務継続計画があるか。施設の努力義務です(第9条の3)。
- 研修計画と、研修の受講が特定の職員に偏っていないか。指針 第5章4(1)・(3)の事項です。
- 幼保連携型認定こども園なら、園務分掌。要領は、園長の方針の下に園務分掌に基づいて役割を分担するとしています。
よくある質問
Q. 保育園の園長の仕事内容は、国の基準で決まっていますか。
A. まとまって書いているのは、保育所保育指針 第5章の「施設長の責務」です。法令等の遵守、保育の質と職員の専門性向上に必要な環境の確保、研修機会の確保に努めることを挙げています。設備運営基準は、健康診断(第12条)などの条で「長」を主語にしています。
Q. 安全計画を作るのは園長の義務ですか。
A. 設備運営基準 第6条の3の主語は「児童福祉施設」で、施設が安全計画を策定し、職員に周知し、研修及び訓練を定期的に実施しなければならないとしています。施設の中で誰が作るかは、条文には書かれていません。
Q. 研修に行く機会が少ないとき、指針では誰の役割になっていますか。
A. 指針 第5章2(2)は、施設長が体系的・計画的な研修機会を確保し、勤務体制の工夫等により職員が計画的に研修等に参加できるよう努めなければならないとしています。第5章4(3)は、研修の受講が特定の職員に偏ることなく行われるよう配慮する必要があるとしています。
Q. 認定こども園の園長と、保育所の園長で書かれ方は違いますか。
A. 幼保連携型認定こども園は、認定こども園法 第14条第4項が「園長は、園務をつかさどり、所属職員を監督する」としています。保育所の設備運営基準と指針には「園務」という語は見当たらず、指針の「施設長の責務」と設備運営基準の個々の条に分かれて書かれています。
迷ったらここ
園長の仕事は指針と省令で読む
保育所保育指針は「施設長の責務」として、法令等の遵守と研修機会の確保などを挙げています。設備運営基準は、安全計画や運営規程を施設に、健康診断を施設の長に求めています。
- 園の運営規程に、職員の職種・員数・職務の内容がどう書かれているか
- 安全計画の研修・訓練が、いつ、どの職員を対象に行われているか
- 研修の受講が特定の職員に偏らず、勤務を調整して参加できるか
まとめ
保育所の園長の仕事をまとめて書いているのは、保育所保育指針 第5章の「施設長の責務」です。施設長は法令等を遵守し、保育の質と職員の専門性向上に必要な環境の確保に努め、体系的・計画的な研修機会の確保と勤務体制の工夫に努めるとされています。
設備運営基準で「長」が主語になっているのは、総則と保育所の章では健康診断(第12条)・保育時間(第34条)・保護者との連絡(第36条)です。安全計画、業務継続計画、運営規程などの主語は施設で、施設の中で誰が担うかは書かれていません。幼保連携型認定こども園の園長は、認定こども園法 第14条第4項で「園務をつかさどり、所属職員を監督する」とされています。

