給食の原価管理のコツ|病院は1食730円、介護保険施設は1日1,545円。告示が決めるのは総額だけです

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目次

30秒でわかるまとめ

  • 給食会社の栄養士が動かせないのは、1食・1日の額です病院は入院時食事療養費、介護保険施設は食費の基準費用額という形で、国の告示が額を定めています。
  • 病院の入院時食事療養(Ⅰ)は、1食730円に上がりました令和8年6月1日からの額で、改正前の690円から40円の引上げです。(Ⅱ)は1食596円です。
  • 介護保険施設の食費の基準費用額は、1日1,545円です令和8年8月1日からの額で、改正前は1,445円でした。告示は1日の額だけで、1食ごとの額は書いていません。
  • 告示は総額だけ。食材費と人件費の内訳は書かれていません介護の指針も、食費は食材料費及び調理に係る費用に相当する額を基本とするだけで、割合は示していません。

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※病院が給食を委託するときの病院側の責任は病院給食の委託と直営の違い、給食会社の人数が契約で決まる仕組みは給食委託がきついときで扱っています。

バックヤードのスタッフ(給食受託会社)

まず前提:給食の「1食いくら」は、国の告示が決めています

給食の原価管理というと、食材の仕入れや献立の工夫が先に浮かびます。けれども病院と介護保険施設では、その前に「1食・1日いくらで出すか」の額が、法律に基づく告示で決まっています。

場所国が額を定めているもの根拠
病院(保険診療の入院)入院時食事療養費の算定に使う食事療養の費用の額(1食につき)健康保険法 第85条第2項、平成18年厚生労働省告示第99号
介護保険施設食費の基準費用額(1日につき)介護保険法 第51条の3第2項第1号、平成17年厚生労働省告示第411号

出典:健康保険法(e-Gov法令API 法令ID 211AC0000000070)第85条第2項、介護保険法(同 409AC0000000123)第51条の3第2項第1号

どちらの条文も、額を「平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める」としています。そして、実際にかかった費用がその額より低いときは、実際の額のほうを使うという書き方も共通しています(健康保険法は「その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額」)。

原価管理は、この額の枠の中で、食材・調理・人手にどう配るかの話になります。以下、病院と介護保険施設の順に、告示の額を原文で確かめます。

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ここが本題:病院の食事は1食730円。4つの額がそろって40円上がりました

病院の入院中の食事の額は、「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第99号)の別表が定めています。令和8年厚生労働省告示第76号による改正で、令和8年6月1日から次の額になりました。

区分(1食につき)令和8年6月1日から改正前差
入院時食事療養(Ⅰ) (2)以外の食事療養を行う場合730円690円40円
入院時食事療養(Ⅰ) 流動食のみを提供する場合665円625円40円
入院時食事療養(Ⅱ) (2)以外の食事療養を行う場合596円556円40円
入院時食事療養(Ⅱ) 流動食のみを提供する場合550円510円40円

出典:平成18年厚生労働省告示第99号 別表第一(厚生労働省法令等データベースの現行版)、令和8年厚生労働省告示第76号の新旧対照表。差は編集部試算(例:730円−690円=40円)

別表の注は、(Ⅰ)を厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関の入院患者に、(Ⅱ)を(Ⅰ)を算定する保険医療機関以外の入院患者に当てています。どちらも1日につき3食を限度として算定します。(Ⅰ)の届出の要件は病院給食の委託と直営の違いで扱っています。

告示の別表に書かれているのは、区分ごとの1食の総額だけです。食材費がいくら、調理の人件費がいくら、という内訳の欄はありません。

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加算は、特別食が1食76円、食堂が1日50円です

同じ別表の注は、入院時食事療養(Ⅰ)に2つの加算を置いています。特別食加算はこう書かれています。

「別に厚生労働大臣が定める特別食を提供したときは、1食につき76円を、1日につき3食を限度として加算する。ただし、(2)を算定する患者については、算定しない。」

出典:平成18年厚生労働省告示第99号 別表第一 1 注3(原文どおり)

「(2)」は流動食のみを提供する場合のことです。食堂加算は注4で、療養病棟に入院する患者を除き、食堂における食事療養を行ったときに1日につき50円を加算するとしています。嚥下調整食の特別食加算は管理栄養士の訪問指導に530点が新設で扱っています。

保険局医療課長の留意事項通知は、特別食加算について医師の発行する食事箋に基づくことと、「特別食の献立表が作成されている必要がある」ことを求めています(令和8年3月5日保医発0305第16号 3)。加算の額は決まっていても、食事箋と献立表がそろって初めて算定できる作りです。

730円のうち、患者が払うのは550円です

告示の額は病院が受け取る1食の総額で、その一部を患者が「食事療養標準負担額」として払います。健康保険法 第85条第2項は、入院時食事療養費の額を告示の基準で算定した費用の額から、食事療養標準負担額を控除した額としています。

標準負担額は「健康保険及び国民健康保険の食事療養標準負担額及び生活療養標準負担額」(平成8年厚生省告示第203号)が定めていて、健康保険法施行規則 第58条各号に該当する者以外の者は「一食につき五百五十円」です。令和8年厚生労働省告示第66号の附則が、令和8年6月1日からの適用としています。

同規則 第58条(見出しは「食事療養標準負担額の減額の対象者」)に当たる人は、区分に応じて一食につき270円、220円、130円、330円のいずれかです。

入院時食事療養(Ⅰ)・一般の患者の場合(1食)額
告示の費用の額730円
うち患者が払う食事療養標準負担額550円
うち入院時食事療養費(保険から)180円

出典:平成18年厚生労働省告示第99号 別表、平成8年厚生省告示第203号 一、健康保険法 第85条第2項。180円は編集部試算(730円−550円=180円)

病院が標準負担額を超える費用を患者から受け取れるのは、例外の場面です。留意事項通知は、あらかじめ食事の内容と特別の料金を説明して同意を得ること(1(11))とし、特別メニューの食事は「通常の入院時食事療養又は入院時生活療養の食事の提供たる療養の費用では提供が困難な高価な材料を使用し特別な調理を行う場合」などに限るとしています(6(3))。通常の食事は、告示の額の中で作ることになります。

介護保険施設の食費の基準費用額は、1日1,545円です

介護保険施設の食費は、介護サービスの費用とは別の扱いです。介護保険法 第48条は、施設介護サービス費の対象から「食事の提供に要する費用」を除いています。そのうえで、所得や資産の状況などから省令で定める入所者に支給される特定入所者介護サービス費(第51条の3)の計算に使う額として、食費の基準費用額が告示で決まっています。

「介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第五十一条の三第二項第一号に規定する特定介護保険施設等における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める費用の額及び同法第六十一条の三第二項第一号に規定する特定介護予防サービス事業者における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める費用の額は、一日につき千五百四十五円とする。」

出典:平成17年厚生労働省告示第411号(原文どおり。厚生労働省法令等データベースの現行版)

この額は、令和8年厚生労働省告示第87号の第9条が「一日につき千四百四十五円」から改めたもので、同告示の附則が第9条の施行を令和8年8月1日としています。1,445円から1,545円へ、1日100円の引上げです(編集部試算:1,545円−1,445円=100円)。この引上げに対する現場の受け止めは介護の処遇改善、栄養士への配分、介護報酬の改定率の中での位置づけは介護の処遇改善加算のニュースで扱っています。

告示は1日の額で、1食ごとの額は書いていません。仮に3食で割ると1食あたり515円です(編集部試算:1,545円÷3=515円。告示が定めた額ではありません)。病院の入院時食事療養(Ⅰ)を1日3食にすると2,190円(730円×3)で、制度が違うため、そのまま比べられる額ではありません。

給付の対象者には、基準費用額が食費の上限として効きます

基準費用額は、施設が全員から取る食費の額そのものではありません。特定入所者介護サービス費は、食費については基準費用額から食費の負担限度額を控除した額です(第51条の3第2項第1号)。

そのうえで第51条の3第6項は、特定入所者が施設に、食事の提供に要する費用として食費の基準費用額(支給があったものとみなされた特定入所者は食費の負担限度額)を超える金額を支払った場合には、特定入所者介護サービス費を支給しないとしています。

出典:介護保険法 第48条第1項、第51条の3第2項第1号・第6項

つまり給付の対象になる入所者については、基準費用額(1日1,545円)を超える食費を受け取ると給付が出ない作りです(給付を施設が代わりに受け取る場合は、本人から負担限度額を超えて受け取ると出ません)。対象にならない入所者の食費の扱いは、次の指針と契約によります。

介護施設の食費の中身は「食材料費及び調理に係る費用」が基本です

介護保険施設などの食費の決め方は、「居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針」(平成17年厚生労働省告示第419号)が書いています。

「食事の提供に係る利用料は、食材料費及び調理に係る費用に相当する額を基本とすること。」

出典:平成17年厚生労働省告示第419号 二ロ(原文どおり)

同じ指針は、契約の内容を文書により事前に説明し、入所者から文書により同意を得ること、利用料の具体的内容や金額の設定・変更を運営規程に記載し、見やすい場所に掲示し、ウェブサイトに掲載することを求めています(一イ・ロ・ハ)。

指針が挙げる中身は「食材料費」と「調理に係る費用」の2つで、その割合は書かれていません。病院の告示にも内訳はありません。本記事が確かめた国の資料には、「食材費は何%まで」「原価率は何%が目安」といった数字はありませんでした。

枠が決まっている中で、国の資料から言える管理のポイント

額が告示で決まっている以上、原価管理は「入ってくる額を正しく数える」ことと「その中で配分を決める」ことに分かれます。前者について、病院の留意事項通知はこう書いています。

「入院時食事療養及び入院時生活療養の食事の提供たる療養は1食単位で評価するものであることから、食事提供数は、入院患者ごとに実際に提供された食数を記録していること。」

出典:令和8年3月5日保医発0305第16号 1(10)(原文どおり)

確かめる点資料が書いていること
食数の記録1食単位で評価。実際に提供した食数を患者ごとに記録する(1(10))。1日3食が限度(1(12))
区分(Ⅰ)か(Ⅱ)か、流動食のみか。区分で1食の額が変わる(告示 別表)
加算の要件特別食は食事箋と特別食の献立表が要る(通知 3)。食堂加算は療養病棟を除く(告示 注4)
介護の食費基準費用額は1日1,545円。給付の対象者からそれを超えて受け取ると給付が出ない(法 第51条の3第6項)
配分食材費と人件費の割合は、告示にも指針にも書かれていない

出典:上記の告示・通知・法律を編集部が整理

給食会社で働く栄養士の場合、施設が受け取る告示の額と、施設が給食会社に払う委託料は別のものです。委託料は施設と会社の契約で決まり、本記事はその金額を取得していません。献立の段階で栄養量の目標をどう置くかは献立作成のコツで扱っています。

この記事が扱っていないこと

  • 給食会社と施設の委託契約の金額、食材の仕入れ価格。本記事は取得していません。
  • 「原価率は何%が目安」といった数字。確かめた告示・通知・指針には書かれていませんでした。民間の調査の数字は使っていません。
  • 介護保険施設の食費の負担限度額(所得段階ごとの額)と居住費。本記事は食費の基準費用額だけを扱っています。
  • 入院時生活療養の額。同じ告示の別表第二にある別の区分で、本記事では扱っていません。
  • 保育所・学校・事業所の給食の費用。根拠になる制度が違うため、本記事では使っていません。
  • 入院時食事療養(Ⅰ)の届出の要件や検食の決まり。病院栄養士の1日と勤務時間で扱っています。

給食会社の栄養士が確認できること

  • 担当する施設は病院か、介護保険施設か。病院は1食、介護保険施設は1日の額で、仕組みが違います。
  • 病院なら(Ⅰ)か(Ⅱ)か。1食730円か596円かで、枠が変わります。
  • 食数の数え方。実際に提供した食数を患者ごとに記録することが通知に書かれています。
  • 特別食の献立表を誰が作るか。特別食加算には、特別食の献立表が作成されている必要があります。
  • 委託料が告示の改定に合わせて見直されるか。告示の額が上がっても、委託料は契約で決まります。

よくある質問

Q. 給食の原価率は何%が目安ですか。
A. 本記事が確かめた告示・通知・指針には、原価率の目安は書かれていませんでした。病院の告示は1食の総額、介護の告示は1日の総額だけを定めています。

Q. 病院の食事は1食いくらですか。
A. 令和8年6月1日から、入院時食事療養(Ⅰ)は1食730円、(Ⅱ)は596円です。流動食のみの場合は(Ⅰ)665円、(Ⅱ)550円です。特別食は1食76円、食堂は1日50円の加算があります。

Q. 730円は全部患者が払うのですか。
A. 一般の患者が払う食事療養標準負担額は1食550円です。残りが入院時食事療養費として保険から出ます。(Ⅰ)なら730円−550円=180円です(編集部試算)。

Q. 介護施設の食費はいくらと決まっていますか。
A. 告示が定めるのは食費の基準費用額で、令和8年8月1日から1日1,545円です。特定入所者介護サービス費の計算に使う額で、施設が全員から取る食費をこの額に決めたものではありません。

Q. 食材費と人件費の割合は決まっていますか。
A. 決まっていません。介護の指針は、食費は食材料費及び調理に係る費用に相当する額を基本とするとしていますが、割合は書いていません。病院の告示にも内訳はありません。

迷ったらここ

給食の額は告示で決まっている

病院の入院時食事療養(Ⅰ)は1食730円、介護保険施設の食費の基準費用額は1日1,545円です。告示が決めるのは総額だけで、食材費と人件費の内訳は書かれていません。

  • 担当する施設は病院か介護保険施設か(1食の額か1日の額か)
  • 病院なら入院時食事療養(Ⅰ)か(Ⅱ)か
  • 委託料が告示の改定に合わせて見直される契約か
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まとめ

  • 病院の食事は1食730円です令和8年6月1日から、入院時食事療養(Ⅰ)は730円、(Ⅱ)は596円。4つの額がそろって40円上がりました。
  • 介護保険施設の食費の基準費用額は1日1,545円です令和8年8月1日から、改正前の1,445円より100円上がりました。
  • 告示が決めるのは総額だけです食材費と人件費の内訳や原価率の目安は、告示にも指針にも書かれていません。
  • まず入ってくる額を正しく数えます病院では1食単位で評価され、実際に提供した食数を患者ごとに記録することが通知に書かれています。

給食の原価管理は、国が決めた額の中で、食材と調理と人手にどう配るかの話です。担当する施設の制度と区分を確かめるところから始めてください。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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