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30秒でわかるまとめ
- 介護職が施設長をめざすとき、条件は施設の種類で違います特別養護老人ホームは老人福祉法に基づく省令、老健と介護医療院は介護保険法が、別々の書き方で定めています。
- 特養の施設長は、社会福祉事業に2年以上の従事なども要件です特養基準 第5条第1項は、社会福祉法第19条第1項各号に該当する者などを3つ並べています。
- 老健と介護医療院は、知事の承認を受けた医師が原則です介護保険法 第95条と第109条は、都道府県知事の承認を受ければ医師以外の者に管理させることもできるとしています。
- 昭和53年の通知は、講習会の修了を判断基準にしましたただし通知の表が根拠に挙げるのは昭和41年の旧省令です。現行の解釈通知は、同等以上の能力を実績等で説明しています。
※居宅系の事業所やグループホームの管理者は介護の管理者の仕事内容、社会福祉法第19条第1項の各号の中身は生活相談員の資格要件で扱っています。

先に言葉の整理:「施設長」と「管理者」は、法令ごとに呼び方が違います
求人でいう「介護施設の施設長」は、施設の種類によって根拠の法令も呼び方も変わります。
| 施設 | 根拠の法令 | この職の呼び方 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号。以下「特養基準」) | 施設長(特別養護老人ホームの長) |
| 特別養護老人ホーム(介護保険の指定介護老人福祉施設として) | 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号) | 管理者 |
| 介護老人保健施設(老健) | 介護保険法(平成9年法律第123号)第95条 | 施設を「管理させる」者(管理者) |
| 介護医療院 | 介護保険法 第109条 | 施設を「管理させる」者(管理者) |
特養基準の第1条は、この省令を老人福祉法 第17条第2項の厚生労働省令で定める基準としています。介護保険の側の基準とは別の省令です。特養の解釈通知も、委員会を構成する職種の例に「施設長(管理者)」と書いています。
この記事の問いは1つです。介護の施設長になる条件は、施設の種類ごとに、どの法令のどこに書かれているか、です。

まず条文:特養の施設長の要件は、特養基準 第5条第1項にあります
特養基準 第5条は、見出しが「職員の資格要件」の条です。第1項が施設長の要件です。
「特別養護老人ホームの長(以下「施設長」という。)は、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第十九条第一項各号のいずれかに該当する者若しくは社会福祉事業に二年以上従事した者又はこれらと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。」
出典:特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100046)第5条第1項(原文どおり)
条文が並べているのは、次の3つです。
| 条文の言葉 | 読み方 |
|---|---|
| 第十九条第一項各号のいずれかに該当する者 | 社会福祉法 第19条第1項は、社会福祉主事の任用の条です |
| 社会福祉事業に二年以上従事した者 | 資格ではなく、従事した年数の書き方です |
| これらと同等以上の能力を有すると認められる者 | どう認めるかは、条文の外(解釈通知)にあります |
出典:特養基準 第5条第1項、社会福祉法(e-Gov法令API 法令ID 326AC0000000045)第19条第1項。表の整理は編集部
3つは「若しくは」「又は」でつながっています。社会福祉主事に当たることだけが道、という書き方ではありません。
「社会福祉事業」の範囲は、社会福祉法 第2条が定めています。第2条第2項第3号は、老人福祉法に規定する養護老人ホーム、特別養護老人ホーム又は軽費老人ホームを経営する事業を第一種社会福祉事業としています。自分の経験のどこまでが「社会福祉事業に2年以上従事」に当たるかの判断は、本記事では取得していません。
同じ特養基準の第12条第1項第1号は、置く施設長の数を「一」としています。第12条第4項は、施設長を常勤の者としています。
なお、特養基準は都道府県等が条例を定めるときの基準で、第5条は第1条第1号で「従うべき基準」に挙がっています。実際に適用されるのは、所在地の条例です。

「同等以上の能力」は、解釈通知が説明しています
特養基準の解釈通知「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について」(平成12年3月17日 老発第214号)は、第5条の「同等以上」を次のように書いています。
「このうち「同等以上の能力を有すると認められる者」とは、社会福祉施設等に勤務し又は勤務したことのある者等であって、その者の実績等から一般的に、施設長にあっては特別養護老人ホームを適切に管理運営する能力を有すると認められる者(中略)をいう。」
出典:厚生労働省 法令等データベース「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について」(平成12年3月17日 老発第214号)第一の4(1)(原文どおり。文の途中から引用し、生活相談員についての部分を(中略)とした)
判断の材料は「社会福祉施設等」での勤務と、その者の実績等です。特定の資格の名前や、講習会の名前は、この項には書かれていません。
昭和53年の通知は、講習会の修了を判断基準にしました
施設長の要件については、国の通知「社会福祉施設の長の資格要件について」(昭和53年2月20日 社庶第13号)があります。前文は、ねらいをこう書いています。
「このため、今般、とりあえず関係省令又は関係通知に規定する施設長の具備すべき要件のうち抽象的要件について、具体的判断基準を示すこととし、所定の講習会の課程を終了した者を当該要件を具備する者とすることとした。」
出典:厚生労働省 法令等データベース「社会福祉施設の長の資格要件について」(昭和53年2月20日 社庶第13号)前文(原文どおり)
この講習会は、通知の中で「施設長資格認定講習会」と呼ばれています。方法は通信授業及び面接授業の組合せです。通知の表には、養護老人ホームと特別養護老人ホームの施設長が挙がっています。その行の「資格内容」は次のとおりです。
「これら(注1)と同等以上の厚生大臣が指定する講習会を履修した者」
出典:同通知 記の一(二)の表(原文どおり)
注1は「これら」を、社会福祉事業法第18条各号のいずれかに該当する者であって、厚生大臣が指定する講習会を履修した者と説明しています。留意事項として、公立施設の施設長も受講が必要であること、施設長就任前に講習会の課程を終了しておく必要があること(特別の事情のある場合は就任後もやむを得ないこと)が書かれています。
注意したいのは、表の「根拠規程」です。特別養護老人ホームの行が挙げているのは「養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(四一・七・一厚令一九)第五条第一項」で、昭和41年の省令です。今の特養基準(平成11年厚生省令第46号)ではありません。
法令等データベースの本文は、社会福祉事業法など発出時の名称のままで、改正の記載はありません。この通知と今の特養基準 第5条第1項との対応を示した国の資料は、本記事では取得していません。同じ通知の表で児童福祉の施設がどう扱われているかは、保育園の園長になるにはで扱っています。
老健の管理者は、法律が「都道府県知事の承認を受けた医師」を原則にしています
介護老人保健施設は、施設長(管理者)の条件が法律そのものに書かれています。介護保険法 第95条です。
| 項 | 条文 |
|---|---|
| 第1項 | 「介護老人保健施設の開設者は、都道府県知事の承認を受けた医師に当該介護老人保健施設を管理させなければならない。」 |
| 第2項 | 「前項の規定にかかわらず、介護老人保健施設の開設者は、都道府県知事の承認を受け、医師以外の者に当該介護老人保健施設を管理させることができる。」 |
出典:介護保険法(e-Gov法令API 法令ID 409AC0000000123)第95条第1項・第2項(原文どおり)
原則は「都道府県知事の承認を受けた医師」です。医師であれば足りるのではなく、その医師について承認を受ける書き方です。第2項により、開設者が都道府県知事の承認を受ければ、医師以外の者に管理させることができます。
第102条第1項は、都道府県知事が、管理者が管理者として不適当であると認めるときは、開設者に対し、期限を定めて管理者の変更を命ずることができるとしています。
出典:介護保険法 第102条第1項
介護医療院も、第109条で同じ書き方です
| 介護老人保健施設 | 介護医療院 | |
|---|---|---|
| 条 | 介護保険法 第95条 | 介護保険法 第109条 |
| 原則(第1項) | 都道府県知事の承認を受けた医師に管理させなければならない | 都道府県知事の承認を受けた医師に管理させなければならない |
| 例外(第2項) | 都道府県知事の承認を受け、医師以外の者に管理させることができる | 都道府県知事の承認を受け、医師以外の者に管理させることができる |
| 管理者の働き方(省令) | 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)第23条 | 介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)第26条 |
出典:介護保険法 第95条・第109条、各基準省令
働き方を定める省令の条は、どちらも書き出しが同じです。
「介護老人保健施設の管理者は、専ら当該介護老人保健施設の職務に従事する常勤の者でなければならない。」
出典:介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100040)第23条(原文どおり。ただし書の前まで)
介護医療院の第26条も「介護医療院の管理者は、専ら当該介護医療院の職務に従事する常勤の者でなければならない。」で始まります。どちらも、管理上支障のない場合に他の事業所、施設等の職務に従事できるただし書が付いています。
都道府県知事が、どんな基準で医師や医師以外の者を承認するかは、法律の条文には書かれていません。本記事では、承認の基準を示した資料を取得していません。
特養の「管理者」:介護保険の指定基準の条に、資格の定めはありません
特別養護老人ホームは、介護保険では指定介護老人福祉施設として扱われます。その基準(平成11年厚生省令第39号)で管理者を定めているのは第21条です。
「指定介護老人福祉施設の管理者は、専ら当該指定介護老人福祉施設の職務に従事する常勤の者でなければならない。」
出典:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100039)第21条(原文どおり。ただし書の前まで)
ただし書は、管理上支障がない場合に、他の事業所、施設等又はサテライト型居住施設の職務に従事することができるとしています。この条が書いているのは常勤・専従という働き方で、資格の定めはありません。特養の施設長の資格の条件は、前に見た特養基準 第5条第1項の側にあります。
比べると:3つの施設で、条件の書かれ方が違います
| 項目 | 特別養護老人ホーム | 介護老人保健施設 | 介護医療院 |
|---|---|---|---|
| 条件を書いている法令 | 省令:特養基準 第5条第1項 | 法律:介護保険法 第95条 | 法律:介護保険法 第109条 |
| 条件の中身 | 社会福祉法第19条第1項各号に該当/社会福祉事業に2年以上従事/同等以上の能力 | 都道府県知事の承認を受けた医師 | 都道府県知事の承認を受けた医師 |
| 例外・受け皿 | 同等以上の能力(解釈通知:社会福祉施設等での勤務と実績等) | 都道府県知事の承認を受けて医師以外の者 | 都道府県知事の承認を受けて医師以外の者 |
| 働き方 | 常勤(特養基準 第12条第4項)。指定基準 第21条は常勤・専従 | 常勤・専従(第23条) | 常勤・専従(第26条) |
出典:特養基準 第5条第1項・第12条第4項/老発第214号 第一の4(1)/介護保険法 第95条・第109条/平成11年厚生省令第39号 第21条・第40号 第23条/平成30年厚生労働省令第5号 第26条。表の整理は編集部
特養は「省令の要件+解釈通知」、老健と介護医療院は「法律+都道府県知事の承認」という組み立てです。同じ「施設長」の求人でも、応募先がどの施設かで、確かめる資料が変わります。
この記事が扱っていないこと
- 施設長・管理者の給与。施設長だけの給与の全国統計は、本記事では取得していません。
- 都道府県知事が、老健・介護医療院の管理者を承認するときの基準。承認の基準を示した資料は取得していません。
- 昭和53年の通知と今の特養基準との対応、施設長資格認定講習会の現在の実施状況。いずれも取得していません。
- 社会福祉法 第19条第1項第5号の厚生労働省令の中身。取得していません。
- 都道府県等の条例や、附則の経過措置。条例の中身は取得していません。
- 有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームの施設長。本記事は特養・老健・介護医療院に絞りました。
介護職が施設長をめざすときに確認できること
- 応募先は特養か、老健か、介護医療院か。特養は特養基準 第5条第1項、老健と介護医療院は介護保険法 第95条・第109条が条件の根拠です。
- 特養なら、自分は第5条第1項のどれに当たるか。社会福祉法第19条第1項各号、社会福祉事業に2年以上従事、同等以上の能力の3つが並んでいます。
- 老健・介護医療院なら、都道府県知事の承認の手続を誰がするか。医師以外の者が管理者になるには、都道府県知事の承認が要ります。
- 常勤・専従の募集か。指定基準や老健・介護医療院の省令は、管理者を専ら職務に従事する常勤の者としています。
- 所在地の条例に、独自の定めがあるか。本記事は条例を取得していないため、自治体で確認が要ります。
よくある質問
Q. 介護福祉士の資格があれば、特養の施設長になれますか。
A. 特養基準 第5条第1項が挙げるのは、社会福祉法第19条第1項各号に該当する者、社会福祉事業に2年以上従事した者、同等以上の能力を有すると認められる者で、介護福祉士という語はありません。介護福祉士の資格だけで足りるかどうかは、本記事で取得した資料からは言えません。
Q. 特養の施設長に、社会福祉主事の資格は欠かせませんか。
A. 第5条第1項は、社会福祉法第19条第1項各号に該当する者のほかに、社会福祉事業に2年以上従事した者と、同等以上の能力を有すると認められる者を並べています。社会福祉主事に当たることだけが条件、という書き方ではありません。
Q. 老健の施設長は、医師でないとなれませんか。
A. 介護保険法 第95条第1項は、都道府県知事の承認を受けた医師に管理させることを原則にしています。第2項により、開設者が都道府県知事の承認を受ければ、医師以外の者に管理させることができます。介護医療院も第109条で同じです。
Q. 施設長資格認定講習会を受けないと、施設長になれませんか。
A. 昭和53年の通知は、講習会の課程を終了した者を抽象的要件を具備する者とする判断基準を示しました。ただし表の根拠規程は昭和41年の省令です。今の解釈通知は、同等以上の能力を社会福祉施設等での勤務と実績等で説明しています。
Q. 施設長は、ほかの事業所と兼務できますか。
A. 老健の第23条、介護医療院の第26条、指定介護老人福祉施設の第21条は、管理者を常勤・専従とし、管理上支障がない場合に他の事業所、施設等の職務に従事できるただし書を置いています。
迷ったらここ
施設長の条件は施設の種類で違う
特別養護老人ホームの施設長は、特養基準 第5条第1項が社会福祉事業に2年以上従事した者などを並べています。老健と介護医療院は、介護保険法が都道府県知事の承認を受けた医師に管理させることを原則にしています。
- 応募先が特養か、老健か、介護医療院か
- 特養なら、第5条第1項の3つのどれに当たるか
- 常勤・専従の募集か、ほかの事業所と兼務する形か
まとめ
介護の施設長になる条件は、施設の種類で根拠も中身も違います。
特別養護老人ホームは、特養基準 第5条第1項が、社会福祉法第19条第1項各号に該当する者、社会福祉事業に2年以上従事した者、同等以上の能力を有すると認められる者を並べています。「同等以上」は、解釈通知が社会福祉施設等での勤務と実績等で説明しています。昭和53年の通知は講習会の修了を判断基準にしましたが、表の根拠規程は昭和41年の省令です。
介護老人保健施設と介護医療院は、介護保険法 第95条・第109条が、都道府県知事の承認を受けた医師に管理させることを原則にしています。都道府県知事の承認を受ければ、医師以外の者に管理させることもできます。

