30秒でわかるまとめ
- 保育士が働く保育所の省令に、園長の資格の条は見当たりません保育所の章が置く職員は保育士・嘱託医・調理員で、乳児院などにある「長の資格等」の条がありません。
- 公定価格は、私立保育所の施設長に2年以上の従事などを求めます児童福祉事業等に2年以上従事した者又は同等以上の能力がある者で、運営管理の業務に専従する人が前提です。
- 条件を満たす施設長がいないと、給付の調整の対象になります公定価格の「施設長を配置していない場合」の調整です。兼務で施設長の職務を行っていない人は欠員とみなされます。
- 幼保連携型の園長は、免許状・保育士登録・5年以上の経験です施行規則第12条が、教諭の専修免許状又は一種免許状、保育士登録、決められた職に5年以上を求めています。
※園長(施設長)の給与の水準は保育園の園長の年収、保育所と幼保連携型認定こども園の基準そのものの違いは認定こども園と保育園の違いで扱っています。

先に言葉の整理:「園長」は、資料ごとに呼び方が違います
求人でいう「保育園の園長」は、資料によって呼び方が変わります。
| 資料 | この職の呼び方 | 対象 |
|---|---|---|
| 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(以下「設備運営基準」) | 保育所の長 | 保育所 |
| 公定価格の留意事項通知(こども家庭庁・文部科学省) | 施設長 | 私立の保育所など |
| 認定こども園法施行規則 | 園長 | 幼保連携型認定こども園 |
児童福祉法 第7条第1項は、児童福祉施設として保育所と幼保連携型認定こども園を別々に挙げています。同じ「園長」でも、どちらの施設かで読む資料が変わります。
この記事の問いは1つです。保育所の園長になる条件は、国の基準でどこまで決まっているか。そして幼保連携型認定こども園とどう違うか、です。

まず条文:保育所に置く職員の条に、園長の資格は書かれていません
設備運営基準の第5章(保育所)で、職員を定めているのは第33条です。第1項はこう書いています。
「保育所には、保育士(認定地方公共団体の区域内又は事業実施区域内にある保育所にあつては、保育士、当該認定地方公共団体の区域に係る地域限定保育士又は当該事業実施区域に係る国家戦略特別区域限定保育士。次項において同じ。)、嘱託医及び調理員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する施設にあつては、調理員を置かないことができる。」
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号、e-Gov法令API 法令ID 323M40000100063)第33条第1項(原文どおり)
置かなければならない職員として名前が挙がっているのは、保育士・嘱託医・調理員です。この条には、保育所の長の資格は書かれていません。
本記事で確認した範囲では、保育所の長の資格を定めた条は見当たりませんでした。確認したのは、児童福祉法と設備運営基準の本則の全条です。附則と、都道府県等の条例は確認していません。
なお、総則の第7条は職員の一般的要件を定めています。書かれているのは「児童福祉施設に入所している者の保護に従事する職員」の要件で、見出しも「児童福祉施設における職員の一般的要件」です。保育所の長の資格として書かれた条ではありません。

乳児院や児童養護施設には、「長の資格等」の条があります
同じ設備運営基準でも、ほかの施設の章には、長の資格を定めた条が置かれています。見出しに「長の資格等」とある条を並べると、次のとおりです。
| 施設 | 条 |
|---|---|
| 乳児院 | 第22条の2(乳児院の長の資格等) |
| 母子生活支援施設 | 第27条の2(母子生活支援施設の長の資格等) |
| 児童養護施設 | 第42条の2(児童養護施設の長の資格等) |
| 児童心理治療施設 | 第74条(児童心理治療施設の長の資格等) |
| 児童自立支援施設 | 第81条(児童自立支援施設の長の資格等) |
| 里親支援センター | 第88条の7(里親支援センターの長の資格等) |
| 保育所 | 第5章(第32条〜第36条の3)に、この見出しの条はありません |
出典:設備運営基準 各条の見出し
たとえば乳児院の条は、書き出しがこうなっています。
「乳児院の長は、次の各号のいずれかに該当し、かつ、こども家庭庁長官が指定する者が行う乳児院の運営に関し必要な知識を習得させるための研修を受けた者であつて、人格が高潔で識見が高く、乳児院を適切に運営する能力を有するものでなければならない。」
出典:設備運営基準 第22条の2 柱書(原文どおり)
乳児院の長には、該当すべき号と、指定された研修の受講が省令に書かれています。保育所の章には、同じ形の条がありません。ここが、保育所の園長を考えるときの出発点です。
国の通知「社会福祉施設の長の資格要件について」の表にも、保育所はありません
施設長の要件を具体的にするために、国が出した通知があります。昭和53年2月20日 社庶第13号の「社会福祉施設の長の資格要件について」です。冒頭はこう始まります。
「社会福祉施設の長(以下「施設長」という。)の具備すべき要件については、関係省令又は関係通知に規定されているがその中には、具体的基準によらず抽象的に規定されているものが多く、その結果運用上の幅が大きくなっている。」
出典:厚生労働省 法令等データベース「社会福祉施設の長の資格要件について」(昭和53年2月20日 社庶第13号)(原文どおり)
この通知は、抽象的な要件について判断基準を示し、「施設長資格認定講習会」の「課程を終了した者を、当該要件を具備する者とする」ものです。講習会は通信授業と面接授業の組合せで、通信授業の期間は6か月、面接授業の期間は5日間とされています。
受講が必要な人は、通知の表の「施設種別」に挙がった施設の施設長です。児童福祉の分野で表に挙がっているのは、通知の当時の名称で乳児院、母子寮、養護施設、精神薄弱児施設、虚弱児施設、盲児施設、ろうあ児施設です。
表の施設種別に、保育所は挙がっていません。この通知は保育所の施設長を対象にしていない、というのが表の書き方から読めることです。現在の自治体の運用までは、本記事では取得していません。
公定価格では、私立保育所の施設長に「2年以上」などの条件があります
省令とは別に、保育所の施設長について具体的な条件を書いている資料があります。私立保育所に払われる費用(公定価格)の算定ルールを定めた、こども家庭庁・文部科学省の留意事項通知です。保育所の分(別紙2)は、都道府県及び市町村以外の者が設置する施設に適用されるものとされています。
公定価格の基本分単価には、施設長 1人が含まれています。その施設長について、通知は次の注を付けています。
「施設長は児童福祉事業等に2年以上従事した者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者で、常時実際にその施設の運営管理の業務に専従し、かつ委託費からの給与支出がある者とする。」
出典:こども家庭庁成育局長・文部科学省初等中等教育局長「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」別紙2(保育所)II 1(2)(イ)i(注)(令和8年4月8日改正の新旧対照表の改正後欄、原文どおり)
| 例示の区分 | 通知に挙がっている例 |
|---|---|
| 児童福祉事業等に従事した者 | 児童福祉施設の職員、幼稚園・小学校等における教諭、市町村等の公的機関において児童福祉に関する事務を取り扱う部局の職員、民生委員・児童委員、移行前の認可外保育施設の職員等 |
| 同等以上の能力を有すると認められる者 | 公的機関等の実施する施設長研修等を受講した者等 |
出典:同通知 別紙2 II 1(2)(イ)i(注)の例示
条件を満たす施設長を置いていない施設には、「施設長を配置していない場合」という調整が適用されます。こども家庭庁の公定価格の概要資料では、保育所の「調整(減算)」の1つとして挙がっています。通知は、兼務について次のように書いています。
「2以上の施設又は他の事業と兼務し、施設長として職務を行っていない者は欠員とみなされ、要件を満たす施設長を配置したこととはならないこと。」
出典:同通知 別紙2 IV 2(1)※(原文どおり)
調整を適用する施設の認定は、施設が所在する市町村長が行うとされています。
この注の文言に、保育士資格を持っていることは書かれていません。書かれているのは、児童福祉事業等の従事年数(又は同等以上の能力)と、専従であること、委託費から給与が出ていることです。
同じ留意事項通知は、基本分単価の保育士の数を4歳以上児30人につき1人、3歳児20人につき1人で組み、25人・15人で配置した分を加算で上乗せする形にしています。配置基準の改正との関係は保育士の配置基準の改正|3歳児の経過措置は令和10年3月末まで、4・5歳児は「当分の間」ですで扱っています。
幼保連携型認定こども園の園長は、施行規則に資格が書かれています
幼保連携型認定こども園では、園長の資格が省令にはっきり書かれています。園長を置くこと自体の条文は、認定こども園と保育園の違いで扱っています。ここでは資格の条を読みます。
「園長の資格は、教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)による教諭の専修免許状又は一種免許状を有し、(中略)保育士登録(中略)を受けており、かつ、次に掲げる職に五年以上あることとする。」
出典:就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律施行規則(平成26年内閣府・文部科学省・厚生労働省令第2号、e-Gov法令API 法令ID 426M60000182002)第12条 柱書(原文どおり。保育士登録の根拠条文と、地域限定保育士等の括弧書きを(中略)とした)
条件は3つがそろうことです。教諭の専修免許状又は一種免許状、保育士登録、そして決められた職に5年以上です。
5年以上を数える「職」は、第1号から第16号まで並んでいます。まとめると次のとおりです。
| 号 | 職の内容 |
|---|---|
| 第1号〜第3号 | 学校・専修学校の校長(幼保連携型認定こども園の園長を含む)、教員、事務職員など |
| 第4号〜第7号 | 旧制度の学校、在外教育施設、外国の学校での相当する職 |
| 第8号 | 少年院又は児童自立支援施設で矯正教育又は指導を担当する者の職 |
| 第9号〜第11号 | 児童福祉法第7条第1項の児童福祉施設及び連携施設を構成する保育機能施設の長、児童の保育に直接従事する職員、事務職員の職 |
| 第12号〜第14号 | 家庭的保育事業・小規模保育事業・居宅訪問型保育事業・事業所内保育事業の管理者、保育に直接従事する職員、事務職員の職 |
| 第15号・第16号 | 国又は地方公共団体で教育・児童福祉を担当する公務員など、外国の官公庁の相当する職 |
出典:同施行規則 第12条第1号〜第16号
児童福祉法 第7条第1項の児童福祉施設には保育所が含まれます。保育所で児童の保育に直接従事した職は、第10号の書き方に当たります。なお、第12条の文言は「教諭の専修免許状又は一種免許状」で、「幼稚園の」という限定は付いていません。どの学校種の免許状をどう扱うかの運用は、本記事では取得していません。
第13条には例外があります。設置者などは、「運営上特に必要がある場合」には、第12条の資格を有する者と「同等の資質を有すると認めるもの」を「園長として任命し、又は採用することができる」とされています。第14条は、この2つの条を副園長及び教頭の資格に準用しています。
出典:同施行規則 第13条・第14条
比べると:保育所と幼保連携型で、条件の書かれ方が違います
| 項目 | 保育所 | 幼保連携型認定こども園 |
|---|---|---|
| 省令の「長の資格」の条 | 本記事で確認した設備運営基準には見当たらない | 施行規則 第12条(園長の資格) |
| 免許・資格 | 公定価格の注に、保育士資格の記載はない | 教諭の専修免許状又は一種免許状+保育士登録 |
| 年数 | 公定価格:児童福祉事業等に2年以上従事(又は同等以上の能力) | 第12条の各号の職に5年以上 |
| 働き方 | 公定価格:常時実際に運営管理の業務に専従 | 本記事では取得していない |
| 例外 | 公定価格:同等以上の能力(施設長研修等の受講など) | 第13条:運営上特に必要がある場合、同等の資質を有すると認めるもの |
出典:設備運営基準 第33条第1項・各章の「長の資格等」の条/留意事項通知 別紙2/認定こども園法施行規則 第12条〜第13条。表の整理は編集部
保育所の条件は、省令ではなく、私立保育所の費用の算定ルールの側に具体的に書かれています。幼保連携型は、省令そのものが免許状・登録・年数を定めています。同じ「園長」でも、根拠になる資料の性格が違います。
幼保連携型以外の認定こども園(幼稚園型・保育所型・地方裁量型)では、職員の資格を国の認定基準の告示が定めています。4つの種類の分かれ方は認定こども園の種類は4つ|法律にある名前は幼保連携型だけ。残る3つは告示の呼び名ですで扱っています。
この記事が扱っていないこと
- 園長(施設長)の給与の金額。冒頭のリンク先で扱っています。
- 公立保育所の施設長の扱い。留意事項通知の別紙2は、都道府県及び市町村以外の者が設置する施設に適用されるものです。公立は取得していません。
- 都道府県等の条例や、自治体独自の基準。設備運営基準は、都道府県が条例を定めるときの基準です(第1条)。条例の中身は取得していません。
- 保育所型・幼稚園型・地方裁量型の認定こども園の園長。本記事は幼保連携型だけを扱いました。
- 附則の経過措置、施設長研修・講習会の現在の実施状況、調整額の金額。いずれも取得していません。
- 小規模保育事業などの管理者の要件。本記事は保育所と幼保連携型に絞りました。
保育士が園長をめざすときに確認できること
- 応募先は保育所か、幼保連携型認定こども園か。幼保連携型なら、教諭の専修免許状又は一種免許状と保育士登録の両方が施行規則 第12条の条件です。
- 私立か公立か。公定価格の「2年以上」の注は、私立の保育所に適用される別紙2のものです。
- 施設長は専従か、兼務か。2以上の施設又は他の事業と兼務し、施設長として職務を行っていない者は欠員とみなされます。
- 自分の経験が、どの職の期間として数えられるか。保育所で保育に直接従事した期間は、第12条第10号の書き方に当たります。
- 自治体の条例に、独自の定めがあるか。本記事は条例を取得していないため、所在地の自治体で確認が要ります。
よくある質問
Q. 保育園の園長になるのに、保育士資格は必要ですか。
A. 本記事で確認した児童福祉法と設備運営基準には、保育所の長の資格を定めた条は見当たりませんでした。私立保育所の公定価格の注も、保育士資格には触れていません。幼保連携型認定こども園の園長は、施行規則 第12条で保育士登録が条件の1つです。
Q. 何年働けば園長になれますか。
A. 保育所について、年数で園長の資格を定めた省令の条は見当たりませんでした。私立保育所の公定価格は、施設長を「児童福祉事業等に2年以上従事した者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者」としています。幼保連携型認定こども園は、第12条の各号の職に5年以上です。
Q. 主任保育士を経験しないと園長になれませんか。
A. 本記事で取得した資料に、主任保育士の経験を園長の条件とする定めはありませんでした。幼保連携型の第12条は、児童の保育に直接従事する職員の職なども5年以上の期間に数える書き方です。
Q. 園長がほかの施設と兼務してもよいですか。
A. 私立保育所の公定価格では、2以上の施設又は他の事業と兼務し、施設長として職務を行っていない者は欠員とみなされます。その場合は「施設長を配置していない場合」の調整の対象になります。
Q. 幼保連携型で、第12条の資格がない人が園長になることはありますか。
A. 施行規則 第13条は、運営上特に必要がある場合に、第12条の資格を有する者と同等の資質を有すると認めるものを、園長として任命し、又は採用することができると定めています。
迷ったらここ
園長の条件は園の種類で変わる
保育所の設備運営基準に、園長の資格を定めた条は見当たりません。私立保育所の公定価格は施設長に児童福祉事業等に2年以上の従事などを求め、幼保連携型認定こども園は施行規則が教諭の免許状・保育士登録・5年以上を定めています。
- 応募先が保育所か幼保連携型認定こども園か、私立か公立か
- 施設長は専従か、ほかの施設や事業と兼務する形か
- 自分の経験年数が、どの職の期間として数えられるか
まとめ
保育所の職員を定める設備運営基準 第33条第1項が挙げるのは保育士・嘱託医・調理員で、本記事で確認した範囲には、保育所の長の資格を定めた条は見当たりませんでした。乳児院や児童養護施設などの章には「長の資格等」の条があり、昭和53年の通知の表にも保育所は挙がっていません。
具体的な条件が書かれているのは、私立保育所の公定価格です。施設長は児童福祉事業等に2年以上従事した者又は同等以上の能力を有すると認められる者で、運営管理の業務に専従することが前提です。満たす施設長がいなければ「施設長を配置していない場合」の調整の対象になります。
幼保連携型認定こども園の園長は、施行規則 第12条が教諭の専修免許状又は一種免許状、保育士登録、決められた職に5年以上を求めています。第13条には、同等の資質を有すると認めるものを採用できる例外があります。

