病棟とクリニック、どっち|50歳以上の看護師は、診療所42.9%、病院24.0%です

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目次

30秒でわかるまとめ

  • 診療所で働く看護師は、42.9%が50歳以上です病院で働く看護師では24.0%でした。35歳未満は病院40.6%、診療所18.5%で、向きが逆になります。
  • 診療所の看護師の31.0%は、非正規雇用です病院は9.8%です。人数でも、診療所の60,342人は病院の87,511人の7割ほどにあたります。
  • 病院と診療所は、入院させる施設の規模で分かれます医療法の定義で、病院は20人以上の患者を入院させる施設を持ち、診療所は施設がないか19人以下です。
  • 病棟の夜勤には、診療報酬の基準が置かれています夜勤をする看護職員1人当たりの月平均夜勤時間数は72時間以下で、療養病棟などは除かれます。

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※病院と訪問看護ステーションの比較は訪問看護と病棟の違い、診療所の人員の決まりはクリニック看護師の人数と仕事内容で扱っています。

入院患者を回る(病棟看護師)

まず資料:比べるのは「病院」と「診療所」で働く看護師です

「病棟かクリニックか」を、そこで働いている看護師の年齢と雇用形態から見ます。使うのは厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)」の令和6年末現在の表です。年齢は第8表-1、雇用形態は第10表-1を使います。看護師が届け出る就業地を集計した表で、届出の仕組みは准看護師が働ける職場で扱っています。

先に、読み方の注意を4つ書きます。

  • 表は「病院」を、病棟と外来に分けていません。この記事の「病院」には外来などで働く看護師も入っています。
  • 表の「診療所」を、この記事ではクリニックとして読みます。表は診療所を有床と無床に分けていますが、診療科では分けていません。
  • 2つの表は2026年9月28日に訂正が出ています。本記事は訂正後の数字を使っています。
  • 対象は看護師だけです。准看護師・保健師・助産師は入れていません。

令和6年末に病院で働く看護師は895,967人、診療所は194,668人(有床26,413人、無床168,255人)です。

診察室でパソコン入力

ここが本題:50歳以上は、診療所42.9%、病院24.0%

表の5歳ごとの年齢階級を、35歳未満・35〜49歳・50歳以上の3つにまとめました(編集部試算)。35歳未満は25歳未満から30〜34まで、50歳以上は50〜54から85歳以上までの合計です。

年齢病院診療所うち有床うち無床
35歳未満40.6%18.5%18.3%18.5%
35〜49歳35.3%38.6%41.3%38.2%
50歳以上24.0%42.9%40.4%43.3%

出典:衛生行政報告例(令和6年末)第8表-1(実人員。令和8年9月28日訂正後の数字)。割合は編集部試算で、たとえば診療所の50歳以上は 83,471 ÷ 194,668 × 100 = 42.9、病院の35歳未満は 364,202 ÷ 895,967 × 100 = 40.6。四捨五入のため、病院の3つを足すと99.9になります

病院は35歳未満がいちばん多く、診療所は50歳以上がいちばん多いという、逆の並びです。50歳以上の割合は、診療所が病院の約1.8倍(42.9 ÷ 24.0、編集部試算)。35歳未満では、病院が診療所の約2.2倍(40.6 ÷ 18.5)です。35〜49歳は、病院35.3%、診療所38.6%で、差は小さくなっています。

有床と無床では、年齢の並びに大きな違いはありません。50歳以上は有床40.4%、無床43.3%で、どちらも病院より高くなっています。

パソコンを使う白衣の女性

5歳ごとに見ると:診療所は45〜49歳がいちばん多い

診療所で働く看護師を、表の14の年齢階級のまま並べます(年齢階級の区切りは表のとおり)。

年齢階級診療所の看護師割合
25歳未満2,791人1.4%
25〜29歳16,318人8.4%
30〜3416,928人8.7%
35〜3917,775人9.1%
40〜4424,973人12.8%
45〜4932,412人16.6%
50〜5430,892人15.9%
55〜5925,424人13.1%
60〜6415,757人8.1%
65〜697,780人4.0%
70〜742,741人1.4%
75〜79683人0.4%
80〜84112人0.1%
85歳以上82人0.0%

出典:衛生行政報告例(令和6年末)第8表-1(有床と無床の合計)。割合は診療所の看護師に対する編集部試算。14の階級を足すと194,668人で、診療所の人数と一致します(編集部で検算)

人数がいちばん多いのは45〜49の階級です。若い順に足していくと、半分に届くのも45〜49の階級でした(編集部試算)。25歳未満は2,791人で、診療所の看護師の1.4%です。病院の5歳ごとの並びは訪問看護と病棟の違いで扱っています。

年齢が上がるほど、診療所で働く人の割合が高くなります

向きを変えて、病院と診療所で働く看護師を合わせた人数のうち、何%が診療所かを年齢階級ごとに出しました(編集部試算)。全年齢では 194,668 ÷ 1,090,635 × 100 = 17.8%です。

年齢階級診療所病院と診療所の合計診療所の割合
25歳未満2,791人110,701人2.5%
25〜29歳16,318人162,109人10.1%
35〜3917,775人115,974人15.3%
45〜4932,412人144,848人22.4%
55〜5925,424人92,124人27.6%
65〜697,780人21,627人36.0%

出典:衛生行政報告例(令和6年末)第8表-1。たとえば25歳未満は 2,791 ÷ 110,701 × 100 = 2.5

25歳未満では、病院と診療所で働く看護師の2.5%だけが診療所です。階級が上がるたびに割合は高くなり、65〜69の階級では36.0%になります。

この表は12月31日の時点で、どこで働いていたかを数えたものです。病院から診療所へ移った人の数はわかりません。「年齢が上がるとクリニックに移る」と言える数字ではないことに注意してください。

雇用形態:非正規雇用は、診療所31.0%、病院9.8%

第10表-1は、働く場所ごとに雇用形態を分けています。非正規雇用の意味は、概況の注のとおりです。

「「非正規雇用」とは、名称にかかわらず、「正規雇用」及び「派遣」に該当しない者をいう。」

出典:令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 図1 注2(原文どおり)

働く場所看護師正規雇用非正規雇用派遣非正規雇用の割合
病院895,967人805,876人87,511人2,580人9.8%
診療所194,668人133,932人60,342人394人31.0%
うち有床26,413人20,678人5,642人93人21.4%
うち無床168,255人113,254人54,700人301人32.5%

出典:衛生行政報告例(令和6年末)第10表-1(令和8年9月28日訂正後)。割合は編集部試算で、たとえば診療所は 60,342 ÷ 194,668 × 100 = 31.0。正規雇用・非正規雇用・派遣の3つを足すと、各行の看護師の数と一致します

診療所の看護師のおよそ3割が非正規雇用で、病院の約1割と差があります。人数で見ても、診療所の非正規雇用60,342人は、病院の87,511人の7割ほどです(60,342 ÷ 87,511、編集部試算)。看護師の数では診療所は病院の2割ほどなので、非正規雇用の人の比重の違いがわかります。

診療所の中では、無床のほうが有床より非正規雇用の割合が高くなっています。正規雇用の割合を准看護師と並べた数字は准看護師が働ける職場、常勤より短い時間で働く人の手がかり(常勤換算)はクリニック看護師のパートで扱っています。非正規雇用は契約の形の区分で、働く時間の長さとは別です。

仕組みの違い①:入院させる施設があるかどうかは、医療法の定義です

ここからは、仕事の形の違いがどこで決まるかです。医療法 第1条の5は、20人以上の患者を入院させるための施設を有するものを病院、入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものを診療所と定めています。条文の全文は助産師の病院とクリニックの違いで扱っています。

出典:医療法(e-Gov法令API 法令ID 323AC0000000205)第1条の5第1項・第2項(要約)

無床の診療所は、定義の上で入院の施設を持ちません。入院患者がいないので、入院患者を夜通し看る勤務はありません。入院の施設がある診療所がどのくらいあるかはクリニックの診療科の選び方で扱っています。

入院の施設がある場合について、医療法には次の条があります。有床の診療所についての第13条です。

「患者を入院させるための施設を有する診療所の管理者は、入院患者の病状が急変した場合においても適切な治療を提供することができるよう、当該診療所の医師が速やかに診療を行う体制を確保するよう努めるとともに、他の病院又は診療所との緊密な連携を確保しておかなければならない。」

出典:医療法 第13条(原文どおり)

病院については、第16条にこうあります。

「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。」

出典:医療法 第16条 第1文(原文どおり)。ただし書で、医師が病院に隣接した場所に待機する場合など、厚生労働省令で定める場合は除かれています

入院患者がいる場所には、夜間の急変に備える決まりが法律に置かれている、という作りです。看護師の夜の人数は、医療法のこの2つの条には書かれていません。

仕組みの違い②:病棟の夜勤には、診療報酬の基準があります

病棟の看護師の夜勤の時間と人数は、病院が入院基本料を算定するための施設基準として、厚生労働省の告示に書かれています。病院の入院基本料の通則です。

「夜勤を行う看護職員(療養病棟入院基本料の届出を行っている病棟及び特別入院基本料を算定する病棟の看護職員を除く。)の一人当たりの月平均夜勤時間数が七十二時間以下であること等、看護職員及び看護補助者の労働時間が適切なものであること。」

出典:基本診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第62号。令和8年厚生労働省告示第70号による改正後、令和8年6月1日適用)第五の一(6)(原文どおり)

「急性期病院一般入院基本料、急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料(地域一般入院料3を除く。)、七対一入院基本料、十対一入院基本料又は十三対一入院基本料を算定する病棟における夜勤については、看護師一を含む二以上の数の看護職員が行うこと。」

出典:同 第五の一(7)(原文どおり)

読み取れるのは2つです。夜勤をする看護職員1人当たりの月平均夜勤時間数は72時間以下であること(療養病棟などは除く)。そして(7)に挙がった入院基本料の病棟では、夜勤は看護師1を含む2人以上で行うことです。どちらも、病院が入院基本料を届け出るための基準です。

有床の診療所の入院基本料は、組み立てが違います。

区分施設基準に書かれている看護の人数
有床診療所入院基本料1・4看護職員の数が7以上
有床診療所入院基本料2・5看護職員の数が4以上7未満
有床診療所入院基本料3・6看護職員の数が1以上4未満
夜間看護配置加算1夜間の看護職員及び看護補助者の数が、看護職員1を含む2以上
夜間看護配置加算2夜間の看護職員の数が1以上

出典:同 第六の二(1)イ〜ヘ・(5)ハ・ニ(要約。入院基本料の人数は療養病床を除く)

有床の診療所の入院基本料は、診療所全体の看護職員の数で区分されています。診療所の通則(第六の一)と入院基本料の基準には、病院の(6)(7)にあたる夜勤の時間や人数の文はなく、夜間の看護職員の数は加算の基準として出てきます。法律上の深夜業の扱いと、夜勤をする人の健康診断は看護師の夜勤がきついときで扱っています。

診療報酬の施設基準の届出は、地方厚生局が受理し、ホームページへの掲載等を含めて閲覧に供します。看護助手が病院を選ぶときに名簿をどう使うかは看護助手の病院の選び方|看護補助の加算の届出は、地方厚生局の名簿で公開されていますで扱っています。

この記事が扱っていないこと

  • 病棟だけ・外来だけの看護師の人数。表は病院を分けていないため、取得していません。
  • 平均年齢。表は5歳ごとの階級で、平均年齢の欄がないため出していません。
  • 病院から診療所へ移った人の数。表は届出の時点の就業場所だけで、移動の流れは取得していません。
  • 表の「(再掲)短時間労働者」の列。定義を書いた資料を取得していないため使っていません。
  • 実際の夜勤の回数や時間。国の統計で、病院・診療所別に取得していません。月平均夜勤時間数の計算方法を定めた通知も取得していません。
  • 給与・年収の違い。診療所はクリニック看護師の年収、看護師全体は看護師の平均年収で扱っています。

病棟とクリニックで迷ったときに確認できること

  • 有床か無床か。無床の診療所には入院患者がいません。有床なら、入院患者の夜間の看護があります。
  • 夜間の看護の人数。有床の診療所では、夜間の看護職員の数は加算の基準として出てきます。何人で夜を担当するかを確かめられます。
  • 病棟の夜勤の形。病院の病棟なら、月平均夜勤時間数(72時間以下の基準)と、夜勤の人数を確かめられます。
  • 雇用形態。診療所の看護師の31.0%、病院の9.8%が非正規雇用でした。求人が正規雇用かどうか、契約期間の定めがあるかを確かめられます。
  • 職場の年齢構成。国の統計では、診療所の看護師の42.9%が50歳以上でした。同じ世代がどのくらいいるかは、職場ごとに違います。

よくある質問

Q. 病棟とクリニックでは、働く看護師の年齢はどう違いますか。
A. 令和6年末の国の統計では、50歳以上の割合は診療所が42.9%、病院が24.0%でした。35歳未満は病院40.6%、診療所18.5%です。表は病院を病棟と外来に分けていないため、病棟だけの数字ではありません。

Q. クリニックは非正規の看護師が多いのですか。
A. 診療所で働く看護師の31.0%が非正規雇用で、病院の9.8%より高い割合です。非正規雇用は「正規雇用」と「派遣」のどちらにもあたらない人の区分で、働く時間の長さを表すものではありません。

Q. クリニックに夜勤はありますか。
A. 無床の診療所は、医療法の定義で入院の施設を持たないため、入院患者を看る夜勤はありません。有床の診療所には入院患者がいて、診療報酬では夜間の看護職員の数が加算の基準として書かれています。

Q. 病棟の夜勤の時間に決まりはありますか。
A. 病院の入院基本料の施設基準として、夜勤をする看護職員1人当たりの月平均夜勤時間数を72時間以下とする基準が告示にあります(療養病棟などは除く)。個人の夜勤の上限を直接定めた文ではありません。

Q. クリニックは病棟より楽ですか。スキルはどちらが上がりますか。
A. 本記事は判断していません。国の統計からわかるのは、働く人の年齢構成と雇用形態の違いです。仕組みの違いとしては、入院の施設の有無を医療法が、病棟の夜勤の基準を診療報酬の告示が定めています。

迷ったらここ

病棟とクリニックを数字で比べる

令和6年末の国の統計で、50歳以上の看護師は診療所で42.9%、病院で24.0%でした。非正規雇用は診療所31.0%、病院9.8%です。

  • 応募先の診療所が有床か無床か(無床なら入院患者を看る夜勤はない)
  • 夜勤の形:病棟なら月平均夜勤時間数と夜勤の人数、有床の診療所なら夜間の看護の人数
  • 雇用形態(正規雇用か、契約期間の定めがあるか)と、職場の年齢構成
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まとめ

令和6年末に働いていた看護師のうち、50歳以上の割合は診療所で42.9%、病院で24.0%でした。35歳未満は病院40.6%、診療所18.5%と、向きが逆です。年齢が上がるほど、病院と診療所で働く看護師のうち診療所の割合は高くなります。

雇用形態では、非正規雇用が診療所31.0%、病院9.8%です。ただし表は届出の時点の数字で、病院から診療所へ移った人の数はわかりません。

仕組みでは、入院の施設があるかどうかを医療法の定義が分け、病棟の夜勤の時間と人数は診療報酬の告示の施設基準に書かれています。有床の診療所では、夜間の看護職員の数は加算の基準として出てきます。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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