栄養士のSNS集客|ステマ規制の対象は広告主。自分の講座を宣伝すると、栄養士本人がその広告主です

PRこのページはプロモーションを含みます。広告に関する開示

目次

30秒でわかるまとめ

  • SNSで集客する栄養士には、2つの立場があります企業に頼まれて商品やサービスを投稿する立場と、自分の講座やサービスを宣伝する立場です。決まりの当たり方が変わります。
  • ステマ規制の対象は、依頼した事業者(広告主)です消費者庁は、依頼を受けて投稿するインフルエンサー等の第三者を規制の対象外としています。投稿は広告主の表示になり得ます。
  • 依頼された投稿は「広告」などで明瞭にすることが求められます運用基準は「広告」「PR」などの文言を例に挙げつつ、文言があっても明瞭と認められない場合があると注記しています。
  • 自分の講座を宣伝するときは、栄養士本人が事業者です景品表示法は事業者を「その他の事業を行う者」まで含めて定義しています。人に投稿を頼むときは、自分が頼む側の事業者です。

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※独立して事業を始めるときに関わる他の法律は栄養士の開業で失敗するとき、企業から仕事を受けるときの契約の決まりはフリーランス栄養士の契約の注意点で扱っています。

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まず告示:ステマ規制は、景品表示法 第5条第3号に基づく指定です

いわゆるステルスマーケティング(ステマ)の規制は、新しい法律ではありません。不当景品類及び不当表示防止法(以下、景品表示法)第5条第3号が、内閣総理大臣が指定する表示を禁じており、その指定の1つとして告示が出されました。

告示の本文は、次の1文です。

「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」

出典:一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年3月28日内閣府告示第19号)(原文どおり)

告示は前文で、景品表示法 第5条第3号の規定に基づいて指定し、「令和五年十月一日から施行する」としています。

消費者庁は、この規制のページの冒頭でこう説明しています。

「広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことがいわゆる「ステルスマーケティング」です。」

出典:消費者庁ウェブページ「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」(原文どおり)

禁じられているのは「広告をすること」ではなく、「事業者の表示なのに、それが分からないこと」です。運用基準も、事業者の表示であることが明瞭なものは告示の対象ではなく、事業者の自由な広告・宣伝活動を阻害するものではない、と書いています。

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規制されるのは事業者。依頼を受けて投稿する人は対象外です

告示の解釈は、消費者庁長官が決定した運用基準(令和5年3月28日)に書かれています。誰が規制の対象になるかについて、運用基準の注はこうです。

「告示の対象となるのは、景品表示法第2条第1項に規定する「事業者」が行う同条第4項に規定する「表示」である。したがって、事業者でない者が行う行為については、何ら告示の対象となるものではない。」

出典:消費者庁「「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準」第1(注)(原文どおり)

消費者庁のページは、もっと直接に書いています。

「企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。」

出典:消費者庁ウェブページ「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」(原文どおり)

ただし、これで話は終わりません。運用基準の同じ注は、事業者が第三者の表示で事業者の表示であることを明瞭にしなければならない結果として、「第三者の表示に対しても一定の制約が事実上課せられることとなる」と書いています(原文どおり)。

また、消費者庁の「ステルスマーケティングに関するQ&A」Q1は、例外をこう示しています。

「ただし、インフルエンサー等が、広告主と共同して商品等を供給しているという例外的な場合には、当該インフルエンサー等も規制の対象となります。」

出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」Q1(原文どおり)

依頼を受けて投稿する栄養士は、原則として規制の対象ではありません。けれども、依頼の形によってはその投稿が広告主の表示になり、表示のしかたは広告主の義務の側から決まってきます。商品を企業と一緒に作って売るような関わり方なら、例外の側に入る可能性があります。

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立場①:企業に頼まれた投稿は「事業者の表示」になります

外から見ると個人の投稿でも、事業者が中身の決定に関与していれば、事業者の表示になります。運用基準は、その例の最初にSNSを挙げています。

「事業者が第三者に対して当該第三者のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上や口コミサイト上等に自らの商品又は役務に係る表示をさせる場合。」

出典:運用基準 第2の1(2)ア(ア)(原文どおり)

明示的に「こう書いて」と頼まれていなくても、事業者の表示になることがあります。運用基準は、やり取りの内容、対価の内容と提供の理由、過去と今後の取引の続き方などを総合的に考慮して判断するとし、対価についてこう注記しています。

「金銭又は物品に限らず、その他の経済上の利益(例えば、イベント招待等のきょう応)など、対価性を有する一切のものが含まれる。」

出典:運用基準 第2の1(2)イ(注)(原文どおり)

どこからが事業者の表示かは、運用基準とQ&Aが例で示しています。

場面扱い根拠
企業から個別に投稿を頼まれ、報酬を受け取る事業者の表示に該当する可能性が高い。投稿内容の指定がなくても同じQ&A Q19
投稿を頼まれ、無償で商品を受け取り、企業の方針や内容に沿って投稿する自主的な意思によるものと認められない場合は、事業者の表示運用基準 第2の1(2)イ(ア)
無償で商品を受け取り投稿を頼まれたが、自主的な意思に基づく内容として投稿する事業者の表示に当たらない運用基準 第2の2(1)イ
依頼に応じたのではなく、気に入った商品を自分の意思で投稿する事業者の表示に当たらず、「PR」等の記載は不要Q&A Q21

出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」Q19・Q21、運用基準 第2の1(2)イ(ア)・第2の2(1)イ(表は編集部の要約)

Q19の結論部分は次のとおりです。

「本件のように、個別に投稿の依頼を受け、報酬を受領する場合は、当該投稿は「事業者の表示」に該当する可能性が高いといえます。」

出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」Q19(原文どおり)

企業のウェブサイトに、専門家として栄養士のコメントが載る場合もあります。運用基準は、事業者自身のサイトでも、依頼して書いてもらった第三者の意見を客観的な意見のように見せる場合は明瞭に表示しなければならないとし、例として「弊社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」という表示を挙げています(第3の2(2)オ(イ)、原文どおり)。

「広告」「PR」と書くのは例で、書けば足りるとは限りません

事業者の表示であることを明瞭にする方法として、運用基準は次の例を挙げています。

「「広告」、「宣伝」、「プロモーション」、「PR」といった文言による表示を行う場合。」

出典:運用基準 第3の2(1)ア(原文どおり)

すぐ後に、注が付いています。

「ただし、これらの文言を使用していたとしても、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていると認められない場合もある。」

出典:運用基準 第3の2(1)ア(注)(原文どおり)

反対に、文言以外の方法も認められています。運用基準は「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章による表示を挙げ、Q&A Q11も、これら以外の用語が禁止されているものではないと答えています。判断の軸は「どの言葉を使ったか」ではなく、「表示内容全体から、事業者の表示だと分かるか」です。

運用基準が「不明瞭な方法」として挙げている例を、SNSの投稿に関わるものを中心に並べます。

運用基準の例中身
第3の1(2)ア事業者の表示である旨について、部分的な表示しかしていない
第3の1(2)イ冒頭に「広告」と書きながら、文中で「第三者として感想を記載しています」と書く(逆も同じ)
第3の1(2)ウ動画で、認識できないほど短い時間だけ示す。長い動画で、中間や末尾にだけ示す
第3の1(2)オ・カ視認しにくい末尾の位置に置く。周囲の文字より小さく表示する
第3の1(2)ク大量のハッシュタグを付けた文章の中に、事業者の表示である旨を埋もれさせる

出典:運用基準 第3の1(2)ア〜ク(表は編集部の要約)

Q&Aも、具体的な場面に答えています。投稿の本文ではなくツリー(リプライ)にだけ「広告」と書く場合は、明瞭とはいえない場合が多い(Q14)、動画の冒頭だけの表記は見逃されるおそれがある(Q15)、としています。さらにQ20は、施行日より前の投稿でも、施行後も表示され続けていれば、明瞭になっていない場合は行政処分の対象となる可能性があると答えています。

立場②:自分の講座を宣伝するとき、栄養士本人が事業者です

次は、栄養士が自分の講座、個別相談、レシピ販売などを宣伝する場合です。景品表示法 第2条第1項は、事業者をこう定義しています。

「この法律で「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいい、当該事業を行う者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項及び第三十六条の規定の適用については、これを当該事業者とみなす。」

出典:不当景品類及び不当表示防止法(e-Gov法令API 法令ID 337AC0000000134)第2条第1項(原文どおり)

定義は「その他の事業を行う者」で終わっていて、会社であることや規模を条件にしていません。同じ条の第4項は、表示を、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容や取引条件などについて行う広告その他の表示、と定めています(同第4項)。

自分の講座を自分で売るなら、栄養士はその講座を「供給する」側です。立場①では広告主から頼まれる側だった人が、ここでは広告主の側に立ちます。

この立場で、ステマ規制がどう当たるかを分けると、次のようになります。

場面扱い根拠
自分のSNSアカウントで、自分の講座を宣伝する事業者の表示であることが社会通念上明らかなものとして、告示の対象とならない例に挙がっている運用基準 第3の2(2)カ
受講生や知人の栄養士に頼んで、講座の感想を投稿してもらう自分が中身の決定に関与していれば、自分(事業者)の表示。明瞭にしなければ告示に違反する側に立つ運用基準 第2の1(2)、Q&A Q5・Q6
アンケートの回答を「お客様の声」として自分のサイトに載せる無作為に選んでそのまま引用すれば当たらない。好意的なものだけを選ぶ、良い点だけを抜き出すと事業者の表示運用基準 第2の2(1)キ、Q&A Q10
依頼した人の投稿を「お客様の声」として載せる適当ではない。依頼した投稿であることが明瞭になる形で載せる必要があるQ&A Q16

出典:運用基準 第2の1(2)・第2の2(1)キ・第3の2(2)カ、消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」Q5・Q6・Q10・Q16(表は編集部の要約)

1行目の根拠は、運用基準の次の1文です。

「事業者自身のSNSのアカウントを通じた表示を行う場合。」

出典:運用基準 第3の2(2)カ(原文どおり)

自分のアカウントでの宣伝は、それ自体がステマになる形ではありません。気をつけるのは、他人の口を借りるときです。Q&A Q6は、口コミ投稿に「星5」を付けることを割引の条件にする場合は、事業者が投稿の内容を決定しているといえるため、事業者の表示に当たると答えています。

違反したとき:措置命令の対象。課徴金の対象からは外れています

ステマ規制に違反した場合について、Q&A Q2は、消費者庁が事業者に対して「措置命令」(行政処分)を行うと答えています。違反の事実が認められない場合でも、違反のおそれのある行為には「指導」(行政指導)を行う、としています。措置命令は都道府県知事も行います(表示に関するQ&A Q8)。

課徴金については、景品表示法 第8条第1項の書き出しに、ステマの号が外されていることが書かれています。

「事業者が、第五条の規定に違反する行為(同条第三号に該当する表示に係るものを除く。以下「課徴金対象行為」という。)をしたときは」

出典:不当景品類及び不当表示防止法 第8条第1項(冒頭部分を原文どおり。以下省略)

Q&A Q2も、ステマ告示の違反は課徴金納付命令の対象にはならないとしたうえで、違反の内容に第5条のほかの号に当たる表示が含まれる場合は対象となることがある、と書いています。措置命令と課徴金の仕組みそのものは、栄養士の開業で失敗するときで扱っています。

ステマ規制のほかにかかる線は、内容の側にあります

ステマ規制が問うのは「誰の表示か分かるか」です。表示の中身については、別の決まりがかかります。自分の講座やサービスの宣伝には景品表示法 第5条の第1号・第2号が、食品の広告には健康増進法 第65条が、医薬品等の広告には医薬品医療機器等法がかかります。中身は栄養士の開業で失敗するときで扱っています。

運用基準も、告示の対象となる事業者の表示に、第5条のほかの号に基づく告示に当たる表示がある場合には、それらの表示が第5条違反とされる、と書いています(第2)。「PR」と書いたことで、中身の誤りが帳消しになるわけではありません。

この記事が扱っていないこと

  • フォロワーを増やす方法や、集客の効果。一次資料がないため扱っていません。
  • 個別の投稿が告示に違反するかどうかの判断。運用基準は実態を踏まえて総合的に考慮し判断するとしており、本記事は当てはめをしていません。
  • 消費者庁の「事例で分かるステルスマーケティング告示ガイドブック」と、ステルスマーケティングに関する検討会の報告書。本記事は取得していません。
  • 景品表示法 第5条第1号・第2号、健康増進法、医薬品医療機器等法の中身。開業の記事で扱っています。
  • SNS各社の利用規約や、業界団体の自主ルール。一次資料の範囲外のため扱っていません。
  • 投稿の依頼を受けるときの契約の決まりや、報酬の税の扱い。それぞれ別の記事で扱っています。

PR投稿の依頼を受けるときに確認できること

  • 依頼の形は何か。個別の依頼と報酬があるなら、事業者の表示に該当する可能性が高いとされています(Q&A Q19)。
  • 投稿のどこに、どう示すか。本文の中で、小さくせず、ハッシュタグに埋もれさせない形かを、依頼元とすり合わせられます。
  • 動画なら、どの時点で示すか。冒頭だけでは見逃されるおそれがあるとされています(Q&A Q15)。
  • 過去の依頼投稿が残っていないか。施行日より前の投稿も、表示され続けていれば対象になり得ます(Q&A Q20)。
  • 自分の講座の感想を人に頼んでいないか。頼み方によっては、その投稿が自分(事業者)の表示になります。

よくある質問

Q. 企業に頼まれた投稿で「PR」を書き忘れたら、栄養士が処分されますか。
A. 消費者庁は、依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象ではなく、規制の対象は広告主だとしています。ただし、広告主と共同して商品等を供給している例外的な場合は対象になります(Q&A Q1)。

Q. 「PR」と書けば問題ありませんか。
A. 運用基準は「広告」「PR」などの文言を例に挙げていますが、文言を使っていても表示内容全体から明瞭と認められない場合もある、と注記しています。中身については、景品表示法の他の号や健康増進法などが別にかかります。

Q. 自分のアカウントで自分の講座を宣伝するときも、「広告」と書く必要がありますか。
A. 運用基準は、事業者自身のSNSのアカウントを通じた表示を、告示の対象とならない例に挙げています(第3の2(2)カ)。人に頼んで投稿してもらう場合や、お客様の声を選んで載せる場合は別です。

Q. 商品を無償でもらって投稿するときも、「PR」と書く必要がありますか。
A. 運用基準は、無償提供と投稿の依頼があっても、自主的な意思に基づく内容として投稿する場合は事業者の表示に当たらないとしています。ただし、方針や内容に沿った投稿を求められるなど、自主的と認められない場合は事業者の表示になります。

Q. 違反するとどうなりますか。
A. Q&A Q2は、消費者庁が広告主に措置命令を行うとしています。景品表示法 第8条第1項は課徴金の対象から第5条第3号に当たる表示を除いています。

迷ったらここ

SNSのPR投稿は広告と分かる形で

ステマ規制(令和5年10月1日施行)の対象は広告主で、依頼を受けて投稿する人は対象外とされています。ただし依頼の形によっては投稿が広告主の表示になり、「広告」「PR」などで明瞭にすることが求められます。

  • 企業からの投稿の依頼に、報酬や商品の提供が伴うか
  • 「広告」「PR」などの表示を、投稿の本文の中で分かる形で入れられるか
  • 自分の講座の感想を人に頼むとき、頼んだ投稿だと分かる形になっているか
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まとめ

ステマ規制は、景品表示法 第5条第3号に基づく告示(令和5年内閣府告示第19号)で、令和5年10月1日に施行されました。対象は、事業者の表示なのに、それが分からない表示です。

企業から頼まれて投稿する栄養士は、消費者庁の説明では規制の対象ではありません。ただし依頼の形によっては、その投稿は広告主の表示になり、「広告」「PR」などで明瞭にすることが広告主に求められます。文言を書けば足りるとは限らない、と運用基準は注記しています。

自分の講座やサービスを宣伝するときは、栄養士本人が「その他の事業を行う者」として事業者になります(第2条第1項)。自分のアカウントでの宣伝は告示の対象外の例に挙がっていますが、人に投稿を頼むときは、自分が頼む側の事業者になります。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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