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30秒でわかるまとめ
- 看護師の職場になる診療所は、主な科の48.7%が内科です2つ以上の科を掲げる診療所は主な1科、1科だけの診療所はその科で数えた編集部試算です。
- 掲げている科は、1施設あたり平均2.34科です科を重ねて数えた合計は245,974で、一般診療所104,894施設の2倍を超えます。
- 入院設備のある診療所は5.4%で、科によって差がありました主な科が産婦人科の診療所では50.3%が有床で、内科は3.5%、皮膚科は0.3%でした。
- 看護師の人数を診療科目別に出した表は見当たりません公表された表の一覧を確かめましたが、従事者数は職種別や病床の有無別までで、科目別はありませんでした。
※診療所の看護師の人数の基準はクリニック看護師の人数と仕事内容、有床・無床の診療所で働く看護師の数はクリニック看護師のパートで扱っています。

先に資料:診療科目がわかるのは、3年に1度の静態調査です
診療所がどの科を掲げているかを国の統計で見るときに使えるのは、厚生労働省の医療施設調査です。3年ごとにすべての施設を調べる静態調査と、開設・廃止などの届出をもとに毎月集計する動態調査があります。
2026年10月20日時点で、結果が出ている最新の静態調査は令和5年(2023年10月1日現在)です。令和8年の静態調査は、厚生労働省が協力を呼びかけている段階です。
動態調査は令和7年の結果が2026年9月29日に公表されていますが、その概況の表には次の注があります。
「一般診療所の数値は静態調査年のみ把握している。」
出典:厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」表6の注1(原文どおり)
診療所の診療科目別の数は、令和5年の静態調査が最新です。本記事の数字はすべて令和5年のものです。なお、この調査の診療所には、往診のみの診療所も含まれます(調査の概要 1(4))。

掲げられる診療科名は、政令が決めています
診療所の看板や案内に出す「○○科」は、医療法では広告できる事項の1つです(第6条の5第3項第2号)。どんな名前を使えるかは、医療法 第6条の6第1項が定めています。
「前条第三項第二号の規定による診療科名は、医業及び歯科医業につき政令で定める診療科名並びに当該診療科名以外の診療科名であつて当該診療に従事する医師又は歯科医師が厚生労働大臣の許可を受けたものとする。」
出典:医療法(e-Gov法令API 法令ID 323AC0000000205)第6条の6第1項(原文どおり)
この政令が医療法施行令 第3条の2で、医業の診療科名は次の組み立てです。
| 号・細目 | 診療科名 |
|---|---|
| 第1項第1号イ・ロ | 内科、外科 |
| 同号ハ | 内科又は外科と、部位・器官(消化器、循環器など)、患者の性別や年齢を示す名称、医学的処置の分野、疾病や病態などを組み合わせた名称 |
| 同号ニ(1) | 次の14の診療科名 |
| 同号ニ(2) | ニ(1)の診療科名と、ハの事項を組み合わせた名称 |
出典:医療法施行令(e-Gov法令API 法令ID 323CO0000000326)第3条の2第1項第1号
「精神科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、放射線科、病理診断科、臨床検査科又は救急科」
出典:医療法施行令 第3条の2第1項第1号ニ(1)(原文どおり)
同条第2項で、産婦人科は「産科又は婦人科」に、放射線科は「放射線診断科又は放射線治療科」に代えることができます。政令にない名前で大臣の許可を受けた診療科名を広告するときは、許可を受けた医師の氏名も併せて広告する決まりです(医療法 第6条の6第4項)。

ここが本題①:看板に掲げる科は、内科が61.7%です
静態調査は、診療所が掲げている(標ぼうしている)診療科目を、科ごとに重ねて数えています。1つの診療所が内科と小児科を掲げていれば、両方に1ずつ入ります。
| 掲げている科 | 施設数 | 一般診療所に対する割合 |
|---|---|---|
| 内科 | 64,747 | 61.7% |
| 小児科 | 17,778 | 16.9% |
| 消化器内科(胃腸内科) | 17,028 | 16.2% |
| 皮膚科 | 13,185 | 12.6% |
| 循環器内科 | 12,585 | 12.0% |
| 整形外科 | 12,298 | 11.7% |
| 外科 | 11,773 | 11.2% |
| リハビリテーション科 | 10,958 | 10.4% |
| 眼科 | 8,222 | 7.8% |
| アレルギー科 | 7,917 | 7.5% |
出典:厚生労働省「令和5年医療施設調査」全国編 第142表(一般診療所数(重複計上),開設者・診療科目・病床の有無別)。割合は概況 表6と一致
表の43の科目を足すと245,974になり、一般診療所104,894施設を大きく超えます。1つの診療所が平均して2科以上を掲げているためです。
編集部試算:245,974 ÷ 104,894 ≒ 2.34(科/施設)。入院設備のある有床の診療所は16,749 ÷ 5,641 ≒ 2.97、ない無床の診療所は229,225 ÷ 99,253 ≒ 2.31でした。
ここが本題②:主な科で1つに数えると、内科が48.7%です
重ねて数えた表では、診療所の「中心の科」がわかりません。静態調査には、1施設を1つの科に寄せた表が2つあります。1つは2つ以上の科を掲げる診療所の主たる診療科目で、表の注は次のとおりです。
「主たる診療科目とは二つ以上の科を標ぼうしている診療所について、そのうち主な一科である。」
出典:厚生労働省「令和5年医療施設調査」全国編 第143表 注(原文どおり)
もう1つは、1施設1診療科のみの単科の診療所の表(第144表)です。単科の診療所は39,206施設で、一般診療所の37.4%でした。2つの表を足すと、すべての診療所をちょうど1回ずつ数えられます。
| 主な科 | 2科以上の診療所(主たる科) | 単科の診療所 | 計 | 割合 | 計のうち単科 |
|---|---|---|---|---|---|
| 内科 | 34,780 | 16,294 | 51,074 | 48.7% | 31.9% |
| 整形外科 | 6,072 | 1,240 | 7,312 | 7.0% | 17.0% |
| 眼科 | 343 | 6,885 | 7,228 | 6.9% | 95.3% |
| 皮膚科 | 2,214 | 3,454 | 5,668 | 5.4% | 60.9% |
| 小児科 | 3,006 | 2,307 | 5,313 | 5.1% | 43.4% |
| 耳鼻いんこう科 | 1,653 | 3,118 | 4,771 | 4.5% | 65.4% |
| 精神科 | 3,181 | 667 | 3,848 | 3.7% | 17.3% |
| 消化器内科(胃腸内科) | 2,385 | 186 | 2,571 | 2.5% | 7.2% |
| 産婦人科 | 724 | 1,743 | 2,467 | 2.4% | 70.7% |
| 泌尿器科 | 1,149 | 685 | 1,834 | 1.7% | 37.4% |
出典:同 第143表・第144表から編集部算出。割合は一般診療所104,894施設に対する比率
編集部試算:内科 34,780 + 16,294 = 51,074、51,074 ÷ 104,894 × 100 ≒ 48.7%
主な科で数えても、内科がほぼ半分です。2番目以降は整形外科・眼科・皮膚科・小児科が5〜7%台で並びます。眼科は95.3%が単科で、眼科だけを掲げる診療所が大半でした。
小児科を掲げる診療所の70.1%は、主な科が別です
主な科は、その診療所が掲げている科の中から決まります。そこで「掲げている施設数」から「主な科の施設数」を引くと、その科を掲げているが、主な科は別という診療所の数になります。
| 科 | 掲げている | 主な科 | 差(主な科は別) | 掲げている施設に対する割合 |
|---|---|---|---|---|
| 小児科 | 17,778 | 5,313 | 12,465 | 70.1% |
| 消化器内科(胃腸内科) | 17,028 | 2,571 | 14,457 | 84.9% |
| 循環器内科 | 12,585 | 1,744 | 10,841 | 86.1% |
| 皮膚科 | 13,185 | 5,668 | 7,517 | 57.0% |
| 外科 | 11,773 | 1,825 | 9,948 | 84.5% |
| 眼科 | 8,222 | 7,228 | 994 | 12.1% |
出典:同 第142表〜第144表から編集部算出
看板に小児科があっても、7割は主な科が別の診療所です。反対に眼科は、掲げている診療所の多くが眼科を主な科にしています。求人の「診療科目」の欄に並ぶ科名だけでは、ふだんの患者の中心がどの科かはわかりません。
入院設備がある診療所は5.4%。主な科で割合が大きく違います
一般診療所104,894施設のうち、入院のための病床がある有床の診療所は5,641施設(5.4%)でした。主な科ごとに、有床の割合を出すと次のとおりです。
| 主な科 | 計 | うち有床 | 有床の割合 | 9月30日の在院患者数 |
|---|---|---|---|---|
| 内科 | 51,074 | 1,797 | 3.5% | 8,798人 |
| 整形外科 | 7,312 | 571 | 7.8% | 4,275人 |
| 眼科 | 7,228 | 552 | 7.6% | 221人 |
| 皮膚科 | 5,668 | 19 | 0.3% | 22人 |
| 小児科 | 5,313 | 49 | 0.9% | 64人 |
| 産婦人科 | 2,467 | 1,241 | 50.3% | 5,695人 |
| 外科 | 1,825 | 244 | 13.4% | 1,304人 |
| 産科 | 150 | 124 | 82.7% | 812人 |
出典:同 第143表・第144表(有床)、第146表・第147表(在院患者数。令和5年9月30日現在)から編集部算出
- 主な科が産婦人科の診療所は50.3%が有床で、産科は施設数が少ないものの82.7%でした。
- 有床の診療所5,641施設のうち、主な科が内科は31.9%、産婦人科は22.0%です。
- 診療所の在院患者25,269人のうち、主な科が内科の診療所に34.8%、産婦人科に22.5%、整形外科に16.9%がいました。
- 皮膚科・小児科・精神科(0.6%)は、有床が1%に届きません。
入院患者がいる診療所かどうかは、主な科によって見込みがかなり違います。有床か無床かで働く看護師の数がどう違うかは、クリニック看護師のパートで扱っています。
外来の患者数も、主な科で違います
静態調査は、令和5年9月中の外来患者延数も主な科ごとに出しています。1施設あたりにならすと次のとおりです。
| 主な科 | 9月中の外来患者延数 | 1施設あたり(編集部試算) |
|---|---|---|
| 内科 | 30,769,817人 | 602人 |
| 整形外科 | 15,676,316人 | 2,144人 |
| 眼科 | 7,508,592人 | 1,039人 |
| 皮膚科 | 7,131,065人 | 1,258人 |
| 小児科 | 5,486,598人 | 1,033人 |
| 耳鼻いんこう科 | 5,973,921人 | 1,252人 |
| 精神科 | 2,878,962人 | 748人 |
| 産婦人科 | 2,454,559人 | 995人 |
出典:同 第146表・第147表(外来患者延数)と第143表・第144表(施設数)から編集部算出(1人未満を四捨五入)
編集部試算:整形外科 15,676,316 ÷ 7,312 ≒ 2,144人、内科 30,769,817 ÷ 51,074 ≒ 602人
外来患者延数は、新来・再来・往診などの区別なく、すべてを合計した延べの数です。同じ患者が2つ以上の診療科で受診し、それぞれの科で診療録が作られた場合は、それぞれの科の外来患者になります(調査の概要 4(12))。平均には、往診のみの診療所や患者の少ない診療所も入っています。1施設の看護師が何人の患者を受け持つかは、科目別の看護師の数がないため、この表からは出せません。
3年でどう変わったか:皮膚科・美容外科が増え、小児科が減りました
| 掲げている科 | 令和2年 | 令和5年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 皮膚科 | 12,410 | 13,185 | 775増 |
| 美容外科 | 1,404 | 2,016 | 612増(43.6%増) |
| 内科 | 64,143 | 64,747 | 604増 |
| 精神科 | 7,223 | 7,761 | 538増 |
| 小児科 | 18,798 | 17,778 | 1,020減(5.4%減) |
| 消化器内科(胃腸内科) | 17,731 | 17,028 | 703減 |
| 外科 | 12,405 | 11,773 | 632減 |
出典:同 全国編 第45表(一般診療所数(重複計上),年次・診療科目別)、概況 表6
一般診療所の総数は、同じ3年で102,612から104,894に増えています。その中で、小児科を掲げる診療所は減りました。平成20年(2008年)の22,503から見ると、令和5年の17,778まで減っています。
看護師の人数は、診療科目別には公表されていません
令和5年の静態調査の統計表は、e-Statに全国編191表、都道府県編129表、二次医療圏・市区町村編37表が載っています。表題を確かめると、一般診療所について診療科目で分けているのは施設数と患者数の表で、従事者数の表は、年次・職種・開設者・病床の有無・都道府県・二次医療圏などで分けたものでした。
「皮膚科のクリニックには看護師が何人いるか」は、国の統計の表からは出せません。科目ごとの看護師の数や、看護師1人あたりの患者数を比べた数字は、本記事では書いていません。
この記事が扱っていないこと
- 診療科目別の看護師・准看護師の人数。公表された表に見当たらず、取得していません。
- 令和6年以降の診療科目別の数。動態調査では一般診療所の診療科目を把握しておらず、令和8年の静態調査は結果が出ていません。
- 科ごとの忙しさ、残業、夜勤の有無。統計にない項目で、取得していません。
- 診療科ごとの給与。取得していません。クリニックの給与はクリニック看護師の年収で扱っています。
- 有給休暇の取り方と、ブランクからの復職。クリニック看護師は有給を取れるかとクリニック看護師のブランクで扱っています。
- 民間の調査や求人サイトの数字。一次資料ではないため使っていません。
看護師がクリニックの診療科を選ぶときに確認できること
- 掲げている科のうち、主な科はどれか。診療所は平均2.34科を掲げ、小児科を掲げる診療所の70.1%は主な科が別でした。
- 有床か無床か。有床は5.4%ですが、主な科が産婦人科なら50.3%です。入院患者がいる時間帯の看護の体制も確かめます。
- 1日の外来の患者数と、看護師の人数。1施設あたりの外来は、表の8つの科で月602人から2,144人まで違い、看護師の数は科目別の統計がありません。
- 単科か、複数の科か。眼科は95.3%が単科、内科は31.9%でした。複数の科なら、担当する科の範囲を確かめます。
- 人数の基準があるかどうか。診療所の看護師の人数の基準はクリニック看護師の人数と仕事内容で扱っています。
よくある質問
Q. クリニックでいちばん多い診療科は何ですか。
A. 内科です。令和5年の医療施設調査で、内科を掲げる一般診療所は64,747施設(61.7%)、主な科を1つに数えると51,074施設(48.7%、編集部試算)でした。
Q. 看護師に向いている診療科はどこですか。
A. 統計からは決められません。言えるのは、主な科によって有床の割合(産婦人科50.3%、内科3.5%など)や1施設あたりの外来患者延数が違うことまでです。働き方は、有床か無床か、外来の患者数、看護師の人数を求人や見学で確かめてください。
Q. 入院設備のあるクリニックはどのくらいありますか。
A. 令和5年10月1日現在で5,641施設、一般診療所の5.4%です。主な科で見ると、産婦人科は50.3%、外科は13.4%、皮膚科は0.3%でした。
Q. 診療科ごとの看護師の人数はわかりますか。
A. 公表されている統計表の一覧を確かめた範囲では、一般診療所の従事者数を診療科目別に出した表はありませんでした。
Q. もっと新しい数字はありますか。
A. 診療科目別の数は令和5年が最新です。令和7年の動態調査の概況には「一般診療所の数値は静態調査年のみ把握している」と注があり、令和8年の静態調査は結果がまだ出ていません。
迷ったらここ
診療科は主な科と有床かで見る
一般診療所を主な科で1つに数えると、内科が48.7%です。入院設備のある有床の診療所は5.4%ですが、主な科が産婦人科なら50.3%と、科によって違います。
- 掲げている科のうち、主な科はどれか
- 有床か無床か、入院患者がいる時間帯の看護の体制
- 1日の外来の患者数と、看護師の人数
まとめ
- 診療所の診療科目の数は、3年に1度の静態調査(令和5年が最新)でしかわからない
- 掲げている科は内科が61.7%で、1施設あたり平均2.34科を掲げている
- 主な科で1つに数えると内科が48.7%、次いで整形外科・眼科・皮膚科・小児科(編集部試算)
- 有床は5.4%だが、主な科が産婦人科の診療所では50.3%と、科によって大きく違う
- 看護師の人数を診療科目別に出した表は見当たらない
統計から言えるのは、科ごとの数と、入院設備・外来患者数の違いまでです。求人を見るときは、掲げている科名の並びより先に、主な科、有床か無床か、外来の患者数と看護師の人数を確かめてください。

