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30秒でわかるまとめ
- 管理栄養士が行う特定保健指導は、遠隔でも行えます国の手引きは、情報通信技術を使った初回面接と継続的な支援を「遠隔面接等」と呼び、要件を定めています。
- 指導者が自宅等で行う場合の留意事項も書かれています国のプログラムは、自宅等勤務先以外で遠隔面接を行う場合も、同じ事項に留意しなければならないとしています。
- 遠隔の初回面接も、最低の面接時間は対面と同じです国のQ&A集は、接続や本人確認に要する時間は面接時間に数えられないとしています。
- 在宅で働けるかは、委託先の実施体制によります手引きは実施者の場所を名指ししていません。本人確認や情報管理の要件を満たす体制かどうかが分かれ目です。
※特定保健指導の制度の骨格と実施者の職種は特定保健指導とは、栄養士が支援を担うための研修は特定保健指導の研修で扱っています。

まず前提:遠隔の扱いは、告示ではなく手引きとプログラムに書かれています
特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(平成19年厚生労働省令第157号。以下「実施基準」)は、動機付け支援と積極的支援を、どちらも「厚生労働大臣が定める方法により行う保健指導」と定めています(第7条第1項・第8条第1項)。行動計画は、医師、保健師又は管理栄養士の面接による指導の下に策定します(条文の中身は特定保健指導とはで扱っています)。
その「方法」を定めた平成25年厚生労働省告示第91号(以下「実施方法告示」)は、面接の時間や支援のポイントを書いていますが、告示の本文に「情報通信」という語は出てきません。遠隔の扱いを示しているのは、厚生労働省の通知です。
「第4期からは、情報通信技術を活用した特定保健指導を実施する際の留意事項についても、この手引き及びプログラムに含めることとし、内容も更新しましたので、お知らせします。」
出典:厚生労働省 通知「情報通信技術を活用した特定保健指導の実施について」(令和5年3月31日 健発0331第5号・保発0331第7号)(原文どおり)
「この手引き及びプログラム」は、「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第4版)」(最新版は2026年3月の第4.3版)と「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」です。同じ通知は、遠隔の特定保健指導が平成25年8月から実施されていること、それまでの「特定保健指導における情報通信技術を活用した指導の実施の手引き」を令和6年3月31日をもって廃止したことも書いています。

手引きの呼び方:初回面接は「遠隔面接」、継続的な支援は「遠隔支援」
手引き(第4.3版)の2-10は、情報通信技術を活用した初回面接を「遠隔面接」、継続的な支援を「遠隔支援」と呼び、2つを合わせて「遠隔面接等」としています。そのうえで、誰が環境を整えるかを次のように書いています。
「遠隔面接等の実施のための環境の整備は、保険者が行う。その際、保険者は、事業主、市町村等の関係者の協力を求めることができる。また、遠隔面接等の実施を外部事業者に委託できる。遠隔面接等の実施に当たっては、対面で行う場合と同程度の質が確保されるよう、以下のとおり、必要な環境・体制を整備する必要がある。」
出典:特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第4.3版)2-10-1 環境整備・実施体制(原文どおり。冒頭の定義の部分は省略)
環境を整えるのは保険者で、実施は外部事業者に委託できます。求められている水準は「対面で行う場合と同程度の質」です。

遠隔で行うための要件:体制・機器・資料・本人確認・他のサービス
手引きは、遠隔面接等に必要な環境・体制を5つに分けています。
| 項目 | 手引きが求めていること(要約) |
|---|---|
| ①実施体制 | 実施者は、機器の使用方法や対象者との意思疎通について、十分な技量を有すること |
| ②機器・通信環境 | 相互に表情、声、しぐさ等を確認できること/映像と音声の送受信が常時、安定し、かつ円滑であること/対象者が複雑な操作をしなくても利用できること/情報セキュリティが確保されること |
| ③資料・教材・器具等 | 対面で行う場合と同一の内容の資料を共有するなどして、行動目標・行動計画の策定支援、体重・腹囲の測定方法の指導等を行う。面接等の結果等は事後速やかに対象者と共有する |
| ④本人確認 | 実施者が対象者の本人確認を的確に行う(下の原文) |
| ⑤他のサービス | 遠隔診療等他のサービスが同じ環境で行われることがある。遠隔面接等の始期と終期を対象者に明示する |
出典:手引き(第4.3版)2-10-1 ①〜⑤
「実施者は対象者の本人確認を的確に行う。遠隔面接等を実施する際に補助者が行う方法も考えられる。本人確認の方法として、遠隔面接等の実施者の氏名及び所属を示す書類等を提示する、対象者の氏名、生年月日及び被保険者等記号・番号等を照合する方法が挙げられる。」
出典:手引き(第4.3版)2-10-1 ④本人確認(原文どおり)
続く2-10-2〜2-10-4は、情報の扱いと費用を定めています。
- 個人情報:「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚生労働省)に準拠した情報管理などを行い、録音、録画、撮影を同意なしに行わない。
- 費用:対象者が機器等を購入することがないように対応し、対象者本人に通信費が発生する場合は事前に説明する。
- 結果の共有:遠隔面接の結果等を対象者と共有することは、初回面接の一部で、継続的な支援にはあたらない。
出典:手引き(第4.3版)2-10-2〜2-10-4
ここが本題:指導する側の場所について、国の資料が書いていること
実施者がどこから遠隔面接を行うかについて、手引きが書いているのは①実施体制の次の部分です。
「実施者は、機器を円滑に使用できるようにしておくなど、機器の使用方法や対象者との意思疎通について、十分な技量を有することが求められる。また、実施に当たっては、特定保健指導の実施機関や事業所の施設等を利用するなど、機器の的確な利用や通信環境が確保された実施体制が求められる。利用者の利便性確保の観点から、特定保健指導の対象者の利用環境や働き方に合わせて遠隔面接等を受けることは可能である。」
出典:手引き(第4.3版)2-10-1 ①実施体制(原文どおり)
手引きが例に挙げるのは「特定保健指導の実施機関や事業所の施設等」で、後ろに「など」が付きます。手引きは、実施者の場所そのものを定めていません。自宅を名指しで認める文も、禁じる文もありません。実施者の自宅に触れているのは、もう一方の「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」です。
「遠隔面接を実施する際に、保健指導実施者が留意すべき事項について、下記に示す。なお、保健指導実施者が、自宅等勤務先以外で遠隔面接を行う場合も、これらの事項に留意しなければならない。」
出典:標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)第3編第3章 3-3(1)遠隔面接による保健指導の留意点(原文どおり)
プログラムは、指導者が自宅等で遠隔面接を行う場合を想定して、同じ留意事項を求めています。「これらの事項」の主なものは次のとおりです。
| 区分 | 保健指導実施者が留意すること(要約) |
|---|---|
| 実施体制 | 個人情報の保護が可能であり、通信環境の整った面接室と機器を確保する |
| 実施体制 | 面接室の確保が困難な場合は、カメラに映る背景をバーチャル背景に変える等の配慮を行い、対象者の音声が漏れないようヘッドセット等を準備する。保健指導実施中は、保健指導実施者のカメラはオンにしておくことが望ましい |
| 機器・通信環境 | ビデオ通話接続のための ID とパスワードは、保健指導ごとに毎回作成する |
| 機器・通信環境 | 対象者に、公共の無料 Wi-Fi は不正アクセスのリスクがあるため避けるよう伝える |
出典:標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)第3編第3章 3-3(1)①②
外部に委託する場合の基準を定めた平成25年厚生労働省告示第92号(以下「委託基準告示」)も、場所と情報管理について書いています。
「個別支援を行う場合は、特定保健指導の対象者のプライバシーが十分に保護される場所で行われること。」
出典:委託基準告示 第2の3(4)(原文どおり)
同じ告示の第2の4(6)は、インターネットを利用した支援を行う場合に、医療情報の安全管理を徹底し、適切な暗号化、通信の起点及び終点の識別のための認証並びにリモートログイン制限機能により安全管理を行うことなどを求めています(出典:委託基準告示 第2の4(6)ア)。保険者が自ら行う場合の基準(平成25年厚生労働省告示第93号)にも、同じ文があります。
なお、病院や診療所で行う栄養食事指導を情報通信機器で行う場合は、診療報酬の決まりで、特定保健指導とは制度が違います(栄養指導のやり方で扱っています)。
第4期で変わったこと:遠隔も対面と同じ水準で数えます
手引きの冒頭は、第4期(2024年度以降)の変更点を次のように書いています。
「プロセス評価は、介入方法により個別支援(ICT含む)、グループ支援(ICT含む)、電話、電子メール等とし、時間に比例したポイント設定ではなく、介入1回ごとの評価とした。支援Aと支援Bの区別は廃止した。また、ICTを活用した場合も同水準の評価とした。」
出典:手引き(第4.3版)第四期(2024年度以降)における変更点(原文どおり)
実施方法告示が定める継続的な支援のポイントは次のとおりで、手引きの図表12は、個別支援とグループ支援に「情報通信技術を活用した支援を含む」と注を付けています。
| 支援の形 | 1回当たり | 条件 |
|---|---|---|
| 個別支援(遠隔を含む) | 70ポイント | 10分間以上 |
| グループ支援(遠隔を含む。おおむね8人以下) | 70ポイント | 40分間以上 |
| 電話支援 | 30ポイント | 5分間以上 |
| 電子メール支援 | 30ポイント | 1往復を1回とする |
出典:実施方法告示 第2の2(12)、手引き(第4.3版)図表12。積極的支援の継続的な支援は、合計で180ポイント以上が最低条件です(同告示 第2の2(9))
初回面接の時間は、実施方法告示が1人当たり20分以上の個別支援又は1グループ(おおむね8人以下)当たりおおむね80分以上のグループ支援としています(第1の2(3)キ。積極的支援は第2の2(8)で同じ事項による)。遠隔で行う場合について、厚生労働省のQ&A集は次のように答えています。
「同じ。なお、ICTを活用して遠隔で実施する場合、情報通信機器の接続に要する時間や本人確認に要する時間は面接時間にはカウントできない。」
出典:特定健康診査・特定保健指導に関するQ&A集(令和6年10月25日)2.問1(原文どおり。問は「ICTを活用して遠隔で初回面接を行う場合、最低面接時間は対面で実施する場合と同じか。」)
問2も、遠隔で個別支援を行う場合のポイントは「同じ」と答えています。廃止された旧手引きと比べると、遠隔に関わる書き方は次のように変わりました。
| 項目 | 旧手引き(最終改正 令和3年2月1日) | 第4期(手引き第4.3版・Q&A集) |
|---|---|---|
| 遠隔の初回面接の時間 | 個別支援はおおむね30分以上、グループ支援はおおむね90分以上 | 最低面接時間は対面と同じ |
| 対象者が受ける場所 | 対象者が自らの家庭で遠隔面接等を受けることは可能 | 対象者の利用環境や働き方に合わせて遠隔面接等を受けることは可能 |
| 本人確認を行う者 | 保険者は、遠隔面接等の実施者及び対象者の本人確認を的確に行う | 実施者は対象者の本人確認を的確に行う |
| 対象者の通信費 | 記載なし | 通信費が発生する場合は事前に説明する |
出典:特定保健指導における情報通信技術を活用した指導の実施の手引き(最終改正 令和3年2月1日)第1の2・第2、手引き(第4.3版)2-10-1・2-10-3、Q&A集 2.問1
アウトカム評価と遠隔:体重・腹囲は「客観性を担保して」確かめます
第4期は、実績評価にアウトカム評価を導入し、主要達成目標を腹囲2cm・体重2kg減としました(出典:手引き(第4.3版)第四期における変更点)。遠隔で指導する場合、体重と腹囲を誰がどう測るかが問題になります。Q&A集の問10は、次のように答えています。
「実績評価時の体重や腹囲の評価にあたっては、保健指導実施者による測定や、ICTの活用等により、客観性を担保して実施することが基本となる。対象者個別の事情において、実施者による測定が困難である場合は、初回面接において説明した体重及び腹囲の計測方法に基づき対象者が測定していることを確認する、測定画面を実施者と対象者で共有する等の方法を用いて、可能な限り客観性が担保されるよう、実施機関・保険者において適切に実施すること。」
出典:Q&A集 2.問10(原文どおり)
記録の面では、手引きの様式例「特定保健指導支援計画及び実施報告書」(図表14)が、支援形態を「個別支援(対面)」「個別支援(遠隔)」「グループ支援(対面)」「グループ支援(遠隔)」に分けています。遠隔で行った支援は、対面と区別して記録する作りです。
「在宅で働けるか」を分けるのは、委託先の実施体制です
国の資料は、遠隔で行う道を開き、自宅等で行う指導者の留意事項まで書いています。体制を整えるのは保険者で、実施は外部事業者に委託できます(手引き 2-10-1)。
一方で、指導者の在宅勤務を一律に認める文はありません。実際に自宅から行えるかは、勤め先の保険者や委託先が、本人確認や情報管理を含めてどういう実施体制を組んでいるかによります。
委託先の実施体制は、国の手引きの様式に沿った規程の概要で、職種ごとの常勤・非常勤の人数や、施設型か非施設型かまで書かれている場合があります。概要の見方は特定保健指導の会社の選び方|受託する機関は、従業者の職種や員数を記した規程の概要をホームページ等で周知しますで扱っています。
この記事が扱っていないこと
- 遠隔で実施された特定保健指導の件数や割合。国の一次資料で取得していないため、数字は書いていません。
- 在宅勤務の求人の数や報酬。民間の求人情報は使っていません。
- 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の中身。本記事では取得していません。
- 実施者になれる職種と、栄養士が支援を担うための研修。特定保健指導とはと特定保健指導の研修で扱っています。
特定保健指導の在宅の仕事を探す管理栄養士が確認できること
- 遠隔面接をどこから行うか。委託先の面接室か、自宅等か。自宅等なら、背景やヘッドセットなどの決まりがあるか。
- 本人確認の手順。実施者の氏名・所属の提示と、対象者の氏名・生年月日・被保険者等記号・番号等の照合をどう行うか。
- 情報管理のルール。使うビデオ通話システム、IDとパスワードの作り方、録音・録画の扱いが決まっているか。
- 担当する範囲と記録。初回面接か継続的な支援か。体重・腹囲の確認方法や、対面と遠隔を分けた記録の付け方も確かめられます。
よくある質問
Q. 特定保健指導は、自宅からオンラインで受けられますか。
A. 手引き(第4.3版)は、利用者の利便性確保の観点から、特定保健指導の対象者の利用環境や働き方に合わせて遠隔面接等を受けることは可能、としています。機器・通信環境の要件と本人確認が求められます。
Q. 管理栄養士が在宅勤務で特定保健指導を行ってもよいですか。
A. 手引きは実施者の場所を「特定保健指導の実施機関や事業所の施設等を利用するなど」と例で示すだけで、自宅を名指しで認めても禁じてもいません。プログラムは、自宅等勤務先以外で遠隔面接を行う場合も同じ事項に留意しなければならないとしています。実際に行えるかは、勤め先の実施体制によります。
Q. 遠隔の初回面接は何分以上必要ですか。
A. Q&A集は、最低面接時間は対面で実施する場合と同じとしています。実施方法告示の初回面接は、1人当たり20分以上の個別支援、又は1グループ(おおむね8人以下)当たりおおむね80分以上のグループ支援です。接続や本人確認に要する時間は数えられません。
Q. 遠隔の継続的な支援は、対面よりポイントが低いですか。
A. 低くありません。Q&A集は、遠隔で個別支援を行う場合のポイントは対面と同じとしています。手引きも、第4期からICTを活用した場合も同水準の評価としたと書いています。
Q. 遠隔で行われている特定保健指導の件数はわかりますか。
A. 本記事は、遠隔で実施された件数を示す国の一次資料を取得していません。そのため数字は書いていません。
迷ったらここ
特定保健指導の遠隔を確かめる
特定保健指導は、国の手引きの要件を満たせば情報通信技術を使った遠隔の面接・支援で行えます。指導者が自宅等で行う場合も、国のプログラムは同じ留意事項を求めています。
- 遠隔面接を、委託先の面接室と自宅等のどちらから行うか
- 本人確認と情報管理(録音・録画、ID・パスワード)の決まりがあるか
- 担当するのが初回面接か継続的な支援か、記録の付け方はどうか
まとめ
特定保健指導の遠隔の扱いは、手引きとプログラムに書かれています。手引き(第4.3版)は「遠隔面接」「遠隔支援」に対面で行う場合と同程度の質を求め、実施体制・機器・本人確認・個人情報の要件を定めています。
指導する側の場所について、手引きは場所そのものを定めていません。プログラムは、自宅等勤務先以外で遠隔面接を行う場合も、同じ事項に留意しなければならないとしています。委託基準告示は、プライバシーが十分に保護される場所と、インターネット利用時の安全管理を求めています。
第4期からは、遠隔の支援も対面と同じ水準で評価されます。在宅で働けるかは、勤め先の保険者や委託先が本人確認や情報管理を含めてどういう実施体制を組んでいるかによります。

