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30秒でわかるまとめ
- 保育士が働く病児保育の補助は、基本分と加算分の2段です基本分は年間延べ利用児童数によらず一律で、加算分は利用数に応じて適用される、と国の事務連絡が説明しています。
- 病児対応型の基本分は、年額9,459,000円です1か所当たりの額で、うち改善分が2,538,000円です。2つの要件をどちらも満たさないと、改善分は減算されます。
- 加算分の表は、年間延べ利用児童数50人以上から始まります病児対応型は50人以上100人未満の1,180,000円から、3,800人以上4,000人未満の42,400,000円までです。
- 当日キャンセルで職員が余った回数にも、加算の段階があります年間25回以上で加算があり、回数は職員配置に余剰が生じた人数で数える、とこども家庭庁のFAQにあります。
※病児保育の事業類型と職員配置は病児保育の仕事内容と1日、受け入れ前の手続きと研修は病児保育がきついときで扱っています。

まず仕組み:補助は「基本分」と「加算分」を合わせた額です
病児保育の施設に勤めると、利用の予約が1人もない日や、朝のキャンセルで子どもが減る日があります。それでも事業が続く背景の1つが、国の補助の組み立てです。
病児保育事業は、国の子ども・子育て支援交付金の対象です。その補助の組み立てを、厚生労働省と内閣府の事務連絡がこう説明しています。
「病児保育事業については、子ども・子育て支援交付金において、年間延べ利用児童数によらず一律で設定されている基本単価と、年間延べ利用児童数に応じて適用される加算単価を合算した額を補助基準額として交付しているところですが、」
出典:内閣府子ども・子育て本部参事官・厚生労働省子ども家庭局保育課 事務連絡「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う子ども・子育て支援交付金における病児保育事業の取扱いについて(令和2年度)」(令和2年7月10日)(原文どおり。文の前半)
読みどころは2つです。
- 基本の部分は、利用した子どもの数で変わりません。「年間延べ利用児童数によらず一律」と書かれています。
- 上乗せの部分は、1年間の利用の合計で決まります。単位は「年間延べ利用児童数」で、1日ごとの人数ではありません。
現在の交付要綱も、病児対応型の基準額を「(1)基本分」と「(2)加算分」に分けて定めています。なお、保育所の公定価格や企業主導型保育の助成にも「基本分」という言葉がありますが、この記事の基本分は、子ども・子育て支援交付金の病児保育事業のもので、別の制度です。

基本分:病児対応型は1か所当たり年額9,459,000円です
子ども・子育て支援交付金交付要綱(令和8年6月25日改正)の別紙は、病児保育事業の基本分を次のように定めています。
| 類型 | 基本分(1か所当たり年額) | うち改善分 |
|---|---|---|
| 病児対応型 | 9,459,000円 | 2,538,000円 |
| 病後児対応型 | 6,894,000円 | 2,225,000円 |
出典:こども家庭庁長官「子ども・子育て支援交付金の交付について」(こ成事第352号 令和8年6月25日改正)別紙 子ども・子育て支援交付金交付要綱 別紙
こども家庭庁の資料も、令和8年度の病児対応型の補助基準額案として「基本分単価:9,459,000円(うち改善分2,538,000円)」と示しています。
基本分は「1か所当たり年額」で、利用人数の欄がありません。利用が0人の日があっても、この欄の金額は日ごとに減る書き方になっていません。
ここに示した金額は、施設に対する補助の基準額です。職員一人ひとりの給与の額ではありません。

加算分:年間延べ利用児童数50人以上から段階がつきます
加算分の「ア 年間延べ利用児童数に応じた加算」は、利用の合計が増えるほど基準額が上がる表になっています。病児対応型の表の一部です。
| 年間延べ利用児童数 | 基準額(1か所当たり年額) |
|---|---|
| 50人以上100人未満 | 1,180,000円 |
| 100人以上150人未満 | 1,770,000円 |
| 150人以上200人未満 | 2,360,000円 |
| 200人以上300人未満 | 3,540,000円 |
| 300人以上400人未満 | 4,720,000円 |
| (中略) | (中略) |
| 3,800人以上4,000人未満 | 42,400,000円 |
出典:同交付要綱 別紙(病児保育事業 1 病児対応型(2)加算分 ア)。表の途中を省略した
表の最後には「※4,000人以上の場合は別途協議」とあります。表は50人以上から始まり、50人未満の欄はありません。
病後児対応型にも別の表があり、50人以上100人未満は1,300,000円です。
全国の実施か所数(4,342か所)と延べ利用児童数は、病児保育の仕事内容と1日で扱っています。
編集部試算:病児対応型で年間延べ利用児童数が300人以上400人未満の場合、基本分9,459,000円+加算分4,720,000円=14,179,000円が、この2つの欄を合わせた基準額です(当日キャンセル対応加算などは含めていません)。
ここが本題:改善分の条件に「利用の少ない日等」が書かれています
基本分のうち改善分には、条件が付いています。交付要綱は、病児対応型・病後児対応型の基本分の下にこう書いています。
「※ ただし、以下のいずれの要件も満たさない場合には改善分を減算すること。」
「・利用の少ない日等において、地域の保育所等への情報提供や巡回支援等を実施する。」
「・市町村間の広域連携(市町村をまたいだ利用者の受入れ)を行い、他市町村に住民票を有する利用者が予約等できるICTを導入している。」
出典:同交付要綱 別紙(病児保育事業 1 病児対応型(1)基本分、2 病後児対応型(1)基本分)(原文どおり)
利用の少ない日に何をするかが、補助の条件の文言に入っています。地域の保育所等への情報提供や巡回支援等です。2つの要件のどちらも満たさない場合に、改善分が減算されます。
2つめの要件は、こども家庭庁の資料に、令和8年度の拡充として載っています。
「市町村間の広域連携(市町村をまたいだ利用者の受入れ)を行い、利用者が予約等できるICTを導入している施設について、基本分単価(改善分)の適用対象に追加。」
出典:こども家庭庁「基礎資料(多様なニーズに対応した保育の充実②(病児保育・延長保育・一時預かり等))」(保育ページ掲載。令和8年4月1日更新)(原文どおり)
広域連携について、こども家庭庁の事務連絡の別添は、利点として「病児保育施設の利用者数の安定による経営の安定、自治体間の地域差の解消に繋がる等の利点がある」と書いています(「病児保育事業」における広域連携の推進について、令和5年12月12日)。個々の施設の経営がどうなるかは、本記事では扱っていません。
利用児童がいない時間帯について、平成30年改正の実施要綱が書いていたこと
職員の配置は、補助の要綱ではなく、事業の実施要綱が定めます。こども家庭庁のサイトに掲載されている平成30年7月30日改正の実施要綱は、病児対応型について次の2つを書いています。
「利用児童が発生した場合に、連絡を受けた保育士及び看護師等が速やかに出勤し、業務に従事するなど、柔軟な対応が可能となる職員体制が確保されていれば、利用児童がいない場合は保育士及び看護師等の常駐を要件としない。」
「本事業を担当する職員は、利用の少ない日等において、感染症流行状況、予防策等の情報提供や巡回支援等を適宜実施すること。」
出典:厚生労働省「『病児保育事業の実施について』の一部改正について」(子発0730第5号 平成30年7月30日)別紙 6 実施要件(1)病児対応型 2(注1)イ・3イ(原文どおり)
1つめは、利用児童がいない時間帯の扱いです。連絡を受けて速やかに出勤できる体制があれば、常駐を要件としない、という書き方です。利用児童がいる時間帯の扱いは病児保育の仕事内容と1日で扱っています。
2つめは、交付要綱の改善分の要件と同じ「利用の少ない日等」という言葉で、情報提供や巡回支援等を挙げています。
ただし、版に注意が要ります。現在の交付要綱が対象として引いているのは「病児保育事業の実施について」(令和6年3月30日こ成保第180号)の別紙です。本記事は、この令和6年の通知の本文をこども家庭庁・厚生労働省のサイトで見つけられず、取得していません。上の2つの文言が今の実施要綱でも同じかは、確かめられていません。
当日キャンセルの日は、別の加算で数えます
予約があったのに当日来なかった日は、職員が余ります。交付要綱には、そのための加算があります。
| 年間キャンセル回数 | 基準額(1か所当たり年額) |
|---|---|
| 25回以上50回未満 | 247,900円 |
| 50回以上100回未満 | 502,500円 |
| 100回以上150回未満 | 670,000円 |
| 150回以上 | 1,005,000円 |
出典:同交付要綱 別紙(病児保育事業 1 病児対応型(2)加算分 オ 当日キャンセル対応加算)。病後児対応型も同じ額
何を1回と数えるかは、こども家庭庁のFAQが答えています。
「当日キャンセルの結果、職員配置に余剰が生じた人数をカウントしてください。」
「空き枠をキャンセル待ちの方が利用し、結果的に職員配置に余剰が発生しなかった場合にはカウントしません。」
出典:こども家庭庁保育政策課保育医療対策係「病児保育事業に関するFAQ」(令和8年3月27日)1(1)・1(2)の回答(原文どおり。文の一部)
数えるのは、キャンセルした子どもの数ではなく、余った職員の人数です。交付要綱の申請書の記入上の注意も「⑲欄は、当日キャンセルにより配置職員に余剰が生じた回数を記入すること。」としています。
「当日」の区切りについて、FAQは「当日の午前0時以降のキャンセルを基本としますが、実情に応じ、実施主体たる市町村の判断で、余剰配置が生じることを前提に、前日夜間から認める等の対応も考えられます。」と答えています(1(6))。
申請書には、利用者が複数か所に予約しないための対応策(空き状況の見える化、前日の利用確認など)を記入する欄もあります。
交付額は、基準額と実際の支出の少ない方から計算します
ここまでの金額は基準額です。実際に国から市町村に交付される額は、交付要綱 第4条で計算します。
「第2欄の各区分ごとに、第3欄に定める基準額と第4欄に定める対象経費の実支出額を比較して少ない方の額と、総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。」
出典:同交付要綱 第4条第1号(原文どおり)
選んだ額に国の負担割合を掛けたものが交付額です(同条第2号)。こども家庭庁の資料は、病児保育事業の補助率を「国1/3(都道府県1/3、市町村1/3)」としています。実施主体は市町村です。
基準額は上限の目安で、そのまま施設の収入になる額ではありません。市町村から施設への委託料や補助の決め方は、市町村ごとに違います。
利用が大きく減った年の特例は、令和2年度の期間限定でした
加算分は年間延べ利用児童数で決まるため、利用が大きく減ると下がります。新型コロナウイルス感染症の流行時には、これを補う特例が置かれました。
「加算単価の適用に当たっては、市町村において、新型コロナウイルス感染症の状況や利用ニーズ、確保されている提供体制等を勘案して想定される各月の延べ利用児童数をもって当該月の延べ利用児童数とみなすこととして差し支えない。ただし、この場合にあっては、前年同月の延べ利用児童数を上限とすることとする。」
出典:令和2年7月10日 事務連絡(前出)(原文どおり)
この取扱いは「令和2年4月から令和2年9月までの間の取扱い」とされています。利用の少ない時期の加算分を補う特例が、平時からあるわけではありません。
この記事が扱っていないこと
- 現在の実施要綱の本文。交付要綱が引いている「病児保育事業の実施について」(令和6年3月30日こ成保第180号)の本文は、省庁のサイトで見つけられず取得していません。
- 令和7年度の交付要綱の単価。本記事の金額は令和8年6月25日改正の交付要綱によります。前年度の版は取得していません。
- 体調不良児対応型・非施設型(訪問型)の単価、送迎や開設準備の経費、低所得者減免分加算、感染症対応加算の要件。本記事は病児対応型・病後児対応型の基本分・加算分に絞りました。
- 市町村から施設への委託料、市町村独自の上乗せ。市町村ごとの定めで、取得していません。
- 個々の施設の収支や経営の状況、職員の給与。国の資料に施設ごとの数字はなく、扱っていません。
病児保育の求人を見るときに確認できること
- 病児対応型か、病後児対応型か。基本分の額が違います(9,459,000円と6,894,000円)。
- 利用の少ない日の仕事に、地域の保育所等への情報提供や巡回支援が入っているか。交付要綱の改善分の要件に書かれている業務です。
- 利用児童がいない時間帯の勤務の扱い。出勤の連絡の方法や、待機の扱いを聞くことができます。
- 当日キャンセルの連絡は何時までに入るか。FAQは午前0時以降を基本とし、市町村の判断で前日夜間からも考えられるとしています。
- 他の市町村からの利用や、予約のICTがあるか。改善分のもう1つの要件です。
働く人自身の健康管理も、求人を見るときに聞けることです。入職時の予防接種歴・罹患歴の確認や、妊娠中の職員の勤務形態への配慮について国のガイドラインが書いていることは、病児保育の感染リスク|保育所の感染症対策ガイドラインは、入職時に職員の予防接種歴と罹患歴を確認するとしていますで扱っています。
よくある質問
Q. 利用者が0人の日は、補助が出ないのですか。
A. 交付要綱の基本分は「1か所当たり年額」で定められ、利用人数の欄はありません。加算分は年間延べ利用児童数の段階で決まります。日ごとに補助が決まる書き方にはなっていません。
Q. 利用が少ない日は、何をすることになっていますか。
A. 交付要綱は、改善分の要件の1つに「利用の少ない日等において、地域の保育所等への情報提供や巡回支援等を実施する」ことを挙げています。具体的な業務の決め方は、市町村と施設によります。
Q. 利用児童がいない時間帯も、施設にいなければなりませんか。
A. 平成30年改正の実施要綱は、連絡を受けて速やかに出勤できる体制があれば、利用児童がいない場合は常駐を要件としないと書いていました。今の実施要綱の本文は取得していないため、勤務先の市町村の要綱や就業規則で確かめてください。
Q. 当日キャンセルが多いと、補助は減りますか。
A. 加算分は年間延べ利用児童数で決まります。それとは別に、当日キャンセルで職員に余剰が生じた回数が年間25回以上あれば、当日キャンセル対応加算の段階があります。
Q. 9,459,000円は、職員の給与になるのですか。
A. 施設1か所当たりの補助の基準額で、給与の額を示すものではありません。交付額は基準額と実支出額の少ない方などから計算され、国の負担はその1/3です。本記事は給与を扱っていません。
迷ったらここ
病児保育の補助は2段の仕組み
病児保育事業の補助は、利用数によらない基本分と、年間延べ利用児童数の段階で決まる加算分の合計です。交付要綱は改善分の要件に、利用の少ない日等の情報提供や巡回支援等を挙げています。
- 病児対応型か病後児対応型か(基本分の額が違う)
- 利用の少ない日に巡回支援や情報提供の仕事があるか
- 利用児童がいない時間帯の勤務と出勤連絡の扱い
まとめ
病児保育事業の補助は、年間延べ利用児童数によらず一律の基本分と、年間延べ利用児童数に応じた加算分を合わせた額が基準になっています。利用者が少ない日があっても事業が続く背景には、この組み立てがあります。
令和8年6月25日改正の交付要綱では、病児対応型の基本分は1か所当たり年額9,459,000円(うち改善分2,538,000円)、加算分は50人以上100人未満の1,180,000円から段階がつきます。
そして改善分の要件に、「利用の少ない日等において、地域の保育所等への情報提供や巡回支援等を実施する」と書かれています。利用の少ない日に何をするかは、補助の条件の文言の中にあります。

