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30秒でわかるまとめ
- 保育士の予防接種歴と罹患歴は、入職時に確かめる項目です保育所向けの国のガイドラインは、入職時に健康状態に加えて、予防接種歴と罹患歴を確認するとしています。
- 接種も罹患もない職員には、計2回の接種が挙がっています麻しん・風しん・水痘・おたふくかぜは、1歳以上で計2回の接種が重要とされます。受けるかは医師と相談します。
- 職員が感染したときは、勤務の停止が要る場合があります復帰の時期や従事する職務は、嘱託医の指示を受け、本人と施設長等が十分に相談して決めるとされています。
- 雇入時と定期の健康診断は、法令が定める事業者の義務です予防接種法の定期接種は、政令の表で年齢などにより対象が決まり、職業で決まる欄はありません。
※病児保育事業の実施要綱が定める感染防止の項目は病児保育がきついとき、事業の類型と職員の配置は病児保育の仕事内容と1日で扱っています。この記事は、働く人自身の健康管理を扱います。

まず整理:施設の措置と、職員の健康管理は別の文書にあります
| 層 | 文書 | 中身 |
|---|---|---|
| 施設の側 | 病児保育事業実施要綱 | 病児保育の施設がとる感染防止の措置 |
| 職員の側 | 保育所における感染症対策ガイドライン | 予防接種歴・罹患歴の確認、職員が感染したときの対応、妊娠中の職員への配慮 |
| 法令 | 労働安全衛生規則/予防接種法 | 事業者が行う健康診断/市町村長が行う定期の予防接種 |
出典:各文書をもとに編集部が整理
要綱の「感染の防止」の中身は病児保育がきついときで扱っているため、この記事が主に読むのは、こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」です。表紙に2023(令和5)年5月一部改訂、2023(令和5)年10月一部修正とある、こども家庭庁の保育のページに掲載中の版です。
これは保育所向けの文書で、本文に「病児」という語は出てきません。病児保育の施設にそのまま当てはまるとは書かれていないため、この記事では、子どもを集団で預かる場で国が職員の健康管理をどう書いているかの目安として読みます。

ここが本題:職員も、気付かないまま感染源になりうると書いています
「特に保育所の職員は成人であるため、子どもたちと比べてはるかに高い体力・免疫力を持っています。このため、子どもたちが感染した場合には、その多くが発症する一方、職員が感染した場合には、不顕性感染やごく軽い症状で済むことで、自分が感染しているとは全く気付かないままに感染源となってしまう可能性があります。」
出典:こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」2.(1) (ア)感染源対策(原文どおり)
職員は「うつされる側」であると同時に「うつす側」にもなりうる、という書き方です。だから職員の健康管理は、預かる子どものための対策としても書かれています。
なお、病児保育で働く人がどのくらい感染しているかを示す統計は、本記事では取得していません。「病児保育で働くとうつる」とも「うつらない」とも、この記事では言えません。

入職時に確かめるのは、予防接種歴と罹患歴です
「職員の予防接種歴の確認も重要です。入職時には、健康状態の確認に加えて、予防接種歴及び罹患歴を確認します。また、短期間の保育実習生の場合にも同様に確認します。」
出典:同ガイドライン「(ウ)感受性対策(予防接種等)」の「保育所における予防接種に関する取組」(原文どおり)
| 段階 | ガイドラインの記述 |
|---|---|
| 把握する | 職員のこれまでの予防接種の状況を把握する |
| 相談する | 予防接種歴及び罹患歴がともにない又は不明な場合には、嘱託医等に相談した上で |
| 説明する | 予防接種を受けることが感染症対策に資することを説明することが重要である |
| 記録する | 職員及び子どもたちの予防接種歴及び罹患歴を把握し、記録を保管することが重要 |
出典:同ガイドライン「(ウ)感受性対策(予防接種等)」の要点、「予防接種歴及び罹患歴の記録の重要性」
書かれているのは「確認」と「説明」で、接種を命じる書き方ではありません。確かめ方も具体的で、「予防接種を受けた」又は「罹患した」という記憶は当てにならない場合が多いので母子健康手帳等の記録を確認し、麻しん、風しん、水痘、おたふくかぜ、B型肝炎等は血液検査で抗体の有無を調べることも可能としています。
ガイドラインが職員について挙げている予防接種
「子どもの病気と考えられがちであった麻しん、風しん、水痘及び流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)に成人が罹患することも稀ではなくなってきたことから、保育所職員についても、当該感染症に罹患したことがなく、かつ予防接種を受けていない場合(受けたかどうかが不明な場合も含む。)には、1歳以上の必要回数である計2回のワクチン接種を受け、自分自身を感染から守るとともに、子どもたちへの感染を予防することが重要です。」
出典:同ガイドライン「保育所職員(保育実習の学生を含む)の予防接種」(原文どおり)
| 感染症 | 職員についての記述 |
|---|---|
| 麻しん・風しん・水痘・おたふくかぜ | 罹患がなく接種もない(不明を含む)場合は、1歳以上で計2回の接種を受けることが重要 |
| B型肝炎 | 子どもの出血を伴うけがの処置等を行う機会があるため、予防接種も大切。HBs抗原・HBs抗体の検査で両者とも陰性の場合、任意接種として受けることが重要であることを説明する |
| 破傷風 | DPTワクチンの予防接種は1968年から始まったもので、これ以前に生まれた職員は受けていないことが多いため、予防接種を受けること等を考慮することが必要 |
| インフルエンザ | 毎年の予防接種が感染症対策や重症化予防に資することを職員に伝える |
出典:同ガイドライン「保育所職員(保育実習の学生を含む)の予防接種」「保育所における予防接種に関する取組」、別添1「(27)B型肝炎」
麻しんと風しんは、国の特定感染症予防指針の要旨も載っています。麻しんは、未罹患又は罹患歴が不明で、接種が二回に満たないか接種歴が不明な職員等に「強く推奨する必要」、風しんは、罹患歴か接種歴が不明な職員等に「抗体検査や予防接種の推奨」を行う必要がある、としています。
どれも職員本人に義務を課す書き方ではなく、施設が説明し、推奨する書き方です。接種や抗体検査を受けるかは、医師と職場に相談して決めることです。本記事は個別の接種をすすめるものではありません。
職員が感染したとき:勤務の停止と、復帰の相談
「職員についても、周囲への感染拡大防止の観点から、勤務を停止することが必要になる場合があります。勤務復帰の時期、従事する職務等については、嘱託医の指示を受け、当該職員と施設長等との間で十分に相談し、適切な対応をとる必要があります。」
出典:同ガイドライン 3.(3)「罹患した子どもが登園する際の対応」(原文どおり)
復帰の時期を、本人だけで決める書き方になっていません。嘱託医の指示と、施設長等との相談が置かれています。
| 場面 | ガイドラインの記述 |
|---|---|
| 症状があるとき | 咳等の呼吸器症状が見られる場合にはマスクを着用する/発熱や咳、下痢、嘔吐がある場合には医療機関へ速やかに受診する |
| 食物を扱うとき | 下痢や嘔吐の症状がある、又は化膿創がある職員については、食物を直接取り扱うことを禁止する |
| 感染症の発生時 | 子どもに関する事項だけではなく、職員の健康状態についても記録する/麻しん・風しんでは子ども及び職員全員の予防接種歴及び罹患歴を確認する |
出典:同ガイドライン 2.(2) (イ)職員の衛生管理、3.(2) 感染症発生時の対応、別添1「(1)麻しん」「(4)風しん」
妊娠中の職員には、勤務形態への配慮が書かれています
「妊娠中の職員のうち風しん抗体のない職員については、流行が終息するまでの間、その勤務形態に配慮することが望まれる。」
出典:同ガイドライン 別添1「(4)風しん」(原文どおり)
「妊娠中の職員については、流行が終息するまでの間休ませるなど、勤務形態に配慮することが望まれる。」
出典:同ガイドライン 別添1「(17)伝染性紅斑(りんご病)」(原文どおり)
語尾は「望まれる」で、義務の書き方ではありません。ただ、配慮の主語は職場の側に置かれています。妊娠中の働き方は主治医と職場に相談して決めることで、本記事は個別の判断をしていません。
法令の側:健康診断は事業者の義務、定期の予防接種は年齢などで決まります
健康診断は、労働安全衛生法 第66条第1項が「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断」を行わなければならないとし、規則が中身を定めています。
| 条 | 定め |
|---|---|
| 第43条 | 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、医師による健康診断を行わなければならない(項目は第1号〜第11号) |
| 第44条第1項 | 事業者は、常時使用する労働者に対し、一年以内ごとに一回、定期に、医師による健康診断を行わなければならない |
出典:労働安全衛生法(e-Gov法令API 法令ID 347AC0000000057)第66条第1項、労働安全衛生規則(同 347M50002000032)第43条・第44条第1項
第43条の項目は、既往歴及び業務歴の調査から心電図検査まで並びますが、「予防接種歴」という項目はありません。そこをつなぐのが、ガイドラインが載せている予防指針の要旨です。
「施設長は、職場における健康診断の機会等を利用して、職員の罹患歴及び予防接種歴を確認して下さい。」
出典:同ガイドライン「『麻しんに関する特定感染症予防指針』、『風しんに関する特定感染症予防指針』における保育所職員の予防接種に関する記載の要旨」(原文どおり)
予防接種のほうは、予防接種法 第5条第1項が、市町村長が政令で定める疾病について、区域内に居住する者であって政令で定めるものに予防接種を行わなければならないとしています。これが定期の予防接種です。その対象を決める施行令 第3条の表は、生後の月数や年齢、妊娠の週数などで書かれていて、保育や病児保育の職員のような、職業で決めた欄はありません。
出典:予防接種法(e-Gov法令API 法令ID 323AC0000000068)第5条第1項、予防接種法施行令(同 323CO0000000197)第3条第1項
ガイドラインが収めている麻しん・風しんの予防指針の該当項も、見出しは「予防接種法に基づかない予防接種の推奨」です。
分けて読む:事業者の側の手当てと、自分で確かめられること
| 事業者・施設長の側 | 働く人が自分で確かめられること |
|---|---|
| 入職時に予防接種歴・罹患歴を確認し、記録を保管する(ガイドライン) | 母子健康手帳等の記録で、接種の回数と罹患歴を確かめる |
| ない・不明な職員には、嘱託医等に相談した上で説明する(同) | 記録がない・不明なときは、抗体検査や接種について医師に相談する |
| 職員の勤務停止・復帰を、嘱託医の指示を受けて本人と相談する(同) | 発熱や咳、下痢、嘔吐があれば受診し、復帰の時期を職場と相談する |
| 妊娠中の職員の勤務形態に配慮する(風しん・伝染性紅斑。「望まれる」) | 妊娠がわかったら、主治医と職場に勤務形態を相談する |
| 雇入時と定期の健康診断を行う(労働安全衛生規則 第43条・第44条。義務) | 健康診断を受ける |
出典:同ガイドライン、労働安全衛生規則 第43条・第44条をもとに編集部が整理
左の列は、施設長の責任の下で行うこととして書かれています。右の列は、職場の仕組みに頼らずに始められることです。
不安が続くときに、職場の外で相談できるところ
- 総合労働相談コーナー(厚生労働省):労働条件、いじめ・嫌がらせなど労働問題全般。都道府県労働局・労働基準監督署内にあり、予約不要・無料です 総合労働相談コーナーのご案内
- こころの耳(厚生労働省):働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト。電話・SNS・メールの相談窓口がまとまっています こころの耳
発熱や咳、下痢、嘔吐などの症状があるときは、相談より先に医療機関を受診してください。
この記事が扱っていないこと
- 病児保育の職員が感染する頻度や件数。統計を取得していません。
- 病児保育だけを対象にした、職員の健康管理の国の文書。本記事が取得した資料の範囲では見当たらず、保育所向けのガイドラインを目安として読んでいます。
- ワクチンの効果、副反応、接種の間隔。医療上の判断にかかわるため扱っていません。
- 勤務を停止した期間の賃金や休業の扱い、接種費用の負担。本記事は取得していません。
- 健康診断の対象になる短時間勤務の人の範囲。通達の領域で、本記事は取得していません。
病児保育で働く人が確認できること
- 入職時に、予防接種歴と罹患歴の確認があるか。
- 自分の母子健康手帳等の記録。麻しん・風しん・水痘・おたふくかぜの接種回数と罹患歴を見ておけます。
- 職員が感染したときの、勤務停止と復帰の決め方。嘱託医の指示と施設長等との相談の流れがあるかを聞けます。
- 妊娠したときに、勤務形態を相談できる相手。
- 雇入時と定期の健康診断があるか。
よくある質問
Q. 病児保育で働くと、感染しやすいのですか。
A. 病児保育の職員が感染する頻度の統計を本記事は取得しておらず、答えを出していません。保育所向けのガイドラインは、職員が気付かないまま感染源になる可能性があると書き、そのための確認や衛生管理を挙げています。
Q. 予防接種は、受けなければ働けませんか。
A. 予防接種法の定期接種は施行令 第3条の表で年齢などにより対象が決まり、職業で決まる欄はありません。ガイドラインは、施設が予防接種歴を確認し、予防接種が感染症対策に資することを説明する、という書き方です。受けるかは医師と職場に相談してください。
Q. 子どものころの予防接種を覚えていません。
A. ガイドラインは、記憶は当てにならない場合が多いとして母子健康手帳等の記録を確認するとし、血液検査で抗体の有無を調べることも可能としています。
Q. 自分が感染したら、仕事はどうなりますか。
A. ガイドラインは、職員も勤務を停止することが必要になる場合があるとし、勤務復帰の時期や従事する職務は、嘱託医の指示を受け、本人と施設長等が十分に相談するとしています。休んだ期間の賃金の扱いは扱っていません。
Q. 妊娠中も働き続けられますか。
A. 本記事では個別の判断をしていません。ガイドラインは、風しんと伝染性紅斑について、妊娠中の職員の勤務形態に配慮することが望まれるとしています。主治医と職場に相談してください。
迷ったらここ
入職時の予防接種歴の確認を先に聞く
保育所向けの国のガイドラインは、入職時に健康状態に加えて予防接種歴と罹患歴を確認するとしています。職員が感染したときは、嘱託医の指示を受けて施設長等と相談し、勤務の停止や復帰を決めるとされています。
- 入職時に予防接種歴と罹患歴の確認があるか
- 職員が感染したときの勤務停止と復帰の決め方があるか
- 妊娠したときに勤務形態を相談できる相手がいるか
まとめ
病児保育の施設がとる措置は実施要綱が、職員自身の健康管理は保育所向けの「保育所における感染症対策ガイドライン」が書いています。本記事は後者を目安として読みました。
ガイドラインは、入職時に予防接種歴と罹患歴を確認するとし、接種も罹患もない職員には麻しん・風しん・水痘・おたふくかぜで1歳以上で計2回の接種が重要としています。職員が感染したときは勤務の停止が必要な場合があり、復帰は嘱託医の指示を受けて施設長等と相談します。
法令が事業者に義務として置いているのは雇入時と定期の健康診断で、予防接種法の定期接種は年齢などで対象が決まります。確認と説明は施設の側の手当て、記録を確かめて医師と職場に相談するのは自分でできること。分けて読んでおくと、職場に何を聞けばよいかが見えてきます。

