30秒でわかるまとめ
- 病児保育の保育士は同時に3人までです厚生労働省の実施要綱は保育士を利用児童おおむね3人につき1名以上配置すると定めています
- 看護師等の常駐が原則、例外もあります看護師等(看護師・准看護師・保健師・助産師)の常駐が原則ですが、例外の要件もあります
- 病児保育の仕事は5つの類型で内容が変わります病児対応型・病後児対応型・体調不良児対応型・訪問型・送迎対応で働く場所や対象が違います
- 1か所あたり年間利用者はおよそ310人です施設数4,342か所・延べ利用1,348,088人で、毎日満員とは限らない計算です
※認可の小規模保育で働く場合の配置基準は小規模保育の仕事内容|配置基準は保育所より「+1人」ですで扱っています。企業主導型保育との違いは企業主導型保育のメリットとデメリット|定員充足率69.4%を参照してください。

まず5類型。どれで働くかで仕事が変わります
病児保育事業は、児童福祉法に定義があり、実施主体は市町村です(市町村が認めた者へ委託等を行うことができます)。厚生労働省の実施要綱は、対象となる事業類型を5つに分けています。
| 類型 | 対象となる児童の状態 | 場所 |
|---|---|---|
| 病児対応型 | 病気の「回復期に至らない場合」で、当面の症状の急変が認められない | 病院・診療所、保育所等に付設された専用スペース、専用施設 |
| 病後児対応型 | 病気の「回復期」で、集団保育が困難な期間 | 同上 |
| 体調不良児対応型 | 保育中に微熱を出すなど「体調不良」となった場合 | 実施保育所等(緊急的な対応) |
| 非施設型(訪問型) | 「回復期に至らない場合」または「回復期」 | 児童の自宅 |
| 送迎対応 | 保育中に体調不良となった児童 | 保育所等から送迎し、専用スペース等で保育 |
出典:厚生労働省「病児保育事業の実施について」(子発0730第5号 平成30年7月30日改正)実施要綱
働く場所も、相手の状態も、5つで別々です。病院に併設された専用スペースで回復期前の子を預かるのか、勤めている保育園で体調不良になった子を一時的に見るのか、家庭を訪問するのか。同じ「病児保育」でも中身は連続していません。

家庭を訪問する形でも、雇われて受け取るのは給与所得です。個人として請け負った場合の所得の区分と確定申告はベビーシッターの確定申告|「20万円以下なら申告不要」は、給与を受ける人の条文ですで扱っています。
病児対応型:保育士1人が見るのは3人まで
職員配置は類型ごとに定められています。まず病児対応型と病後児対応型です。
「病児の看護を担当する看護師等を利用児童おおむね10人につき1名以上配置するとともに、病児が安心して過ごせる環境を整えるために、保育士を利用児童おおむね3人につき1名以上配置すること。」
| 類型 | 看護師等 | 保育士など |
|---|---|---|
| 病児対応型 | 利用児童おおむね10人につき1名以上 | 利用児童おおむね3人につき1名以上 |
| 病後児対応型 | 同上 | 同上 |
| 体調不良児対応型 | 1名以上。預かる体調不良児は看護師等1名に対して2人程度 | — |
| 非施設型(訪問型) | 一定の研修を修了した看護師等・保育士・家庭的保育者のいずれか1名以上。1名に対して1人程度 | |
出典:同実施要綱
3人に1人という数字が、1日の形を決めます。定員6人の施設なら保育士は2人以上、定員10人なら4人以上(おおむね3人につき1名以上)という計算になります。
そして訪問型は1対1です。「預かる病児(病後児)の人数は、一定の研修を修了した看護師等、保育士、家庭的保育者いずれか1名に対して、1人程度とする」とされています。

看護師等が配置されます。そして常駐が原則です
この事業のもうひとつの特徴は、保育士だけで完結しないことです。
要綱は「看護師等」を看護師、准看護師、保健師又は助産師と定義しています。そして職員配置について、こう書いています。
「保育士及び看護師等の職員配置については、常駐を原則とする。」
ただし例外が置かれています。利用児童が見込まれる場合に近接病院等から保育士及び看護師等が駆けつけられるなど迅速な対応が可能であれば、一定の要件のもとで看護師等の常駐を要件としない、という組み立てです。その要件には、病児保育施設が医療機関内に設置されている場合等で看護師等が従事している場所と近接していること、緊急の場合に速やかに駆けつけられる職員体制が確保されていること、看護師等が常駐しない場合であっても保育士等を複数配置することにより常に複数人による保育体制を確保していることなどが含まれます。
「看護師がいない日がある」職場は、この例外に当たっているということです。見学のときに確認する価値のある部分です。
施設にも要件があります
実施場所は、市町村が適当と認めたものであることに加えて、次の基準を満たす必要があります。
- 保育室および児童の静養又は隔離の機能を持つ観察室又は安静室を有すること
- 調理室を有すること(病児保育専用の調理室を設けることが望ましいが、本体施設等の調理室と兼用しても差し支えない)
- 事故防止及び衛生面に配慮されているなど、児童の養育に適した場所とすること
出典:同実施要綱(病児対応型の実施要件)
観察室または安静室が要件に入っていることが、この仕事の性格を表しています。症状の違う子を同じ部屋に置かない、静養させる場所を分ける。通常の保育室だけでは足りない、という前提で設計されています。
調理室が必要なのは、食事の提供が想定されているためです。
体調不良児対応型だけ、仕事の範囲が広くなります
5類型のうち、体調不良児対応型の看護師等には追加の役割が定められています。
- 「本事業を担当する看護師等は、実施保育所等における児童全体の健康管理・衛生管理等の保健的な対応を日常的に行うこと」
- 「本事業を担当する看護師等は、地域の子育て家庭や妊産婦等に対する相談支援を地域のニーズに応じて定期的に実施すること」
出典:同実施要綱(体調不良児対応型)
体調不良児を預かっていない時間も仕事があります。園全体の保健業務と、地域向けの相談支援です。「体調不良の子が出たときだけ動く」役割ではありません。
1日の流れについて、正確に書いておきます
実施要綱は、1日のタイムテーブルを定めていません。開所時間や受入れの手順、記録の様式は、実施主体である市町村と、委託を受けた施設が決めます。
要綱から確実に言えるのは、1日のなかに次の要素が入るということです。
| 要綱が求めていること | 1日のなかでの現れ方 |
|---|---|
| 看護師等による病児の看護 | 受入れ時と保育中の状態の確認 |
| 観察室・安静室の設置 | 症状に応じて静養させる場所の使い分け |
| 調理室の設置 | 食事の提供 |
| 保育士3人につき1名以上 | 1人の保育士が同時に見るのは3人まで |
| 常駐が原則(例外あり) | 看護師等と保育士がそろっている時間帯の確保 |
出典:同実施要綱より編集部が整理
具体的な時刻を伴う1日の流れは、施設ごとに違います。本記事では特定の施設の時間割を一般化して示すことはしていません。見学の際に、その施設の1日を直接聞いてください。
実施状況:4,342か所、1か所あたり年間およそ310人
| 項目 | 令和5年度 |
|---|---|
| 病児保育施設数 | 4,342か所 |
| 延べ利用児童数 | 1,348,088人 |
| 1か所あたりの年間延べ利用児童数(編集部算出) | およそ310人 |
出典:こども家庭庁「多様なニーズに対応した保育の充実②(病児保育・延長保育・一時預かり等)」(令和8年4月)。1か所あたりの数値は編集部算出
年間310人ということは、1か所あたり1日1人前後という計算になります。ただしこれは全国の平均を機械的に割ったもので、実際の利用は季節や地域で大きく偏ります。感染症の流行期に集中することは容易に想像がつきますが、月別・地域別の内訳を本記事では確認していないため書いていません。
この数字が示しているのは、毎日満員という職場ではない可能性です。利用がない日の業務がどうなっているかは、施設に確認すべき項目になります。
実施要綱は、人員や設備だけでなく受け入れの手順そのものも定めています。子どもを預かる前に置かれた手続きと、医療機関との連携について事業者側に求められていることは病児保育がきついとき|要綱は保育の前に4つの手続きを置いていますで扱っています。
見学・面接で確認できること
- どの類型か。病児対応型・病後児対応型・体調不良児対応型・訪問型・送迎対応のどれかで、仕事の中身が変わります
- 定員は何人で、保育士は何人配置されているか。要綱はおおむね3人につき1名以上を求めています
- 看護師等は常駐しているか。常駐が原則ですが例外があります。常駐でない場合、どの要件で運用しているかを聞けます
- 観察室または安静室があるか。実施要件に入っています
- 利用がない日の業務は何か。1か所あたり年間およそ310人という水準を踏まえると、これは重要な質問です
- 体調不良児対応型なら、園全体の保健業務と地域の相談支援が入ることを確認する。要綱に定められた役割です
よくある質問
Q. 保育士1人で何人まで見ますか。
病児対応型・病後児対応型では、実施要綱が「保育士を利用児童おおむね3人につき1名以上配置すること」としています。訪問型は「1名に対して1人程度」です。体調不良児対応型については保育士の配置基準ではなく、預かる体調不良児の人数を「看護師等1名に対して2人程度」としています。
Q. 看護師がいないことはありますか。
実施要綱は常駐を原則としていますが、近接病院等から駆けつけられるなど迅速な対応が可能な場合について例外を置いています。例外の要件には、緊急時に速やかに駆けつけられる職員体制の確保や、看護師等が常駐しない場合であっても保育士等を複数配置して常に複数人による保育体制を確保していることなどが含まれます。個別の施設がどの運用かは、見学時に確認してください。
Q. 1日のスケジュールはどうなっていますか。
実施要綱に1日のタイムテーブルの定めはありません。開所時間や受入れの手順は、実施主体である市町村と施設が決めます。要綱から言えるのは、看護師等による看護、観察室・安静室の使い分け、食事の提供、保育士3人につき1名以上という配置が1日のなかに入るということまでです。
迷ったらここ
見学では「類型・定員・看護師等の常駐」の3つを聞く
実施要綱は保育士を利用児童おおむね3人につき1名以上、看護師等をおおむね10人につき1名以上と定めています。1日のタイムテーブルは要綱にないので、施設ごとに直接聞くしかありません。
- どの類型か(病児対応型/病後児対応型/体調不良児対応型/訪問型/送迎対応)
- 定員は何人で、保育士は何人配置されているか(おおむね3人につき1名以上)
- 看護師等は常駐しているか(常駐が原則。例外で運用している場合はその要件)
まとめ
- 病児保育事業は5類型。病児対応型/病後児対応型/体調不良児対応型/非施設型(訪問型)/送迎対応
- 病児対応型の配置は保育士がおおむね3人につき1名以上、看護師等がおおむね10人につき1名以上
- 看護師等(看護師・准看護師・保健師・助産師)が配置され、常駐が原則。例外の要件が定められている
- 施設には観察室または安静室と調理室が必要
- 体調不良児対応型の看護師等は、園全体の保健業務と地域の相談支援も担う
- 令和5年度は4,342か所・延べ1,348,088人。1か所あたり年間およそ310人
「病児保育の1日」を検索しても、決まった答えは出てきません。要綱がタイムテーブルを定めていないからです。代わりに定められているのは、何人に1人置くか、どんな部屋が要るか、誰が常駐するか。この3つを見学で確認すれば、その施設の1日はかなり具体的に想像できます。

