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30秒でわかるまとめ
- フリーランスの栄養士は、国民年金の第1号被保険者です会社を辞めて厚生年金から外れると第1号になり、令和8年度は月額17,920円の保険料を自分で納めます。
- 会社の健康保険の後は、国保か任意継続が候補です任意継続は資格を失った日から20日以内に申し出て、最長2年です。国保の保険料は市町村ごとに決まります。
- 労災保険は、希望すれば特別加入で入れます令和6年11月1日から、企業等から業務委託を受けるフリーランスは、業種・職種を問わず特別加入できるようになりました。
- どの手続も、勤め先ではなく自分でします年金の届出は退職日の翌日から14日以内です。任意継続の申出、労災の特別加入団体への申込みも本人が動きます。
※開業したときに栄養士の資格が守ってくれない線は栄養士の開業で失敗するとき、個人で受け取る報酬の申告はベビーシッターの確定申告で扱っています。この記事は、会社を辞めてフリーランスになったときの年金・健康保険・労災保険の切り替えだけを読みます。

先に地図:会社員のときと、フリーランスになってからの違い
| 制度 | 会社に雇われている間 | フリーランスになってから | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 年金 | 厚生年金保険の被保険者(国民年金の第2号) | 国民年金の第1号被保険者 | 国民年金法 第7条第1項 |
| 健康保険 | 勤め先の健康保険の被保険者 | 国民健康保険か、元の健康保険の任意継続 | 国民健康保険法 第5条・第6条、健康保険法 第3条第4項 |
| 労災保険 | 勤め先の労災保険 | 希望する人が特別加入 | 労働者災害補償保険法施行規則 第46条の17第12号 |
| 手続をする人 | 主に勤め先 | 本人(年金・国保は世帯主も可) | 国民年金法 第12条、国民健康保険法 第9条、健康保険法 第37条 |
出典:各法令(e-Gov法令API)をもとに編集部が整理
3つとも、勤め先がしてくれていた手続が本人の側に移ります。以下、年金、健康保険、労災保険の順に条文を読みます。

年金:第1号被保険者は、条文でこう決まっています
国民年金法 第7条第1項は、被保険者を3つに分けています。第1号です。
「日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であつて政令で定めるもの(以下「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」という。)を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「第一号被保険者」という。)」
出典:国民年金法(e-Gov法令API 法令ID 334AC0000000141)第7条第1項第1号(原文どおり)
「次号」は第2号の厚生年金保険の被保険者、「第三号」は第2号被保険者に扶養される配偶者です。会社を辞めて厚生年金保険から外れ、配偶者の扶養にも入らなければ、20歳以上60歳未満の人は第1号に当たります。
日本年金機構も、退職したときの案内でこう書いています。
「健康保険(協会けんぽ)および厚生年金保険に加入している被保険者が適用事業所を退職し、しばらく次の会社に入らない場合や自営業者等になった場合には、その期間は国民年金第1号被保険者の手続きを行い、国民年金保険料を納める必要があります。」
出典:日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」1.概要(原文どおり)

届出は本人が、退職日の翌日から14日以内に
第1号への切り替えは、勤め先ではなく本人の届出です。
「被保険者(第三号被保険者を除く。次項において同じ。)は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長に届け出なければならない。」
出典:国民年金法 第12条第1項(原文どおり)
第2項は、世帯主が本人に代わって届け出ることもできるとしています。日本年金機構の案内では、手続の中身は次のとおりです。
| 項目 | 日本年金機構の案内 |
|---|---|
| 手続き先 | 住所地の市区役所または町村役場 |
| 提出書類 | 国民年金被保険者関係届書(申出書) |
| 提出期限 | 退職日の翌日から14日以内 |
| 提出者 | ご本人または世帯主 |
出典:日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
同じ案内は、退職直後の手続では、厚生年金保険などの資格喪失日を証明できるもの(離職票等)が必要になる場合がある、としています。
保険料は月額17,920円(令和8年度)。自分で納めます
国民年金法 第87条第3項は、保険料の額を「表に定める額に保険料改定率を乗じて得た額」としています。表の額は、令和元年度以後の月分で17,000円です。改定率をかけた実際の額は、国が毎年度示しています。
| 年度 | 法律に規定された額(平成16年度水準) | 実際の保険料額(月額) |
|---|---|---|
| 令和8年度 | 17,000円 | 17,920円 |
| 令和9年度 | 17,000円 | 18,290円 |
出典:国民年金法 第87条第3項の表、厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」、日本年金機構「国民年金保険料」
納める義務と期限も条文にあります。
「被保険者は、保険料を納付しなければならない。」
出典:国民年金法 第88条第1項(原文どおり)
「毎月の保険料は、翌月末日までに納付しなければならない。」
出典:国民年金法 第91条(原文どおり)
第88条第2項・第3項は、世帯主と配偶者にも連帯して納付する義務を負わせています。会社員のときは給与から引かれていた保険料を、毎月、自分で納める形に変わります。
年金に上乗せする制度も、国の資料に2つあります。国民年金基金は国民年金法 第10章(第115条以下)が定める制度で、厚生労働省は「自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者が、老後の所得保障の充実を図るために、任意で加入する制度」と説明しています。iDeCo(個人型確定拠出年金)は確定拠出年金法(平成13年法律第88号)の第3章が定める個人型年金です。本記事はどちらも制度の名前と根拠法だけを書き、加入をすすめるものではありません。
納めるのが難しいとき:免除と納付猶予があります
日本年金機構は、免除の種類をこう書いています。
「免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。」
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」1.(原文どおり)
| 制度 | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 法定免除 | 障害基礎年金等の受給権者、生活保護法による生活扶助を受けるときなど | 国民年金法 第89条 |
| 申請による全額免除 | 前年の所得が政令で定める額以下のときなどに、申請して承認されると納付を要しない | 同 第90条 |
| 一部免除 | 4分の3・半額・4分の1を、申請により納付を要しない | 同 第90条の2 |
| 学生納付特例 | 学生等である期間について、申請により納付を要しない | 同 第90条の3 |
| 納付猶予 | 30歳未満の期間と、30歳以上50歳未満の期間について、申請により納付を要しない。期間は令和17年6月まで | 平成16年法律第104号 附則第19条第2項、平成26年法律第64号 附則第14条第1項 |
出典:国民年金法 第89条〜第90条の3、同法の改正法の附則(e-Gov法令APIの国民年金法データに収録)
納付猶予は、国民年金法の本則ではなく、改正法の附則に「国民年金の保険料の免除の特例」として置かれています。日本年金機構の案内では、対象は20歳以上50歳未満の人です。
免除と納付猶予は、年金額への反映が違います。日本年金機構の表では、納付猶予の期間は受給資格期間には算入され、老齢基礎年金の年金額には反映されません。免除・納付猶予の承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば後から納付(追納)できます(国民年金法 第94条第1項、同機構の案内)。
健康保険①:国民健康保険は、住所のある都道府県・市町村で入ります
「都道府県の区域内に住所を有する者は、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とする。」
出典:国民健康保険法(e-Gov法令API 法令ID 333AC0000000192)第5条(原文どおり)
第6条は、国保の被保険者にしない人を11号で並べています。第1号が健康保険法の規定による被保険者(日雇特例被保険者を除く)、第5号が健康保険法の規定による被扶養者です。つまり、任意継続で健康保険の被保険者を続ける人や、家族の健康保険の被扶養者になる人は、市町村の国保には入りません。
届出は世帯主がします。
「世帯主は、厚生労働省令で定めるところにより、その世帯に属する被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項その他必要な事項を市町村に届け出なければならない。」
出典:国民健康保険法 第9条第1項(原文どおり)
保険料は、第76条第1項で市町村が世帯主から徴収します(地方税法の国民健康保険税を課するときは、この限りでない)。額の決め方は、次の条が委ねています。
「第七十六条から前条までに規定するもののほか、賦課額、保険料率、納期、減額賦課その他保険料の賦課及び徴収等に関する事項は、政令で定める基準に従つて条例又は規約で定める。」
出典:国民健康保険法 第81条(原文どおり)
国保の保険料(税)は、住む市町村の条例などで決まります。全国一律の金額はないため、本記事は金額を書いていません。住所地の市町村の窓口で確かめるところです。
健康保険②:任意継続は、20日以内の申出で最長2年です
健康保険法 第3条第4項は、任意継続被保険者を、適用事業所に使用されなくなったため被保険者の資格を失った人のうち、喪失の日の前日まで継続して2月以上被保険者であった人が、保険者に申し出て継続して被保険者となったもの、と定めています。申出の期限は第37条です。
「第三条第四項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から二十日以内にしなければならない。ただし、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても、受理することができる。」
出典:健康保険法(e-Gov法令API 法令ID 211AC0000000070)第37条第1項(原文どおり)
資格を失う時期は第38条です。
「任意継続被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第四号から第六号までのいずれかに該当するに至ったときは、その日)から、その資格を喪失する。一 任意継続被保険者となった日から起算して二年を経過したとき。」
出典:健康保険法 第38条 柱書・第1号(原文どおり。第2号〜第7号は下の表)
| 号 | 資格を失うとき |
|---|---|
| 第2号 | 死亡したとき |
| 第3号 | 保険料(初めて納付すべき保険料を除く)を納付期日までに納付しなかったとき |
| 第4号 | 被保険者となったとき |
| 第5号 | 船員保険の被保険者となったとき |
| 第6号 | 後期高齢者医療の被保険者等となったとき |
| 第7号 | 任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を保険者に申し出て、受理された日の属する月の末日が到来したとき |
出典:健康保険法 第38条第2号〜第7号
保険料の負担は、在職中と変わります。
「被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の二分の一を負担する。ただし、任意継続被保険者は、その全額を負担する。」
出典:健康保険法 第161条第1項(原文どおり)
国保と任意継続のどちらの負担が軽いかを、本記事は比べていません。国保は市町村の条例などで決まり、任意継続の保険料は加入していた健康保険の保険者に確かめるものだからです。両方の窓口で金額を聞いてから選ぶところです。第37条第2項により、初めての保険料を納付期日までに納めないと、任意継続被保険者とならなかったものとみなされます。
労災保険:フリーランスは「特別加入」を希望すれば入れます
会社を辞めて業務委託で働くと、勤め先の労災保険からは外れます。厚生労働省は、令和6年11月からの変更をこう書いています。
「これまで、一部のフリーランスの方々(一部の業種・職種)については特別加入することができましたが、令和6年11月1日から、企業等から業務委託を受けているフリーランスの方(特定フリーランス事業)について業種・職種を問わず特別加入することができるようになりました。」
出典:厚生労働省「令和6年11月1日から「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象となりました」(原文どおり)
省令の該当の号です。
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和五年法律第二十五号)第二条第一項に規定する特定受託事業者(以下「特定受託事業者」という。)が同条第五項に規定する業務委託事業者(以下単に「業務委託事業者」という。)から同条第三項に規定する業務委託を受けて行う事業(以下「特定受託事業」という。)又は特定受託事業者が業務委託事業者以外の者から委託を受けて行う特定受託事業と同種の事業であつて、厚生労働省労働基準局長が定めるもの」
出典:労働者災害補償保険法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 330M50002000022)第46条の17第12号(原文どおり)
栄養士という職種で区切った号ではありません。業種・職種を問わず、企業等から業務委託を受けて行う事業が対象になる書き方です。「特定受託事業者」がどんな人を指すかは、取引のルールとあわせてフリーランス栄養士の契約で扱っています。
加入の窓口は、勤め先でも労働基準監督署でもありません。
「特定フリーランス事業について、特別加入を希望される方は、都道府県労働局長の承認を受けた以下の特別加入団体に申し込んでください。加入手続は特別加入団体が行います。」
出典:同ページ「特定フリーランス事業の特別加入団体(加入手続)」(原文どおり)
団体を通じた特別加入の仕組みそのものは、労働者災害補償保険法 第35条が定めています。特別加入は、希望する人が申し込む仕組みで、勤め先が代わりに手続をしてくれるものではありません。特別加入の対象にならない受け方もあり、その例はベビーシッターの保険加入で扱っています。
この記事が扱っていないこと
- 業務委託の契約・取引のルール。フリーランス栄養士の契約で扱っています。
- 雇われて働く場合の社会保険の加入の条件と、2か所で雇われる場合の手続。10月からの社会保険の加入条件の変更と訪問介護は掛け持ちできるかで扱っています。
- 国保・任意継続・特別加入の保険料の金額と、その比較。市町村や保険者ごとに決まるため、本記事は取得していません。
- 家族の健康保険の被扶養者や、国民年金の第3号被保険者になる場合。条文の名前に触れただけで、要件は扱っていません。
- 国民健康保険組合、免除の所得の基準、失業等による特例免除の要件。本記事は取得していません。
- 病気やけがのときの給付の中身、雇用保険。本記事は扱っていません。
フリーランスの栄養士が確認できること
- 退職日はいつか。国民年金の届出は退職日の翌日から14日以内、任意継続の申出は資格を失った日から20日以内です。
- 国保と任意継続、それぞれの保険料はいくらか。住所地の市町村と、加入していた健康保険の保険者に聞いて確かめます。
- 国民年金の保険料を毎月納められるか。難しいときは、免除・納付猶予の申請ができます。
- 仕事を受ける相手は企業等か。企業等から業務委託を受けるなら、労災保険の特別加入の対象になる書き方です。
- どの特別加入団体に申し込むか。厚生労働省のページに、都道府県労働局長の承認を受けた団体が並んでいます。
保険と年金のほかに、受け取る報酬から所得税が源泉徴収されているかも、確定申告の前に確かめておくところです。その見分け方は栄養士の確定申告のやり方|源泉徴収の列挙に「栄養士」はなく、引かれるかは仕事の中身で決まりますで扱っています。
よくある質問
Q. フリーランスの栄養士は、国民年金の何号になりますか。
A. 厚生年金保険の被保険者でなく、配偶者の扶養に入る第3号でもない、日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の人は、国民年金法 第7条第1項第1号の第1号被保険者です。
Q. 国民年金の保険料はいくらですか。
A. 令和8年度は月額17,920円です。法律の表の額17,000円に保険料改定率をかけた額で、毎月の保険料は翌月末日までに納めます。
Q. 国保と任意継続は、どちらがよいですか。
A. 本記事は比べていません。国保の保険料は市町村の条例などで決まり、任意継続は保険料の全額を本人が負担します。両方の金額を窓口で確かめてから選ぶところです。任意継続の申出は資格を失った日から20日以内です。
Q. 任意継続は何年まで続けられますか。
A. 健康保険法 第38条第1号により、任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したときに資格を失います。保険料を納付期日までに納めなかったとき(初めての保険料を除く)、被保険者となったときなども資格を失います。
Q. フリーランスの栄養士も労災保険に入れますか。
A. 令和6年11月1日から、企業等から業務委託を受けているフリーランスは、業種・職種を問わず特別加入できるようになりました。希望する人が、都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体に申し込みます。
迷ったらここ
辞める前に、保険と年金の手続を確かめる
会社を辞めてフリーランスになると、年金は国民年金の第1号被保険者になり、健康保険は国保か任意継続、労災保険は特別加入に変わります。どれも勤め先ではなく本人の手続です。
- 退職日と、国民年金の届出(退職日の翌日から14日以内)・任意継続の申出(20日以内)の期限
- 国保と任意継続の保険料を、市町村と加入していた健康保険の保険者でそれぞれ確かめたか
- 仕事を受ける相手が企業等で、労災保険の特別加入の対象になる受け方か
まとめ
会社を辞めてフリーランスの栄養士になると、年金は国民年金の第1号被保険者になります(国民年金法 第7条第1項第1号)。届出は本人か世帯主が、退職日の翌日から14日以内に市区町村へ出します。保険料は令和8年度で月額17,920円で、納めるのが難しいときは免除・納付猶予の申請ができます。
健康保険は、住所地の国民健康保険か、元の健康保険の任意継続です。任意継続は20日以内に申し出て最長2年で、保険料は全額を本人が負担します。国保の保険料は市町村ごとに決まります。
労災保険は、企業等から業務委託を受けるなら特別加入の対象で、希望する人が特別加入団体に申し込みます。3つとも、勤め先ではなく自分で手続をします。

