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30秒でわかるまとめ
- 栄養士の報酬から引かれるかは、仕事の中身で決まります所得税法第204条は源泉徴収する報酬を列挙していますが、資格名を並べた号に栄養士は入っていません。
- 原稿・講演・料理の教室は、列挙の側に入っています原稿料や講演料は第204条第1項第1号にあり、料理などの教授・指導料も国税庁の資料で同じ号の側に挙がっています。
- 引かれる率は、100万円以下の部分で10.21%です100万円を超える部分は20.42%です。令和9年1月以後も合計の率は変わらないと国税庁は書いています。
- 引かれた所得税は、確定申告で差し引きます申告書には源泉徴収をされた所得税の額を書き、納め過ぎの分は還付を受けるための申告ができます。
※個人で受け取るお金の所得の区分はベビーシッターの確定申告、会社を辞めたときの年金・健康保険の切り替えはフリーランス栄養士の保険と年金で扱っています。この記事は、栄養士が受け取る報酬から所得税が源泉徴収されるかどうかと、それが申告の作業をどう変えるかだけを読みます。

先に地図:受け取り方ごとに、申告の作業が変わります
フリーランスや副業の栄養士が受け取るお金は、仕事の種類によって、支払の時点で所得税が引かれているものと、引かれていないものに分かれます。本記事が一次資料で確かめた範囲を、先に表にします。
| 受け取り方 | 支払の時点の源泉徴収 | 根拠 |
|---|---|---|
| 雑誌・書籍の原稿、書籍の監修 | 対象(原稿の報酬) | 第204条第1項第1号 |
| セミナーなどの講演 | 対象(講演料) | 第204条第1項第1号 |
| 料理教室・資格取得講座の講師 | 対象(技芸・知識等の教授・指導料) | 第204条第1項第1号、施行令第320条第1項、あらましの例示 |
| 個別の栄養指導・献立作成・レシピ開発の受託 | 本記事が取得した資料に、この名前での記載はありません | 契約の中身しだい。個別は税務署へ |
| 雇われて受け取る給与 | 報酬としてではなく、給与として源泉徴収 | 第204条第2項第1号 |
| 給与を払っていない個人から受け取る報酬 | 第1号の報酬でも、源泉徴収されない | 第204条第2項第2号 |
出典:所得税法(e-Gov法令API 法令ID 340AC0000000033)第204条、所得税法施行令(同 340CO0000000096)第320条、国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし」をもとに編集部が整理
引かれている報酬があるかどうかで、確定申告ですることが1つ増えます。引かれた額を申告書に書いて差し引く作業です。以下、条文の順に読みます。

まず条文:源泉徴収する報酬は、第204条第1項が列挙しています
報酬を支払う側の義務を定めているのが、所得税法 第204条第1項です。
「居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。」
出典:所得税法 第204条第1項 柱書(原文どおり)
主語は支払をする者です。引いて国に納めるのは支払う側で、受け取る栄養士の側は、引かれた後の額を受け取ることになります。
列挙は第1号から第8号まであります。その第1号です。
「原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金」
出典:所得税法 第204条第1項第1号(原文どおり)
第1号は、原稿、講演といった「何をしたか」で報酬を並べています。誰が書いたか、誰が話したかは問わない書き方です。

ここが本題:資格名で並ぶ第2号に「栄養士」はありません
第2号は、書き方が違います。資格の名前で並べています。
「弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金」
出典:所得税法 第204条第1項第2号(原文どおり)
「政令で定めるもの」は、所得税法施行令 第320条第2項が、計理士、会計士補、企業診断員、測量士補、建築代理士、不動産鑑定士補、火災損害鑑定人、自動車等損害鑑定人、技術士補と定めています。
出典:所得税法施行令 第320条第2項
第204条と施行令第320条のどこにも、「栄養士」「管理栄養士」「栄養」という語はありません。弁護士や税理士のように「その資格の業務に関する報酬」だから引かれる、という形には、栄養士はなっていないということです。
そのかわり、栄養士の仕事でも、中身が第1号の行為に当たれば引かれます。どの仕事が当たるかを、次に見ます。
原稿・講演・料理の教室は、第1号の側に入ります
第1号の「これらに類するもので政令で定める報酬又は料金」を、施行令 第320条第1項が並べています。その中に、次の部分があります。
「技芸、スポーツその他これらに類するものの教授若しくは指導若しくは知識の教授の報酬若しくは料金」
出典:所得税法施行令 第320条第1項(該当部分を原文どおり。前後の列挙は省略)
国税庁の「令和8年版 源泉徴収のあらまし」は、第1号に当たるものと当たらないものを表にしています。栄養士の仕事に関係しそうな行を抜き出します。
| 区分 | 当たるものとして挙がっているもの |
|---|---|
| 原稿の報酬 | 原稿料、口述の報酬、書籍等の編さん料又は監修料など |
| 講演の報酬・料金 | 講演を依頼した場合の講師に支払う謝金 |
| 技芸、スポーツ、知識等の教授・指導料 | 実技指導等の教授・指導、知識の教授の報酬・料金。例として、編物、ペン習字、着付、料理、ダンスなどの教授・指導料や、各種資格取得講座の講師謝金等 |
出典:国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし」第5 報酬・料金等の源泉徴収事務 170〜173ページ(第204条第1項第1号の表から抜粋)
料理教室の講師料は、国税庁の資料が例に「料理」を挙げている行に当たります。レシピ本の監修料は「書籍等の編さん料又は監修料」の行です。
逆に、同じ「書く仕事」でも外れるものがあります。国税庁のタックスアンサーは、原稿料についてこう書いています。
「原稿料には、試験問題の出題料や答案の採点料などは含まれません。」
出典:国税庁 タックスアンサー No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」(原文どおり)
個別の栄養指導と、献立・レシピの受託は、資料に名前がありません
本記事が取得した第204条、施行令第320条、タックスアンサー No.2792・No.2795、源泉徴収のあらましの報酬・料金の章には、「栄養指導」「献立」「レシピ」という語は出てきません。
考えられる当てはめは2つあります。
- 個別の栄養指導・栄養相談:施行令第320条第1項の「知識の教授」に当たるのか、当たらないのか。本記事が取得した国税庁の資料には、この点を書いた記載がありませんでした。
- 献立作成・レシピ開発の受託:納めるものが雑誌に載る原稿なのか、写真なのか、企業の商品開発の作業なのかで、第1号のどの行に当たるか、どれにも当たらないかが変わり得ます。
本記事は「栄養指導の報酬は源泉徴収されない」とは書きません。呼び名ではなく実態で見る、と国税庁が書いているためです。
「謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われていても、その実態が報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象になります。」
出典:国税庁 タックスアンサー No.2792「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」注意事項2(原文どおり)
迷う仕事は、契約の中身(何を納めるのか、講座なのか個別の相談なのか)を書き出して、税務署に確かめるところです。受け取る側にとって一番確かな手がかりは、支払明細に源泉徴収の額が書かれているかどうかです。
引かれる額:100万円以下の部分は10.21%です
税率そのものは、所得税法 第205条第1号が、第204条第1項第1号・第2号などの報酬について「百分の十」(同一人に1回に支払われる金額が百万円を超える部分は「百分の二十」)と定めています。実際に引かれる率は、これに復興特別所得税を加えたもので、国税庁は次のように示しています。
| 支払金額(A) | 源泉徴収される税額 |
|---|---|
| 100万円以下 | A×10.21% |
| 100万円超 | (A−100万円)×20.42%+102,100円 |
出典:国税庁 タックスアンサー No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」(令和8年4月1日現在法令等)。1円未満の端数は切り捨て
No.2795 は、150万円の原稿料を支払う場合の例として、税額を204,200円としています。編集部試算で、講演料が1回50,000円なら、50,000円×10.21%=5,105円が引かれ、50,000円−5,105円=44,895円を受け取る計算です。
令和8年度の税制改正で防衛特別所得税が創設され、令和9年1月1日以後に生ずる所得については、所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税を併せて源泉徴収します。率について、国税庁はこう書いています。
「改正前後で、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じません。」
出典:国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし(令和9年1月以後の源泉徴収)」(原文どおり)
同じ資料は、合計税率を「所得税率×102.1%」とし、所得税率10%なら10.21%、20%なら20.42%と示しています。
引かれない場合:給与として払われるときと、支払者が個人のとき
第204条第2項は、第1項を適用しないものを定めています。栄養士に関係するのは、次の2つです。
| 号 | 適用しないもの |
|---|---|
| 第1号 | 第1項の報酬・料金のうち、給与等(又は退職手当等)に該当するもの |
| 第2号 | 第1項第1号から第5号までなどの報酬・料金のうち、給与等について所得税を徴収して納付すべき個人以外の個人から支払われるもの |
出典:所得税法 第204条第2項第1号・第2号
第1号は、雇われて講師をする場合などで、受け取るお金が給与に当たるときです。この場合は報酬としてではなく、給与として源泉徴収されます。
第2号について、国税庁のタックスアンサー No.2793 は、報酬・料金等の支払者が個人で、「その個人が給与等の支払者でないとき」は、源泉徴収する必要はないとしています(原文どおり。ほかの場合とホステス等の例外は省略)。
同じ料理教室の講師料でも、会社から受け取るか、従業員を雇っていない個人から受け取るかで、引かれるかどうかが変わり得ます。どちらの場合も、受け取った報酬を申告する必要がなくなるわけではありません。
確定申告で、引かれた分を差し引きます
源泉徴収は、税の前払いのような位置づけです。所得税法 第120条第1項は、確定申告書に書く事項を各号で並べ、第4号で、各種所得につき「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」がある場合に、計算した所得税の額からその源泉徴収税額を控除した金額を書くとしています(原文の一部)。
出典:所得税法 第120条第1項第4号
差し引ききれない場合の定めもあります。
| 条 | 定め |
|---|---|
| 第122条第1項第2号 | 第120条第1項第4号の計算上控除しきれなかつた源泉徴収税額がある場合には、還付を受けるため、申告書を提出することができる |
| 第138条第1項 | 申告書にその金額の記載があるときは、税務署長は、その金額に相当する所得税を還付する |
出典:所得税法 第122条第1項第2号、第138条第1項
つまり、確定申告の作業は受け取り方で変わります。
- 引かれた報酬がある人:取引先ごとに、支払金額と源泉徴収された額を控えておき、申告書の源泉徴収税額に書きます。
- 引かれていない報酬だけの人:差し引く額はありません。計算した所得税をそのまま納める形になります。
- 引かれた額が多かった人:控除しきれない分は、還付を受けるための申告ができます。
申告が要るかどうか、所得の区分、申告の期間は、給与との関係も含めてベビーシッターの確定申告で扱っています。
開業の届出と青色申告:期限は条文にあります
事業として始める場合の手続は、必要な範囲だけ書きます。
| 手続 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 開業等の届出(個人事業の開廃業等届出書) | 事業を開始した日の属する年分の確定申告期限まで | 所得税法 第229条 |
| 青色申告の承認の申請 | その年3月15日まで(その年1月16日以後に新たに業務を開始した場合は、開始した日から2月以内) | 所得税法 第144条 |
出典:所得税法 第229条、第144条、国税庁 タックスアンサー No.2090「新たに事業を始めたときの届出など」
青色申告の対象は、第143条に書かれています。
「不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行なう居住者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、確定申告書及び当該申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができる。」
出典:所得税法 第143条(原文どおり)
「提出することができる」という書き方で、青色申告は承認を受けた人が選ぶ仕組みです。対象は事業所得などを生ずべき業務で、副業の報酬がどの所得に当たるかによって、この条を使えるかが変わります。
この記事が扱っていないこと
- 個別の栄養指導、献立作成、レシピ開発の報酬が源泉徴収の対象かどうかの判定。本記事が取得した国税庁の資料に記載がありませんでした。個別は税務署に確認してください。
- 所得の区分(事業所得か、そうでないか)と、確定申告が要らない場合の条件。ベビーシッターの確定申告で扱っています。
- 業務委託の契約や報酬の支払期日のルール。フリーランス栄養士の契約で扱っています。
- 青色申告の特典の中身、消費税、インボイス制度、支払調書。本記事は取得していません。
- 所得税の税額計算の例と、所得控除の金額。個々の事情で変わるため、本記事は計算していません。
フリーランス・副業の栄養士が確認できること
- その仕事は、原稿か、講演か、講座の講師か。第204条第1項第1号と施行令第320条第1項の行為に当たれば、源泉徴収の対象になります。
- 支払明細に、源泉徴収の額が書かれているか。引かれていれば、その額を確定申告で差し引きます。
- 支払う相手は会社か、個人か。給与を払っていない個人からの支払は、第204条第2項第2号の場面です。
- 雇用か、業務委託か。給与に当たるなら、報酬ではなく給与として源泉徴収されます。
- 判断に迷う仕事の契約の中身。何を納めるのかを書き出して、税務署に確かめます。
SNSで自分の講座を宣伝したり、企業から頼まれて投稿したりするときの表示の決まり(ステマ規制)は栄養士のSNS集客|ステマ規制の対象は広告主。自分の講座を宣伝すると、栄養士本人がその広告主ですで扱っています。
よくある質問
Q. 栄養士の報酬からは、所得税が源泉徴収されますか。
A. 仕事の中身によります。所得税法 第204条第1項は、資格の名前で並べた第2号に栄養士を入れていません。一方で、原稿料や講演料(第1号)、技芸や知識の教授・指導料(施行令 第320条第1項。国税庁の資料は例に料理を挙げています)は、栄養士が受け取る場合でも源泉徴収の対象です(給与を払っていない個人からの支払などを除きます)。
Q. 料理教室の講師料は引かれますか。
A. 国税庁の「令和8年版 源泉徴収のあらまし」は、技芸、スポーツ、知識等の教授・指導料の例に「料理」の教授・指導料を挙げています。ただし、支払者が給与を払っていない個人の場合は、第204条第2項第2号により源泉徴収されません。
Q. 個別の栄養指導の報酬はどうですか。
A. 本記事が取得した国税庁の資料には、栄養指導についての記載がありませんでした。施行令 第320条第1項の「知識の教授」に当たるかどうかは契約の中身で変わり得るため、税務署に確認してください。
Q. 引かれる率はいくらですか。
A. 国税庁のタックスアンサー No.2795 では、支払金額が100万円以下なら10.21%、100万円を超える部分は20.42%です。令和9年1月以後も、合計の率は変わらないと国税庁は示しています。
Q. 引かれた所得税は、どうなりますか。
A. 確定申告で、計算した所得税の額から差し引きます(所得税法 第120条第1項第4号)。控除しきれない分は、還付を受けるための申告ができます(第122条第1項第2号、第138条第1項)。
迷ったらここ
報酬から引かれる税を確かめる
所得税法第204条の源泉徴収の列挙に、資格名としての栄養士は入っていません。原稿・講演・料理などの教授の報酬は対象で、100万円以下の部分は10.21%が引かれます。
- その仕事が原稿・講演・講座の講師に当たるか、契約の中身で確かめたか
- 支払明細に、源泉徴収された額が書かれているか
- 雇用(給与)か業務委託(報酬)か、支払う相手が会社か個人か
まとめ
報酬から所得税を源泉徴収するかどうかは、所得税法 第204条第1項の列挙で決まります。資格名で並べた第2号と施行令 第320条第2項に、栄養士は入っていません。そのかわり、原稿・監修・講演・料理などの教授は第1号の側に入り、栄養士が受け取っても引かれます(給与に当たる場合や、給与を払っていない個人からの支払を除きます)。
引かれる率は100万円以下の部分で10.21%、超える部分は20.42%で、令和9年1月以後も合計の率は変わりません。給与に当たるときと、給与を払っていない個人から受け取るときは、報酬としての源泉徴収はされません。
確定申告では、引かれた額を書いて差し引き、控除しきれない分は還付を受けるための申告ができます。個別の栄養指導や献立・レシピの受託は、国税庁の資料に記載がなく、契約の中身を税務署に確かめるところです。

