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30秒でわかるまとめ
- ベビーシッターの賠償責任保険は、基準で「加入するなど」です指導監督基準は、賠償責任保険に加入するなど、保育中の万が一の事故に備えることと定めています。
- 届出・公開・書面・毎年の報告に、保険の欄があります施行規則の4つの条が、契約している保険の種類、保険事故及び保険金額を書かせています。
- 事故の報告を定めた条は、保険に触れていません施行規則の第49条の7の2は、事故が発生したら速やかに都道府県知事に報告するよう定めています。
- 雇われるか請け負うかで、労災保険の扱いが変わります労働契約を結んで働く人には労災保険が適用され、企業等から業務委託を受けるフリーランスは特別加入できます。
※ベビーシッターの資格と届出はベビーシッターに資格は必要か、受け取る報酬の申告はベビーシッターの確定申告で扱っています。

先に地図:「保険」の話は、3つの層に分かれます
| 層 | 資料 | 保険について書いていること |
|---|---|---|
| 国の基準(通知) | 認可外保育施設指導監督基準 | 事故への備えとしての賠償責任保険 |
| 府令 | 児童福祉法施行規則 | 届け出る・公開する・書面で渡す・毎年報告する事項としての保険の種類、保険事故及び保険金額 |
| 法律 | 労働者災害補償保険法と同法施行規則 | シッター本人のけが等に備える労災保険と、その特別加入 |
出典:各資料をもとに編集部が整理
前の2つは預かる子どもに事故が起きたときの備え、3つめはシッター本人の備えです。こども家庭庁のガイドラインは、ベビーシッターの実施の形態として、複数のベビーシッターを雇用等しておこなう事業者と、個人でおこなうベビーシッターの2つを挙げています。この違いが、3つめの層で効いてきます。

ここが本題:指導監督基準は「賠償責任保険に加入するなど」です
認可外保育施設指導監督基準の「第7 健康管理・安全確保」の「(8) 安全確保」に、次の項目があります。
「賠償責任保険に加入するなど、保育中の万が一の事故に備えること。」
出典:こども家庭庁「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」(令和6年3月29日こ成保第206号、第2次改正 令和8年4月2日こ成保第317号)別添「認可外保育施設指導監督基準」第7(8)ケ(原文どおり)
すぐ後のコは、事故が起きたときの報告です。
「事故発生時には速やかに当該事実を都道府県知事等に報告すること。」
出典:同 第7(8)コ(原文どおり)
基準の考え方を示す枠内には、次の一文もあります。
「賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行うことができるよう備えておくこと。」
出典:同 第7(8)の考え方(原文どおり)
(8)の中で居宅訪問型(ベビーシッター)を外しているのは、送迎用の自動車に置く装置を定めたキだけです。ケの賠償責任保険の項目は、ベビーシッターにもかかる書き方になっています。
令和8年4月2日の第2次改正の新旧対照表では、(8)のア〜ケは「(略)」で、変わっていません。改正されたのは、コの考え方が参照する事故報告の通知が、令和8年3月30日こ成安第45号通知に差し替わった点です。

書き方の強さ:「加入しなければならない」とは書かれていません
ケの文末は「備えること」で、その手段の例として「賠償責任保険に加入するなど」と書いています。同じ通知の標準様式も、居宅訪問型の設置届出書(様式1-2は事業者、1-3は個人)と報告徴収(様式5-2・5-3)の保険加入状況の欄を「加入」と「未加入」に分け、保険の種類を賠償責任保険・傷害保険・その他としています。
留意事項9は、届出事項をこう説明しています。
「保育する乳幼児に関して契約している保険の種類、保険事故及び保険金額(加入の有無、加入している保険の種類(損害賠償保険・傷害保険・その他)、契約期間、給付対象、補償上限額)」
出典:同 指針 留意事項9(原文どおり)
様式の記入上の注意は、対象を子どもに関する保険に絞っています。
「保険加入状況については、利用児童に関する保険に限定し、事業所設備に対する火災保険等は含めないでください。」
出典:同 標準様式1-3の記入上の注意【10】(原文どおり。続けて、契約書類の添付を求めています)
本記事が取得した法令と通知には、ベビーシッターに保険への加入を義務づける書き方は見当たりませんでした。一方で、基準は事故への備えを求め、届出は保険に入っているかどうかを書かせて都道府県等が把握する作りです。なお、この通知は、自らを地方自治法 第245条の4第1項の技術的な助言に当たると書いています。
施行規則で保険が出てくるのは、4つの条です
児童福祉法施行規則は、認可外保育施設の手続の中で、同じ言葉を4回使っています。
「保育する乳幼児に関して契約している保険の種類、保険事故及び保険金額」
出典:児童福祉法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100011)第49条の3第8号(原文どおり)
| 条・号 | どの手続か |
|---|---|
| 第49条の3第8号 | 設置したときの届出事項 |
| 第49条の5第8号 | 掲示し、インターネットで公衆の閲覧に供する事項 |
| 第49条の6第4号 | 利用契約が成立したときに交付する書面の事項 |
| 第49条の7第12号 | 毎年の運営状況の報告の事項 |
出典:児童福祉法施行規則 第49条の3、第49条の5、第49条の6、第49条の7
4つとも、書かせているのは「契約している保険」の中身です。届出そのものの仕組みはベビーシッターに資格は必要かで扱っています。
事故の報告:条文に保険は出てきません
事故の報告は、施行規則 第49条の7の2が定めています。
「法第五十九条の二第一項に規定する施設の設置者は、当該施設におけるサービスの提供による事故の発生又はその再発の防止に努めるとともに、事故が発生した場合は、速やかに当該事実を都道府県知事に報告しなければならない。」
出典:児童福祉法施行規則 第49条の7の2第1項(原文どおり)
第2項は、報告を受けた都道府県知事が施設の所在地の市町村長に通知すると定めています。この条に、保険や賠償の語はありません。報告は「しなければならない」、事故の防止は「努める」という書き分けです。
指導監督基準の側でも、保険(ケ)と報告(コ)は別の項目として並んでいます。保険に入っていても、事故の報告は別に要る、という組み立てです。
マッチングサイトを通じて働く場合のガイドライン
「子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン」(平成27年6月、令和3年3月改訂版)は、サイト運営者と保育者の両方に、保険について書いています。
「さらに、事故への備えとして、保育者に対し、賠償責任保険への加入を促すこと。または、マッチングサイト運営者として一括して保険に加入すること。」
出典:子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン 3(5)(マッチングサイト運営者が遵守すべき事項。原文どおり)
「保育者は、賠償責任保険に加入するなど、保育中の万が一の事故に備えること。」
出典:同 4(7)(マッチングサイトの利用規約に定めるべき事項。原文どおり)
4(7)の文は、指導監督基準のケとほぼ同じ書き方です。ガイドラインは、運営者が一括して保険に加入することも選択肢として挙げています。登録するサイトが一括で入っているのか、自分で入る前提なのかは、規約で確かめるところです。
こども家庭庁の「認可外の居宅訪問型保育(いわゆるベビーシッター)に関するガイドライン」(令和8年3月現在)も、ベビーシッター向けにこう書いています。
「万が一の事故に備えて、保育中の事故等に関する保険へ加入し、備えましょう。」
出典:こども家庭庁「認可外の居宅訪問型保育(いわゆるベビーシッター)に関するガイドライン」5-4 保険の確認を(原文どおり)
保護者の側には「保険の確認」が案内されています
こども家庭庁の「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」は、10項目のうち6つめを保険にあてています。
「万が一の事故に備えて、保険に加入しているかやその内容、金額を確認しましょう。ベビーシッターを派遣した事業者やマッチングサイトの運営者等にも同様に確認しましょう。」
出典:こども家庭庁「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」6. 保険の確認を(原文どおり)
働く側から見ると、保護者から保険について聞かれることを前提に、答えを用意しておくことになります。施行規則 第49条の6第4号で、契約時の書面にも保険の種類・保険事故・保険金額が入ります。
労災保険:雇われるか、請け負うかで仕組みが違います
ここからは、子どもではなくシッター本人のけが等への備えです。労働者災害補償保険法 第3条第1項です。
「この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。」
出典:労働者災害補償保険法(e-Gov法令API 法令ID 322AC0000000050)第3条第1項(原文どおり)
厚生労働省のリーフレットは、制度をこう説明しています。
「労災保険は、労働者が仕事または通勤によって被った災害に対して補償する制度です。労働者以外の方でも、一定の要件を満たす場合に任意加入でき、補償を受けることができます。これを「特別加入制度」といいます。」
出典:厚生労働省リーフレット「令和6年11月から労災保険に特別加入できるようになりました フリーランスの皆さまへ」(原文どおり)
| 働き方 | 労災保険の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 事業者と労働契約を結んで働く | 労働者として、特別加入せずとも労災保険が適用される | 労災保険法 第3条第1項、同リーフレット |
| 企業等から業務委託を受けて請け負う(フリーランス) | 令和6年11月1日から、特定フリーランス事業として特別加入できる。手続は特別加入団体を通じて行う | 労災保険法 第33条第3号、同法施行規則 第46条の17第12号、厚生労働省のページ |
| 保護者(消費者)からだけ委託を受けて請け負う | 特定フリーランス事業の対象とならない | 同リーフレット |
出典:労働者災害補償保険法 第3条第1項・第33条、同法施行規則 第46条の17第12号、厚生労働省のフリーランスの特別加入のページ・同リーフレット
リーフレットは、契約の名前より実態を見ると書いています。
「労働契約を締結している場合や、取引の形式に関わらず、実態として労働者と認められる場合は、特別加入せずとも労災保険が適用されます。」
出典:同リーフレット(原文どおり)
対象外の書き方も、原文で確認します。
「消費者のみから委託を受ける場合や、企業等からの業務委託を受けているが、当該業務とは異なる事業について、消費者から委託を受ける場合は、対象となりません。」
出典:同リーフレット(原文どおり)
一方、特別加入の別の区分として、施行規則 第46条の18第5号ロが「炊事、洗濯、掃除、買物、児童の日常生活上の世話及び必要な保護その他家庭において日常生活を営むのに必要な行為」の作業を挙げています(原文どおり)。リーフレットも、特定フリーランス事業以外の特別加入の作業として家事支援従事者(いわゆる家政婦(夫))を挙げ、該当する特別加入団体を通じて加入するよう案内しています。自分の働き方がどの区分に当たるかは、都道府県労働局または労働基準監督署に確かめるところです。
この記事が扱っていないこと
- 民間の保険の商品名・保険会社・保険料・補償の金額、労災保険の特別加入の保険料と給付の内容。本記事では扱っていません。
- 「教育・保育施設等における事故の報告等について」(令和8年3月30日こ成安第45号)の中身。報告の様式や期限は、本記事は取得していません。
- 家庭に直接雇われる場合の労災保険の扱い。当てはめは、本記事は取得した資料で判断していません。
- 保育に従事する者の研修の要件。指導監督基準の第1にありますが、本記事は保険に絞りました。研修の呼び名については子育て支援員とはで扱っています。
ベビーシッターとして働く前に確認できること
- 雇用か業務委託か。労働契約なら労災保険が適用され、業務委託なら特別加入の対象かを確かめます。
- 事業者やサイトが一括で賠償責任保険に入っているか。マッチングサイトのガイドラインは、運営者が一括して加入することも挙げています。
- 自分で入る前提なら、どの事故が対象か。届出では保険の種類・保険事故・保険金額を書きます。
- 契約時の書面に保険の欄があるか。施行規則 第49条の6第4号の事項です。
- 事故が起きたときの報告の流れ。都道府県知事への報告は、保険とは別に求められます。
よくある質問
Q. ベビーシッターは保険に加入する必要がありますか。
A. 認可外保育施設指導監督基準は「賠償責任保険に加入するなど、保育中の万が一の事故に備えること」としています。本記事が取得した法令と通知には、加入を義務づける書き方は見当たりませんでした。届出の様式には「加入」と「未加入」の欄があります。
Q. 届出では、保険について何を書きますか。
A. 施行規則 第49条の3第8号の「保育する乳幼児に関して契約している保険の種類、保険事故及び保険金額」です。指針の留意事項9は、加入の有無、契約期間、給付対象、補償上限額なども挙げています。
Q. 保育中に事故が起きたら、どこに報告しますか。
A. 施行規則 第49条の7の2第1項は、事故が発生した場合は速やかに都道府県知事に報告しなければならないと定めています。この条は保険に触れていません。
Q. 個人で請け負うシッターも労災保険に入れますか。
A. 令和6年11月1日から、企業等から業務委託を受けているフリーランスは特定フリーランス事業として特別加入できます。消費者のみから委託を受ける場合は、特定フリーランス事業の対象となりません。別の区分に当たるかどうかは、労働局や労働基準監督署に確かめてください。
Q. マッチングサイト経由のとき、保険は誰が入りますか。
A. マッチングサイトのガイドラインは、運営者に、保育者に賠償責任保険への加入を促すこと、または運営者として一括して保険に加入することを求めています。どちらの運用かは、サイトの規約で確かめるところです。
迷ったらここ
シッターの保険は契約前に確かめる
国の指導監督基準は「賠償責任保険に加入するなど、保育中の万が一の事故に備えること」と定めています。シッター本人のけがへの備えは、雇われるか業務委託かで労災保険の扱いが変わります。
- 事業者やマッチングサイトが賠償責任保険に一括で入っているか、自分で入る前提か
- 自分で入るなら、保険の種類・保険事故・保険金額は何か(届出や契約時の書面に書く事項)
- 契約は雇用か業務委託か(労災保険が適用されるか、特別加入の対象か)
まとめ
ベビーシッターの保険は、国の認可外保育施設指導監督基準で「賠償責任保険に加入するなど、保育中の万が一の事故に備えること」と書かれています(第7(8)ケ)。届出の様式には「未加入」の欄もあり、本記事が取得した法令と通知に加入を義務づける書き方はありませんでした。
児童福祉法施行規則は、届出・公開・契約時の書面・毎年の報告の4か所で、契約している保険の種類、保険事故及び保険金額を書かせています。事故の報告を定めた第49条の7の2は、保険に触れていません。
シッター本人の備えでは、労働契約を結んで働けば労災保険が適用され、企業等から業務委託を受けるフリーランスは令和6年11月1日から特別加入できます。消費者のみから委託を受ける場合は、特定フリーランス事業の対象となりません。

