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30秒でわかるまとめ
- 介護職だけの離職率は、産業別の数字からは出せません雇用動向調査は働く人を事業所の産業で分けます。介護の事業所の数字には、保育所や事務の人も入ります。
- 医療・福祉の離職率は14.3%、産業計は13.7%です2025年1年間の数字です。一般労働者は13.6%、パートタイム労働者は15.9%でした。
- 介護を含む中分類で計算すると、離職率は15.5%になります社会保険・社会福祉・介護事業の離職者599.7千人を、年初の3,875.2千人で割った編集部の試算です。
- 国が事業所に求める取組は、処遇改善加算の要件にあります加算を取る事業所は、入職促進や両立支援など、区分ごとの取組を行うことになっています。
※国以外の団体の調査で見た介護職の離職率と辞めた理由は介護職を辞めたいと思ったら、処遇改善加算の要件と金額は介護の処遇改善加算はいくらもらえるかで扱っています。

まず定義:離職率は「1月1日の人数」に対する1年間の離職者の割合です
この記事で使うのは、厚生労働省の雇用動向調査です。e-Statには令和7(2025)年の結果が2026年8月31日に掲載されており、取得時点で最新でした。離職率の計算のしかたは、用語の定義に書かれています。
「常用労働者数に対する入(離)職者数の割合をいい、次式により算出している。」
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」主な用語の定義「入(離)職率」(原文どおり)
式は次のとおりです。
離職率 = 1年間の離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100(%)
押さえておきたい点が3つあります。
- 分母は年初の人数です。1年間に辞めた人を、1月1日に働いていた人の数で割ります。
- 対象は「5人以上の常用労働者を雇用する事業所」です。調査の概要が、調査の範囲をこう定めています。それより小さい事業所は入っていません。
- パートタイム労働者も含みます。一般労働者とパートタイム労働者に分けた数字も公表されています。

ここが本題:介護職だけの離職率は、この統計には出てきません
雇用動向調査の産業別の数字は、日本標準産業分類で分けられています。分類の一般原則は、分ける単位を次のように定めています。
「本分類を適用する単位は,一事業所ごとである。なお,個人に本分類を適用する場合は,個人の属する事業所を単位とする。」
出典:総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)」一般原則 第5項 分類の適用単位(原文どおり)
つまり、働く人は「何の仕事をしているか」ではなく、「どの事業所で働いているか」で分けられます。介護に近い区分は、大分類「医療,福祉」の中にある中分類「社会保険・社会福祉・介護事業」です。
「この中分類には,社会保険,社会福祉又は介護事業を行う事業所及び更生保護事業を行う事業所が分類される。」
出典:総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)」大分類P-医療,福祉 中分類85 総説(原文どおり)
この中分類に入る小分類は、次のとおりです。
| 小分類 | 細分類の例 |
|---|---|
| 社会保険事業団体 | 社会保険事業団体 |
| 福祉事務所 | 福祉事務所 |
| 児童福祉事業 | 保育所、その他の児童福祉事業 |
| 老人福祉・介護事業 | 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業、認知症老人グループホーム、有料老人ホーム |
| 障害者福祉事業 | 居住支援事業、その他の障害者福祉事業 |
| その他の社会保険・社会福祉・介護事業 | 更生保護事業ほか |
出典:総務省「日本標準産業分類(平成25年10月改定)」分類項目名、説明及び内容例示 中分類85
この分け方から、次のことが言えます。
- 保育所や福祉事務所で働く人も、同じ中分類に入ります。介護の事業所だけの数字ではありません。
- 介護の事業所で働く看護師や事務の人も入ります。職種で分けていないためです。
- 病院で働く介護の人は入りません。病院(一般病院)は中分類「医療業」に分類されます。
雇用動向調査には職業別の表もあります。ただ、e-Statに掲載された令和7年の表の表題は、職業についてはすべて「職業(大分類)」で、介護の仕事だけを取り出した表はありません。
国の雇用動向調査で「介護の離職率」として言えるのは、医療,福祉か、社会保険・社会福祉・介護事業の数字までです。

医療,福祉の離職率は14.3%。産業計の13.7%を0.6ポイント上回りました
2025年1年間の、産業計と医療,福祉の数字です。
| 区分 | 1月1日現在の常用労働者数 | 入職者数 | 離職者数 | 入職率 | 離職率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 産業計 | 51,337.6千人 | 7,526.8千人 | 7,052.6千人 | 14.7% | 13.7% |
| 医療,福祉 | 8,398.6千人 | 1,215.2千人 | 1,200.2千人 | 14.5% | 14.3% |
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」付属統計表2-1・2-2
離職者の人数は、16の産業の中で医療,福祉がいちばん多い1,200.2千人でした。ただし働いている人も多いため、率にすると14.3%です。産業計の13.7%との差は0.6ポイントです。
働き方で分けると、数字はこう変わります。
| 就業形態 | 医療,福祉 2024年 | 医療,福祉 2025年 | 産業計 2024年 | 産業計 2025年 |
|---|---|---|---|---|
| 計 | 13.8% | 14.3% | 14.2% | 13.7% |
| 一般労働者 | 13.1% | 13.6% | 11.5% | 11.4% |
| パートタイム労働者 | 15.7% | 15.9% | 21.4% | 19.9% |
出典:同 付属統計表2-2(離職率)
一般労働者では医療,福祉のほうが高く、パートタイム労働者では産業計のほうが高いという並びです。どちらの働き方の数字を見るかで、印象が変わります。
介護を含む中分類で計算すると15.5%。医療業は13.1%です
医療,福祉の14.3%には、病院や診療所などの「医療業」も入っています。中分類ごとの入職率・離職率は、結果の概要の表にはありません。そこで、e-Statに掲載された中分類の人数を使って、編集部が同じ式で計算しました。
| 区分 | 1月1日現在の常用労働者数 | 離職者数 | 離職率 |
|---|---|---|---|
| 産業計(公表値) | 51,337.6千人 | 7,052.6千人 | 13.7% |
| 医療,福祉(公表値) | 8,398.6千人 | 1,200.2千人 | 14.3% |
| 医療業(編集部試算) | 4,396.5千人 | 576.7千人 | 13.1% |
| 社会保険・社会福祉・介護事業(編集部試算) | 3,875.2千人 | 599.7千人 | 15.5% |
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査」e-Stat掲載表 第1表(産業(中分類)別常用労働者数、上期の年初の人数)・第31表(産業(中分類)別離職者数、年計)。率は編集部算出
計算式:599.7千人 ÷ 3,875.2千人 × 100 = 15.5%
同じ表の医療,福祉の人数で計算すると、1,200.2千人 ÷ 8,398.6千人 × 100 = 14.3%で、公表されている離職率と一致します。計算のしかたが公表値と同じであることは、ここで確かめました。
社会保険・社会福祉・介護事業の15.5%は、産業計の13.7%より1.8ポイント、医療業の13.1%より2.4ポイント高い数字です。入職者は573.7千人で、離職者のほうが26.0千人多い年でした。
一般労働者は産業計より高く、パートは低い。向きが逆です
同じ計算を、一般労働者とパートタイム労働者に分けて行いました。
| 区分 | 一般労働者の離職率 | パートタイム労働者の離職率 |
|---|---|---|
| 産業計(公表値) | 11.4% | 19.9% |
| 医療,福祉(公表値) | 13.6% | 15.9% |
| 医療業(編集部試算) | 12.3% | 16.0% |
| 社会保険・社会福祉・介護事業(編集部試算) | 15.2% | 15.8% |
出典:同 第1表・第31表より編集部算出。社会保険・社会福祉・介護事業は、一般労働者が352.2千人 ÷ 2,310.4千人、パートタイム労働者が247.6千人 ÷ 1,564.8千人
- 一般労働者では、産業計の11.4%より3.8ポイント高い15.2%です。入職者は295.6千人で、離職者より56.6千人少なくなっています。
- パートタイム労働者では、産業計の19.9%より4.1ポイント低い15.8%です。入職者は278.2千人で、離職者より30.6千人多くなっています。
もう1つ、働く人の構成が違います。年初の常用労働者に占めるパートタイム労働者の割合は、社会保険・社会福祉・介護事業が40.4%、産業計が27.5%です(編集部算出)。パートの比率が高い分、全体の離職率だけを産業計と並べると、働き方ごとの差が見えにくくなります。
7年間で、医療,福祉が産業計を上回ったのは2つの年です
同じ調査の「年次別推移」の表で、日本標準産業分類(平成25年10月改定)に基づく令和元年以降を並べます。
| 年 | 医療,福祉の離職率 | 産業計の離職率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 2019年(令和元年) | 14.4% | 15.6% | −1.2ポイント |
| 2020年(令和2年) | 14.2% | 14.2% | 0.0ポイント |
| 2021年(令和3年) | 13.5% | 13.9% | −0.4ポイント |
| 2022年(令和4年) | 15.3% | 15.0% | +0.3ポイント |
| 2023年(令和5年) | 14.6% | 15.4% | −0.8ポイント |
| 2024年(令和6年) | 13.8% | 14.2% | −0.4ポイント |
| 2025年(令和7年) | 14.3% | 13.7% | +0.6ポイント |
出典:厚生労働省「雇用動向調査」年次別推移 第2表 産業(大分類)別入職・離職率。差は編集部算出
7年のうち、医療,福祉が産業計を上回ったのは2022年と2025年の2つの年です。2020年は同じ数字で、残りの4つの年は下回っています。「医療,福祉はいつも産業計より辞める人が多い」とは、この表からは言えません。
医療,福祉の離職率は、この7年で13.5%から15.3%の間を上下しています。2025年の14.3%が、続けて上がっていく途中なのかどうかは、この表だけでは分かりません。
離職理由:事業所の回答では「個人的理由」が85.8%です
雇用動向調査は、離職理由の内訳も出しています。社会保険・社会福祉・介護事業の構成比です。
| 離職理由 | 社会保険・社会福祉・介護事業 | 医療,福祉 | 産業計 |
|---|---|---|---|
| 個人的理由 | 85.8% | 83.9% | 74.3% |
| うち結婚 | 0.5% | 1.1% | 0.5% |
| うち出産・育児 | 2.1% | 1.7% | 1.0% |
| うち介護・看護 | 1.6% | 1.2% | 0.9% |
| うちその他の個人的理由 | 81.6% | 80.0% | 72.0% |
| 契約期間満了 | 5.4% | 7.5% | 12.6% |
| 事業所側の理由 | 4.1% | 3.7% | 6.5% |
| 定年 | 1.6% | 2.1% | 4.4% |
| 本人の責 | 0.0% | 0.0% | 0.2% |
| 死亡・傷病 | 3.1% | 2.8% | 2.0% |
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査」e-Stat掲載表 第34-1表 離職理由別離職者数及び構成比(年計・企業規模計・性計)
読むときの注意が2つあります。
「「離職理由」は離職者がいた事業所が回答した理由である。」
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」4 離職理由別離職率の推移 図6の注(原文どおり)
- 理由を答えているのは、辞めた本人ではなく事業所です。
- いちばん大きいのは「その他の個人的理由」の81.6%です。この表には、人間関係や給与といった、さらに細かい内訳はありません。
離職理由別の人数を年初の人数で割ると、個人的理由による離職率は、社会保険・社会福祉・介護事業で13.3%になります(514.5千人 ÷ 3,875.2千人、編集部試算)。産業計の個人的理由による離職率は10.2%と公表されています。
辞めた本人の側から見た理由もあります。医療,福祉に転職して入った人が答えた前職を辞めた理由は、「その他の個人的理由」が24.5%、「職場の人間関係」が12.8%でした。転職の時期や賃金の増減とあわせて 介護職の転職タイミング|介護を含む事業の退職は1〜3月が36.4%。「得な時期」は国の統計にありませんで扱っています。
国が事業所に求めている取組:職場環境等要件
離職率を下げる方法として、国が介護の事業所に求めている取組の1つが、介護職員等処遇改善加算の職場環境等要件です。
「処遇改善加算を算定する場合は、別紙1表4に掲げる処遇改善の取組を実施すること。」
出典:厚生労働省老健局長通知「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(老発0313第6号)3⑴⑦職場環境等要件(原文どおり)
区分や加算ごとの取組の数は、介護の処遇改善加算はいくらもらえるかで扱っています。この記事では、取組と離職率の関係は調べていません。
この記事が扱っていないこと
- 介護職だけの離職率。雇用動向調査は事業所の産業で分けており、職業別の表は大分類までです。
- 国以外の団体の調査の離職率と、辞めた理由の細かい内訳。本記事では使っていません。介護職を辞めたいと思ったらで扱っています。
- 社会保険・社会福祉・介護事業の2024年以前の離職率。中分類の試算は2025年だけです。
- 老人福祉・介護事業、保育所など、小分類ごとの離職率。本記事が取得した表は中分類までです。
- 都道府県別、企業規模別、年齢別の離職率。本記事では取得していません。
- 処遇改善加算の取組をした事業所と、しなかった事業所の離職率の違い。本記事では取得していません。
- 介護職の給与。介護職の年収の平均で扱っています。
介護職として職場を選ぶときに確認できること
- その事業所がどの産業に入るか。同じ介護の仕事でも、病院なら医療業、施設や訪問介護の事業所なら社会保険・社会福祉・介護事業の数字が近い比較の相手です。
- 自分の働き方の行で比べること。社会保険・社会福祉・介護事業の離職率は、一般労働者が15.2%、パートタイム労働者が15.8%でした(編集部試算)。
- 離職率を聞いたときの分母と期間。統計の離職率は、1年間の離職者を1月1日の人数で割った数字です。事業所が示す数字の計算のしかたが同じとは限りません。
- 職場環境等の取組の公表。同じ通知は、処遇改善加算Ⅰ又はⅡなどを算定する事業所に、取組の内容を介護サービスの情報公表制度の「事業所の特色」欄に記載することを求めています。
よくある質問
Q. 介護職の離職率は何%ですか。
A. 国の雇用動向調査には、介護職だけの離職率はありません。2025年の医療,福祉の離職率は14.3%です。介護の事業所を含む中分類「社会保険・社会福祉・介護事業」で編集部が計算すると15.5%でした。この中分類には保育所なども入ります。
Q. 介護は他の産業より辞める人が多いのですか。
A. 2025年は、医療,福祉の14.3%が産業計の13.7%を上回りました。ただし2019年から2025年の7年間で上回ったのは2つの年です。働き方で分けると、一般労働者は産業計より高く、パートタイム労働者は産業計より低い数字です。
Q. 病院で働く介護職の人は、どの数字に入りますか。
A. 日本標準産業分類は、個人を「個人の属する事業所」で分けます。病院(一般病院)は中分類「医療業」に入るため、病院で働く人は医療業の数字に入ります。
Q. 辞めた理由でいちばん多いのは何ですか。
A. 社会保険・社会福祉・介護事業では「個人的理由」が85.8%で、その大部分は「その他の個人的理由」の81.6%です。理由は事業所が回答したもので、さらに細かい内訳はこの表にはありません。
Q. 介護の離職率を下げる方法として、国は何を求めていますか。
A. 介護職員等処遇改善加算を算定する事業所に、職場環境等要件として、通知の別紙に掲げる取組を実施することを求めています。取組の中身は処遇改善加算の記事で扱っています。
迷ったらここ
介護の離職率は事業所の数字で見る
国の雇用動向調査に介護職だけの離職率はなく、2025年の医療,福祉は14.3%です。介護の事業所を含む中分類で計算すると15.5%で、一般労働者は産業計より高く、パートタイム労働者は低い数字でした。
- その事業所が統計のどの産業に入るか(病院は医療業、施設や訪問介護の事業所は社会保険・社会福祉・介護事業)
- 自分の働き方(一般労働者かパートタイム労働者か)の数字で比べているか
- 職場環境等の取組を、介護サービスの情報公表制度の「事業所の特色」欄などで公表しているか
まとめ
- 介護職だけの離職率は、雇用動向調査には出てこない。働く人は事業所の産業で分けられ、中分類「社会保険・社会福祉・介護事業」には保育所なども入る
- 2025年の医療,福祉の離職率は14.3%、産業計は13.7%。一般労働者は13.6%、パートタイム労働者は15.9%
- 社会保険・社会福祉・介護事業の離職率は15.5%(編集部試算)。一般労働者は15.2%で産業計より高く、パートタイム労働者は15.8%で産業計より低い
- 7年間で医療,福祉が産業計を上回ったのは2つの年。「いつも多い」とは言えない
- 離職理由は、事業所の回答で「個人的理由」が85.8%。大部分は「その他の個人的理由」で、細かい内訳はない
- 国が事業所に求める取組は、処遇改善加算の職場環境等要件。中身は処遇改善加算の記事で扱っている
「介護の離職率」と言われる数字が、どの単位で数えたものかを確かめると、比べ方が変わります。国の統計で言えるのは事業所の産業の数字までで、働き方によって産業計との差の向きも変わります。

