「介護職を辞めたい」と思ったら|最も多い理由は人間関係27.3%。辞める前に確かめたい5つのこと

介護職を辞めたい。最多の理由は人間関係27.3%
目次

30秒でわかるまとめ

  • 介護職を辞めたい理由の最多は、人間関係27.3%です収入を理由に辞めた人は15.7%。人間関係はそれより多く、辞める理由の1位でした。
  • 人間関係のつらさ、正体は同僚ではなく上司でした人間関係を理由に辞めた人のうち45.8%が、上司や先輩の言動がきつい・パワハラを挙げています。
  • 働きやすさは、施設の形態によって違います働きやすいと答えた割合は訪問介護員72.7%に対し、施設系(入所型)の介護職員は54.9%でした。
  • つらさを、一人で抱える必要はありません労働問題は総合労働相談コーナー、こころの不調はこころの耳など、厚生労働省の無料窓口があります。
入浴用チェア(介護職員)

「辞めたい」と思っているのは、あなただけではありません

まず、数字から確認します。

公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、訪問介護員と介護職員を合わせた離職率は12.4%でした(令和7年度/2026年7月公表)。

離職率の推移はこうなっています。

年度離職率
令和3年度14.3%
令和4年度14.4%
令和5年度13.1%
令和6年度12.4%
令和7年度12.4%

出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和7年度 介護労働実態調査(事業所における介護労働実態調査)」2026年7月公表

ここで大事なのは、離職率が下がってきているという事実です。「介護は人がどんどん辞める仕事だ」というイメージは、少なくとも数字の上では過去のものになりつつあります。

ただし、これは「辞めたいと思う人が減った」という意味ではありません。実際、今の仕事や職場を「働きやすい」と答えた人は67.5%。裏を返せば、3人に1人は働きやすいとは思っていないということです。

あなたが感じている「辞めたい」は、特別に弱いからでも、根性が足りないからでもありません。

オフィスで頭を抱える

入職して間もない時期については、事業者の側に置かれた義務もあります。資格のない従業者に研修を受講させる措置が省令に書かれていることは介護職1年目がきついとき|無資格なら研修を受けさせる義務は事業者にありますで扱っています。

介護職が辞める理由で、最も多いのは何か

では、実際に介護の仕事を辞めた人は、何を理由に辞めているのか。

同じ調査で、直前の仕事が介護関係だった人(n=6,163)に辞めた理由を聞いた結果がこちらです(複数回答)。

順位辞めた理由割合
1職場の人間関係に問題があったため27.3%
2勤務先の事業理念や運営のあり方に不満があったため21.0%
3他に良い仕事・職場があったため17.2%
4収入が少なかったため15.7%
5結婚・妊娠・出産・育児のため14.0%
6自分の将来の見込みが立たなかったため12.4%
7新しい資格を取ったから10.7%

出典:同上(労働者調査)

注目してほしいのは、「収入が少なかったため」(15.7%)より、人間関係(27.3%)と運営方針への不満(21.0%)の方が上位だという点です。

介護職の離職といえば「給料が安いから」と語られがちですが、実際に辞めた人が挙げる理由の中心は、お金よりも「その職場のあり方」でした。

これは、辞めたい理由が給料でないなら、職場を変えることで解決できる可能性が高いということでもあります。

勉強疲れ突っ伏す

「人間関係が理由」の中身を分解すると、見え方が変わる

「人間関係が原因で辞めた」と聞くと、同僚との相性の問題を想像するかもしれません。しかし、調査はその中身まで聞いています。

人間関係を理由に辞めた人(n=1,680)が挙げた具体的な内容がこちらです(複数回答)。

具体的な内容割合
上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった45.8%
仕事の進め方に関する上司や同僚との意思疎通がうまくいかなかった38.0%
上司の業務指示が不明確、リーダーシップがなかった37.4%
仕事に対してやる気のない上司・先輩・同僚がいた26.2%
同僚からのきつい言動・悪口・嫌がらせ等があった25.0%
職場内の仲間はずれや、疎外感・孤独感を感じた16.5%

出典:同上(労働者調査)

上位3つは、すべて上司・リーダー層に関するものです。「同僚からのきつい言動」(25.0%)を大きく上回っています。

つまり、多くの人が「人間関係」と呼んでいるものの正体は、個人同士の相性ではなく、その事業所のマネジメントの質です。

これは重要な区別です。相性の問題なら、どこへ行っても起こりうる。しかしマネジメントの質は事業所ごとに違うので、変えられます。

もし今、あなたが「自分のコミュニケーション能力が低いから悪いのだ」と考えているなら、その前提を一度疑ってみてください。

なお、その人間関係の疲れが、職員どうしのものなのか、利用者や家族から受けるものなのか、認知症の症状として現れた言動なのかで、相談できる先が変わります。切り分け方と2系統の窓口は介護職の人間関係に疲れたとき|原因を3つに切り分けると、相談できる先が変わりますで扱っています。

「辞めたい」ではなく「自分は向いていないのではないか」という形で迷っている場合は、資格の条文の側から見直す方法もあります。法律が介護福祉士に求めているのは6か条の行為だけで、適性の規定は置かれていません。詳しくは介護職に向いてない人の特徴|法律が書いているのは6か条の行為だけですで扱っています。

職場そのものではなく役割を変える選択肢もあります。訪問介護のサービス提供責任者は省令で配置が決まっている職種で、訪問介護員との待遇の差が統計に出ています。その内訳はサービス提供責任者の年収|月収は訪問介護員より2万3,524円高いですで扱っています。

辞める前に確かめたい5つのこと

1. 「仕事そのもの」が嫌なのか、「この職場」が嫌なのか

紙に書き出してみてください。利用者と関わる時間そのものが苦痛なのか。それとも、記録の付け方、シフトの組まれ方、特定の上司の言動が苦痛なのか。

後者であれば、職場を変えるだけで解決する範囲です。

2. 施設形態が自分に合っているか

働きやすさの評価は、施設形態でかなり違います。

区分「働きやすい」と回答「働きがいがある」と回答
全体67.5%63.2%
訪問介護員72.7%68.3%
介護職員63.3%56.8%
うち施設系(入所型)54.9%48.4%

出典:同上(労働者調査)

施設系(入所型)で働く介護職員の評価は、訪問介護員と比べて20ポイント近く低くなっています。同じ「介護職」でも、働く場所によって体感はまるで違うということです。

3. 残業の負担は、業界平均と比べて重いか

1週間の残業時間は、56.3%が「残業なし」、26.7%が「5時間未満」。合わせて約8割が週5時間未満です。残業なしを含めた平均は1.7時間でした。

もしあなたの職場がこれを大きく超えているなら、それは「介護だから仕方ない」のではなく、その事業所固有の問題です。

4. 収入は相場から離れていないか

賃金支払形態が月給の人の平均月収は254,951円(通常月)。前年度から2.4%の増加でした。職種別では訪問介護員が4.1%、介護職員が3.1%の伸びです。

出典:同上(労働者調査)

処遇改善の流れの中で、賃金は上がっています。数年前の水準のまま据え置かれているなら、それは業界の問題ではなく職場の問題かもしれません。

5. 一人で抱えていないか

これが最後で、いちばん大事です。

パワーハラスメントを受けている場合、当事者同士での解決は困難です。公的な相談窓口は無料で使えます。

  • 総合労働相談コーナー(厚生労働省)… 全国の労働局・労働基準監督署内に設置。解雇、いじめ・嫌がらせなど労働問題全般の相談を無料で受け付けています。
  • こころの耳(厚生労働省)… 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト。電話・SNS相談の窓口があります。

心身に不調が出ている場合は、転職を考える前に医療機関の受診を優先してください。

それでも「限界だ」と感じるときは

上の5つを確認しても状況が変わらない、あるいは確認する余力すら残っていない。そういう状態であれば、離れる判断は正しい判断です。

無理をして働き続けた結果、心身を壊してしまえば、次の職場を選ぶ体力も失われます。

介護職員の採用率は14.6%で、離職率(12.4%)を上回っています。人材不足が続く中、経験のある介護職を求めている事業所は多くあります。在職中に情報収集を始めておけば、収入を途切れさせずに動くことができます。

体の負担、とくに腰痛で続けられないと感じるときは、国の腰痛予防対策指針が事業者に何を求めているか(抱え上げを原則として人力で行わせない、福祉用具、腰痛の健康診断)を確かめる方法もあります。介護職が腰痛で続けられないとき|保健衛生業の災害性腰痛は、指針改訂の年から約1.7倍に増えていますで扱っています。

よくある質問

Q. 何年目で辞めるのが一般的ですか?

A.「何年働けば辞めてよい」という基準はありません。ただし調査では、経験年数3年未満の人ほど「身近に介護の仕事をしている人がいた」ことをきっかけに入職している傾向があり、入職前のイメージと実務のギャップが早期の離職につながることがあります。

Q. 人間関係が理由で辞めたと面接で言ってもいいですか?

A. 事実として最も多い離職理由なので、珍しい話ではありません。ただし前職の批判に聞こえる伝え方は避け、「どういう環境なら力を発揮できるか」に言い換えるのが定石です。

Q. 辞めたいけれど生活があります。どうすればいいですか?

A. 在職中に転職活動を進めるのが基本です。収入を途切れさせないまま次を決められます。心身の不調が出ている場合は、休職制度の利用も選択肢に入ります。

迷ったらここ

辞める前に、いまの不満が「この職場」由来か「この業界」由来かを切り分ける

働きやすさの評価は施設系(入所型)で54.9%、全体では67.5%。同じ介護でも形態でここまで違います。業界を離れる前に、形態を変える余地が残っているかを見てください。

  • 人間関係が理由なら、その中身は上司・先輩の言動か(人間関係を挙げた人の45.8%がここ)
  • 入所型・通所型・訪問系のうち、まだ試していない形態はあるか
  • 次の職場の直近1年の離職者数を聞けるか(12.4%より高いか低いか)
介護職の転職サービスを比較する

まとめ

  • 介護職員の離職率は12.4%で、低下傾向にある
  • 辞めた理由の最多は「職場の人間関係」27.3%で、収入(15.7%)より上位
  • その人間関係の中身は、45.8%が上司・先輩の言動やパワハラ。個人の相性ではなくマネジメントの問題
  • 働きやすさは施設形態で大きく異なる(施設系入所型は54.9%、訪問介護員は72.7%)
  • 辞める前に、「仕事」が嫌なのか「この職場」が嫌なのかを切り分ける
  • ハラスメントは一人で抱えず、総合労働相談コーナーなどの公的窓口へ

「辞めたい」という気持ちは、あなたが弱いから出てくるものではありません。その気持ちを、次にどう動くかを決めるための材料にしてください。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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