ケアマネが独立開業するには|指定を受けるのは法人。利用者40人以下の階級は収支差率マイナス4.8%でした

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目次

30秒でわかるまとめ

  • ケアマネジャーの独立は、法人として指定を受ける形です省令は、居宅介護支援事業者の指定の基準を「法人であること」としています。個人のままでは指定を受けられない組み立てです。
  • 省令の最低ラインは、常勤の介護支援専門員1人以上です管理者は事業所の介護支援専門員の職務と兼ねられるため、1人で両方を担う形も条文上はあり得ます。
  • 管理者は主任ケアマネで、経過措置は新しい事業所に及びません令和9年3月31日までの経過措置は、令和3年3月31日までに指定を受けていた事業所を対象に読み替えられています。
  • 利用者40人以下の階級は、収支差率がマイナスでした居宅介護支援全体の収支差率は4.9%でしたが、利用者40人以下の階級はマイナス4.8%で、介護支援専門員は常勤換算0.8人でした。

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※管理者になる主任ケアマネの要件は主任ケアマネの要件、開業したあとの担当件数と報酬の区分はケアマネの担当件数に上限はあるかで扱っています。この記事は、事業所を開く前の「指定を受ける条件」と、国の調査に出てくる事業所の姿を読みます。

居宅サービス計画書(ケアマネ)

先に整理します:「独立」は、居宅介護支援事業者の指定を受けることです

ケアマネジャーが独立するというとき、多くは自分で居宅介護支援事業所を開き、介護保険の指定を受けることを指します。指定居宅介護支援を受けた利用者に対して、市町村が居宅介護サービス計画費を支給する仕組みだからです(介護保険法 第46条第1項)。

指定の条件は、法律・省令・条例の3つの層に書かれています。

層書かれていること
法律(介護保険法 第79条・第81条)指定は市町村長が事業所ごとに行う。指定をしてはならない場合。員数と運営の基準は市町村の条例で定める
省令(施行規則、居宅介護支援の基準省令)条例が従う基準(申請者は法人、員数、管理者など)
条例(指定をする市町村)省令の基準に従って定める

出典:介護保険法(e-Gov法令API 法令ID 409AC0000000123)第79条・第81条、介護保険法施行規則(法令ID 411M50000100036)、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(法令ID 411M50000100038)。整理は編集部

カンファレンス

ここが本題:指定を受けられるのは法人です

介護保険法 第79条第2項は、市町村長が指定をしてはならない場合を並べています。その1つめがこれです。

「市町村長は、前項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、第四十六条第一項の指定をしてはならない。一 申請者が市町村の条例で定める者でないとき。」

出典:介護保険法 第79条第2項 柱書・第1号(原文どおり)

第1号には「法人」という言葉は出てきません。「市町村の条例で定める者」とあり、その条例の作り方を同じ条の第3項が決めています。

「市町村が前項第一号の条例を定めるに当たっては、厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとする。」

出典:介護保険法 第79条第3項(原文どおり)

そして、その厚生労働省令の基準が、介護保険法施行規則のこの1条です。

「法第七十九条第三項の厚生労働省令で定める基準は、法人であることとする。」

出典:介護保険法施行規則 第132条の3の2(原文どおり)

法律 → 省令 → 条例の順にたどると、申請者は法人であることが条例の基準になり、市町村はこの基準に「従い」条例を定めることになっています。ケアマネジャーが個人事業主のままで居宅介護支援事業者の指定を受けることは、この組み立てでは想定されていません。独立するときは、会社などの法人をつくって、その法人が申請者になります。

契約書に押印

ケアマネ1人でも開けるか:省令は「常勤1以上」と、管理者の兼務を認めています

人員の基準は、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(以下、居宅介護支援基準)です。第1条は、第2条と第3条を、市町村が条例を定めるに当たって従うべき基準としています。

「指定居宅介護支援事業者は、当該指定に係る事業所(以下「指定居宅介護支援事業所」という。)ごとに一以上の員数の指定居宅介護支援の提供に当たる介護支援専門員であって常勤であるものを置かなければならない。」

出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第2条第1項(原文どおり)

管理者は第3条です。第1項は事業所ごとに常勤の管理者を置くとし、第3項は管理者を専らその職務に従事する者としたうえで、第1号で「管理者がその管理する指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員の職務に従事する場合」を例外に挙げています(出典:同 第3条第1項・第3項)。常勤の介護支援専門員1人が管理者を兼ねる形は、条文の上では組み立てられます。

ただし、第2条には第2項・第3項があり、利用者の数に応じて置く介護支援専門員の員数が別に決まっています。利用者が増えれば、1人のままでは基準を満たさなくなります。員数の数字は介護福祉士とケアマネの違いで扱っています。

特養・老健・介護医療院では、介護支援専門員は専らその職務に従事する常勤の者とされ、入所者の処遇に支障がない場合に施設の他の職務に従事できる書き方です。居宅との違いはケアマネは居宅と施設どっち|配置は利用者44人ごとと入所者100人ごと。省令の書き方も違いますで扱っています。

管理者は主任ケアマネ。経過措置は、新しく開く事業所には読めません

1人で開業するなら、その1人が管理者です。管理者の資格は、第3条第2項が定めています。

「前項に規定する管理者は、介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号)第百四十条の六十六第一号イ(3)に規定する主任介護支援専門員(以下この項において「主任介護支援専門員」という。)でなければならない。ただし、主任介護支援専門員の確保が著しく困難である等やむを得ない理由がある場合については、介護支援専門員(主任介護支援専門員を除く。)を前項に規定する管理者とすることができる。」

出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第3条第2項(原文どおり)

主任介護支援専門員になるための研修と受講の条件は、主任ケアマネの要件で扱っています。

この管理者要件には、平成30年の改正省令(平成30年厚生労働省令第4号)の附則第3条に経過措置があります。第1項は「令和九年三月三十一日までの間は」、主任介護支援専門員でない介護支援専門員を管理者とすることができるとしています。ところが第2項が、令和3年4月1日以後について、対象を「令和三年三月三十一日までに介護保険法第四十六条第一項の指定を受けている事業所」(同日の管理者が主任介護支援専門員でないもの)に読み替え、管理者にできる人を「引き続き、令和三年三月三十一日における管理者である介護支援専門員」としています。

出典:平成30年厚生労働省令第4号 附則第3条第1項・第2項(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100038 の附則として収録)

令和3年4月1日以後、この経過措置が使えるのは、令和3年3月31日までに指定を受けていた事業所と、その日に管理者だった介護支援専門員です。読み替えたあとの条文をそのまま読むと、これから新しく指定を受ける事業所は対象に入りません。

新しく開く事業所で、主任介護支援専門員でない人が管理者になれるのは、第3条第2項ただし書の「主任介護支援専門員の確保が著しく困難である等やむを得ない理由がある場合」に当たるときです。どういう場合がこれに当たるかは、本記事は取得していません。開業する市町村に確かめる事項です。

指定は6年ごとの更新。やめるときは1月前までに届出です

条定め
第79条の2第1項指定は「六年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う」
第82条第2項事業の廃止・休止は「その廃止又は休止の日の一月前までに、その旨を市町村長に届け出なければならない」
第81条第5項廃止・休止の届出をしたときは、引き続きサービスを希望する利用者のために、他の指定居宅介護支援事業者その他関係者との連絡調整その他の便宜の提供を行わなければならない

出典:介護保険法 第79条の2第1項、第81条第5項、第82条第2項

1人で開く事業所では、管理者と介護支援専門員が同じ人です。事業をやめたり休んだりするときも、利用者を次の事業者へつなぐ連絡調整は、事業者の義務として条文に書かれています。

国の調査で見る居宅介護支援事業所:37,258か所、経営主体は営利法人が50.3%

厚生労働省「令和6年介護サービス施設・事業所調査」によると、令和6年10月1日現在の居宅介護支援事業所は37,258か所でした。令和5年の37,784か所から526か所(1.4%)減っています。令和2年は39,284か所で、4年間で2,026か所の減少です(編集部試算:39,284-37,258)。

出典:厚生労働省「令和6年介護サービス施設・事業所調査」表1・参考表 施設・事業所数(基本票)(表データ data06.xlsx)

どんな主体が経営しているかは、同じ調査の表5にあります。

経営主体構成割合
営利法人(会社)50.3%
社会福祉法人(社会福祉協議会を含む)25.1%
医療法人15.7%
社団・財団法人3.0%
特定非営利活動法人(NPO)2.3%
協同組合2.2%
地方公共団体0.8%
その他0.5%

出典:同調査 表5「開設(経営)主体別事業所数の構成割合(詳細票)」居宅介護支援事業所(令和6年10月1日現在)。並べ替えは編集部

半分は営利法人(会社)が経営しています。この表は、事業所の数を経営主体で分けたもので、何人で開いた事業所か、独立したケアマネジャーが開いた事業所かは分かりません。

小さな事業所はどれくらいあるか:利用者40人未満が1万か所余り

本記事が取得した同調査の統計表には、介護支援専門員の人数別の事業所数の表はありませんでした。近いものとして、利用者の人数別の事業所数があります。

利用実人員事業所数
1〜9人992
10〜19人1,883
20〜29人3,514
30〜39人4,252
40〜49人2,690
50〜99人10,995
100人以上10,872
総数(利用者数なしの事業所を含む)37,248

出典:同調査 閲覧表 居宅サービス事業所【詳細票】第3表(4-4)居宅サービスの事業所数,都道府県、居宅サービスの種類、利用実人員階級別(居宅介護支援)全国(e-Stat)

利用実人員が1〜39人の事業所を足すと10,641か所で、総数の28.6%です(編集部試算:992+1,883+3,514+4,252=10,641、10,641÷37,248)。

人の側も見ておきます。同調査の詳細票で、居宅介護支援事業所の介護支援専門員は常勤換算で100,743人、そのうち主任介護支援専門員(再掲)は49,735人でした。

出典:同調査【詳細票】第7表(12-11)常勤換算従事者数,居宅サービスの種類、都道府県、職種(常勤-非常勤)別(居宅介護支援)全国(e-Stat)

  • 1事業所当たりの介護支援専門員は、常勤換算で2.7人です(編集部試算:100,743÷37,248)。
  • 常勤換算で見た介護支援専門員の49.4%が、主任介護支援専門員です(編集部試算:49,735÷100,743)。

平均は2.7人ですが、これは割り算の結果で、1人の事業所がどれだけあるかは表からは分かりません。

収支差率:全体は4.9%、利用者40人以下の階級はマイナス4.8%

事業所の収支は、厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査」にあります。令和4年度決算を調べたもので、居宅介護支援の収支差率は4.9%でした(税引前、新型コロナウイルス感染症関連の補助金と物価高騰対策関連の補助金を含まない。令和3年度決算は3.7%)。有効回答数は781です。

出典:厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果」概要(各介護サービスにおける収支差率)、統計表 第13表

同じ調査の第79表は、居宅介護支援を実利用者数の階級で分けています。

実利用者数の階級有効回答数介護支援専門員(常勤換算)収支差率
40人以下1350.8人マイナス4.8%
41〜60人921.1人マイナス1.7%
61〜80人911.8人マイナス4.9%
81〜100人942.1人1.1%
101〜150人1712.9人マイナス0.3%
151〜200人904.0人8.7%
201人以上1086.2人12.3%

出典:厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果」第79表 居宅介護支援 1施設・事業所当たり収支額,収支等の科目,実利用者数階級別(令和4年度決算。収支差率は差引③の収入に対する割合)

介護支援専門員が常勤換算で1人前後(0.8人・1.1人)の2つの階級は、どちらも収支差率がマイナスでした。プラスが大きいのは、151人以上の階級です。

読むときの注意が3つあります。

  • 階級は利用者の数で分けたもので、介護支援専門員の数で分けたものではありません。常勤換算の人数は、その階級の1事業所当たりの値です。
  • 階級ごとの有効回答数は90〜171です。1つの階級の数字は、少ない回答から出ています。
  • 令和4年度の決算です。令和8年度の実態調査は、この記事の執筆時点で結果が公表されていません。

本記事は、ここから開業した場合の収入を試算していません。国の調査からいえるのは、利用者80人以下の3つの階級がいずれもマイナスで、プラスが大きいのは151人以上の階級だった、というところまでです。

この記事が扱っていないこと

  • 市町村ごとの条例と申請手続き、法人の設立。本記事は取得していません。
  • 開業の費用と、開業後の収入の試算。一次資料にない数字は作っていません。
  • 第3条第2項ただし書の「やむを得ない理由」に当たる場合の具体例。通知や市町村の判断の領域で、本記事は取得していません。
  • 介護報酬の単位数と、担当件数による区分。ケアマネの担当件数に上限はあるかで扱っています。
  • 基準該当居宅介護支援(介護保険法 第47条)。指定とは別の仕組みで、本記事では扱っていません。
  • ケアマネの給与・年収。ケアマネの年収で扱っています。

独立を考えるケアマネジャーが確認できること

  • 自分が主任介護支援専門員か、更新研修の時期はいつか。新しく開く事業所の管理者は、原則として主任介護支援専門員です。
  • 申請者になる法人をどうするか。省令の基準は「法人であること」です。
  • 開業する市町村の条例と事前相談の窓口。指定をするのは市町村長です。
  • 自分が休んだときに、利用者をどうつなぐか。廃止・休止のときは、1月前までの届出と、他の事業者との連絡調整が求められます。
  • 何人の利用者で収支を組むか。国の調査では、利用者40人以下の階級の収支差率はマイナス4.8%でした。

よくある質問

Q. 個人事業主のままで、居宅介護支援事業所を開けますか。
A. 介護保険法 第79条第2項第1号は、申請者が市町村の条例で定める者でないときは指定をしてはならないとし、その条例の基準を介護保険法施行規則 第132条の3の2が「法人であることとする」と定めています。指定を受けるには、法人が申請者になる組み立てです。

Q. ケアマネ1人で開業できますか。
A. 居宅介護支援基準 第2条第1項は、常勤の介護支援専門員を1以上置くとしています。第3条第3項は、管理者が事業所の介護支援専門員の職務に従事することを認めています。1人が両方を担う形は条文上あり得ますが、利用者の数に応じた員数の定めが別にあります。

Q. 主任ケアマネでないと開業できませんか。
A. 第3条第2項は、管理者を主任介護支援専門員としています。令和9年3月31日までの経過措置は、令和3年3月31日までに指定を受けていた事業所が対象と読み替えられています。新しい事業所で主任でない人が管理者になれるのは、ただし書の「やむを得ない理由がある場合」です。

Q. 独立すると収入は増えますか。
A. 本記事は試算していません。令和5年度介護事業経営実態調査では、居宅介護支援全体の収支差率は4.9%で、利用者40人以下の階級はマイナス4.8%、41〜60人の階級はマイナス1.7%でした。

Q. 一度指定を受ければ、ずっと続けられますか。
A. 介護保険法 第79条の2は、指定は6年ごとに更新を受けなければ効力を失うと定めています。

迷ったらここ

独立前に指定の条件を確かめる

居宅介護支援事業者の指定の基準は「法人であること」で、管理者は原則として主任介護支援専門員です。令和9年3月31日までの経過措置は、令和3年3月31日までに指定を受けていた事業所が対象です。

  • 自分が主任介護支援専門員か、更新研修の時期はいつか
  • 開業する市町村の条例と、申請者になる法人の準備
  • 何人の利用者で収支を組むか(利用者40人以下の階級は収支差率マイナス4.8%)
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まとめ

ケアマネジャーが独立して居宅介護支援事業所を開くには、市町村長の指定を受けます。介護保険法 第79条と施行規則 第132条の3の2をたどると、申請者は法人であることが基準です。

省令の人員の最低ラインは常勤の介護支援専門員1人以上で、管理者は事業所の介護支援専門員の職務と兼ねられます。管理者は主任介護支援専門員が原則で、令和9年3月31日までの経過措置は、令和3年3月31日までに指定を受けていた事業所が対象です。

国の調査では、居宅介護支援事業所は37,258か所で、半分は営利法人が経営しています。収支差率は全体で4.9%でしたが、利用者40人以下の階級はマイナス4.8%で、介護支援専門員は常勤換算0.8人でした。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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