助産師の助産院開業は、許可でなく届出|分娩を扱う助産所は2,993のうち337です

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目次

30秒でわかるまとめ

  • 助産師が助産院を開くのは、許可ではなく届出です医療法 第8条は、助産師が助産所を開設したときは、開設後10日以内に都道府県知事に届け出ると定めています。
  • 分娩を扱うなら、嘱託医師と嘱託する医療機関を定めます省令は、産科又は産婦人科の医師を嘱託医師とし、新生児も診られる入院施設のある病院等も定めるとしています。
  • 分娩を扱う助産所は2,993のうち337でした令和6年度末の数です。助産所の11.3%にあたり、残りは分娩を取り扱っていない助産所です。
  • 助産所で生まれる子は、2010年の3割ほどになりました2010年は9,533人でした。分娩を扱う助産所も、平成23年度末の474から337に減っています。

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※助産所の定義と養成課程は助産師になるには、病院・診療所で生まれる子の割合は助産師の病院とクリニックの違いで扱っています。

点滴スタンドと妊婦(助産師)

まず言葉:「助産院」は、医療法では助産所です

医療法 第2条第1項は、助産師が公衆又は特定多数人のためその業務を行う場所を助産所としています(条文は助産師になるにはで扱っています)。入所させる人数の上限は、同じ条の第2項です。

「助産所は、妊婦、産婦又はじよく婦十人以上の入所施設を有してはならない。」

出典:医療法(e-Gov法令API 法令ID 323AC0000000205)第2条第2項(原文どおり)

本記事が取得した医療法と同法施行規則に、「助産院」という語はありません。名称について条文が定めているのは、次のことです。

「助産所でないものは、これに助産所その他助産師がその業務を行う場所に紛らわしい名称を付けてはならない。」

出典:医療法 第3条第3項(原文どおり)

なお、助産を業とすることは、保健師助産師看護師法 第30条が「助産師でない者は、第三条に規定する業をしてはならない」としています(医師法に基づく場合を除く)。

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ここが本題:助産師が開くときは、許可ではなく届出です

医療法 第7条第1項で許可が要るのは、助産師でない者が助産所を開設しようとするときです。助産師本人が開く場合は、第8条第1項です。

「臨床研修等修了医師、臨床研修等修了歯科医師又は助産師が診療所又は助産所を開設したときは、開設後十日以内に、診療所又は助産所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。」

出典:医療法 第8条第1項(原文どおり)

届出は開設した後で、期限は10日以内です。開設地が保健所を設置する市や特別区にあるときは、届出先は市長・区長になります(第7条第1項のかっこ書き)。

場面定め条
開設開設後10日以内に届出第8条第1項
休止・再開休止したとき、再開したときは10日以内に届出第8条の2第2項
廃止廃止したときは10日以内に届出第9条第1項

出典:医療法 第8条第1項、第8条の2第2項、第9条第1項

第8条の2第1項は、正当の理由なく1年を超えて休止することを禁じていますが、ただし書で、届出をして開設した助産所の開設者には適用しないとしています。

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届け出る事項は、施行規則 第5条に並んでいます

号届け出る事項
第1号開設者の住所及び氏名(免許証を提示し、又はその写しを添付)
第2号名称、開設の場所、助産師その他の従業者の定員、敷地の面積及び平面図、建物の構造概要及び平面図(第2条第1項第2号〜第6号)
第3号現に助産所を開設・管理し、又は病院・診療所・助産所に勤務する者であるときは、その旨
第4号同時に2以上の助産所を開設しようとする者であるときは、その旨
第5号開設の年月日、管理者の住所及び氏名、業務に従事する助産師の氏名・勤務の日及び勤務時間、分娩を取り扱う助産所は嘱託医師と嘱託する病院又は診療所(第3条第1項第1号〜第3号・第6号)

出典:医療法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100050)第5条第1項、第2条第1項、第3条第1項

第3条第1項第6号は、嘱託医師の住所及び氏名について「当該医師に嘱託した旨の書類を添付すること」としています。嘱託は、届出の段階で書類で示す事項です。

分娩を扱うなら、嘱託医師と嘱託する病院・診療所を定めます

「助産所の開設者は、厚生労働省令で定めるところにより、嘱託する医師及び病院又は診療所を定めておかなければならない。」

出典:医療法 第19条第1項(原文どおり)

中身は施行規則 第15条の2にあります。

「分娩を取り扱う助産所の開設者は、分娩時等の異常に対応するため、法第十九条の規定に基づき、病院又は診療所において産科又は産婦人科を担当する医師を嘱託医師として定めておかなければならない。」

出典:医療法施行規則 第15条の2第1項(原文どおり。ルビは省略)

「助産所の開設者は、嘱託医師による第一項の対応が困難な場合のため、診療科名中に産科又は産婦人科及び小児科を有し、かつ、新生児への診療を行うことができる病院又は診療所(患者を入院させるための施設を有するものに限る。)を嘱託する病院又は診療所として定めておかなければならない。」

出典:医療法施行規則 第15条の2第3項(原文どおり)

第2項は、産科又は産婦人科のある病院・診療所に、そこで産科又は産婦人科を担当する医師のいずれかが対応することを嘱託した場合、嘱託医師を定めたものとみなすことができるとしています。

分娩を扱う助産所は「医師」と「入院施設のある病院又は診療所」の2つを決めておく、という組み立てです。嘱託先の条件には、産科又は産婦人科に加えて小児科と新生児への診療が入っています。

出張だけで開業する場合も、届出と嘱託先があります

医療法 第5条第1項は、出張のみによって業務に従事する助産師について、第8条第1項などの適用に関しその住所をもって助産所とみなすとしています。施設を持たない形でも、開設の届出の規定がかかります。

嘱託先は第19条第2項と施行規則 第15条の3です。出張のみの助産師は、妊婦等の助産を行うことを約するときは、産科又は産婦人科及び小児科を有し、新生児への診療を行うことができる病院又は診療所(入院施設のあるもの)を、異常に対応する病院又は診療所として定めておかなければなりません。

出典:医療法 第5条第1項、第19条第2項、医療法施行規則 第15条の3

開いた後に、管理者として課されること

「助産所の開設者は、助産師に、これを管理させなければならない。」

出典:医療法 第11条(原文どおり)

定め条
開設者が管理者になれる者なら、自ら管理する(知事の許可で他の者に管理させることができる)医療法 第12条第1項
助産を行うことを約したら、担当助産師の氏名、異常に対応する病院又は診療所の名称・住所・連絡先などを書いた書面を交付し、説明する医療法 第6条の4の3第1項
管理者の氏名、助産師の氏名・就業の日時、嘱託医師の氏名と嘱託する病院又は診療所の名称などを見やすい場所に掲示する医療法 第14条の2第2項、施行規則 第9条の5・第9条の6
入所施設を有する助産所は、床面積9平方メートル以上の分べん室を設ける(分べんを取り扱わないものを除く)施行規則 第17条第1項第5号

出典:上表の各条

嘱託先は、届出だけでなく、妊婦等への書面と掲示にも出てくる項目です。

国の統計:助産所は2,993、分娩を扱うのは337

病院や診療所の数を見るときの医療施設調査には、助産所が入っていません。

「医療施設には、往診のみの診療所を含むが、助産所、介護老人保健施設、介護医療院及び保健所は除く。」

出典:厚生労働省「令和7(2025)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」調査の概要(原文どおり。令和5年の静態調査の概要にも同じ文があります)

助産所の数は、衛生行政報告例(年度報)の「助産所数,都道府県別」にあります。

年度末助産所数うち分娩を取り扱う
平成23年度2,793474
平成24年度2,801450
平成25年度2,779445
平成26年度2,822400
平成27年度2,793408
平成28年度2,872349
平成29年度2,997366
平成30年度2,545379
令和元年度2,523343
令和2年度2,650341
令和3年度2,688325
令和4年度2,881338
令和5年度2,991333
令和6年度2,993337

出典:厚生労働省「衛生行政報告例」(年度報)医療 第5表(平成23年度は第52表)「助産所数,都道府県別」全国(e-Stat)。令和3・4・6年度は令和8年9月28日の訂正後の数値。割合は編集部試算

どの年度も、都道府県の数を足すと全国の数になります(編集部で検算)。分娩を取り扱う割合は、平成23年度末の17.0%から令和6年度末は337 ÷ 2,993 × 100 = 11.3%です。分娩を取り扱う助産所は、平成23年度末の474から令和6年度末の337へ、137減りました(28.9%減)。一方、助産所の総数は2,523〜2,997の間で上下していて、一方向には動いていません。増減の理由は表に書かれていないため、推測しません。

助産所の9割近くは、分娩を取り扱っていない助産所です。表は分娩以外の業務の中身を分けていません。

助産所で生まれた子は、1965年の235,784人から減り続けています

年助産所で生まれた子出生全体に占める割合
1965年235,784人12.9%
1990年12,521人1.0%
2010年9,533人0.9%
2015年6,885人0.7%
2020年4,103人0.5%
2025年2,827人0.4%

出典:厚生労働省「人口動態統計(令和7年・確定数)」上巻 出生 第4.7表・第4.8表 全国(e-Stat)

2025年は2010年の 2,827 ÷ 9,533 × 100 = 29.7%で、3割ほどです(編集部試算)。これは出生の場所の区分で、助産師がどこで介助したかの数ではありません。助産所の数は年度末、出生は暦年で、数え方も違うため、本記事は1施設あたりの出生数を計算していません。

この記事が扱っていないこと

  • 開業資金・収入・出産費用。一次資料を取得しておらず、数字を書いていません。給与は助産師の年収で扱っています。
  • 都道府県・市区の届出様式と添付書類の細目。窓口ごとに確認が要ります。
  • 「助産所数」に出張のみの助産師が入るかどうか。用語の定義を確認できる資料を取得していません。
  • 嘱託契約の書き方や費用。条文に定めがなく、扱っていません。
  • 助産所が市町村の事業を受ける形。助産師の仕事内容と1日で扱っています。

助産院の開業を考えるときに確認できること

  • 届出先はどこか。都道府県知事か、保健所を設置する市・特別区の長かは、開設地で決まります。
  • 分娩を扱うか。扱うなら、産科又は産婦人科の嘱託医師と、小児科があり新生児を診られる入院施設のある嘱託先が要ります。
  • 施設を持つか、出張のみか。出張のみでも、住所が助産所とみなされ、異常に対応する病院又は診療所を定めます。
  • 入所施設を持つか。持つなら、床面積9平方メートル以上の分べん室が基準です(分べんを扱わない場合を除く)。
  • 地域の助産所の数。衛生行政報告例の同じ表に、都道府県別の数があります。

よくある質問

Q. 助産師が助産院を開業するのに、許可は要りますか。
A. 医療法 第8条第1項により、助産師が助産所を開設したときは、開設後10日以内の届出です。許可が要るのは、第7条第1項の「助産師でない者」が開設しようとする場合です。

Q. 嘱託医師は、どの医師でもよいですか。
A. 分娩を取り扱う助産所について、施行規則 第15条の2第1項は「病院又は診療所において産科又は産婦人科を担当する医師」としています。あわせて、同条第3項の条件を満たす病院又は診療所を定めます。

Q. 分娩を扱わない助産院でも、嘱託は要りますか。
A. 医療法 第19条第1項は、助産所の開設者に嘱託する医師及び病院又は診療所を定めておくことを求めています。施行規則 第15条の2第1項は「分娩を取り扱う助産所の開設者」の規定です。個別の扱いは届出先で確認が要ります。

Q. 助産所は増えていますか、減っていますか。
A. 令和6年度末の助産所は2,993で、総数は年度によって上下しています。分娩を取り扱う助産所は平成23年度末の474から337に減りました。

Q. 開業したらどれくらいの収入になりますか。
A. 本記事は扱っていません。開業助産師の収入を示す一次資料を取得しておらず、数字を作らないためです。

迷ったらここ

助産院を開く手続と嘱託先を確かめる

助産師が助産所を開くのは開設後10日以内の届出です。分娩を扱うなら、産科又は産婦人科の嘱託医師と、嘱託する病院又は診療所を定めます。

  • 分娩を扱う助産所か(令和6年度末は2,993のうち337)
  • 嘱託医師と嘱託する病院・診療所がどこか
  • 施設を持つ形か、出張のみの形か
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まとめ

  • 助産師が開くなら、許可ではなく開設後10日以内の届出です。許可が要るのは助産師でない者が開設する場合です(医療法 第7条第1項・第8条第1項)。
  • 分娩を扱うなら、嘱託医師と嘱託する病院又は診療所を定めます。嘱託先には小児科と新生児への診療、入院施設が条件です(施行規則 第15条の2)。
  • 令和6年度末の助産所は2,993、分娩を扱うのは337です。分娩を扱う助産所は平成23年度末の474から減っています。
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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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