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30秒でわかるまとめ
- 介護福祉士が担う介護の仕事は、派遣の禁止業務に入っていません政令が派遣を禁じる医療関係の業務は8つの号です。介護の業務や介護福祉士の業務を挙げた号はありません。
- 老健や居宅などでの看護の業務は、別のルールで禁止されています看護職の業務の話です。介護福祉士が行う喀痰吸引等がこれに当たるかは、条文の書き方から確認が要ります。
- 30日以内の雇用での派遣は、介護では原則できません日雇派遣を認める政令の19業務に、介護の業務は入っていません。60歳以上などの場合に限って認められます。
- 派遣の介護の賃金は、8時間換算で11,093円でした令和6年度の「介護サービス職業従事者」の行です。8で割ると約1,387円(編集部試算)になります。
※看護職の派遣の禁止と例外は准看護師の派遣と時給、直接雇用で短い時間働く介護職の1時間当たりの額は訪問介護の時給の相場で扱っています。

まず条文:派遣が禁止される業務に、介護の仕事は入っていません
労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律。昭和60年法律第88号)第4条第1項は、労働者派遣事業を行ってはならない業務として、港湾運送業務、建設業務と、警備業法の業務その他の政令で定める業務を挙げています。
医療や介護の現場に関わるのは、この政令の部分です。労働者派遣法施行令 第2条第1項は、次の8つの号を並べています。
| 号 | 業務(根拠の法律) |
|---|---|
| 第1号 | 医業(医師法 第17条) |
| 第2号 | 歯科医業(歯科医師法 第17条) |
| 第3号 | 調剤の業務(薬剤師法 第19条) |
| 第4号 | 保健師・助産師・看護師・准看護師の業務など(保健師助産師看護師法) |
| 第5号 | 傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導に係る業務(栄養士法 第1条第2項) |
| 第6号 | 歯科衛生士の業務(歯科衛生士法 第2条第1項) |
| 第7号 | 診療放射線技師の業務(診療放射線技師法 第2条第2項) |
| 第8号 | 歯科技工士の業務(歯科技工士法 第2条第1項) |
出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令(e-Gov法令API 法令ID 361CO0000000095)第2条第1項第1号〜第8号(要約。号ごとに、行われる場所の限定があります)
8つの号は、医師から歯科技工士までの医療関係の職種の業務です。介護の業務や、介護福祉士の業務を挙げた号はありません。第2条に出てくる「介護」の文字は、介護老人保健施設・介護医療院・介護保険法など、場所や制度の名前の中だけです。
本記事が取得した労働者派遣法と同法施行令の本則には、「介護福祉士」の語も、介護の業務の派遣を禁じる条文も見当たりませんでした。

介護と看護の境目:老健・介護医療院・居宅での看護の業務は禁止です
第4号は、保健師助産師看護師法に規定する看護職の業務のうち、病院等・介護老人保健施設・介護医療院・居宅などで行われるものを禁止業務にしています。紹介予定派遣や休業の代わりなどの例外も含めた中身は、准看護師の派遣と時給で扱っています。
第4号が対象にしているのは看護職の業務です。介護福祉士の業務を定めた社会福祉士及び介護福祉士法の名前は、第2条のどの号にも出てきません。
ただし、第4号には気をつけたい書き方が1か所あります。看護職の業務に、「他の法令の規定により、同条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として行うことができることとされている業務を含み」と書いている部分です。一方、社会福祉士及び介護福祉士法は、こう定めています。
「介護福祉士は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として喀痰吸引等を行うことを業とすることができる。」
出典:社会福祉士及び介護福祉士法(e-Gov法令API 法令ID 362AC0000000030)第48条の2第1項(原文どおり)
どちらも、保健師助産師看護師法 第31条第1項・第32条の規定にかかわらず、診療の補助として行うことができる、という組み立てです。条文の言葉の上では、病院等・老健・介護医療院・居宅で介護福祉士が行う喀痰吸引等は、第4号の「含み」に当たりうる書き方です。
本記事は、この点の厚生労働省の解釈を示す資料を取得していません。喀痰吸引等を含む派遣の仕事は、派遣元や労働局に確認が要ります。

日雇派遣:介護は、例外の19業務に入っていません
労働者派遣法 第35条の4第1項は、日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者(日雇労働者)の派遣を、政令で定める業務・場合を除いて禁じています。その業務を並べているのが施行令 第4条第1項で、19の号があります。
19の号は、システムやプログラムの設計・保守、機械等の設計・製図、事務用機器の操作、通訳・翻訳・速記、秘書、ファイリング、市場等の調査、財務の処理、取引に関する文書の作成、機械の性能・操作方法等の紹介・説明、旅程管理業務など、来訪者の受付・案内、研究・開発、事業の体制・運営方法の企画・立案、書籍・雑誌などの編集、デザイン、事務用機器等の使用方法の教授・指導、機械等や金融商品の営業・説明など、そして第19号の看護師の業務(病院等・老健などで行われるものを除く)です。
出典:同施行令 第4条第1項第1号〜第19号(要約)
19の号に、介護の業務はありません。介護の仕事で30日以内の雇用の派遣が成り立つのは、同条第2項の「場合」に当たるときです。第2項は、派遣元事業主が日雇労働者の安全又は衛生を確保するため必要な措置などの雇用管理上必要な措置を講じている場合で、次のどれかに当たるときとしています。
| 号 | 日雇派遣が認められる場合(要約) |
|---|---|
| 第1号 | その日雇労働者が60歳以上の者である場合 |
| 第2号 | 学校の学生又は生徒である場合(定時制の課程に在学する者などを除く) |
| 第3号 | 本人と世帯の他の世帯員について算定した収入の額が、厚生労働省令で定める額以上である場合 |
出典:同施行令 第4条第2項(要約)
第3号の額は、施行規則 第28条の3第2項で500万円とされています。算定する収入は、本人の1年分の賃金その他の収入の額で、主として生計を一にする配偶者等の収入により生計を維持する人は、本人と配偶者等の1年分の賃金その他の収入の額を合算した額です(同条第1項)。
出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(e-Gov法令API 法令ID 361M50002000020)第28条の3(要約)
単発の派遣の求人では、雇用期間が30日を超えるか、超えないなら第2項のどれに当たるかが、条文上の分かれ目です。
ここが本題:派遣の介護の賃金は、8時間換算で11,093円です
派遣で働く人の賃金は、厚生労働省「労働者派遣事業報告書の集計結果」が職業別に出しています。最新は令和6年度(2026年3月31日公表の速報)で、報告対象期間(各派遣元事業主の事業年度)の末日が令和6年4月1日から令和7年3月31日の期間内に属する報告を集計したものです。
介護の仕事の行は「36 介護サービス職業従事者」です。
| 区分 | 令和5年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|
| 賃金(派遣労働者平均) | 10,840円 | 11,093円 |
| 賃金(無期雇用派遣労働者) | 11,139円 | 11,292円 |
| 賃金(有期雇用派遣労働者) | 10,796円 | 11,100円 |
| 派遣料金(派遣労働者平均) | 15,884円 | 16,282円 |
出典:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」表6 派遣料金、表7 派遣労働者の賃金(行は「36 介護サービス職業従事者」)。いずれも1人1日(8時間)当たりの額
令和6年度の派遣労働者平均は11,093円で、前年度より253円高い数字です(編集部試算:11,093−10,840=253円)。
この「賃金」は、報告書の記載要領で、労働基準法第11条の賃金(給料・手当・賞与など)について、派遣労働者に支払った賃金の総額を派遣労働者が従事した総労働時間数で割った1時間当たりの金額をもとに、8時間業務に従事したものとして算定すると定められています。記載要領の原文は准看護師の派遣と時給で引いています。
派遣料金は、働く人に払われる額ではありません。集計結果は「派遣料金」を、労働者派遣の対価として派遣先から派遣元事業主に支払われるものとしていて、消費税を含む額です。
「介護福祉士」だけの行はありません。中分類36の中身
表7の職業の区分に「介護福祉士」はありません。看護職は「13-1 看護師」「13-2 准看護師」と職種名で行が分かれていますが、介護の仕事は「36 介護サービス職業従事者」の1行です。区分の決め方は、表7の注にあります。
「各業務については、日本標準職業分類(中分類)に基づく職種に基づき、該当する派遣労働者(日雇派遣労働者を除く。)の区分及び従事した業務の種類別に実績を記載したものである。」
出典:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」表7 派遣労働者の賃金(その2)注4(原文どおり)
日本標準職業分類は総務省が定める統計基準で、現行は平成21年(2009年)12月のものです。中分類36の説明は次のとおりです。
「医療施設、福祉施設等において入所者及び通所者に対し、又は、在宅介護サービスを提供する団体等からの指示等により、介護を必要とする者の居宅を訪問し、その者に対し、入浴、排せつ、食事等の介護の仕事に従事するものをいう。」
出典:e-Stat 統計分類・用語「日本標準職業分類(平成21[2009]年12月統計基準設定)」中分類36 介護サービス職業従事者 中分類の説明(原文どおり)
| 小分類 | 事例 | 不適合事例(別の分類に入るもの) |
|---|---|---|
| 361 介護職員(医療・福祉施設等) | 障害者支援施設等寮母・寮父、老人福祉施設寮母・寮父 | 老人福祉施設長・生活指導員〔162〕、母子生活支援施設寮母・寮父〔162〕、保育所保育士〔163〕、ホームヘルパー〔362〕 |
| 362 訪問介護従事者 | 訪問介護員、ホームヘルパー | 家政婦(夫)〔351〕、介護職員(医療・福祉施設等)〔361〕 |
出典:同 小分類361・362 事例・不適合事例
表7の「36」は、施設の介護職員と訪問介護の両方を合わせた行です。表7は中分類までの集計で、施設か訪問かは分かれていません。
この分類の考え方を、総務省は次のように説明しています。
「日本標準職業分類は、統計を職業別に表示する場合における統計基準として、個人が従事している仕事の類似性に着目して区分し、それを体系的に分類しているものです。」
出典:総務省「日本標準職業分類」のページ(原文どおり)
分けているのは仕事の中身で、資格の有無ではありません。中分類36の説明や事例にも「介護福祉士」の語はありません。介護福祉士の資格を持つ人が介護の仕事で派遣された場合は、この考え方では36の行に入る書き方ですが、資格の有無で分けた派遣の賃金は、この表にはありません。資格別の給与は介護福祉士の年収を月額で読むで扱っています。
時給に直すと:8で割った編集部試算は約1,387円です
表7の額は、1時間当たりの金額をもとに8時間分として算定したものなので、8で割ると1時間当たりの目安になります。
| 区分 | 8時間換算(令和6年度) | 8で割った額(編集部試算) |
|---|---|---|
| 派遣労働者平均 | 11,093円 | 1,386.6円 |
| 無期雇用派遣労働者 | 11,292円 | 1,411.5円 |
| 有期雇用派遣労働者 | 11,100円 | 1,387.5円 |
出典:表7(36 介護サービス職業従事者)。編集部試算:11,093÷8=1,386.6円、11,292÷8=1,411.5円、11,100÷8=1,387.5円(小数第2位を四捨五入)
手当や賞与も含めた額を、派遣労働者が従事した総労働時間数で割った額がもとです。各段階で四捨五入があるため、約1,387円は目安です。
パートの統計と比べるとき:物差しが違います
直接雇用で短い時間働く介護職員の数字は、賃金構造基本統計調査の短時間労働者の表にあります。「介護職員(医療・福祉施設等)」の1時間当たり所定内給与額は1,361円です(令和7年6月分、企業規模10人以上。詳しくは訪問介護の時給の相場)。
| 項目 | 派遣の集計(表7) | 短時間労働者の統計 |
|---|---|---|
| 何の額か | 1人1日(8時間)当たりの賃金 | 1時間当たり所定内給与額 |
| 含むもの | 給料・手当・賞与など、労働の対償として支払うものすべて | 所定内給与額(きまって支給する現金給与額から、時間外勤務手当などの超過労働給与額を差し引いた額)。賞与は別の項目 |
| 割る時間 | 派遣労働者が従事した総労働時間数 | 所定内実労働時間数 |
| 平均の取り方 | 事業所ごとの平均を単純平均 | 労働者ごとに計算した額を集計 |
| 職業の範囲 | 中分類36(施設の介護職員と訪問介護の両方) | 小分類「介護職員(医療・福祉施設等)」(訪問介護従事者は別の行) |
| 時期 | 令和6年度(派遣元事業主の事業年度の報告) | 令和7年6月分 |
出典:労働者派遣事業報告書の集計結果 表7の注、同報告書の記載要領、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」調査の概要(用語の説明)(要約)
2つの数字は、賞与の扱い、割る時間、平均の取り方、職業の範囲、時期がすべて違います。並べることはできても、差を「派遣のほうが高い」「低い」とは読めないため、本記事は差を計算していません。
数字を読むときの注意:単純平均と、日雇派遣の除外
- 事業所の平均を、さらに単純平均した数字です。表7の注によると、派遣の実績のあった事業所ごとの派遣労働者の賃金を単純平均したもので、人数で重みをつけた平均ではありません。
- 平均の列は、無期と有期の間に入っていません。令和6年度は派遣労働者平均11,093円で、無期11,292円・有期11,100円のどちらよりも低い数字です。人数の重みがない平均どうしなので、こうしたことが起こりうる作りです。
- 日雇派遣労働者は入っていません。表7の注が除いています。
- 勤務先の種類は分かれていません。特養か老健か、施設か訪問かは、わかりません。
この記事が扱っていないこと
- 派遣で働く介護職の人数。集計結果の表7は職業別の賃金で、職業別の人数は本記事は取得していません。
- 勤務先の種類別・地域別の派遣の賃金。表7は分けておらず、本記事は取得していません。
- 喀痰吸引等を含む派遣についての行政の解釈。条文の書き方を示すだけで、解釈資料は取得していません。
- 派遣で同じ職場に就ける期間の制限や、労使協定の中身。表7には協定対象派遣労働者の列もありますが、本記事は扱っていません。
- 求人サイトに出ている派遣の時給。一次資料ではないため使っていません。
- 派遣と請負(業務委託)の違い。給食委託の栄養士の仕事内容で扱っています。
- 処遇改善加算の派遣で働く人への配分。本記事は取得していません。加算の仕組みは介護の処遇改善加算はいくらもらえるかで扱っています。
介護福祉士が派遣の求人を見るときに確認できること
- 勤務先の種類と、担当する業務。老健・介護医療院・居宅(訪問)などで、看護職の業務に当たるものを担当しないか。
- 喀痰吸引等を業務に含むか。含むなら、派遣で担当できる扱いかを派遣元に確かめる。
- 雇用期間が30日を超えるか。30日以内なら、60歳以上などの第2項の場合に当たるか。
- 示されている額が時給か日額か、手当や賞与を含むか。統計の8時間換算は、賞与まで含めた額です。
- 無期雇用か有期雇用か。表7でも、無期と有期は別の列です。
よくある質問
Q. 介護福祉士は派遣で働けますか。
A. 労働者派遣法施行令 第2条第1項が派遣を禁じる8つの号は、医業から歯科技工士の業務までで、介護の業務や介護福祉士の業務は入っていません。本記事が取得した労働者派遣法と施行令の本則に、介護の業務の派遣を禁じる条文は見当たりませんでした。
Q. 老健で派遣の介護職として働けますか。
A. 第2条第1項第4号が禁じているのは、老健などで行われる看護職の業務です。ただし同号は、他の法令で診療の補助として行うことができるとされた業務を含むと書いており、介護福祉士の喀痰吸引等がこれに当たりうる書き方です。担当業務は派遣元に確認が要ります。
Q. 介護の単発派遣はできますか。
A. 30日以内の雇用での派遣(日雇派遣)は原則禁止で、施行令 第4条第1項の19の業務に介護は入っていません。60歳以上、学生、本人と世帯の収入が500万円以上などの第2項の場合に限られます。
Q. 派遣の介護の時給はいくらですか。
A. 令和6年度の労働者派遣事業報告書の集計結果では、「36 介護サービス職業従事者」の賃金は8時間換算で11,093円でした。8で割ると1,386.6円(編集部試算)です。手当や賞与を含む額を、従事した総労働時間数で割った額がもとになっています。
Q. 介護福祉士の資格があると、派遣の賃金は高くなりますか。
A. 表7は職業(仕事の中身)で分けた集計で、資格の有無で分けた行はありません。この集計からはわかりません。
迷ったらここ
派遣の介護の時給は定義で見る
介護の業務は、労働者派遣法施行令が派遣を禁じる業務に入っていません。派遣の介護の賃金は8時間換算で11,093円(令和6年度)でした。
- 勤務先が老健・介護医療院・居宅か、看護職の業務を担当しないか
- 喀痰吸引等を業務に含むか、雇用期間が30日を超えるか
- 示された額が時給か日額か、手当や賞与を含むか
まとめ
労働者派遣法施行令 第2条第1項が派遣を禁じる8つの号は医療関係の職種の業務で、介護の業務や介護福祉士の業務は入っていません。老健・介護医療院・居宅などで禁止されているのは看護職の業務で、介護の業務とは別のルールです。ただし、介護福祉士が診療の補助として行う喀痰吸引等は、条文の書き方の上で確認が要ります。
30日以内の雇用での派遣は、施行令 第4条第1項の19の業務に介護がないため、60歳以上などの第2項の場合に限られます。
派遣の介護の賃金は、令和6年度の集計で8時間換算11,093円(「36 介護サービス職業従事者」の派遣労働者平均)でした。8で割ると約1,387円(編集部試算)です。「介護福祉士」だけの行はなく、施設と訪問を合わせた区分の数字で、パートの統計の1時間当たりの額とは物差しが違います。

