准看護師の派遣と時給|病院への派遣は政令で禁止。8時間換算の賃金は14,921円です

目次

30秒でわかるまとめ

  • 准看護師の業務は、病院や診療所への派遣が禁じられています労働者派遣法と施行令が、病院等・老健・介護医療院・居宅などで行う看護の業務を禁止業務にしています。
  • 例外は、紹介予定派遣・休業の代替・へき地の3つですどれも施行令第2条のかっこ書きにあります。へき地への准看護師の派遣は、令和3年4月の改正で加わりました。
  • 特別養護老人ホームは、禁止の場所に入っていません政令が並べる場所は病院等や老健などです。特養の中にある診療所も、省令で病院等から外されています。
  • 派遣の准看護師の賃金は、8時間換算で14,921円でした令和6年度の集計で、看護師は15,913円です。どの例外で働いた人の数字かは、表からはわかりません。

※准看護師と看護師の法律上の違いは准看護師と正看護師の違い、パートで働く看護師・准看護師の1時間当たりの額はクリニック看護師のパートで扱っています。

病院で働く医療スタッフ(准看護師)

まず条文:派遣してはいけない業務は、法律と政令で決まっています

労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律。昭和60年法律第88号)第4条第1項は、こう始まります。

「何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行つてはならない。」

出典:労働者派遣法(e-Gov法令API 法令ID 360AC0000000088)第4条第1項(原文どおり)

号派遣が禁止される業務
第1号港湾運送業務
第2号建設業務
第3号警備業法に定める業務その他、労働者派遣により従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務

出典:同法 第4条第1項第1号〜第3号(要約)

法律の条文に「看護」の文字はありません。医療の業務は、第3号の「政令で定める業務」として、労働者派遣法施行令 第2条に並んでいます。准看護師の派遣ができるかどうかは、この政令を読むことになります。

医療系の求人情報

ここが本題:看護の業務は、病院等・老健・介護医療院・居宅で行うものが禁止です

施行令 第2条第1項は、医業から歯科技工士の業務まで、8つの号を並べています。看護職の業務は第4号です。

「保健師助産師看護師法第二条、第三条、第五条、第六条及び第三十一条第二項に規定する業務(他の法令の規定により、同条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として行うことができることとされている業務を含み、病院等、助産所、オンライン診療受診施設、介護老人保健施設、介護医療院又は居宅において行われるもの(介護保険法第八条第三項に規定する訪問入浴介護及び同法第八条の二第二項に規定する介護予防訪問入浴介護に係るものを除き、オンライン診療受診施設においては、オンライン診療に係るものに限る。)に限る。)」

出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令(e-Gov法令API 法令ID 361CO0000000095)第2条第1項第4号(原文どおり)

条文の言葉指しているもの
保健師助産師看護師法 第6条に規定する業務准看護師の業務(第2条は保健師、第3条は助産師、第5条は看護師)
病院等医療法の病院と診療所(厚生労働省令で定める診療所を除く)
介護老人保健施設・介護医療院介護保険法 第8条第28項・第29項の施設
居宅医療を受ける者の居宅
除かれるもの訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護に係るもの

出典:同施行令 第2条第1項第1号・第4号(「病院等」「居宅」などの言葉は第1号のかっこ書きで定義)、保健師助産師看護師法(法令ID 323AC0000000203)第2条・第3条・第5条・第6条

禁止の場所は、病院と診療所だけではありません。介護老人保健施設と介護医療院、それに医療を受ける人の居宅も入っています。「介護の施設なら派遣できる」とひとくくりにはできない書き方です。

打ち合わせをする看護師

禁止の場所に入っていない職場:特別養護老人ホームなど

第4号が並べる場所に、特別養護老人ホームや養護老人ホーム、障害者支援施設の名前はありません。並んでいない場所で行う准看護師の業務は、第4号の禁止業務に当たらない書き方になっています。

さらに、「病院等」の診療所から、次の施設の中に設けられた診療所が省令で外されています。

号病院等から外される診療所
第1号障害者支援施設の中に設けられた診療所
第2号救護施設(生活保護法)の中に設けられた診療所
第3号更生施設(生活保護法)の中に設けられた診療所
第5号養護老人ホームの中に設けられた診療所
第6号特別養護老人ホームの中に設けられた診療所
第7号原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の養護事業を行う施設の中に設けられた診療所

出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(e-Gov法令API 法令ID 361M50002000020)第1条第2項(第4号は削除)

特養の中に診療所があっても、その診療所は「病院等」に入りません。介護の職場の派遣求人では、勤務先が特養などなのか、老健・介護医療院なのかで、条文の扱いが変わります。

例外①②:紹介予定派遣と、休業する人の代わり

病院等で行う業務でも、施行令 第2条第1項のかっこ書きが、禁止から外す場合を書いています。冒頭の2つです。

「当該業務について紹介予定派遣をする場合、当該業務に係る労働者派遣が法第四十条の二第一項第四号又は第五号に該当する場合」

出典:同施行令 第2条第1項(かっこ書きの冒頭部分を原文どおり抜き出し。続きのへき地の部分は次の節)

例外条文中身
紹介予定派遣法 第2条第4号派遣元事業主が職業紹介を行い、又は行うことを予定してする労働者派遣。派遣先に雇用される旨が、派遣の終了前に約されるものも含む
産前産後休業・育児休業の代わり法 第40条の2第1項第4号、施行規則 第33条派遣先の労働者が労働基準法第65条第1項・第2項の休業や育児休業をする場合(これに先行・後続する、母性保護又は子の養育のための休業を含む)の、その労働者の業務
介護休業の代わり法 第40条の2第1項第5号、施行規則 第33条の2派遣先の労働者が介護休業をする場合(介護休業に後続する、対象家族を介護するための休業を含む)の、その労働者の業務

出典:労働者派遣法 第2条第4号、第40条の2第1項第4号・第5号、同法施行規則 第33条・第33条の2(要約)

休業の代わりの派遣では、誰の代わりかが契約の書面に書かれます。施行規則 第22条の2第4号・第5号は、休業する労働者の氏名及び業務と、休業の開始及び終了予定の日を、労働者派遣契約の書面の記載事項にしています。

紹介予定派遣は、派遣の先に直接雇用がある形です。令和6年度の集計では、紹介予定派遣により労働者派遣された労働者数は全職業で25,535人、紹介予定派遣で職業紹介を経て直接雇用に結びついた労働者数は13,881人でした(労働者派遣事業報告書の集計結果 表9)。この表に職業別の内訳はなく、准看護師の数はわかりません。

例外③:へき地。准看護師が入ったのは令和3年4月です

かっこ書きの続きが、へき地の例外です。

「第一号及び第三号に掲げる業務、第四号に掲げる業務(保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第五条及び第六条に規定する業務並びに診療放射線技師法(昭和二十六年法律第二百二十六号)第二十四条の二に規定する業務及び臨床検査技師等に関する法律(昭和三十三年法律第七十六号)第二十条の二第一項に規定する業務に限る。)並びに第七号に掲げる業務に係る派遣労働者の就業の場所がへき地にある場合」

出典:同施行令 第2条第1項(かっこ書きの該当部分を原文どおり抜き出し)

第4号の業務のうち、第5条(看護師)と第6条(准看護師)の業務が、へき地の例外に入っています。へき地は、同条第2項が「次の各号のいずれかに該当する地域をその区域に含む厚生労働省令で定める市町村」としています。

号へき地の地域(第2条第2項)
第1号離島振興法の離島振興対策実施地域
第2号奄美群島
第3号辺地(辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律)
第4号山村振興法の振興山村
第5号小笠原諸島
第6号沖縄振興特別措置法の離島
第7号過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法の過疎地域

出典:同施行令 第2条第2項(要約)

e-Gov法令APIの改正履歴で、施行令 第2条の版を比べました(2026年10月8日取得)。

施行日改正した政令第2条の変わったところ
2021年4月1日令和三年政令第四十号へき地の例外に、第4号の業務(保健師助産師看護師法 第5条・第6条の業務に限る)などが加わった。それまでの版で、へき地の例外は第1号(医業)だけだった
2021年4月1日令和三年政令第百三十七号へき地の第7号が、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法の過疎地域になった
2026年4月1日(現行)令和八年政令第六十六号禁止の場所に、オンライン診療受診施設が加わった

出典:e-Gov法令API(v2)同施行令 法令ID 361CO0000000095 の改正履歴と、2020年3月30日・2021年4月1日・2024年2月1日・2026年4月1日施行の各版の第2条の比較

へき地の例外は、最近の改正で看護職に広がったものです。どの市町村が当たるかは厚生労働省令で定められ、本記事は一覧を取得していません。

日雇派遣:政令の業務に書かれているのは第5条だけです

労働者派遣法 第35条の4第1項は、日雇労働者(日々又は三十日以内の期間を定めて雇用する労働者)の派遣を、政令で定める業務・場合を除いて禁じています。

その政令の業務に、令和三年政令第四十号で第19号が加わりました。

「保健師助産師看護師法第五条に規定する業務(病院等、助産所、オンライン診療受診施設、介護老人保健施設、介護医療院及び居宅において行われるもの(介護保険法第八条第三項に規定する訪問入浴介護及び同法第八条の二第二項に規定する介護予防訪問入浴介護に係るものを除き、オンライン診療受診施設においては、オンライン診療に係るものに限る。)を除く。)」

出典:同施行令 第4条第1項第19号(原文どおり)

第19号に書かれているのは第5条(看護師)の業務で、第6条(准看護師)の業務は書かれていません。准看護師を30日以内の雇用で派遣できるかは、同条第2項の場合(60歳以上である場合など)に当たるかどうか、という書き方になっています。単発・短期の派遣の求人では、雇用期間を確かめる意味があります。

派遣の時給:准看護師の賃金は、8時間換算で14,921円です

派遣で働く人の賃金は、厚生労働省「労働者派遣事業報告書の集計結果」が職業別に出しています。職業の区分に「准看護師」があり、看護師とは別の行です。最新は令和6年度(2026年3月31日公表の速報)です。

区分令和5年度令和6年度
准看護師の賃金(派遣労働者平均)15,000円14,921円
准看護師の賃金(無期雇用派遣労働者)14,093円13,909円
准看護師の賃金(有期雇用派遣労働者)15,077円14,982円
准看護師の派遣料金(派遣労働者平均)22,088円22,189円
(参考)看護師の賃金(派遣労働者平均)16,059円15,913円

出典:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」表6 派遣料金、表7 派遣労働者の賃金(行は「13-1 看護師」「13-2 准看護師」)。いずれも1人1日(8時間)当たりの額

「賃金」の中身は、報告書の記載要領がこう定めています。

「「賃金」(労働基準法第11条で定める給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのものをいう。)については、1人1日当たりの賃金を記載し、報告対象期間(第1面の8欄)内において派遣労働者に支払った賃金の総額を派遣労働者が従事した総労働時間数で除した1時間当たりの金額をもとに8時間(1日)業務に従事したものとして算定すること(小数点以下は四捨五入)。」

出典:三重労働局「令和6年度労働者派遣事業<事業報告記載説明資料>」に載る様式第11号の記載要領(該当部分を原文どおり抜き出し)

  • 1時間当たりにすると、約1,865円です。編集部試算:14,921÷8=1,865.1円。手当や賞与も含めた額を、働いた時間で割った値です。
  • 看護師との差は992円です。編集部試算:15,913−14,921=992円(8時間当たり)。
  • 派遣料金は、本人に払われる額ではありません。派遣先から派遣元事業主に支払われるもので、消費税を含む額です。

読むときの注意が3つあります。

  • 事業所の平均を、さらに単純平均した数字です。集計結果は「労働者派遣の実績のあった事業所について各事業所の派遣労働者の賃金を単純平均したもの」としています。人数で重みをつけた平均ではありません。
  • 日雇派遣労働者を除いた数字です。
  • どの例外で働いた人の数字かは、わかりません。表は職業別で、紹介予定派遣か、休業の代わりか、へき地か、病院等の外の職場か、は分けていません。

同じ准看護師の数字でも、勤務先の種類で中身が違う可能性があります。“派遣の時給”を見るときは、その求人がどの例外で成り立っているかを、先に確かめることになります。直接雇用で働く准看護師の賃金は准看護師の年収で扱っています。

この記事が扱っていないこと

  • へき地に当たる市町村の一覧。厚生労働省令で定められ、本記事は取得していません。
  • 派遣で働く准看護師の人数と、勤務先の種類別の賃金。集計結果の表7は職業別の賃金で、人数や勤務先の種類別は本記事は取得していません。
  • 求人サイトに出ている派遣の時給。一次資料ではないため使っていません。
  • 派遣と請負(業務委託)の違い。給食委託の栄養士の仕事内容で扱っています。
  • 個々の職場で派遣が認められるかの判断。本記事は条文の書き方を示すだけで、個別の判断は扱いません。

准看護師が派遣の求人を見るときに確認できること

  • 勤務先の種類。病院・診療所・老健・介護医療院・居宅(訪問)か、特別養護老人ホームなどか。
  • どの例外の求人か。紹介予定派遣か、休業の代わりか、へき地か。
  • 休業の代わりなら、誰の代わりで、休業の終了予定の日はいつか。契約の書面の記載事項です。
  • 雇用期間が30日以内か。日雇派遣の政令の業務には、第6条(准看護師)の業務は書かれていません。
  • 示されている額が賃金か派遣料金か、手当や賞与を含むか。

よくある質問

Q. 准看護師は病院に派遣で勤められますか。
A. 労働者派遣法施行令 第2条第1項第4号は、病院等で行う保健師助産師看護師法 第6条の業務を、派遣が禁止される業務にしています。紹介予定派遣、産前産後休業・育児休業・介護休業の代わり、へき地の場合は、かっこ書きで禁止から外されています。

Q. 介護施設なら派遣で働けますか。
A. 施設の種類によります。介護老人保健施設と介護医療院は第4号の場所に入っています。特別養護老人ホームは並んでおらず、特養の中に設けられた診療所も施行規則 第1条第2項で病院等から外されています。

Q. 訪問看護は派遣でできますか。
A. 第4号の場所には「居宅」が入っています。除かれているのは訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護に係るものです。

Q. 派遣の准看護師の時給はいくらですか。
A. 令和6年度の労働者派遣事業報告書の集計結果では、准看護師の賃金は8時間換算で14,921円でした。8で割ると約1,865円(編集部試算)です。どの例外で働いた人の数字かは分かれていません。

Q. 単発の派遣はできますか。
A. 30日以内の雇用での派遣(日雇派遣)は原則禁止です。施行令 第4条第1項第19号に書かれているのは第5条(看護師)の業務で、准看護師の業務は書かれていません。同条第2項の場合(60歳以上など)に当たるかどうかになります。

迷ったらここ

准看護師の派遣は例外で見る

准看護師の業務は、病院等・老健・介護医療院・居宅で行うものが派遣の禁止業務です。派遣の准看護師の賃金は8時間換算で14,921円(令和6年度)でした。

  • 勤務先が病院・老健などか、特別養護老人ホームなどか
  • 紹介予定派遣・休業の代わり・へき地のどの例外の求人か
  • 示された額が賃金か派遣料金か、手当や賞与を含むか
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まとめ

准看護師の業務は、労働者派遣法 第4条第1項第3号と施行令 第2条第1項第4号により、病院等・助産所・オンライン診療受診施設・介護老人保健施設・介護医療院・居宅で行うものが派遣の禁止業務です。

そのうえで、紹介予定派遣、産前産後休業・育児休業・介護休業の代わり、へき地が例外として外されています。へき地に准看護師の業務が入ったのは2021年4月1日施行の改正です。特別養護老人ホームなど、政令が並べていない職場もあります。

派遣の准看護師の賃金は、令和6年度の集計で8時間換算14,921円(看護師は15,913円)でした。ただし表はどの例外で働いた人かを分けていません。派遣の時給を見るときは、まず勤務先の種類と、どの例外の求人かを確かめることになります。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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