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30秒でわかるまとめ
- 保育士が働く保育所の目的は、条文上「保育を行う」ことです児童福祉法 第39条第1項は、保育を必要とする乳児・幼児を通わせて保育を行う施設としています。
- 児童発達支援は、基本的な動作などの「支援」と書かれています同法は、日常生活の基本的な動作や知識技能の習得、集団生活への適応のための支援と定めています。
- 「療育」は、障害児通所支援の定義にも基準省令にも出てきません児童福祉法で使われているのは、保健所の療育の指導や、結核の児童の療育の給付の条でした。
- 保育所等訪問支援は、保育所に出向いて支援する事業です令和6年10月1日現在で3,257事業所あり、前年からの増加率20.6%は表の中で最も高い値でした。
※児童発達支援の人員の決まりと、センターと事業所の違いは児童発達支援とは、学齢期の子どもが通う事業は放課後等デイの仕事内容と1日で扱っています。

先に断ります:「療育」は、障害児通所支援の定義にない言葉です
求人や日常会話では「療育」という言葉がよく使われます。編集部は、児童福祉法・同法施行規則・関係する2つの省令の全文と、こども家庭庁の2つの資料を機械的に検索し、この語がどこに出てくるかを確かめました。
| 資料 | 「療育」の出てくる場所 |
|---|---|
| 児童福祉法 第6条の2の2(障害児通所支援の定義) | 出てこない |
| 児童福祉法 第12条の6・第19条 | 保健所が、身体に障害のある児童などの療育について指導を行う |
| 児童福祉法 第20条〜第21条の3 | 都道府県が、結核にかかっている児童に療育の給付を行う(指定療育機関) |
| 児童福祉法施行規則 | 療育の給付と指定療育機関の手続の条(第8条、第10条など) |
| 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 | 保育所の職員の条(第33条第3項)と、医療型障害児入所施設の条(第58条) |
| 指定通所支援の基準省令(児童発達支援などの人員・運営の基準) | 0回(附則を含む全文) |
| 児童発達支援ガイドライン(令和6年7月) | 2回。どちらも「障害児等療育支援事業」という事業の名前の中 |
| 保育所保育指針 | 0回 |
出典:児童福祉法(e-Gov法令API 法令ID 322AC0000000164)、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(法令ID 323M40000100063)、児童福祉法施行規則(法令ID 323M40000100011)、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(法令ID 424M60000100015)、こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」、保育所保育指針。附則を除く本則を編集部が検索
児童福祉法で「療育」がはっきり使われている例が、保健所長の条です。
「保健所長は、身体に障害のある児童につき、診査を行ない、又は相談に応じ、必要な療育の指導を行なわなければならない。」
出典:児童福祉法 第19条第1項(原文どおり)
「療育」は法令に出てくる言葉ですが、児童発達支援や放課後等デイサービスを定める条文には出てきません。そこで本記事は、求人で「療育」と呼ばれることの多い障害児通所支援と、保育所を、条文の言葉で比べます。
なお、保育所の職員の条(第33条第3項)に出てくる「障害児の療育に関する知識及び経験を有する者」は、保育士の数の数え方に関わる規定です。中身は保育補助にできないことで扱っています。

まず条文:保育所は「保育を行う」ことを目的とする施設です
保育所の定義は、児童福祉法 第39条第1項です。
「保育所は、保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設(利用定員が二十人以上であるものに限り、幼保連携型認定こども園を除く。)とする。」
出典:児童福祉法 第39条第1項(原文どおり)
対象は「保育を必要とする」乳児・幼児で、障害の有無で書き分けてはいません。行うことは「保育」の一語です。
認定こども園との違いは認定こども園と保育園の違いで扱っています。

児童発達支援と保育所は、条文が書いている中身が違います
障害児通所支援は、児童福祉法 第6条の2の2が定義しています。保育所と並べると、書き方の違いがはっきりします。
| 比べる点 | 保育所(第39条第1項) | 児童発達支援(第6条の2の2第2項) | 保育所等訪問支援(第6条の2の2第5項) |
|---|---|---|---|
| 対象 | 保育を必要とする乳児・幼児 | 障害児 | 保育所などに通う障害児、乳児院などに入所する障害児 |
| 場所 | 保育所に通わせる | 児童発達支援センターその他の施設に通わせる | その施設を訪問する |
| 行うこと | 保育 | 日常生活における基本的な動作及び知識技能の習得並びに集団生活への適応のための支援など | 障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援など |
出典:児童福祉法 第39条第1項、第6条の2の2第2項・第5項。表の整理は編集部
保育所は「保育」、児童発達支援は「支援」です。児童発達支援の定義には、日常生活の基本的な動作、知識技能、集団生活への適応という、何を支援するかが書き込まれています。
こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、その中身をこう説明しています。
「児童発達支援は、障害のあるこどもに対し、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行う、それぞれの障害の特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な援助である。」
出典:こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」(令和6年7月)第3章2(原文どおり)
ガイドラインが繰り返し使っている言葉は「療育」ではなく「発達支援」です。どちらが専門的かという優劣は、条文にもガイドラインにも書かれていません。
ここが本題:保育所等訪問支援が、保育所と通所支援をつなぎます
保育所で働く保育士にいちばん近いのが、保育所等訪問支援です。定義は第6条の2の2第5項です。
「この法律で、保育所等訪問支援とは、保育所その他の児童が集団生活を営む施設として内閣府令で定めるものに通う障害児又は乳児院その他の児童が集団生活を営む施設として内閣府令で定めるものに入所する障害児につき、当該施設を訪問し、当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援その他の便宜を供与することをいう。」
出典:児童福祉法 第6条の2の2第5項(原文どおり)
子どもが事業所に通うのではなく、事業所の側が保育所などに出向きます。訪問先になる施設は、児童福祉法施行規則 第1条の2の5が挙げています。
- 乳児院、保育所、児童養護施設
- 幼稚園、小学校(義務教育学校の前期課程を含む)、特別支援学校
- 認定こども園(保育所又は幼稚園であるものを除く)
- その他児童が集団生活を営む施設として市町村が認める施設
出典:児童福祉法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 323M40000100011)第1条の2の5
事業の基本方針は、指定通所支援の基準省令 第72条です。
「保育所等訪問支援に係る指定通所支援(以下「指定保育所等訪問支援」という。)の事業は、障害児が障害児以外の児童との集団生活に適応することができるよう、当該障害児の身体及び精神の状況並びにその置かれている環境に応じて適切かつ効果的な支援を行うものでなければならない。」
出典:指定通所支援の基準省令 第72条(原文どおり)
- 訪問するのは訪問支援員で、人数は「事業規模に応じて訪問支援を行うために必要な数」とされています(第73条第1項第1号)。
- 計画や評価の規定を準用する第79条は、訪問先の施設による評価を「訪問先施設評価」と呼ぶ読み替えを置いています。
出典:指定通所支援の基準省令 第73条第1項第1号、第79条
保育所は、支援を受ける子どもが過ごす場所であり、条文上は評価をする側としても出てきます。事業所に置く児童発達支援管理責任者については児童発達支援管理責任者の要件で扱っています。
保育所の側も、ガイドラインの側も、互いを前提に書いています
保育所保育指針は、障害のある子どもの保育について、こう書いています。
「障害のある子どもの保育については、一人一人の子どもの発達過程や障害の状態を把握し、適切な環境の下で、障害のある子どもが他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう、指導計画の中に位置付けること。」
出典:保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号)第1章3(2)キ(原文どおり。同項の後段は省略)
一方、児童発達支援ガイドラインは、支援に当たる職員に保育所保育指針の理解を求めています。
「児童発達支援に携わる職員は、こどもの育ちの連続性を意識した支援が求められていることから、保育所等との連携及び併行利用や移行に向けた支援を行うために、保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号)を理解する」
出典:児童発達支援ガイドライン 第3章1(原文どおり。文の途中まで引用し、後略)
保育所と事業所を両方使う場合についても、ガイドラインに記述があります。
「こどもが事業所等と地域の保育所等の併行利用をしている場合は、当該保育所等と支援内容等を共有するなど連携して支援に当たるとともに、必要に応じて当該保育所等における障害のあるこどもへの支援をバックアップしていくことが重要である。」
出典:児童発達支援ガイドライン 第5章3(原文どおり)
保育所に通いながら児童発達支援を使う子どもがいることを、ガイドラインは前提にしています。保育と通所支援は、制度は別でも、同じ子どもの生活の中で重なり得るものとして書かれています。
数字で見る:保育所等訪問支援事業所は、1年で20.6%増えました
厚生労働省の社会福祉施設等調査(令和6年)から、事業所数を並べます。
| 事業の種類 | 令和6年 | 令和5年 | 増減数 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 児童発達支援事業 | 14,855 | 13,412 | 1,443 | 10.8% |
| 保育所等訪問支援事業 | 3,257 | 2,700 | 557 | 20.6% |
出典:厚生労働省「令和6(2024)年社会福祉施設等調査の概況」表4(各年10月1日現在。複数の事業を行う事業所は、それぞれの事業に計上)
概況は、対前年増減率は保育所等訪問支援事業の20.6%が最も高いと書いています。比べている表には、障害福祉サービスの事業も含まれます。
この調査では、児童発達支援センターは施設として別に数えられ、835施設です。保育所等(保育所21,755施設と保育所型認定こども園1,756施設)は23,511施設でした(総括表)。
働く人の数(常勤換算)も出ています。
| 事業・施設 | 総数 | うち保育士など |
|---|---|---|
| 児童発達支援事業 | 80,327人 | 保育士 26,071人 |
| 保育所等訪問支援事業 | 5,242人 | 訪問支援員 2,991人 |
| 保育所等 | — | 保育士 353,943人 |
出典:同 表8(令和6年10月1日現在、9月中に利用者がいた事業所の従事者)、表3。詳細票による推計値
児童発達支援事業の従事者のうち保育士が占める割合は、編集部試算で32.5%です(26,071人÷80,327人×100)。保育所等訪問支援事業の訪問支援員の資格の内訳は、この表には出ていません。
9月の1か月で、保育所等訪問支援事業の利用実人員は26,227人、訪問回数の合計は43,096回、利用者1人当たり1.6回でした(表7)。
この記事が扱っていないこと
- 障害や発達についての診断・判断。どの子どもがどの支援の対象になるかは、本記事では書いていません。
- 児童発達支援・放課後等デイサービスの人員の基準。関連記事で扱っています。
- 保育所等訪問支援の報酬・加算と、訪問支援員の資格の要件。本記事は告示等を取得していません。
- 「障害児等療育支援事業」の中身。ガイドラインに名前が出てくるだけで、本記事は要綱を取得していません。
- 都道府県別の事業所数と、令和7年以降の数字。本記事は令和6年の概況だけを使っています。
- 給与。本記事は扱っていません。
保育士が職場を選ぶときに確認できること
- 求人の「療育」が、どの事業を指すか。児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援で、条文の定義が違います。
- 通ってくる子どもを支えるのか、出向いて支えるのか。保育所等訪問支援は、保育所などを訪問する事業です。
- 保育所に勤めるなら、訪問支援を受けている子どもがいるか。受けていれば、訪問先施設としての評価に関わることがあります。
- 併行利用の子どもについて、事業所と情報を共有しているか。ガイドラインは連携して支援に当たることを求めています。
- 保育所で、障害のある子どもを指導計画にどう位置付けているか。保育所保育指針が求めている点です。
よくある質問
Q. 療育と保育は、どちらが専門的ですか。
A. 条文やガイドラインに、どちらが上という書き方はありません。児童福祉法は保育所を「保育を行う」施設、児童発達支援を基本的な動作などの習得や集団生活への適応のための「支援」として、目的を書き分けています。
Q. 「療育」は法律の言葉ですか。
A. 児童福祉法には出てきます。ただし保健所の療育の指導(第12条の6・第19条)や結核の児童の療育の給付(第20条)の条で、障害児通所支援の定義(第6条の2の2)と指定通所支援の基準省令には出てきません。
Q. 保育士が児童発達支援の事業所で働くことは多いのですか。
A. 令和6年10月1日現在、児童発達支援事業の常勤換算の従事者80,327人のうち、保育士は26,071人でした。人員の決まりは児童発達支援とはで扱っています。
Q. 保育所等訪問支援は、保育所の保育士の仕事を代わりに行うものですか。
A. 定義は、障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援です。保育所の保育そのものを行うとは書かれていません。ガイドラインは、保育所等の職員が対応に不安を抱える場合などに活用を図ることを挙げています。
Q. 保育所に通いながら、児童発達支援も使えますか。
A. ガイドラインは、事業所と保育所等を併行利用している場合の連携を書いています。個別の利用については、お住まいの市町村にご確認ください。
迷ったらここ
療育と保育は条文の言葉で比べる
児童福祉法は保育所を「保育を行う」施設、児童発達支援を基本的な動作などの習得のための「支援」と書き分けています。保育所に出向く保育所等訪問支援は3,257事業所です。
- 求人の「療育」が、児童発達支援・放課後等デイ・保育所等訪問支援のどれを指すか
- 子どもが通ってくる事業か、職員が保育所などへ出向く事業か
- 保育所で、障害のある子どもを指導計画にどう位置付け、事業所とどう連携しているか
まとめ
「療育」は児童福祉法に出てくる言葉ですが、使われているのは保健所の療育の指導や、結核の児童の療育の給付の条です。障害児通所支援の定義と、指定通所支援の基準省令には出てきません。
児童福祉法は、保育所を「保育を行う」施設(第39条第1項)、児童発達支援を基本的な動作や知識技能の習得、集団生活への適応のための「支援」(第6条の2の2第2項)と書き分けています。
その間をつなぐのが、保育所などに出向いて支援する保育所等訪問支援(同第5項)です。令和6年10月1日現在で3,257事業所あり、前年から20.6%増えました。

