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30秒でわかるまとめ
- 訪問介護員が2人で同時に行う場合は、報酬の注にあります身体介護と生活援助について、要件を満たせば所定単位数の100分の200で算定すると告示の注8が定めています。
- 2人で算定できるのは、別の告示の要件に当たる場合です利用者か家族等の同意があり、1人では介護が困難、暴力行為等がある、それらに準ずる、のいずれかに当たる場合です。
- 初めての利用者には、サ責が訪問するか同行すると加算されます新規に訪問介護計画を作った利用者が対象の初回加算で、1月につき200単位です。同行した旨は記録します。
- 緊急時の対応方法は、運営規程に定めておく項目です運営規程の概要は利用申込者に文書で説明され、重要事項は原則としてウェブサイトにも掲載されます。
※訪問中の急変時の連絡や、事業者に課された義務の全体はサービス提供責任者がきついとき、サ責の業務の一覧はサービス提供責任者の仕事内容で扱っています。

先に断ります:この記事は、職場の良し悪しを決めません
訪問介護員(ホームヘルパー)が一人で利用者宅に入ることへの不安を、数字で測ることはしません。民間の調査や求人サイトの数字も使いません。
ここで見るのは、国の告示・通知・省令が書いている3つのことです。
- どういう場合に、2人で訪問して報酬を算定できるか
- 初めての利用者宅に、サービス提供責任者(以下サ責)が一緒に行く仕組みがあるか
- 緊急時の対応方法を、どこに書いておくことになっているか
個々の事業所について判断しません。この記事は職場の良し悪しを決める記事ではありません。条文に何が書かれているかを示し、職場で確かめるときの材料にしてもらうためのものです。

まず告示:2人で同時に訪問したときの扱いは、注8にあります
訪問介護の報酬は、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第19号)の別表で決まっています。身体介護が中心の場合(イ)、生活援助が中心の場合(ロ)、通院等のための乗車又は降車の介助が中心の場合(ハ)に分けて、1回あたりの単位数が並んでいます。
2人で同時に訪問した場合の扱いは、その注の8番目に置かれています。
「イ及びロについては、別に厚生労働大臣が定める要件を満たす場合であって、同時に2人の訪問介護員等が1人の利用者に対して指定訪問介護を行ったときは、所定単位数の100分の200に相当する単位数を算定する。」
出典:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)別表 指定居宅サービス介護給付費単位数表 1 訪問介護費 注8(厚生労働省 法令等データベース掲載の本文。原文どおり)
| 読みどころ | 注8の中身 |
|---|---|
| 対象 | イ(身体介護)とロ(生活援助)。ハ(通院等乗降介助)は書かれていません |
| 条件 | 別に厚生労働大臣が定める要件を満たす場合 |
| 形 | 同時に2人の訪問介護員等が1人の利用者に対して行う |
| 算定 | 所定単位数の100分の200に相当する単位数 |
100分の200は、1人で行ったときの所定単位数の2倍にあたります。2人で行う訪問は、報酬の上では「要件を満たした場合に、別に算定するもの」として書かれています。その要件がどこにあるかが、次の話です。

ここが本題:2人で算定できる要件は、別の告示の第三号にあります
「別に厚生労働大臣が定める要件」を書いているのは、「厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等」(平成27年厚生労働省告示第94号)です。第三号が、訪問介護費の注8の要件です。
「二人の訪問介護員等により指定訪問介護を行うことについて利用者又はその家族等の同意を得ている場合であって、次のいずれかに該当するとき」
出典:厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等(平成27年厚生労働省告示第94号)第三号(厚生労働省 法令等データベース掲載の本文。原文どおり)
| 号 | 次のいずれかに該当するとき |
|---|---|
| イ | 利用者の身体的理由により一人の訪問介護員等による介護が困難と認められる場合 |
| ロ | 暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる場合 |
| ハ | その他利用者の状況等から判断して、イ又はロに準ずると認められる場合 |
出典:同 第三号イ〜ハ(原文どおり)
要件は2段になっています。
- 1段目は同意です。2人で行うことについて、利用者又はその家族等の同意を得ていることが前提です。
- 2段目は、イ・ロ・ハのいずれかです。体の理由で1人では介護が難しい場合、暴力行為などがある場合、それらに準ずる場合の3つです。
ロに「暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等」が書かれていることは、一人で訪問する不安と直接つながる点です。訪問先でこうした行為が認められる場合は、2人で行う報酬の要件の一つに当たります。
ただし、告示が定めているのは報酬を算定できる要件までです。要件に当たる場合に2人で行かなければならない、という書き方ではなく、実際に2人で訪問するかどうかの決め方も、この号には書かれていません。
通知が挙げる例と、算定されない例
告示の要件をどう読むかは、厚生労働省の通知(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について。平成12年3月1日老企第36号。以下「留意事項通知」)が例を挙げています。
| 告示の号 | 留意事項通知が挙げる例 |
|---|---|
| 第3号イ(身体的理由で1人では困難) | 体重が重い利用者に入浴介助等の重介護を内容とする訪問介護を提供する場合等 |
| 第3号ハ(イ又はロに準ずる) | 例えば、エレベータのない建物の2階以上の居室から歩行困難な利用者を外出させる場合等 |
出典:留意事項通知 第二の2「2人の訪問介護員等による訪問介護の取扱い等」(例の部分は原文どおり)
同じ項目は、続けてこう書いています。
「単に安全確保のために深夜の時間帯に2人の訪問介護員等によるサービス提供を行った場合は、利用者側の希望により利用者や家族の同意を得て行った場合を除き、所定単位数の100分の200に相当する単位数は算定されない。」
出典:留意事項通知 第二の2「2人の訪問介護員等による訪問介護の取扱い等」(原文どおり)
読みどころは「単に安全確保のために」と「利用者側の希望により」の2か所です。深夜に一人で行くのが心配だから、という理由だけで2人で行っても、2倍の算定にはならない書き方です。利用者側の希望で、利用者や家族の同意を得て行った場合は除かれています。
ここに書かれているのは報酬の算定のことです。事業所が自分の判断で2人体制をとることを禁じた文言は、この項目にはありません。また、この項目はロ(暴力行為等)の例を挙げていません。
初めての利用者宅には、サ責が訪問するか同行する仕組みがあります
同じ告示第19号の訪問介護費には、初回加算が置かれています。単位数は200単位です。
「指定訪問介護事業所において、新規に訪問介護計画を作成した利用者に対して、サービス提供責任者が初回若しくは初回の指定訪問介護を行った日の属する月に指定訪問介護を行った場合又は当該指定訪問介護事業所のその他の訪問介護員等が初回若しくは初回の指定訪問介護を行った日の属する月に指定訪問介護を行った際にサービス提供責任者が同行した場合は、1月につき所定単位数を加算する。」
出典:告示第19号 別表 1 訪問介護費 ニ 初回加算 注(厚生労働省 法令等データベース掲載の本文。原文どおり)
| 形 | 誰が行くか |
|---|---|
| サ責が自ら訪問する | 初回、又は初回の訪問をした日の属する月に、サ責が指定訪問介護を行う |
| サ責が同行する | その他の訪問介護員等が訪問する際に、サ責が同行する |
出典:告示第19号 訪問介護費 ニ 注を表にしたもの
留意事項通知は、この加算について2つのことを書いています。
「本加算は、利用者が過去2月間(暦月)に、当該指定訪問介護事業所から指定訪問介護の提供を受けていない場合に算定されるものである。」
「サービス提供責任者が、訪問介護に同行した場合については、指定居宅サービス基準第19条に基づき、同行訪問した旨を記録するものとする。」
出典:留意事項通知 第二の2「初回加算について」①、②の第1文(原文どおり)
さらに②は、同行したサ責について、「利用者の状況等を確認した上で、途中で現場を離れた場合であっても、算定は可能である。」としています。サ責が訪問の最初から最後までいることは、算定の条件になっていません。
出典:同 ②(引用部分は原文どおり)
新しく入った訪問介護員から見ると、初めての利用者宅にサ責が一緒に行く形が、報酬の側に用意されていることになります。ただし、これは加算の定めです。同行することを事業所に義務づける条文ではありません。同行した記録の書き方は訪問介護の記録の書き方で扱っています。
これとは別に、新任の従業者に同行訪問による実地指導を行っているかは、事業所ごとに公表される運営情報の確認事項の1つです。事業所の比べ方は 訪問介護事業所の選び方|サ責の人数と資格別の訪問介護員の数は、国の調査票にある公表項目ですで扱っています。
一人で訪問するとき、手元にあるはずのもの
「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号。以下「運営基準」)は、一人で訪問する人に渡るはずのものを2つ書いています。
| 条 | 中身 |
|---|---|
| 第24条第1項 | サ責は、指定訪問介護の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した訪問介護計画を作成しなければならない |
| 第28条第3項第4号 | サ責は、訪問介護員等に対し、具体的な援助目標及び援助内容を指示するとともに、利用者の状況についての情報を伝達する |
出典:運営基準(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100037)第24条第1項、第28条第3項第4号
訪問先で何をするかは、計画と指示という形で、訪問の前に示されることになっています。利用者の状況も、サ責から伝えられる情報として条文に書かれています。一人で訪問していても、内容をその場で一人で組み立てる前提にはなっていません。
伝えられた内容がわからないときや、利用者の様子が計画と違うときに誰に聞けばよいかは、事業所で確かめておけます。サ責の業務の全体はサービス提供責任者の仕事内容で扱っています。
緊急時の対応方法は、運営規程に定めておくものです
運営基準の第29条は、事業所ごとに運営規程を定めておくことを事業者に求めています。その第6号が「緊急時等における対応方法」です。
この運営規程は、事業所の中だけの決まりではありません。
| 条 | 中身 |
|---|---|
| 第8条第1項 | 提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の重要事項を記した文書を交付して説明を行い、同意を得なければならない |
| 第32条第1項 | 事業所の見やすい場所に、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の重要事項を掲示しなければならない |
| 第32条第3項 | 原則として、重要事項をウェブサイトに掲載しなければならない |
出典:運営基準 第8条第1項、第29条第6号、第32条第1項・第3項
緊急時にどう動くかは、事業所ごとに規程に書いておく項目で、その概要は利用者側にも説明されます。働く側から見ると、口頭の申し送りだけでなく、文書で確かめられるはずのものです。
訪問中に利用者の病状が急変した場合の対応は、第27条が訪問介護員等を主語にして定めており、条文の中身はサービス提供責任者がきついときで扱っています。
不安を一人で抱えないための、事業所の外の窓口
ここまでは制度の話です。不安が強いまま訪問を続けているときは、事業所の中だけで抱えないでください。
- 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局・労働基準監督署内)。労働条件、いじめ・嫌がらせなど、労働問題全般の相談を無料で受け付けています。総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- こころの耳(厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)。電話・SNS・メールの相談窓口が案内されています。こころの耳
眠れない、食欲がない、訪問の前になると体がこわばるといった状態が続くときは、医療機関を受診してください。制度を確かめるより先に、休むことが必要な場合があります。
この記事が扱っていないこと
- 2人で訪問したときの賃金の払われ方。報酬の算定と、働く人への賃金は別のものです。本記事は取得していません。
- 緊急時訪問介護加算など、訪問介護のほかの加算の中身。本記事は2人の訪問と初回加算に絞りました。
- 介護予防・日常生活支援総合事業の訪問サービスでの扱い。市町村が定めるもので、本記事は取得していません。
- 訪問先での安全対策に対する国の補助事業。予算の段階の話で、本記事は取得していません。
- ハラスメントを防ぐための事業者の措置。サービス提供責任者がきついときで扱っています。
- 個々の事業所の運営規程の中身。事業所ごとに違うため、本記事は扱っていません。
一人で訪問する前に確認できること
- どんな場合に2人で訪問する取り決めがあるか。告示第94号第三号は、同意を前提に、身体的理由・暴力行為等・それらに準ずる場合を挙げています。
- 初めての利用者宅に、サ責が同行するか。同行する場合も、途中で現場を離れることがあると通知は書いています。
- 訪問介護計画と、利用者の状況についての情報を、いつ・どう受け取るか。運営基準 第24条第1項と第28条第3項第4号の話です。
- 運営規程の「緊急時等における対応方法」に何が書かれているか。重要事項は原則としてウェブサイトに掲載されます。
- 訪問中に、どの時間帯に誰へ連絡がつくか。規程の文面とあわせて、実際の連絡先を確かめておけます。
よくある質問
Q. 一人で行くのが怖い利用者宅に、2人で行くことはできますか。
A. 告示第19号の訪問介護費 注8は、要件を満たす場合に、同時に2人で行った身体介護・生活援助を所定単位数の100分の200で算定するとしています。要件は告示第94号第三号で、利用者又はその家族等の同意を前提に、身体的理由で1人では困難な場合、暴力行為・著しい迷惑行為・器物破損行為等が認められる場合、それらに準ずる場合です。実際に2人で訪問するかは事業所での確認が必要です。
Q. 夜遅い訪問が不安なので、2人で行けば算定されますか。
A. 留意事項通知は、単に安全確保のために深夜の時間帯に2人で提供した場合は、利用者側の希望により利用者や家族の同意を得て行った場合を除き、100分の200は算定されないとしています。通知が書いているのは算定の可否で、事業所が2人体制をとること自体を禁じた文言はこの項目にはありません。
Q. 初めての利用者宅に、サ責は同行してくれますか。
A. 告示第19号の初回加算(200単位)は、新規に訪問介護計画を作成した利用者について、サ責が自ら訪問した場合や、ほかの訪問介護員等の訪問にサ責が同行した場合に算定するものです。加算の定めで、同行の義務を定めた条文ではありません。同行するかどうかは事業所に確かめられます。
Q. 緊急時に誰へ連絡するかは、どこで確かめられますか。
A. 運営基準 第29条第6号は、運営規程に「緊急時等における対応方法」を定めるよう事業者に求めています。運営規程の概要は第8条第1項で利用申込者に文書で説明され、第32条で掲示や原則ウェブサイトへの掲載が求められています。
Q. 計画にないことを頼まれて困ったときは。
A. 何をするかはサ責が作る訪問介護計画と、サ責からの指示で示されます(運営基準 第24条第1項・第28条第3項第4号)。訪問介護で引き受けられないことの区分は訪問介護でできないことで扱っています。
迷ったらここ
2人訪問と初回の同行を聞く
利用者か家族等の同意があり、1人では介護が困難・暴力行為等がある・それらに準ずる場合は、2人で訪問して所定単位数の100分の200で算定できます(告示第94号第三号)。初回はサ責が訪問か同行する初回加算もあります。
- どんな場合に2人で訪問する取り決めがあるか。誰の同意を取って決めるか
- 初めての利用者宅にサ責が同行するか。同行はどこまでか
- 運営規程の「緊急時等における対応方法」と、訪問中に連絡がつく相手・時間帯
まとめ
訪問介護の報酬で、2人で同時に訪問した場合の扱いは告示第19号の注8にあります。身体介護と生活援助について、要件を満たせば所定単位数の100分の200で算定します。
要件は告示第94号の第三号です。利用者又はその家族等の同意を前提に、身体的理由で1人では困難な場合、暴力行為・著しい迷惑行為・器物破損行為等が認められる場合、それらに準ずる場合のいずれかです。単に安全確保のために深夜に2人で行った場合は、利用者側の希望による場合を除き算定されないと、留意事項通知は書いています。
初めての利用者には、サ責が訪問するか同行する初回加算(200単位)があります。訪問の内容は訪問介護計画とサ責の指示で示され、緊急時等における対応方法は運営規程に定める項目です。
一人で訪問する仕事でも、制度は計画・指示・規程という形で、訪問の前に決めておくものを置いています。それが職場でどう運用されているかは、ここに挙げた項目で確かめられます。

