管理栄養士の訪問指導に530点が新設 仕事が病院の外に出る

管理栄養士の訪問指導に530点 仕事が病院の外へ
目次

30秒でわかるまとめ

  • 管理栄養士の訪問指導に530点が新設されました入院していた病院の管理栄養士が、退院後の自宅を訪ねて指導する場合の評価です。
  • 算定できるのは退院から1か月以内で4回までです退院した日は数えません。1か月を超えたあとは外来や在宅の指導料に切り替わります。
  • 嚥下調整食が特別食加算の対象に加わりました1食76円で1日3食までです。責任者は研修を修了した管理栄養士であることが求められます。
  • 管理栄養士の病棟専従の縛りも緩みました専従とされていた管理栄養士が、その病棟から退院した患者の外来指導もできるようになりました。

令和8年度の診療報酬改定で、管理栄養士の仕事に関わる変更が3つ入った。いずれも4月から動いているが、解説は病院の算定業務に向けたものが多く、管理栄養士本人に向けたものが見当たらない。3つに共通しているのは、管理栄養士が関われる場所が広がる方向に動いていることである。ここでは厚生労働省の資料を読み、管理栄養士として働く人・これから移る人から見て何が変わったのかを整理する。

退院後の自宅を訪ねて530点

1つ目は新しく作られた評価である。退院後訪問栄養食事指導料、1回につき530点。入院していた病院の管理栄養士が、退院した患者の自宅などを訪ねて指導する場合に算定できる。

項目内容
点数1回につき530点
期間退院した日から1か月以内(退院日は数えない)
回数4回まで
誰が入院していた病院の管理栄養士。医師の指示にもとづく
何を具体的な献立などによる栄養管理の指導

出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定について【質の高い在宅医療の推進】」令和8年3月10日版

対象になる患者は、医師の食事箋にもとづく特別食が必要な人、がん患者、摂食機能または嚥下機能が低下した人、低栄養状態にある人である。

この指導料と、外来栄養食事指導料・在宅患者訪問栄養食事指導料は同時には算定できない。1か月を超えて指導が必要なときは、そちらに切り替わる。

ちはる

管理栄養士が患者さんの家に行く仕事は、前からあったのでしょうか。

熊先生

訪問の指導料はあったよ。ただ、入院していた病院からの訪問は別なんだ。

ちはる

入院中に見ていた人を、そのまま家でも見るということですね。

1か月を過ぎると別の指導料に移る

この530点が使えるのは退院から1か月だけである。資料は、その後の受け皿もあわせて示している。

  • 退院から1か月以内 退院後訪問栄養食事指導料(4回まで)
  • 1か月を超えたあと 外来栄養食事指導料、在宅患者訪問栄養食事指導料、または介護保険の居宅療養管理指導

出典:同上

つまり新設されたのは、退院した直後の1か月という切れ目を埋める評価である。病院から在宅へ移るときに栄養管理が途切れないようにする、という位置づけになっている。

嚥下調整食が加算の対象に

2つ目は入院中の食事である。特別食加算の対象に嚥下調整食が加わった。加算は1食76円、1日3食までである。

ここで働く人に関わるのは、算定のために求められる条件のほうである。

責任者は、一定の要件を満たした実習を伴う研修を修了した当該保険医療機関の管理栄養士であること。

研修を修了した管理栄養士がいないと、この加算は取れない。加算の算定要件が、特定の資格や研修を持った人の配置に結びついた形である。

食事そのものへの要求も具体的である。資料は「安全性と食欲を促す食感とを両立した食形態」であることに加えて、献立として常食と同等の盛り付け、味や香り、適切な温度、栄養量に配慮されたものであることを挙げている。さらに定期的に多職種でミールラウンドを行い、常食が適している場合は速やかに食事を変更することも求められる。

施設基準には検食が毎日行われることと、定期的な多職種の試食会やカンファレンスの開催も入っている。

病棟専従の縛りが緩んだ

3つ目は配置の話である。入院栄養管理体制加算では、病棟に専従の常勤管理栄養士を1名以上置くことが求められてきた。専従なので、その病棟の業務だけをすることになる。

今回の改定で、ここにただし書きが付いた。

ただし、当該病棟での栄養管理業務に影響のない範囲において、当該病棟から退院した患者の外来栄養食事指導等の継続的な支援を行うことは差し支えない。

病棟専従のまま、その病棟から退院した患者を外来でも見られるようになった。専従という縛りは残っているが、担当していた患者を退院後も続けて見る道が開いた形である。

ちはる

3つとも、管理栄養士が関わる範囲が広がる方向なんですね。

熊先生

そう。逆に縛りを強める変更は、この資料には見当たらないね。

熊先生

ただ、広がるということは、やることが増えるということでもあるよ。

ちはる

人が増えるのか、いまの人が持つのかで、ずいぶん違いますね。

地方ではさらに要件が緩む

ここまでは全国共通の話である。これとは別に、医療資源の少ない地域に限った要件の緩和がある。

  • 外来緩和ケア管理料 管理栄養士の常勤要件と専従要件が緩む
  • 栄養サポートチーム加算 看護師等の専従要件が緩む

出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定について【入院(共通事項)】」令和8年3月10日版

これは全国の話ではない。対象は医療資源の少ない地域に所在する医療機関で、そこでは常勤でなくても、専従でなくても要件を満たせる場合がある。地方の求人で「非常勤でも可」「兼務あり」と書かれている背景には、この仕組みがあることがある。

自分が見ている求人がこの地域にあたるかどうかは、病院に聞けば分かる。届出の前提になっているためである。

療養病棟でも対象患者が広がった

もう1つ、療養病棟の経腸栄養管理加算も見直された。この加算は、栄養の摂り方を決める適切な過程を経て経腸栄養を行う場合に算定できるものである。

今回、その病院に入院する前から中心静脈栄養で管理されていた患者について、その期間を問わず算定できるようになった。あわせて、口から食べられなくなったときに中心静脈栄養ではなく経腸栄養を選んだ場合も算定できることが明確にされた。

出典:同「令和8年度診療報酬改定について【医学管理・リハビリテーション】」令和8年3月10日版

これも対象が広がる向きである。ここまで見てきた変更は、いずれも管理栄養士が関わる場面を増やす方向にそろっている。

編集部の見方:移動の時間は誰が持つか

ここからは編集部の見方である。

3つの変更は、管理栄養士を「病院の中で献立を作る人」から「患者に付いていく人」へ動かす方向にそろっている。入院中に見ていた人を退院後も訪ね、退院後の外来でも続けて見る。嚥下調整食の責任者という役割も、加算に直接ひもづいた。

ただし資料に書かれているのは、算定できるようになったことだけである。誰がその訪問に行くのか、その人の担当患者は誰が見るのか、移動にかかる時間はどう扱われるのかは、どこにも書かれていない。病棟専従のただし書きも「業務に影響のない範囲において」という条件つきである。

だから求人票を見るときに効いてくるのは、その病院がこれらを算定しているかどうかと、算定するための人を増やしたかどうかの2つである。算定していて人は増えていないなら、いまいる管理栄養士がその分を持っていることになる。

逆に見れば、訪問や嚥下調整食に関わる経験は、これから評価されやすくなる。研修を修了していることが加算の要件に入ったのは、この改定ではっきり見える変化である。いまの職場でその研修に行けるかどうかは、次に移るときの持ち物にも関わってくる。

もう1つ、地方で働くことを考えている人には別の読み方がある。医療資源の少ない地域では、常勤や専従の要件が緩む加算がある。非常勤や兼務の求人が出ている理由が、人手が足りないからだけとは限らない。制度の側でそれが認められている場合がある、ということである。

なお、実際に何割の病院がこれらを算定しているかは、公表された資料からは分からない。

ちはる

算定しているかどうかは、面接で聞いてもいいことですか。

熊先生

病院が届け出ている内容だからね。答えの出る問いだよ。

迷ったらここ

新しい加算を取っているか、人は増やしたかを聞く

退院後の訪問指導は1回530点、嚥下調整食の加算は1食76円で新しく算定できるようになりました。取っているのに人を増やしていなければ、いまいる管理栄養士がその分を持っています。

  • 退院後訪問栄養食事指導料を算定しているか。誰が訪問しているか
  • 嚥下調整食の加算を取っているか。責任者は誰か
  • この改定のあと、管理栄養士の人数は増えたか
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出典

一次資料

編集部メモ

  • 制度の記述は、すべて厚生労働省の説明資料から直接取っています。この資料には合計を検算できる表がないため、3つの変更それぞれについて、点数・期間・回数・要件が原文どおりに拾えているかを1文ずつ照合しました。あわせて、3つが同じ向き(管理栄養士が関われる範囲が広がる方向)に動いていることも確かめています。
  • ⚠ 「3つとも広がる方向」は編集部の見方です。資料が3つをまとめてそう書いているわけではありません。ただし、管理栄養士について縛りを強める記述がこの資料に見当たらないことは、編集部で本文を機械的に探して確認しました。
  • ⚠ 「1か月で最大2,120点」や「1日で最大228円」といった掛け算は、本文に出していません。実際に何回訪問するか、何食が対象になるかは患者によって違うためです。
  • 誰が訪問に行くのか、その間の担当をどうするのか、移動時間がどう扱われるのかは、この資料には書かれていません。本記事でも書いていません。
  • 「一定の要件を満たした実習を伴う研修」がどの研修を指すのかは、この説明資料には書かれていません。本記事でも具体名は挙げていません。
  • 実際に何割の病院がこれらを算定しているかは、公表資料からは分かりません。本記事では制度の内容だけを扱っています。
  • この改定は令和8年4月から動いています。本記事は新しく決まったことを伝えるものではなく、いま効いている制度を管理栄養士の側から整理したものです。
  • ⚠ 外来緩和ケア管理料と栄養サポートチーム加算の要件緩和は、「医療資源の少ない地域」に限った話です。全国どこでも緩むわけではありません。本文にもその旨を書きました。
  • 介護保険の居宅療養管理指導については、診療報酬の資料では扱いが限られます。本記事では名前を挙げるにとどめました。
  • 報道各社の記事は参照していません。数値も記述も、すべて厚生労働省の資料から取っています。
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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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