30秒でわかるまとめ
- 介護の管理者の仕事内容は、一元的な管理と指揮命令です従業者及び業務の管理を一元的に行い、規定を遵守させるための指揮命令を行うと定められています。
- 管理者は、専らその職務に従事する常勤が原則です管理上支障がない場合に限って、同じ事業所の他の職務や他の事業所の職務と兼ねられます。
- 研修の修了を求める事業は、条文に3つあります認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護の管理者です。
- そのうち2つは、認知症介護の経験3年以上も要ります小規模多機能型居宅介護と認知症対応型共同生活介護は、介護に従事した経験の年数が条文にあります。
※特別養護老人ホームの施設長の要件は生活相談員の資格要件、事業者を主語にした運営上の義務はサービス提供責任者がきついとき、サービス提供責任者の業務はサービス提供責任者の仕事内容で扱っています。

まず条文:管理者の責務は2つの項に書かれています
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号。以下「居宅基準」)の第28条は、訪問介護の「管理者及びサービス提供責任者の責務」の条です。管理者について書いているのは第1項と第2項です。
| 項 | 条文 |
|---|---|
| 第1項 | 「指定訪問介護事業所の管理者は、当該指定訪問介護事業所の従業者及び業務の管理を、一元的に行わなければならない。」 |
| 第2項 | 「指定訪問介護事業所の管理者は、当該指定訪問介護事業所の従業者にこの章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うものとする。」 |
出典:居宅基準(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100037)第28条第1項・第2項(原文どおり)
管理の対象は「従業者」と「業務」の2つで、そのやり方が「一元的に」です。第2項の指揮命令は、この章の規定を遵守させるためという目的が付いています。
業務の一覧を並べる書き方ではありません。サービス提供責任者の第28条第3項が業務を号で並べているのとは、形が違います。

置き方は「専ら従事する常勤」で、兼務には条件があります
訪問介護の管理者を定める居宅基準 第6条です。
「指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。ただし、指定訪問介護事業所の管理上支障がない場合は、当該指定訪問介護事業所の他の職務に従事し、又は他の事業所、施設等の職務に従事することができるものとする。」
出典:居宅基準 第6条(原文どおり)
通所介護(居宅基準 第94条)と地域密着型通所介護(地域密着型基準 第21条)も、同じ書き方です。
| 原則 | ただし書(管理上支障がない場合) |
|---|---|
| 事業所ごとに、専らその職務に従事する常勤の管理者を置く | 同じ事業所の他の職務に従事できる/他の事業所、施設等の職務に従事できる |
兼務は「管理上支障がない場合」に限られます。管理者とサービス提供責任者、管理者と生活相談員を兼ねる求人があるのは、このただし書があるからです。

「常勤」や「専ら従事する」が何を指すかは、厚生労働省の解釈通知が用語の定義として書いています。常勤の時間数の考え方や短時間勤務の扱いは介護の常勤換算とは|割る時間数は「32時間を下回る場合は32時間」が基本ですで扱っています。
ここが本題:研修の修了を求める事業は3つです
指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号。以下「地域密着型基準」)には、管理者に要件を置いている条があります。
| 事業 | 条 | 知識及び経験 | 認知症介護の経験 | 研修 |
|---|---|---|---|---|
| 認知症対応型通所介護(単独型・併設型) | 第43条第2項 | 必要な知識及び経験を有する者 | 条文に年数なし | 別に厚生労働大臣が定める研修を修了 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 第64条第3項 | ― | 3年以上認知症である者の介護に従事した経験 | 別に厚生労働大臣が定める研修を修了 |
| 認知症対応型共同生活介護 | 第91条第3項 | 必要な知識及び経験を有する者 | 3年以上認知症である者の介護に従事した経験 | 別に厚生労働大臣が定める研修を修了 |
出典:地域密着型基準(e-Gov法令API 法令ID 418M60000100034)第43条第2項、第64条第3項、第91条第3項
一方、訪問介護(居宅基準 第6条)・通所介護(同 第94条)・地域密着型通所介護(地域密着型基準 第21条)の管理者の条には、研修や経験年数の項がありません。
居宅介護支援事業所の管理者は、ここで扱う省令とは別の基準で主任介護支援専門員とされています。その定義と、研修を受けるまでに求められる年数は主任ケアマネの要件|省令は「十分な知識と経験」、年数は国のガイドラインにありますで扱っています。
経験を数える場所も、条文に並んでいます
第91条第3項は、3年以上の経験をどこで積んだものかも書いています。
「共同生活住居の管理者は、適切な指定認知症対応型共同生活介護を提供するために必要な知識及び経験を有し、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、介護医療院、指定認知症対応型共同生活介護事業所等の従業者又は訪問介護員等として、三年以上認知症である者の介護に従事した経験を有する者であって、別に厚生労働大臣が定める研修を修了しているものでなければならない。」
出典:地域密着型基準 第91条第3項(原文どおり)
「等」が付いているので、列挙はこれで閉じていません。「従業者又は訪問介護員等として」経験を積む、という書き方です。
グループホームの管理者は「共同生活住居ごと」です
第91条第1項の単位は事業所ではありません。
「指定認知症対応型共同生活介護事業者は、共同生活住居ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置かなければならない。」
出典:地域密着型基準 第91条第1項(原文どおり)
同じ事業所に共同生活住居が複数ある場合、管理者は住居ごとに置く形です。第2項は、サテライト型の共同生活住居の管理者を本体事業所の管理者で充てることができる場合を定めています。
求人を見るときに確認できること
- どの事業の管理者か。訪問介護・通所介護か、認知症対応型の事業かで、研修や経験年数の要件の有無が変わります。
- 兼務の募集か。ただし書の「管理上支障がない場合」に当たる形で、何と兼ねるのかを聞けます。
- 研修の修了が条件か、入職後に受講するのか。条文は「修了しているものでなければならない」と書いています。
- 認知症介護の経験年数の数え方。小規模多機能型居宅介護と認知症対応型共同生活介護は、3年以上の経験が条文にあります。
- グループホームなら、何ユニットの管理者か。管理者は共同生活住居ごとに置かれます。
よくある質問
Q. 訪問介護の管理者に資格は必要ですか。
A. 居宅基準 第6条は「専らその職務に従事する常勤の管理者」とだけ書いており、資格や研修の要件の項はありません。
Q. 管理者はサービス提供責任者と兼ねられますか。
A. 第6条のただし書は、管理上支障がない場合は同じ事業所の他の職務に従事できるとしています。
Q. 「別に厚生労働大臣が定める研修」とは何ですか。
A. 省令は研修の名称を書いていません。告示で定められており、本記事ではその中身に踏み込んでいません。
Q. グループホームの管理者になるには何年の経験が要りますか。
A. 第91条第3項は、3年以上認知症である者の介護に従事した経験を有する者と定めています。
Q. 特別養護老人ホームの施設長も同じですか。
A. 根拠になる省令が別です。生活相談員の資格要件で、施設長の要件の条を扱っています。
Q. 管理者の給与はいくらですか。
A. 本記事は条文だけを扱っており、金額には触れていません。
迷ったらここ
どの事業の管理者かで、要件が変わる
研修の修了を求めているのは認知症対応型の3事業で、訪問介護や通所介護の管理者の条にはありません。応募前に事業の種類を確かめられます。
- 応募先が訪問介護・通所介護か、認知症対応型の事業か
- 兼務の募集か(管理上支障がない場合に限られる)
- 研修の修了が条件か、入職後に受講するのか
まとめ
介護の管理者の責務は、従業者及び業務の管理を一元的に行うことと、規定を遵守させるための指揮命令です(居宅基準 第28条第1項・第2項)。
置き方の原則は専らその職務に従事する常勤で、管理上支障がない場合に限って兼務ができます。
研修の修了を求めているのは、認知症対応型通所介護・小規模多機能型居宅介護・認知症対応型共同生活介護の3つ。このうち後の2つは、3年以上認知症である者の介護に従事した経験も要件です。訪問介護・通所介護・地域密着型通所介護の管理者の条には、この要件がありません。

