助産師の仕事内容と1日|分べんのほかに、産後ケアという法律上の事業があります

目次

30秒でわかるまとめ

  • 助産師の業務は、助産と3者への保健指導です妊婦、じよく婦、新生児の保健指導が、保健師助産師看護師法の定義に入っています。
  • 産後ケアは、母子保健法が市町村に求める事業です出産後1年を経過しない女子と乳児を対象に、行うよう努めなければならないと書かれています。
  • 形は3つで、入所・通所・居宅訪問に分かれています短期間入所させる、通わせる、居宅を訪問する、の3つが第17条の2の号に並んでいます。
  • 助産師・保健師・看護師のいずれかを常に1名以上です母子保健法施行規則の実施基準が、配置と医療機関との連携体制を求めています。

※助産師になるまでの学校・実習・受験資格は助産師になるには、収入は助産師の年収、助産録の書き方の定めは看護記録の書き方で扱っています。

母子の健康を支える(助産師)

先に断ります:1日の時刻を定めた規定はありません

何時に何をするかは、病院・診療所・助産所ごとの勤務体制で決まり、法令には書かれていません。本記事は時刻表を作りません。

代わりに、法令が助産師の仕事として何を書いているかを確かめます。とくに、分べんの外側にある産後ケア事業を条文で読みます。

診察室でパソコン入力

まず定義:助産と、3者への保健指導です

保健師助産師看護師法 第3条です。

「この法律において「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。」

出典:保健師助産師看護師法(e-Gov法令API 法令ID 323AC0000000203)第3条(原文どおり)

業務対象
助産—
保健指導妊婦(出産前)/じよく婦(出産後の女性)/新生児

出典:同法 第3条。整理は編集部

そして第30条は「助産師でない者は、第三条に規定する業をしてはならない」(医師法に基づいて行う場合を除く)と定めています。助産と保健指導の両方が、助産師の業として守られているという書き方です。

定義の半分は、分べんそのものではなく保健指導です。しかも対象に「じよく婦」と「新生児」、つまり出産の後が入っています。

パソコンを使う白衣の女性

ここが本題:産後ケアは、母子保健法の事業です

出産後の仕事が、法律上の事業としてまとまっているのが母子保健法 第17条の2第1項です。

「市町村は、出産後一年を経過しない女子及び乳児の心身の状態に応じた保健指導、療養に伴う世話又は育児に関する指導、相談その他の援助(以下この項において「産後ケア」という。)を必要とする出産後一年を経過しない女子及び乳児につき、次の各号のいずれかに掲げる事業(……「産後ケア事業」という。)を行うよう努めなければならない。」

出典:母子保健法(e-Gov法令API 法令ID 340AC0000000141)第17条の2第1項(括弧内の一部を省略)

読みどころは3つです。

  • 対象は「出産後一年を経過しない」女子と乳児。退院した後の1年間が範囲です。
  • 中身は保健指導・療養に伴う世話・育児に関する指導・相談その他の援助。第3条の「じよく婦若しくは新生児の保健指導」と重なる言葉が並んでいます。
  • 市町村の義務の強さは「努めなければならない」。努力義務として書かれています。

形は3つ:入所・通所・居宅訪問

号事業の形
第1号病院、診療所、助産所その他内閣府令で定める施設であって産後ケアを行うもの(「産後ケアセンター」)に、短期間入所させ、産後ケアを行う事業
第2号産後ケアセンターその他の内閣府令で定める施設に通わせ、産後ケアを行う事業
第3号産後ケアを必要とする出産後一年を経過しない女子及び乳児の居宅を訪問し、産後ケアを行う事業

出典:母子保健法 第17条の2第1項第1号〜第3号

第2号の「内閣府令で定める施設」は、母子保健法施行規則 第7条の3が、産後ケアセンター、こども家庭センター、市町村保健センター、その他市町村長が適当と認める施設の4つを挙げています。

第1号の産後ケアセンターの例に「助産所」が名指しで入っています。病院・診療所と並んで、助産所が産後ケアの場として条文に置かれています。

実施基準:助産師・保健師・看護師のいずれかを常に1名以上

第17条の2第2項は、市町村が内閣府令で定める基準に従って産後ケア事業を行うことを求めています。その基準が母子保健法施行規則 第7条の4です。

号基準
第1号産後ケア事業を管理する者を定めること
第2号助産師、保健師又は看護師のいずれかを常に一名以上配置するとともに、事業の内容に応じ、心理に関する知識を有する者その他事業の実施に必要な者を置くこと
第3号緊急時の対応等を含め、適切な産後ケアを行うことができるよう、医療機関との連携体制を確保すること
第4号入所の事業は居室、カウンセリングを行う部屋、乳児の保育を行う部屋その他の設備、通所の事業は個別的又は集団的に産後ケアを行うために必要な設備を設置すること
第5号入所の事業は、適当な換気・採光・照明等の設備を有すること、同時におおむね二十人以上の妊産婦を短期間入所させてはならないこと(臨時応急の場合を除く)

出典:母子保健法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 340M50000100055)第7条の4

配置の条件は「助産師、保健師又は看護師のいずれか」で、助産師に限っていません。ただし3職種のうち、第3条で「じよく婦若しくは新生児の保健指導」を業とすることが定義に書かれているのは助産師です。

ほかにも、母子保健法は助産師を名指ししています

母子保健法は、保健指導(第10条)、新生児の訪問指導(第11条)、母子健康手帳への記載(第16条)、妊産婦の訪問指導(第17条)、未熟児の訪問指導(第19条)などの条で、医師・保健師と並べて助産師を挙げています。また第8条の2は、市町村が母子保健に関する事業の一部を助産師などに委託できると定めています。

出典:母子保健法 第8条の2、第10条、第11条、第16条、第17条、第19条

同じ条文を保健師の側から読んだ整理は保健師の仕事内容で扱っています。

この記事が扱っていないこと

  • 病院・診療所での1日の時刻と、夜勤の回数。法令にありません。
  • 産後ケア事業の委託料や利用料。市町村ごとに決まり、本記事は取得していません。
  • 市町村ごとの産後ケア事業の実施状況。本記事は統計を取得していません。
  • 分べん件数と、病院・診療所・助産所の数。本記事は取得していません。

2023年9月中に分娩を実施した施設は、一般病院886・一般診療所880です。分娩件数や担当する助産師の人数とあわせて助産師の病院とクリニックの違い|生まれる場所の44.8%は診療所、助産師は22.4%で扱っています。

働く場所を選ぶときに確認できること

  • 産後ケア事業を市町村から受けているか。病院・診療所・助産所は、第17条の2第1項第1号の産後ケアセンターになり得ます。
  • 入所・通所・訪問のどの形か。形によって、居宅を訪問する仕事か、施設で受け入れる仕事かが変わります。
  • 常に1名以上の配置を、どの職種で回しているか。基準は助産師・保健師・看護師のいずれかです。
  • 医療機関との連携体制。第7条の4第3号が確保を求めています。緊急時にどこへつなぐかを聞けます。
  • 分べんと産後ケアの比重。第3条の定義のうち、どちらの業務が中心の職場かで1日の形が変わります。

よくある質問

Q. 助産師の仕事は分べんの介助だけですか。
A. 保健師助産師看護師法 第3条は、助産に加えて「妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導」を助産師の業としています。

Q. 産後ケアとは何ですか。
A. 母子保健法 第17条の2第1項が、出産後一年を経過しない女子及び乳児の心身の状態に応じた保健指導、療養に伴う世話又は育児に関する指導、相談その他の援助を「産後ケア」と定めています。市町村が行うよう努める事業です。

Q. 産後ケアは助産師しかできませんか。
A. 母子保健法施行規則 第7条の4第2号は「助産師、保健師又は看護師のいずれかを常に一名以上配置」としています。助産師に限った書き方ではありません。

Q. 助産所で産後ケアはできますか。
A. 第17条の2第1項第1号は、産後ケアセンターの例として「病院、診療所、助産所」を挙げています。

Q. 1日の流れはどう決まりますか。
A. 時刻を定めた法令はありません。勤務先の体制によります。

迷ったらここ

分べんと産後ケア、どちらが中心かを聞く

助産師の定義にはじよく婦と新生児の保健指導が入っています。産後ケア事業を受けている職場かどうかで、仕事の形が変わります。

  • 市町村の産後ケア事業を受けているか
  • 入所・通所・訪問のどの形か
  • 常に1名以上の配置をどの職種で回しているか
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まとめ

助産師の業務は、保健師助産師看護師法 第3条で助産と、妊婦・じよく婦・新生児の保健指導と定められています。定義の半分は、出産の前後にわたる保健指導です。

出産後については、母子保健法 第17条の2が産後ケア事業を定めています。対象は出産後一年を経過しない女子及び乳児で、形は入所・通所・居宅訪問の3つ。産後ケアセンターの例には助産所が名指しで入っています。

実施基準(施行規則 第7条の4)は、助産師・保健師・看護師のいずれかを常に1名以上、医療機関との連携体制の確保、入所は同時におおむね20人以上を入所させないことなどを定めています。1日の時刻は法令にはなく、勤務先の体制で決まります。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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