30秒でわかるまとめ
- 介護職1年目の研修には、事業者の義務があります資格のない従業者に、認知症介護に係る基礎的な研修を受講させる措置が省令に書かれています。
- 対象から除かれているのは、資格を持つ人です看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員などの資格を有する者は除くとされています。
- この文言は、サービスによって入っていない条もあります通所介護や特定施設、介護老人福祉施設の条にはあり、訪問介護の条には書かれていません。
- 研修の機会をつくるのも、事業者の側です資質の向上のために研修の機会を確保しなければならない、と同じ項の前段に書かれています。
※辞めたい理由の分布は「介護職を辞めたい」と思ったら、人間関係の切り分けは介護職の人間関係に疲れたとき、法律が禁じている行為は介護職に向いてない人の特徴で扱っています。

先に断ります:この記事は「きつさ」を測りません
1年目の介護職がどれくらい辞めているか、という統計は本記事では扱いません。
ここで見るのは、資格を持たずに働き始めた人に対して、省令が事業者に何を求めているかです。「分からないまま現場に出される」という状態が、条文の上でどう位置づけられているかを確かめます。

ここが本題:研修を受けさせる措置は、事業者の義務です
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)の第101条は、通所介護の「勤務体制の確保等」の条です。第3項はこう書かれています。
「指定通所介護事業者は、通所介護従業者の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならない。その際、当該指定通所介護事業者は、全ての通所介護従業者(看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、法第八条第二項に規定する政令で定める者等の資格を有する者その他これに類する者を除く。)に対し、認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置を講じなければならない。」
出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100037)第101条第3項(原文どおり)
この項には、2つの文が入っています。
| 文 | 主語 | 中身 |
|---|---|---|
| 前段 | 指定通所介護事業者 | 資質の向上のために、研修の機会を確保しなければならない |
| 後段 | 指定通所介護事業者 | 資格を有する者を除く全ての従業者に、認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置を講じなければならない |
どちらも主語は事業者で、語尾は「しなければならない」です。努力義務の書き方ではありません。

訪問介護の場合、研修の時間が労働時間に当たるかどうかは、国の通達が「明示的な指示」や「出席の強制」を手がかりに示しています。訪問介護の移動時間に給料は出るか|通達は、条件つきで労働時間に当たるとしていますで扱っています。
除かれているのは、資格を持っている人です
後段の括弧書きは、対象から除く人を挙げています。
| 括弧書きで除かれている者 |
|---|
| 看護師 |
| 准看護師 |
| 介護福祉士 |
| 介護支援専門員 |
| 法第八条第二項に規定する政令で定める者等の資格を有する者 |
| その他これに類する者 |
出典:同省令 第101条第3項の括弧書き(原文どおり)
裏を返すと、資格を持たずに働き始めた人が対象です。1年目で無資格の人に向けて、事業者が研修を受講させるための措置を講じる、という組み立てになっています。
資格を取る側から見ると、介護福祉士の受験に必要な実務者研修には、教育訓練給付や20万円以内の受講資金の貸付といった国の制度があります。介護福祉士の実務者研修の費用|受講料は施設が決め、国が定めているのは450時間と免除の範囲ですで扱っています。
この文言が書かれている条、書かれていない条
同じ文言(認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置)が直接書かれている条を探すと、次のとおりです。
| 省令 | サービス | 条 |
|---|---|---|
| 指定居宅サービス等基準 | 訪問入浴介護 | 第53条の2 |
| 通所介護 | 第101条 | |
| 短期入所生活介護(ユニット型) | 第140条の11の2 | |
| 短期入所療養介護(ユニット型) | 第155条の10の2 | |
| 特定施設入居者生活介護 | 第190条 | |
| 指定介護老人福祉施設基準 | 介護老人福祉施設 | 第24条 |
| ユニット型介護老人福祉施設 | 第47条 |
出典:指定居宅サービス等基準、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100039)。本則の全条を走査し、この文言を含む条を編集部が抽出
訪問介護の「勤務体制の確保等」(第30条)には、この文言が入っていません。研修の機会の確保は同じく事業者の義務ですが、認知症介護に係る基礎的な研修についての一文はありません。
表は「その条に直接書かれているもの」だけです。準用の規定で他のサービスに及んでいる場合は、この表に含めていません。
介護老人福祉施設でも、同じ書き方です
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 第24条第3項です。
「指定介護老人福祉施設は、従業者に対し、その資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない。その際、当該指定介護老人福祉施設は、全ての従業者(看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、法第八条第二項に規定する政令で定める者等の資格を有する者その他これに類する者を除く。)に対し、認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置を講じなければならない。」
出典:同省令 第24条第3項(原文どおり)
主語は指定介護老人福祉施設です。除かれる人の並びも、通所介護と同じです。
職場の外にある窓口
ここまでは条文の話です。しんどい状態が続いているときは、職場の中だけで抱えないでください。
- 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局・労働基準監督署内)。労働条件、いじめ・嫌がらせなど、労働問題全般の相談を無料で受け付けています。総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- こころの耳(厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)。電話・SNS・メールの相談窓口が案内されています。こころの耳
眠れない、食べられない、気分の落ち込みが続くといった状態があるときは、医療機関を受診してください。制度の話より先に確かめることがあります。
よくある質問
Q. 研修を受けさせてもらえないのは、法令違反ですか。
A. 本記事は個々の事業所について判断しません。省令が事業者に措置を講じることを求めている、というところまでを示しています。
Q. 初任者研修を修了していれば対象外ですか。
A. 括弧書きは「法第八条第二項に規定する政令で定める者等の資格を有する者」を除いています。どの研修の修了者が含まれるかは、この省令の外(政令)で定められています。
Q. 訪問介護で働いている場合はどうなりますか。
A. 省令の訪問介護の条(第30条)には、認知症介護に係る基礎的な研修についての一文がありません。研修の機会を確保する義務は、同じく事業者にあります。
Q. 研修の費用は誰が払いますか。
A. 条文は「受講させるために必要な措置」とだけ書いており、費用負担の定めは置いていません。
Q. 1年目がきついのは自分に向いていないからですか。
A. 本記事は適性を判断する記事ではありません。資格を持たない従業者に研修を受講させる仕組みが、事業者の義務として省令に置かれていることを示しています。
Q. 辞めるかどうかを決めたいです。
A. 本記事は良し悪しを決める記事ではありません。辞めたい理由の分布は「介護職を辞めたい」と思ったらで扱っています。
迷ったらここ
研修の受講について、入職前に聞く
資格のない従業者に認知症介護に係る基礎的な研修を受講させる措置は、事業者の義務として省令に書かれています。だから入職前に聞いてよい項目です。
- 自分が研修の対象に当たるか(資格の有無)
- 研修の受講を事業所がどう手配しているか
- 応募先のサービスの条に、この一文があるか
まとめ
資格を持たずに働き始めた介護職に対して、省令は事業者に研修を受講させる措置を求めています。通所介護の第101条第3項は「認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置を講じなければならない」と書いています。
対象から除かれるのは、看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員などの資格を有する者です。つまり対象は、資格のない従業者です。
この文言は、訪問入浴介護、通所介護、ユニット型の短期入所、特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設の条に書かれています。訪問介護の条には、この一文がありません。
同じ項の前段には、研修の機会を確保するのも事業者の義務だと書かれています。

