介護福祉士の実務者研修の費用|受講料は施設が決め、国が定めているのは450時間と免除の範囲です

目次

30秒でわかるまとめ

  • 介護福祉士の実務者研修の受講料に、国が示す相場はありません受講料は研修を開く施設が学則に書くものです。国の指針が求めているのは「適当な額」と費用の開示です。
  • 費用を左右する時間数は、原則450時間と省令にあります初任者研修の修了者は9科目130時間分が免除され、受講は320時間になると厚生労働省の通知にあります。
  • 教育訓練給付が使えるかは、講座ごとの指定で決まります国のリーフレットは実務者研修を一般教育訓練の例に挙げています。給付は受講費用の20%、上限10万円です。
  • 受講資金の貸付は20万円以内、2年間の勤務で返済免除です介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業です。無利子で、申込みは各都道府県が指定する団体で行います。

※実務者研修が受験ルートのどこに当たるかは介護福祉士になるには、試験そのものは介護福祉士国家試験の難易度で扱っています。

車椅子サポート(介護福祉士)

先に断ります:受講料の相場は、この記事では出しません

実務者研修の受講料は、研修を開く養成施設が決めるものです。国の法令や通知に、受講料の相場を示した資料はありません。本記事は民間スクールのサイトを使わず、金額の相場も作りません。

そのかわり、費用を左右する「時間数」「免除」「給付」「貸付」を、厚生労働省の一次資料で示します。まず、国が受講料について何を書いているかです。

「入所料、授業料及び実習費等は適当な額であり、寄附金その他の名目で不当な金額を徴収しないこと。」

出典:厚生労働省社会・援護局長通知「社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設の設置及び運営に係る指針について」(平成20年3月28日社援発第0328001号、最終改正 令和5年11月30日社援発1130第41号)別添2 Ⅰの11(3)(原文どおり)

実務者研修を行う養成施設(Ⅱ)も、この取扱いに「準ずること」とされています。書かれているのは「適当な額」で、金額ではありません。同じ指針は、学則に「入所検定料、入所料、授業料、実習費等」を明示すること(Ⅰの5)、情報開示の項目に「費用」を入れること(Ⅰの10・別表4)も求め、Ⅱの5・Ⅱの10で実務者研修にも準用しています。

実務者研修が始まったときの通知には、次の一文があります。

「実務者養成施設にあっては、可能な限り低廉な費用で開講することが望ましいこと。」

出典:厚生労働省社会・援護局長通知「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則等の一部を改正する省令の施行について(介護福祉士養成施設における医療的ケアの教育及び実務者研修関係)」(平成23年10月28日社援発1028第1号)2の(5)(原文どおり)

同じ通知は、実施主体について「営利法人やNPO法人など、法人格を取得している者であれば可能であること。」としています。地方厚生局の案内も、受講料は各施設に問い合わせるよう書いています。

「なお、受講料、募集状況などについては、研修を開講している施設の連絡先(電話番号)にお問い合わせください。」

出典:近畿厚生局「介護福祉士実務者研修に関するよくあるご質問Q&A」(2025年2月20日)A2(原文どおり)

資格取得ノート

ケアマネの更新研修の受講料も、研修実施機関が都道府県知事に申請書で示す事項で、国の資料に相場はありません。時間数と免除の範囲はケアマネ更新研修の費用|受講料は都道府県ごとに決まり、国が定めるのは88時間の中身ですで扱っています。

中身は省令の別表第五:20科目、合計450時間です

実務者研修を行う養成施設の基準は、社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則 第7条の2です。昼間課程・夜間課程の基準として、修業年限は6月以上、教育の内容は別表第五に定めるもの以上とされています(同条第1号イ・ロ)。

科目時間数
人間の尊厳と自立5
社会の理解Ⅰ5
社会の理解Ⅱ30
介護の基本Ⅰ10
介護の基本Ⅱ20
コミュニケーション技術20
生活支援技術Ⅰ20
生活支援技術Ⅱ30
介護過程Ⅰ20
介護過程Ⅱ25
介護過程Ⅲ45
こころとからだのしくみⅠ20
こころとからだのしくみⅡ60
発達と老化の理解Ⅰ10
発達と老化の理解Ⅱ20
認知症の理解Ⅰ10
認知症の理解Ⅱ20
障害の理解Ⅰ10
障害の理解Ⅱ20
医療的ケア50
合計450

出典:社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則(昭和62年厚生省令第50号)別表第五(e-Gov法令APIで2026年9月29日に取得。最終改正 令和8年3月31日厚生労働省令第51号)

時間数の原則は450時間です。大学などの学校が行う場合は社会福祉士介護福祉士学校指定規則の別表第四の二が同じ役割を持ち、合計はやはり450時間です。受講料が施設ごとに違っても、学ぶ中身と時間数の枠は、この表で全国共通です。

セミナー受講

通学か通信か:どちらも認められ、面接授業は残ります

同規則 第2条第1項は、実務者研修を行う養成施設の課程を「昼間課程、夜間課程及び通信課程」としています。通知は、教育方法を次のように整理しています。

「実務者研修については、専ら通学による方法(以下「通学課程」という。)と、通信課程を中心としつつ、一部通学を組み合わせる方法(以下「通信主体の課程」という。)の両方を認めていること。」

出典:平成23年10月28日社援発1028第1号 2の(2)(原文どおり)

ただし、通信主体の課程でも、別表第五の備考が面接授業を求めている部分があります。

「介護過程Ⅲについては、面接授業により行うものとする。」

「医療的ケアについては、講義及び演習により行うものとし、講義の時間数は少なくとも五十時間以上とし、演習は面接授業とするものとする。」

出典:社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則 別表第五 備考一・備考二(原文どおり)

介護過程Ⅲの45時間と医療的ケアの演習は、通う形で受けることになります。受講料とは別に、通う日の交通費や勤務の調整が必要になるかどうかは、面接授業の日程と場所で変わります。

持っている資格で、受ける時間が変わります

別表第五の備考四は、既に受けた研修の扱いを定めています。

「あらかじめ厚生労働大臣に届け出られたものにおいて既に履修したものと認められる科目については、その科目の履修を免除することができる。」

出典:社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則 別表第五 備考四(原文どおり。冒頭の研修の範囲を示す部分は中略)

通知はこれを「修了認定」と呼び、「修了認定は科目単位で行われ、当該科目については、実務者養成施設において改めて履修する必要がないこと。」としています(平成23年10月28日社援発1028第1号 2の(4)①)。修了した研修ごとの受講時間数は、厚生労働省の通知の別添で示されています。

修了している研修実務者研修の受講時間数
(なし)450
介護職員初任者研修320
訪問介護員研修 1級95
訪問介護員研修 2級320
訪問介護員研修 3級420
介護職員基礎研修50

出典:厚生労働省社会・援護局福祉基盤課長通知「実務者研修における「他研修等の修了認定」の留意点について」(平成23年11月4日社援基発1104第1号)別添1

介護職員初任者研修で免除の印が付いている科目は、人間の尊厳と自立(5)、社会の理解Ⅰ(5)、介護の基本Ⅰ(10)、生活支援技術Ⅰ(20)、生活支援技術Ⅱ(30)、介護過程Ⅰ(20)、認知症の理解Ⅰ(10)、障害の理解Ⅰ(10)、こころとからだのしくみⅠ(20)の9科目です。合計すると130時間で、450時間から引くと表の320時間になります(合計は編集部算出)。

同じ別添は、その他の研修として、認知症介護実践者研修を認知症の理解Ⅰ・Ⅱに、喀痰吸引等研修を医療的ケアに対応させています。看護職については、指針が次のように定めています。

「看護師又は准看護師の資格を有する生徒については、生徒からの申請に基づき、養成施設指定規則別表第5に示す医療的ケアの科目の履修について、免許証原本を確認の上、免除して差し支えないこと。」

出典:前掲指針 別添2 Ⅱの6(4)(原文どおり)

免除されるのは時間数で、期間ではありません。厚生労働省のQ&Aは、次のように答えています。

「修了認定を行う際であっても、実務者研修の修業年限は6月以上必要です。」

出典:厚生労働省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室 事務連絡「介護福祉士養成施設等における医療的ケアの教育及び実務者研修にかかるQ&A集の送付について」(平成24年1月12日)別添 実務者研修関係 2(原文どおり)

免除した時間に応じて受講料をどう設定するかは、施設ごとの定めです。国の資料には書かれていません。

教育訓練給付:講座が指定されていれば、受講費用の一部が支給されます

雇用保険の教育訓練給付金は、雇用保険法 第60条の2に定めがあります。厚生労働大臣が指定する教育訓練を受けて修了した場合などに支給され、額は受講のために支払った費用に「百分の二十以上百分の八十以下の範囲内において厚生労働省令で定める率」を掛けた額とされています(同条第1項・第4項)。

区分率上限額
一般教育訓練百分の二十(20%)10万円
特定一般教育訓練百分の四十(40%)20万円
特定一般教育訓練で、資格の取得等をして雇用された場合など百分の五十(50%)25万円

出典:雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)第101条の2の7第1号〜第3号、第101条の2の8第1項第1号〜第3号(e-Gov法令APIで2026年9月29日に取得)

対象になる費用は入学料及び受講料です(同規則 第101条の2の6第1号)。計算した額が4,000円を超えないときは支給されません(雇用保険法 第60条の2第5項、同規則 第101条の2の9)。

実務者研修がどの区分に当たりうるかについて、厚生労働省のリーフレット「教育訓練給付金のご案内」(管理番号 LL070328開若01)は、一般教育訓練の対象講座の例に「介護福祉士実務者養成研修」を挙げています。ただし、給付の対象になるのは講座ごとに指定を受けたものです。実務者研修が始まる前のQ&Aも、そう書いています。

「平成24年度予算案においては、介護福祉士等修学資金貸付事業の対象に実務者研修受講者を加えることとしています。また、教育訓練給付制度の指定基準を満たせば、教育訓練給付制度の対象とすることとしています。」

出典:平成24年1月12日 事務連絡 別添 実務者研修関係 10(原文どおり)

指定された講座については、厚生労働大臣が講座指定通知書の事項をインターネットで公表するとされ、その事項に「入学料及び受講料」の額が含まれています(同規則 第101条の2の2)。厚生労働省が公表している「一般教育訓練 新規指定講座一覧(令和8年4月1日付け)」にも、実務者研修の講座が入学料・受講料・経費合計の欄つきで載っています。本記事は個別の金額や平均を載せていません。

リーフレットは、初めて受ける場合の条件の1つを雇用保険の加入期間が1年以上(専門実践教育訓練は2年以上)としています。一般教育訓練の支給申請は、修了した日の翌日から1か月以内です(同規則 第101条の2の11)。自分が対象になるかは、ハローワークで確かめられます。

教育訓練給付のうち専門実践教育訓練では、助産師などの養成課程も講座ごとに指定の対象になります(助産師は51講座)。その率と上限は助産師の学校の学費|国立の授業料は、学部も大学院も専攻科も標準額535,800円ですで扱っています。

受講資金の貸付:20万円以内、2年間の勤務で返済免除

厚生労働省は、介護福祉士修学資金等貸付制度の中に「介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業」を置いています。

項目厚生労働省の案内の記載
対象者実務者研修施設に在学している方
貸付金額20万円以内
返済免除卒業後に介護福祉士として、介護の業務に2年間勤務することで返済が全額免除される
利子無利子
申込み各都道府県の指定する団体

出典:厚生労働省「介護福祉士・社会福祉士を目指す方々へ(修学資金貸付制度のご案内)」(2026年9月29日取得)

返済免除の条件は、案内に次のとおり書かれています。

「卒業後に介護福祉士として、介護の業務に2年間勤務することで返済が全額免除される」

出典:同ページ「介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業」(原文どおり)

国の実施要綱(平成5年5月31日厚生省社援発第164号「介護福祉士等修学資金の貸付けについて」別紙)も、実務者研修を行う学校・養成施設(実務者養成施設等)に在学する者への貸付額を200,000円以内とし、「利子は、無利子とする。」と定めています(第4の2、第5の2)。

問合せと申込みについて、案内は「問合せ、申込みは各都道府県の指定する団体で行っています。」としています。受付の時期や、都道府県ごとの細かな条件は、国の資料からは取得していません。

この記事が扱っていないこと

  • 施設ごとの受講料と、その平均・相場。国の資料に相場はありません。指定講座一覧の個別の金額も集計していません。
  • 免除を受けた場合の受講料の割引。施設ごとの定めで、国の資料にはありません。
  • 貸付の受付時期、都道府県ごとの上乗せ、返済免除の細かな条件。国の現行の実施要綱の全文を取得していません。
  • 専門実践教育訓練の給付の中身と、事業所向けの助成。取得していません。

実務者研修の講座を選ぶときに確認できること

  • 学則や開示情報の「費用」。指針は、授業料等を学則に明示し、費用を情報開示の項目とするよう求めています。
  • 自分が修了している研修と、受講時間数。初任者研修なら320時間、訪問介護員研修2級なら320時間が通知の示す時間数です。
  • 面接授業の日程と場所。介護過程Ⅲと医療的ケアの演習は、通信主体の課程でも面接授業です。
  • 教育訓練給付の指定講座かどうか。講座ごとに指定の有無と区分が違います。厚生労働省の教育訓練講座検索システムで確認できます。
  • 受講資金の貸付の窓口。申込みは各都道府県の指定する団体です。受講を始める前に、条件と時期を確かめられます。

よくある質問

Q. 実務者研修の費用の相場はいくらですか。
A. 国の法令や通知に、受講料の相場を示した資料はありません。受講料は各養成施設が学則に定めるもので、指針は「適当な額」とすること、費用を情報開示することを求めています。個別の金額は、各施設に確認してください。

Q. 初任者研修を持っていると、何時間になりますか。
A. 厚生労働省の通知(平成23年11月4日社援基発1104第1号 別添1)では、介護職員初任者研修の修了者の受講時間数は320時間です。9科目130時間分が免除される計算です。ただし修業年限の6月以上は変わりません。

Q. 通信で受ければ、一度も通わずに済みますか。
A. 別表第五の備考は、介護過程Ⅲを面接授業で、医療的ケアの演習も面接授業で行うとしています。通信主体の課程でも、この部分は通うことになります。

Q. 教育訓練給付はいくら戻りますか。
A. その講座が指定を受けていることが前提です。一般教育訓練なら入学料及び受講料の20%で、上限は10万円です(雇用保険法施行規則 第101条の2の7第1号・第101条の2の8第1項第1号)。指定の有無と区分は講座ごとに確認が必要です。

Q. 受講資金の貸付は返さなくてよいのですか。
A. 厚生労働省の案内では、卒業後に介護福祉士として介護の業務に2年間勤務することで返済が全額免除されます。貸付金額は20万円以内です。細かな条件は、申込み先の団体で確認してください。

迷ったらここ

実務者研修は講座の中身と制度で比べる

実務者研修の受講料に国が示す相場はありませんが、時間数は原則450時間、初任者研修の修了者は320時間と通知が示しています。給付や貸付が使えるかも、講座選びの材料になります。

  • 学則や開示情報に費用が書かれているか(指針は費用の開示を求めている)
  • 面接授業の日程と場所(介護過程Ⅲと医療的ケアの演習は通う)
  • 教育訓練給付の指定講座か(指定は講座ごと)
介護職の転職サービスを比較する

まとめ

実務者研修の受講料は施設が決めるもので、国の資料に相場はありません。国の指針が求めているのは、授業料等を学則に明示し、「適当な額」とし、費用を開示することです。

費用を左右する枠は省令にあります。20科目・合計450時間が原則で、介護職員初任者研修の修了者は320時間です。負担を軽くする公的な制度は、講座が指定されていれば使える教育訓練給付と、受講資金の貸付(20万円以内、2年間の勤務で返済免除)の2つです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

目次