30秒でわかるまとめ
- 認定こども園と保育園を分ける基準は「学級」の有無です幼保連携型は満3歳以上について学級を編制しますが、保育所の基準に「学級」という語は出てきません
- 「認定こども園」は1つの制度を指す言葉ではありません幼保連携型と、幼稚園・保育所が認定を受けた施設が、同じ名称でまとめて呼ばれています
- 職員配置の比率は、実は同じ数字が使われています0歳3人に1人など年齢区分の比率は同じで、違うのは学級ごとの専任配置など2つの上乗せです
- 幼保連携型で働くには、原則2つの資格が必要です幼稚園教諭免許と保育士登録の両方が原則で、片方だけの就業は経過措置の期間に限られます
※働くのに必要な免許・資格(保育教諭)と、幼稚園教諭免許を取る特例は幼稚園教諭になるにはで扱っています。小規模保育や企業主導型との比較は小規模保育のメリット・デメリット、企業主導型保育のメリット・デメリットをご覧ください。

先に整理します:比べる相手を決めないと比較になりません
はじめに言葉の断りです。この記事では法令の言葉である「保育所」を使います。求人や日常で使う「保育園」は、認可を受けた施設についていえば同じものを指します。児童福祉法が使っているのは「保育所」で、「保育園」という語は条文に出てきません。
認定こども園法(平成18年法律第77号)第2条第6項は、「認定こども園」をこう定義しています。
| 定義に含まれるもの | 根拠 |
|---|---|
| 第3条第1項の認定を受けた施設(幼稚園・保育所等) | 法 第2条第6項/第3条第1項 |
| 第3条第3項の認定を受けた施設(連携施設) | 法 第2条第6項/第3条第3項 |
| 第3条第10項の規定による公示がされた施設 | 法 第2条第6項 |
| 幼保連携型認定こども園 | 法 第2条第6項/第2条第7項 |
出典:就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律 第2条第6項・第7項、第3条(e-Gov法令API 法令ID 418AC0000000077)。表の整理は編集部
元が幼稚園の施設も、元が保育所の施設も、同じ「認定こども園」という名前で呼ばれます。
そのうえで幼保連携型だけは扱いが違います。幼保連携型は第3条の認定ではなく、法 第2条第7項に定義が置かれ、独自の設備運営基準(平成26年内閣府・文部科学省・厚生労働省令第1号)を持っています。
この記事は、いちばん違いが大きい「認可保育所」と「幼保連携型認定こども園」を比べます。

認可保育所の基準は、児童福祉法第45条にもとづき都道府県が条例で定め、年度ごとに1回以上の実地の検査で確かめられます。その仕組みは保育園の監査で見られること|都道府県の実地検査は、年度ごとに1回以上ですで扱っています。
根拠になる条文が違います
| 比べる点 | 認可保育所 | 幼保連携型認定こども園 |
|---|---|---|
| 定義 | 児童福祉法 第39条第1項 | 認定こども園法 第2条第7項 |
| 対象の子ども | 保育を必要とする乳児・幼児 | 満3歳以上の子どもに対する教育+保育を必要とする子どもに対する保育を一体的に |
| 定員 | 利用定員が20人以上であるものに限る | 条文に定員の下限の定めなし |
| 設備・運営の基準 | 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号) | 幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準(平成26年内閣府・文部科学省・厚生労働省令第1号) |
出典:児童福祉法 第39条第1項(法令ID 322AC0000000164)、認定こども園法 第2条第7項、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(法令ID 323M40000100063)、幼保連携型認定こども園の設備運営基準(法令ID 426M60000182001)
注目したいのは、児童福祉法 第39条第1項の書き方です。
「保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設(利用定員が二十人以上であるものに限り、幼保連携型認定こども園を除く。)とする」
保育所の定義そのものが、幼保連携型認定こども園を除いています。両者は制度上、重なりません。

保育所保育指針は、3歳以上児の指導計画について、個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮することを求めています。指導計画の書き方は保育士の指導案の書き方|指針が設定を求めるのは「ねらい及び内容」。書式の定めはありませんで扱っています。
ここが本題:「学級」があるかどうか
幼保連携型の設備運営基準 第4条は、こう定めています。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 第1項 | 満3歳以上の園児については、教育課程に基づく教育を行うため、学級を編制するものとする |
| 第2項 | 一学級の園児数は、30人以下を原則とする |
| 第3項 | 学級は、学年の初めの日の前日において同じ年齢にある園児で編制することを原則とする |
出典:幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準 第4条第1項〜第3項
これに対して、保育所の基準には「学級」という語が1か所もありません。編集部が児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の全文を機械的に検索して確認しています。
年齢でクラスを分けている保育所は多くありますが、それは基準が求めているものではありません。幼保連携型では、満3歳以上について学級を編制することが基準に書かれています。
賃金のほうは、公定価格の加算が共通の枠組みになっています。加算の要件と、賃金改善の内容を職員に周知する決まりは保育士の処遇改善手当はいくらか|令和7年度から一本化されましたで扱っています。
職員の人数の基準は、数字としては同じです
ここは誤解されやすいところです。配置の数字そのものは一致しています。
| 子どもの区分 | 認可保育所 | 幼保連携型認定こども園 |
|---|---|---|
| 満1歳未満(乳児) | おおむね3人につき1人以上 | おおむね3人につき1人 |
| 満1歳以上満3歳未満 | おおむね6人につき1人以上 | おおむね6人につき1人 |
| 満3歳以上満4歳未満 | おおむね15人につき1人以上 | おおむね15人につき1人 |
| 満4歳以上 | おおむね25人につき1人以上 | おおむね25人につき1人 |
| 下限 | 保育所1につき2人を下ることはできない | 常時2人を下ってはならない |
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項、幼保連携型認定こども園の設備運営基準 第5条第3項
違いは、幼保連携型にだけ置かれている2つの上乗せです。
| 上乗せ | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 学級ごとの専任 | 各学級ごとに担当する専任の主幹保育教諭・指導保育教諭・主務保育教諭又は保育教諭を1人以上置かなければならない | 第5条第1項 |
| 学級数による下限 | 満3歳以上の区分に係る員数が学級数を下るときは、学級数に相当する数を員数とする | 第5条第3項 表の備考三 |
出典:幼保連携型認定こども園の設備運営基準 第5条第1項、第3項(表の備考一〜五のうち備考三)
子どもの人数だけで職員数が決まらない、という点が保育所と違います。学級を編制した以上、学級の数が職員数の下限として効いてきます。
なお第5条第2項には、特別の事情があるときの例外があります。専任の副園長・教頭が兼ねる、または学級数の3分の1の範囲内で専任の助保育教諭・講師をもって代えることができる、という定めです。
子どもの側にも時間の区分があります。2号・3号の子どもが受ける保育必要量の認定は「1日11時間まで」と「1日8時間まで」の2区分で、その組み立ては認定こども園の短時間・長時間|施行規則の区分は「1日11時間まで」と「8時間まで」ですで扱っています。
時間の決まり方も違います
保育の時間は、実はほぼ同じ書き方です。
| 比べる点 | 認可保育所 | 幼保連携型認定こども園 |
|---|---|---|
| 保育時間 | 1日につき8時間を原則とし、保育所の長が定める(第34条) | 1日につき8時間を原則とし、園長が定める(第9条第1項第3号・第2項) |
| 教育週数 | 定めなし | 毎学年39週を下ってはならない(第9条第1項第1号) |
| 教育時間 | 定めなし | 1日当たり4時間が標準(第9条第1項第2号) |
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第34条、幼保連携型認定こども園の設備運営基準 第9条第1項・第2項
保育の8時間は共通で、そこに教育の枠がもう一層かぶさっているのが幼保連携型です。1日の中に「学年」と「教育課程」の時間が入ります。
幼稚園における1日の組み立ては幼稚園教諭の仕事内容と1日で扱っています。
幼稚園教諭免許状そのものにも、法律上の区分があります。免許状が3つに分かれていることと、幼保連携型認定こども園の教員の免許が別の法律によることは幼稚園教諭の免許状の種類|幼稚園に特別免許状はありませんで扱っています。
働く人の資格が違います
幼保連携型認定こども園に置かれるのは「保育教諭」です。法 第14条第1項は、園長及び保育教諭を置かなければならないと定めています。
そして法 第15条第1項が、その資格を定めています。
「幼稚園の教諭の普通免許状を有し、かつ、児童福祉法 第18条の18第1項の登録(保育士登録)を受けた者でなければならない。」
「かつ」です。保育士資格だけでは、条文の原則としては保育教諭になれません。
しかもこれには罰則があります。法 第40条第1号・第2号は、相当の免許状を有しない者又は登録を受けていない者を保育教諭等に任命・雇用した場合、およびその立場で保育教諭等となった場合について、30万円以下の罰金を定めています。
ただし経過措置があります。法の附則第5条第1項は、施行日から起算して15年間、幼稚園教諭の普通免許状を有する者又は保育士登録を受けた者は保育教諭等となることができる、と定めています。片方だけでも働ける期間が設けられているということです。
幼稚園教諭免許を取るための特例と、その期限は幼稚園教諭になるにはで扱っています。本記事では特例の単位数や期限には踏み込みません。
障害児の通所支援になると、根拠になる省令がまた別になります。人員の数え方と、計画に基づいて支援する仕組みは放課後等デイの仕事内容と1日|時刻ではなく計画で決まりますで扱っています。
認可保育所と幼保連携型の違い(まとめ表)
| 項目 | 認可保育所 | 幼保連携型認定こども園 |
|---|---|---|
| 根拠 | 児童福祉法 第39条第1項 | 認定こども園法 第2条第7項 |
| 定員の下限 | 20人以上 | 条文に定めなし |
| 学級 | 基準に規定なし | 満3歳以上は学級を編制/1学級30人以下が原則 |
| 職員の人数 | 年齢区分ごとの比率+2人以上 | 同じ比率+常時2人以上+学級ごとの専任+学級数による下限 |
| 保育時間 | 1日8時間原則 | 1日8時間原則 |
| 教育の枠 | 規定なし | 教育週数39週以上/教育時間1日4時間標準 |
| 働く人 | 保育士 | 保育教諭(幼稚園教諭免許+保育士登録。附則第5条の経過措置あり) |
| 資格違反の罰則 | — | 30万円以下の罰金(法 第40条第1号・第2号) |
出典:本文中に挙げた各条文
資格を持たない職員が何をできて何をできないのかは、また別の条文で決まります。名称の使用制限と、配置基準の数え方は保育補助にできないこと|法令が禁じているのは2つだけですで扱っています。
園を選ぶときに確認できること
1. 「認定こども園」の中でも、どの制度かを聞く
幼保連携型なのか、幼稚園や保育所が第3条の認定を受けたものなのかで、適用される基準そのものが変わります。求人票に「認定こども園」としか書かれていなければ、そこは確認する価値があります。
2. 学級があるかを聞く
幼保連携型なら満3歳以上は学級を編制します。学級数を聞けば、職員配置の下限の一部も見えます。学級数は職員数の下限として効くからです(第5条第3項 備考三)。
3. 自分がどの年齢を担当するのかを確認する
満3歳未満には学級がありません。同じ園でも、担当する年齢によって「学級担任」なのかどうかが変わります。
4. 免許・資格の状況を先に整理する
幼保連携型で働くなら、原則は幼稚園教諭免許と保育士登録の両方です。附則第5条の経過措置の期間内であれば片方でも就けますが、期間が定められている以上、いつまでかを確認しておくほうが安全です。
5. 教育時間の4時間が、1日のどこに入るかを聞く
基準は「1日当たり4時間を標準」としか書いていません。朝なのか午前中いっぱいなのかは園が決めます。ここを聞くと、実際の働き方の想像がつきます。
見学先が幼保連携型ではない認定こども園なら、求められる資格の決まり方が変わります。4つの種類の分かれ方と、種類ごとに求められる資格の違いは認定こども園の種類は4つ|法律にある名前は幼保連携型だけ。残る3つは告示の呼び名ですで扱っています。
よくある質問
Q. 認定こども園と保育園、どちらが働きやすいですか。
A. 条文からは判断できないため、本記事では扱っていません。基準の違いは学級の有無・職員配置の上乗せ・教育の枠の3点です。実際の働きやすさは園ごとに異なります。
Q. 保育士資格だけで認定こども園に就職できますか。
A. 幼保連携型については、法 第15条第1項の原則は両方が必要です。ただし附則第5条第1項に15年間の経過措置があります。幼保連携型以外の認定こども園については、施設の元の種別(幼稚園か保育所等か)によって扱いが異なります。応募先にご確認ください。
Q. 職員の人数は認定こども園のほうが多いのですか。
A. 年齢区分ごとの比率は同じです。幼保連携型には「各学級ごとに専任1人以上」と「員数が学級数を下るときは学級数に合わせる」という上乗せがあります。実際の人数は園の学級編制によります。
Q. 給与は違いますか。
A. 本記事は給与を扱っていません。なお国の賃金統計では、幼稚園と認定こども園で働く人が同じ職種区分にまとめられています。その事情は幼稚園教諭の年収で扱っています。
Q. 小規模保育や企業主導型保育とは何が違いますか。
A. 根拠になる制度が別です。小規模保育のメリット・デメリット、企業主導型保育のメリット・デメリットで扱っています。
Q. 保育所には学級がないのに、なぜクラス分けがあるのですか。
A. 基準が学級の編制を求めていないだけで、園が年齢ごとにクラスを分けることを妨げてはいません。本記事は「基準に規定があるかどうか」を比べています。
迷ったらここ
「認定こども園」のどの制度かを聞いてから比べる
幼保連携型かどうかで、適用される基準そのものが変わります。学級があるのは幼保連携型だけで、学級数は職員数の下限にも効きます(設備運営基準 第5条第3項 備考三)。
- 幼保連携型か、幼稚園・保育所等が第3条の認定を受けたものか
- 幼保連携型なら学級数はいくつか(1学級30人以下が原則。各学級に専任の保育教諭等1人以上)
- 自分の免許・資格で、附則第5条の経過措置に頼らずに働けるか
まとめ
「認定こども園」は1つの施設の名前ではありません。幼保連携型と、幼稚園や保育所等が第3条の認定を受けたものが、同じ名前で呼ばれています。
いちばん違いが大きいのは幼保連携型です。児童福祉法 第39条第1項は、保育所の定義から幼保連携型を明示的に除いています。
そして条文レベルでいちばんはっきりした違いは「学級」です。幼保連携型は満3歳以上について学級を編制し、1学級30人以下を原則とします。保育所の基準には、この語がありません。
職員配置の比率は同じ数字です。違うのは「各学級ごとに専任1人以上」と「学級数が職員数の下限になる」という2つの上乗せ。そして保育8時間の上に、教育週数39週・教育時間1日4時間という枠がもう一層かかります。
求人を比べるときは、施設の名前ではなく、どの基準が適用される施設なのかから見てください。

