30秒でわかるまとめ
- 幼稚園教諭の1日は教育時間4時間の後も続きます教育課程に係る教育時間は4時間を標準とし、終了後に預かり保育などの教育活動が続きます
- 幼稚園の登園・降園時刻を定めた規定はありません決まっているのは教育時間4時間を標準とすることと、年間39週を下ってはならないことだけです
- 1学級30人以下に専任教諭等が1人つきます幼稚園設置基準は1学級の幼児数を30人以下とし、各学級に専任の教諭等を1人置くと定めています
- 預かり保育の担当は担任と別の場合があります教育要領は教育課程の担当教師と預かり保育の担当者が別人であることを前提にした書き方をしています
※幼稚園教諭になる方法(免許の種類と特例)は幼稚園教諭になるには|保育士からの特例は8単位、2030年3月31日で終わります、給与の分布は幼稚園教諭の年収は442.6万円|男女差125.5万円は保育士の5.3倍ですで扱っています。この記事は、1日の形を決めている制度だけを扱います。

先に断ります:時刻を定めた規定はありません
「幼稚園教諭の1日」を知りたい人が多いので、最初に書いておきます。幼稚園の1日について、時刻を定めた法令はありません。何時に出勤する、何時に登園を受け入れる、といった決まりは置かれていません。
代わりに決まっているのは長さと週数、そして1学級の人数です。この3つが1日の形を決めています。
| 決まっているもの | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1日の長さ | 4時間を標準とする | 幼稚園教育要領 第1章 総則 第3の3(3) |
| 年間の週数 | 39週を下ってはならない | 学校教育法施行規則 第37条/教育要領 第1章 総則 第3の3(2) |
| 1学級の人数 | 30人以下を原則とする | 幼稚園設置基準 第3条 |
| 学級あたりの教員 | 少なくとも専任の教諭等1人 | 同基準 第5条第1項 |
出典:各法令・告示。時刻を定めた規定は、いずれにも見当たりません
そもそも幼稚園の教育課程の基準は、学校教育法施行規則 第38条が「文部科学大臣が別に公示する幼稚園教育要領によるものとする」と定めています。だから1日の長さは、法律でも省令でもなく告示に書かれています。

ここが本題:教育課程に係る教育時間は4時間
幼稚園教育要領 第1章 総則 第3「教育課程の役割と編成等」の3「教育課程の編成上の基本的事項」に、こう書かれています。
「(3) 幼稚園の1日の教育課程に係る教育時間は、4時間を標準とする。ただし、幼児の心身の発達の程度や季節などに適切に配慮するものとする。」
出典:幼稚園教育要領(平成29年3月告示)第1章 総則 第3の3(3)
読みどころが3つあります。
| 条文の言葉 | 読み方 |
|---|---|
| 教育課程に係る | 4時間は教育課程の部分だけ。預かり保育の時間は含まない |
| 4時間を標準とする | 上限でも下限でもなく標準。園によって前後する |
| 心身の発達の程度や季節などに適切に配慮する | 入園当初や夏季などに短くする運用が前提に入っている |
出典:同(3)の文言を編集部が分解
「標準」という書き方が、この職種の1日を理解する鍵です。4時間という数字は決まっているのに、実際の勤務時間は園ごとに違う。その理由は、次の2つの層にあります。

1つめの層:年間39週という枠
長さの次は、年間の日数です。学校教育法施行規則 第37条がこう定めています。
「幼稚園の毎学年の教育週数は、特別の事情のある場合を除き、39週を下つてはならない。」
幼稚園教育要領 第1章 総則 第3の3(2)にも、ほぼ同じ文が置かれています。「幼稚園の毎学年の教育課程に係る教育週数は、特別の事情のある場合を除き、39週を下ってはならない。」
出典:学校教育法施行規則 第37条(e-Gov法令API 法令ID 322M40000080011)、幼稚園教育要領 第1章 総則 第3の3(2)
39週は「下ってはならない」=下限です。4時間が「標準」なのに対して、こちらは下限として書かれています。書き方が違う点に注意してください。
1年は52週前後なので、39週は年間のおよそ4分の3にあたります。残りの期間が長期休業に対応します。ただし、長期休業中に教員が何をするかを定めた規定は、本記事が確認した範囲にはありません。
2つめの層:教育時間の終了後に、もう一層あります
ここが「1日」の実際を決めている部分です。幼稚園教育要領には第3章「教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項」という章が独立して置かれています。
その1はこう始まります。「地域の実態や保護者の要請により、教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行う教育活動については、幼児の心身の負担に配慮するものとする。」
そして留意すべき点が5つ並びます。
| 号 | 留意事項 |
|---|---|
| (1) | 教育課程に基づく活動を考慮し、幼児期にふさわしい無理のないものとすること。その際、教育課程に基づく活動を担当する教師と緊密な連携を図る |
| (2) | 家庭や地域での生活も考慮し、計画を作成すること。地域の人々と連携するなど、地域の様々な資源を活用する |
| (3) | 家庭との緊密な連携を図ること。情報交換の機会を設けるなど、保護者の意識が高まるようにする |
| (4) | 地域の実態や保護者の事情とともに幼児の生活のリズムを踏まえ、実施日数や時間などについて弾力的な運用に配慮する |
| (5) | 適切な責任体制と指導体制を整備した上で行う |
出典:幼稚園教育要領 第3章の1(1)〜(5)
読みどころは2つです。
1つめ。(1)が「教育課程に基づく活動を担当する教師と緊密な連携を図る」と書いています。教育課程の担当者と、その後の活動の担当者が別の人であることを前提にした文です。同じ人が続けてやるとは書かれていません。
2つめ。(4)が実施日数や時間の「弾力的な運用」を求めています。ここが園によって勤務の形が大きく変わる理由です。4時間は共通でも、その後ろは共通ではありません。
認定こども園では、教育時間の後も園で過ごす2号・3号の子どもと、希望して残る1号の子どもが一緒にいます。幼保連携型認定こども園教育・保育要領の書き方は認定こども園の短時間・長時間|施行規則の区分は「1日11時間まで」と「8時間まで」ですで扱っています。
3つめの層:幼児期の教育のセンターとしての役割
第3章にはもう1項あります。園の仕事が保育室の中だけで終わらないことが、ここに書かれています。
「2 幼稚園の運営に当たっては、子育ての支援のために保護者や地域の人々に機能や施設を開放して、園内体制の整備や関係機関との連携及び協力に配慮しつつ、幼児期の教育に関する相談に応じたり、情報を提供したり、幼児と保護者との登園を受け入れたり、保護者同士の交流の機会を提供したりするなど、幼稚園と家庭が一体となって幼児と関わる取組を進め、地域における幼児期の教育のセンターとしての役割を果たすよう努めるものとする。」
出典:幼稚園教育要領 第3章の2
ここに挙げられている取組は4つです。相談に応じる/情報を提供する/幼児と保護者との登園を受け入れる/保護者同士の交流の機会を提供する。
語尾は「努めるものとする」で、努力を求める書き方です。ただし、この4つが業務として想定されていること自体は、告示に書かれています。「保育室で子どもを見る仕事」という理解だけでは足りない部分です。
その4時間を、何人で見るか
人数の基準は幼稚園設置基準(昭和31年文部省令第32号)にあります。
第3条は「一学級の幼児数は、30人以下を原則とする」と定めています。第4条は「学級は、学年の初めの日の前日において同じ年齢にある幼児で編制することを原則とする」としています。
そして第5条第1項です。
「幼稚園には、園長のほか、各学級ごとに少なくとも専任の主幹教諭、指導教諭、主務教諭又は教諭(次項において「教諭等」という。)を一人置かなければならない。」
出典:幼稚園設置基準 第3条、第4条、第5条第1項(e-Gov法令API 法令ID 331M50000080032)
第5条には例外もあります。
- 第2項:特別の事情があるときは、教諭等は専任の副園長又は教頭が兼ね、又は当該幼稚園の学級数の3分の1の範囲内で専任の助教諭若しくは講師をもって代えることができる
- 第4項:幼稚園に置く教員等は、教育上必要と認められる場合は他の学校の教員等と兼ねることができる
出典:同基準 第5条第2項・第4項
「1学級30人以下、各学級に専任1人」が基準です。年齢ごとに配置数が細かく分かれる保育所の配置基準とは、書き方の形が違います。
幼保連携型認定こども園には、幼稚園とは別の設備運営基準があります。教育週数39週・教育時間4時間という枠が、保育8時間の上にどう重なるのかは認定こども園と保育園の違い|基準に「学級」があるかで分かれますで扱っています。
保育所やこども園と一緒に活動する場合
同じ基準の第13条は、幼稚園に在籍しない子どもと一緒に保育できる場合を2つ定めています。
| 号 | 合同活動が認められる場合 |
|---|---|
| 第1号 | 幼稚園と保育所等の建物及び附属設備が一体的に設置されている場合で、その保育所等において満3歳以上の子どもに学校教育法 第23条の目標が達成されるよう保育を行うに当たり、幼稚園との緊密な連携協力体制を確保する必要があると認められる場合 |
| 第2号 | 幼児の数が減少し、又は幼児が他の幼児と共に活動する機会が減少したこと等により、学校教育法 第23条第2号の目標(集団生活を通じて…)の達成が困難と認められ、幼児の心身の発達を助長するために特に必要と認められる場合 |
出典:幼稚園設置基準 第13条第1号・第2号
第2号が「幼児の数が減少し」を理由に挙げている点は、この職種の働く場所を考えるうえで実務的な意味があります。1つの園だけで学級を編制しにくい状況が、条文の中に想定として入っています。
そもそも何を目標にした仕事か
最後に、根拠の一番上を確認します。学校教育法 第22条が幼稚園の目的を定めています。
「幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。」
第23条は、その目的を実現するための目標を5つ挙げています。
| 号 | 目標(要旨) |
|---|---|
| 第1号 | 健康、安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養い、身体諸機能の調和的発達を図る |
| 第2号 | 集団生活を通じて喜んで参加する態度を養い、家族や身近な人への信頼感を深め、自主・自律・協同の精神と規範意識の芽生えを養う |
| 第3号 | 身近な社会生活、生命及び自然に対する興味を養い、正しい理解と態度及び思考力の芽生えを養う |
| 第4号 | 日常の会話や絵本、童話等に親しむことを通じて、言葉の使い方を正しく導き、相手の話を理解しようとする態度を養う |
| 第5号 | 音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて、豊かな感性と表現力の芽生えを養う |
出典:学校教育法 第23条第1号〜第5号(e-Gov法令API 法令ID 322AC0000000026)。要旨は編集部がまとめた
この5つが、教育要領 第2章の5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)に対応しています。日々の活動は、この目標から降りてきた形で組み立てられます。
手元の免許状がどの区分かも、確かめておける項目です。普通免許状と臨時免許状で効力の及ぶ範囲と期間が違うことは幼稚園教諭の免許状の種類|幼稚園に特別免許状はありませんで扱っています。
見学・面接で確認できること
1. 教育課程の時間と、その後の時間を分けて聞く
4時間は教育課程の部分です。「何時から何時までが教育課程で、その後の預かりは何時までか」を分けて聞いてください。合計が勤務時間の目安になります。
2. 預かり保育の担当が誰かを聞く
教育要領 第3章の1(1)は「教育課程に基づく活動を担当する教師と緊密な連携を図る」としています。担当が分かれているのか、同じ教員が続けるのかで、1日の長さが変わります。
3. 1学級の人数と担任体制を数字で聞く
設置基準は30人以下・各学級に専任1人です。実際の1学級の人数と、補助に入る人がいるかを数字で確認してください。第5条第2項の例外(学級数の3分の1の範囲で助教諭・講師)に当たる運用かどうかも聞けます。
4. 39週の外側をどう過ごすかを聞く
年間39週が下限です。長期休業中の勤務について定めた規定は本記事では確認していないため、園ごとの運用になります。研修・預かり保育・行事準備のどれが中心かは、聞かないと分かりません。
5. 子育て支援の取組があるかを聞く
教育要領 第3章の2が挙げているのは、相談・情報提供・親子の登園の受け入れ・保護者同士の交流の4つです。これらを実施している園では、その分の業務が加わります。
よくある質問
Q. 幼稚園教諭の1日のタイムスケジュールを教えてください。
A. 時刻を定めた規定がないため、本記事では具体的な時刻を示しません。制度から言えるのは、教育課程に係る教育時間が4時間を標準とすること(教育要領 第1章 総則 第3の3(3))、年間39週を下らないこと(学校教育法施行規則 第37条)、そして教育時間の終了後に別の教育活動が置かれ得ること(教育要領 第3章)までです。実際の時間割は園ごとに違うので、見学時に確認してください。
Q. 保育所とは何が違いますか。
A. 根拠になる制度が違います。幼稚園は学校教育法と幼稚園教育要領(告示)が、保育所は児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(省令)が枠を決めています。本記事が扱ったのは幼稚園の側だけです。保育所側の規定については保育園栄養士の仕事内容と1日で別の職種の例を扱っています。両制度の比較は本記事では行っていません。
Q. 4時間しか働かないのですか。
A. 4時間は幼児の教育課程の時間であって、教員の勤務時間ではありません。教育要領は教育時間の終了後等に行う教育活動(第3章の1)と、子育て支援の取組(同2)を別に置いています。本記事では教員の勤務時間そのものを定めた規定を確認していません。勤務条件は各園の就業規則によります。
迷ったらここ
勤務時間は「教育課程」と「その後」を分けて聞く
教育要領が定めているのは1日4時間を標準とする教育課程の部分だけで、その終了後の教育活動は別の章に置かれています。求人票の勤務時間だけでは、どちらをどれだけ担当するのかが読めません。
- 教育課程は何時から何時までで、預かりは何時までか
- 預かり保育の担当は担任と同じ人か(教育要領は別担当を前提にした書き方)
- 1学級の幼児数と担任体制(設置基準は30人以下・各学級に専任の教諭等1人)
まとめ
- 1日の教育課程に係る教育時間は4時間を標準(幼稚園教育要領 第1章 総則 第3の3(3))。時刻の指定はない
- 毎学年の教育週数は39週を下ってはならない(学校教育法施行規則 第37条/教育要領 同(2))。4時間は「標準」、39週は「下限」で書き方が違う
- その外側に教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動があり、5つの留意事項が置かれている(教育要領 第3章の1)。(1)は担当が別であることを前提にした書き方
- さらに幼児期の教育のセンターとしての役割として、相談・情報提供・親子の登園の受け入れ・保護者同士の交流の4つが挙げられている(同2・努力を求める書き方)
- 人数は1学級30人以下(設置基準 第3条)、各学級ごとに専任の教諭等1人(同 第5条第1項)。例外は学級数の3分の1の範囲
- 幼稚園の目的は義務教育及びその後の教育の基礎を培うもの(学校教育法 第22条)で、目標は5つ(第23条)
この職種の1日を理解する鍵は、「4時間」と「その後」が別の制度の層に置かれていることです。求人票の勤務時間だけでは、どちらをどれだけ担当するのかが読めません。見学のときは、教育課程の時間・預かりの時間・その担当者の3つを分けて確かめてください。

