小規模保育のメリットとデメリット|卒園後の受け皿には4つの例外があります

目次

30秒でわかるまとめ

  • 小規模保育は3つの弱点に手当てと例外が同時にあります集団保育・代替保育・卒園後の受け皿を連携施設が担う一方、第6条第2項以降はすべて適用除外の規定です
  • 卒園後の受け皿には、例外が4通り用意されています離島等のただし書に加え、市町村の措置・確保困難・15年の経過措置(附則第3条)まで並びます
  • 代替保育の仕組みは、保育所の基準にはありません職員が病気や休暇で保育を提供できないとき、連携施設が代わって保育する仕組みで、保育所の省令にはない規定です
  • 見学では「あるか」より「どの形か」が要点です卒園後の受け皿が連携施設か、企業主導型保育など第7項の施設かで、その後の説明が変わります

※小規模保育の配置基準(保育所と同じ比率に「+1人」)、A型・B型・C型の違い、設備の基準といった仕事内容そのものは小規模保育の仕事内容|配置基準が保育所より「+1人」。定員19人以下の現場で変わる5つのことで扱っています。この記事は連携施設まわりだけを扱います。

乳児の保育(小規模保育)

メリット側:制度が3つの弱点を名指ししています

定員19人以下という規模には、構造的な弱点があります。大人数の集団を作れない。職員が休んだときの替えがいない。3歳になったら預け先が変わる。この3つを、省令は連携施設の役割として名指ししています。

号連携の内容手当てされている弱点
第1号利用乳幼児に集団保育を体験させるための機会の設定、保育の適切な提供に必要な相談・助言その他の保育の内容に関する支援大人数の活動が自前でできない
第2号必要に応じて代替保育を提供すること(職員の病気、休暇等により保育を提供できない場合に、代わって提供する保育)職員が休んだときの替えがいない
第3号保育の提供の終了に際して、保護者の希望に基づき引き続き連携施設で教育又は保育を提供すること卒園後の預け先(いわゆる3歳の壁)

出典:家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第61号)第6条第1項第1号〜第3号

連携先になれるのは保育所、幼稚園又は認定こども園で、事業者はこれを「適切に確保しなければならない」とされています(同項柱書)。働く側から見ると、これは制度上の後ろ盾です。職員が1人休んでも園を閉めなくてよい仕組みが、条文の側に用意されているということです。

ただし、ここに最初の例外があります。満三歳以上限定小規模保育事業を行う事業者は、第1号と第2号だけが対象で、第3号(卒園後の受け皿)は求められていません(同項柱書のかっこ書き)。3歳以上だけを預かる事業なので、卒園後の受け皿という論点がそもそも発生しない形です。

食事中の男の子

ここが本題:3つとも「適用しないことができる」規定があります

第6条は全部で7項あります。第1項が原則で、第2項から第7項までは例外の規定です。役割ごとに、別々の逃げ道が用意されています。

役割適用しないことができる場合代わりに確保する相手
第1号
保育内容支援
市町村長が、連携施設の確保が著しく困難と認め、かつ第2項各号の要件をすべて満たすと認めるとき保育内容支援連携協力者=小規模保育A型・B型または事業所内保育を行う者(第3項)
第2号
代替保育
市町村長が、確保が著しく困難と認め、かつ第4項各号のいずれかを満たすとき代替保育連携協力者(第5項)。事業実施場所の外で行う場合は小規模保育A型事業者等、場所内で行う場合は同等の能力を有すると市町村が認める者
第3号
卒園後の受け皿
第6項第1号または第2号に該当するとき第2号に該当する場合は第7項の施設(後述)

出典:同基準 第6条第2項〜第7項

第2項と第4項の書き方には違いがあります。保育内容支援(第2項)は要件の「全てを満たすと認めるとき」ですが、代替保育(第4項)は「いずれかを満たすとき」です。代替保育のほうが、外れる条件がゆるく書かれています。

しかも第4項第2号は、こう定めています。「市町村長が家庭的保育事業者等による代替保育連携協力者の確保の促進のために必要な措置を講じてもなお当該代替保育連携協力者の確保が著しく困難であること。」市町村が動いてもなお確保できなければ、代替保育の連携そのものを求めない形になります。

タブレットで遊ぶ

受け皿として挙がる認定こども園は、1つの施設の種類ではありません。幼保連携型かどうかで適用される基準が変わり、学級があるのは幼保連携型だけです。その違いは認定こども園と保育園の違い|基準に「学級」があるかで分かれますで扱っています。

卒園後の受け皿だけで、例外は4通りあります

3つの役割のうち、働く側にも保護者にもいちばん見えやすいのが第3号です。ここを整理します。

#根拠内容
1第6条第1項ただし書離島その他の地域であって、連携施設の確保が著しく困難であると市町村が認めるもの
2第6条第6項第1号市町村長が、利用調整を行うにあたってその事業者の利用乳幼児を優先的に取り扱う措置その他の必要な措置を講じているとき
3第6条第6項第2号第3号に係る連携施設の確保が著しく困難であると認めるとき(第1号に該当する場合を除く)
4附則第3条連携施設の確保が著しく困難で、市町村が必要な支援を行うことができると認める場合、施行の日から起算して15年を経過する日までの間、確保をしないことができる

出典:家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準 第6条第1項ただし書・第6項、附則第3条

4番目の経過措置が、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。条文をそのまま引きます。

「家庭的保育事業者等(満三歳以上限定小規模保育事業者及び特例保育所型事業所内保育事業者を除く。)は、連携施設の確保が著しく困難であって、子ども・子育て支援法第五十九条第四号に規定する事業による支援その他の必要な適切な支援を行うことができると市町村が認める場合は、第六条第一項本文の規定にかかわらず、この省令の施行の日から起算して十五年を経過する日までの間、連携施設の確保をしないことができる。」

注意点を2つ書いておきます。

1つめ。これは3つの役割すべてにかかる経過措置です。第3号だけでなく、第1項本文の規定全体に対して「かかわらず」と書かれています。

2つめ。本記事では施行日の具体的な年月日を示しません。附則第1条は施行日を「子ども・子育て支援法及び…関係法律の整備等に関する法律(平成24年法律第67号)の施行の日」としており、条文上は年月日が書かれていないためです。15年という期間の長さだけを、条文どおりに受け取ってください。

代わりに確保する先には、企業主導型保育も入っています

第6項第2号(卒園後の受け皿の確保が著しく困難)に当たる場合、事業者は代わりの相手を確保しなければなりません。その相手を定めているのが第7項です。

対象になるのは、次のいずれかで入所定員が20人以上のもの、または満三歳以上限定小規模保育事業を行う事業所であって、市町村長が適当と認めるものです。

号施設
第1号子ども・子育て支援法 第59条の2第1項の規定による助成を受けている者の設置する施設(=企業主導型保育事業の助成を受けている施設)
第2号保育を必要とする乳児・幼児の保育を行うことに要する費用に係る地方公共団体の補助を受けている施設

出典:同基準 第6条第7項第1号・第2号

つまり卒園後の受け皿が、認可保育所・幼稚園・認定こども園ではなく、企業主導型保育や自治体の補助を受けた認可外施設になる場合があります。制度の系統が変わるということです。

企業主導型保育がどういう仕組みで、事業としてどんな状態にあるかは企業主導型保育のメリットとデメリット|働く側から見ると、定員充足率69.4%が効いてきますで扱っています。連携先の候補として名前が挙がっている以上、そちらの実態も知っておく価値があります。

見学で確認するのは「あるか」ではなく「どの形か」

ここまでを踏まえると、確認すべきことがはっきりします。「連携施設はありますか」という聞き方では足りません。答えが「あります」でも「ありません」でも、条文上はどちらもありうるからです。

1. 3つの役割それぞれについて、相手が誰かを聞く

保育内容支援・代替保育・卒園後の受け皿は、別々の規定です。1つの園と全部を連携しているのか、役割ごとに相手が違うのかを確認してください。

2. 卒園後の受け皿がどの形かを聞く

連携施設(保育所・幼稚園・認定こども園)なのか、第7項の施設(企業主導型保育など)なのか、それとも第6項第1号の「市町村の措置」に委ねているのか。この3つは、保護者への説明の仕方がまったく変わります。

3. 経過措置を使っているかを聞く

附則第3条を使って連携施設を確保していない事業所は、制度上ありえます。「使っていません」なら、その園は原則どおりに確保できているということです。

4. 代替保育の実績を聞く

第2号の代替保育は、職員が休んだときのバックアップです。「制度としてある」ことと「実際に使えた」ことは別なので、直近1年で使った回数を聞いてください。1人分手厚い配置がある小規模保育でも、複数人が同時に休めば足りません。

5. 満三歳以上限定小規模保育事業かどうかを確認する

この事業だと、第3号(卒園後の受け皿)はそもそも対象外です(第6条第1項柱書のかっこ書き)。求人票の「小規模保育」がどの事業かで、仕事に卒園対応が含まれるかどうかが変わります。

給与も型ごとに見る必要があります。私立・常勤の保育士の給与月額(賞与込み)の平均はA型289,529円、B型292,757円で、小規模保育園の年収|A型の常勤の保育士は賞与込み月額289,529円、12か月分で347.4万円ですで扱っています。

よくある質問

Q. 連携施設がない小規模保育は違法ですか。

A. 本記事では「違法」とは書きません。第6条第1項は確保を義務としていますが、同項ただし書、第2項、第4項、第6項、そして附則第3条に「適用しないことができる」場合が並んでいます。いずれも市町村長または市町村の判断が前提になっており、個別の事業所がどれに当たるかを本記事では判断できません。気になる場合は、その市町村の担当課に確認するのが確実です。

Q. 「3歳の壁」は解消されているのですか。

A. 制度としての答えは用意されています(第6条第1項第3号)。ただし本記事で見たとおり、その規定を適用しないことができる場合が4通りあります。解消されているかどうかを全国について論じるには、実際に何割の事業所が連携施設を確保しているかのデータが必要ですが、本記事ではその統計を確認できていないため、判断は示しません。

Q. 働く側にとってのいちばんのメリットは何ですか。

A. 制度の面では、代替保育(第6条第1項第2号)だと考えられます。職員の病気や休暇で保育を提供できない場合に、連携施設が代わって保育を提供する仕組みが条文に置かれています。保育所の省令にはない規定です。ただしこれも第4項で適用しないことができる場合があり、実際に機能しているかは事業所ごとに違います。配置基準そのものの手厚さは小規模保育の仕事内容で扱っています。

迷ったらここ

見学では「連携施設はあるか」ではなく「どの形か」を聞く

第6条第1項は3つの連携を義務としていますが、第2項以降はすべて「適用しないことができる」規定です。卒園後の受け皿だけで例外は4通りあるので、あるかないかの二択では実態がつかめません。

  • 3つの役割(集団保育の体験/代替保育/卒園後の受け皿)それぞれの相手は誰か
  • 卒園後の受け皿は連携施設か、第7項の施設(企業主導型保育など)か、市町村の措置か
  • 直近1年で代替保育を使った回数(制度としてあることと、使えたことは別)
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まとめ

  • メリットは、省令が小さいことの弱点を3つとも名指しして連携施設の役割にしていること(第6条第1項第1号〜第3号)
  • デメリットは、その3つすべてに「適用しないことができる」規定があること。第6条は全7項で、第2項以降はすべて例外
  • 卒園後の受け皿だけで例外は4通り。第1項ただし書/第6項第1号/第6項第2号/附則第3条
  • 附則第3条の経過措置は「施行の日から起算して十五年を経過する日まで」。3つの役割すべてにかかる
  • 第6項第2号のときの代わりの相手には、企業主導型保育の助成を受けている施設や地方公共団体の補助を受けている施設(入所定員20人以上)が入る(第7項)
  • 満三歳以上限定小規模保育事業者は、第3号がそもそも対象外(第6条第1項柱書)

小規模保育を選ぶときの分かれ目は、配置の手厚さでも定員の小ささでもありません。連携施設について、その園が原則の側にいるのか、例外の側にいるのか。見学で聞くべきはそこです。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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