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30秒でわかるまとめ
- 幼稚園教諭の持ち帰りは、公立か私立かで読む法律が違います公立の幼稚園は給特法の「義務教育諸学校等」に入ります。私立の園は入らず、労働基準法の考え方で見ます。
- 公立は時間外勤務手当を支給せず、教職調整額を支給します給特法は教育職員に時間外勤務手当と休日勤務手当を支給しないとし、かわりに教職調整額の支給を定めています。
- 改正後も、幼稚園の調整額の率は百分の四のままです他の学校の本則は百分の十に上がりましたが、幼稚園の教育職員は括弧書きで百分の四と別に書かれています。
- 持ち帰った時間は、指針の「在校等時間」に入りません文部科学省の指針は持ち帰りを行わないことを原則とし、実態があれば把握と縮減に努めるとしています。
※私立の園で、持ち帰りが労働時間に当たるかどうかの考え方は保育士の持ち帰り仕事、教職調整額の年ごとの率は栄養教諭の給料と年収で扱っています。この記事は、公立と私立で何が違うのかを条文で並べます。

先に整理:公立か私立かで、読む法律が変わります
持ち帰りをやめるべきかどうかを決める記事ではありません。勤め先が公立か私立かで、時間と手当を決めている法律が別になっていることを、先に表にしておきます。
| 項目 | 公立の幼稚園 | 私立の幼稚園 |
|---|---|---|
| 時間と手当の特例 | 給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法) | 給特法の対象外 |
| 時間外の手当 | 時間外勤務手当・休日勤務手当は支給しない。教職調整額を支給 | 労働時間を延長した場合などは割増賃金(労働基準法 第37条第1項) |
| 持ち帰りの扱い | 文部科学省の指針では「在校等時間」に含まれない | 使用者の指揮命令下に置かれていたかで判断 |
出典:給特法 第2条第1項・第3条、同法第7条に基づく指針、労働基準法 第37条第1項。表は編集部の整理

まず条文:公立の幼稚園は、給特法の「義務教育諸学校等」に入っています
「この法律において、「義務教育諸学校等」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校又は幼稚園をいう。」
出典:公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(e-Gov法令API 法令ID 346AC0000000077)第2条第1項(原文どおり)
列挙の最後に「幼稚園」が入り、頭には「公立の」が付いています。義務教育ではない幼稚園もこの法律の対象で、私立の幼稚園はこの定義に入りません。
第2条第2項は「教育職員」を、校長(園長を含む)、副校長(副園長を含む)、教頭、主幹教諭、指導教諭、主務教諭、教諭などと列挙しています。公立の幼稚園の教諭は「教育職員」です。講師は、常時勤務の者と短時間勤務の職を占める者に限られています。

時間外勤務手当は支給されず、時間外勤務は原則として命じないとされています
給特法 第3条第2項は、教育職員に時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しないと定め、第3条第1項が教職調整額の支給を定めています。
働かせ方の側では、第6条第1項が、正規の勤務時間を超えて勤務させる場合を「政令で定める基準に従い条例で定める場合に限る」としています。その政令の基準です。
| 号 | 政令の基準 |
|---|---|
| 第1号 | 原則として時間外勤務を命じないものとすること |
| 第2号 | 命ずる場合は、次の業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限ること |
| イ | 校外実習その他生徒の実習に関する業務 |
| ロ | 修学旅行その他学校の行事に関する業務 |
| ハ | 職員会議(設置者の定めるところにより学校に置かれるものをいう。)に関する業務 |
| ニ | 非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務 |
出典:公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令(平成15年政令第484号)
後で読む指針は、このイ〜ニを「超勤4項目」と呼び、それ以外の業務は時間外勤務を命じないものとされているとしたうえで、正規の勤務時間外に校務として行われる業務も含めて、業務を行う時間を管理することが「必要不可欠」だと書いています(指針 第1章第1節)。
ここが本題:幼稚園の教職調整額は、改正後も「百分の四」です
給特法 第3条第1項は、令和7年の改正で書き換えられました。
「その者の給料月額の百分の十(幼稚園の教育職員にあっては、百分の四)に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない。」
出典:給特法 第3条第1項の一部(原文どおり。冒頭の「教育職員(校長、副校長及び教頭並びに指導改善研修被認定者……を除く。……)には、」は省略)
改正の前の条文は、幼稚園かどうかを分けず、教育職員(校長、副校長及び教頭を除く)について「その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として」でした。
| 第3条第1項の率 | 改正前 | 改正後(令和8年1月1日施行) |
|---|---|---|
| 幼稚園以外の教育職員(本則) | 百分の四 | 百分の十 |
| 幼稚園の教育職員 | 百分の四 | 百分の四 |
出典:給特法 第3条第1項(e-Gov 法令API v2 の改正履歴で、改正前の版と令和8年1月1日施行の版を比較)
百分の十には附則第2項で年ごとの読み替えがあります。その書き出しは「次の表の上欄に掲げる期間における第三条第一項の規定の適用については、同項中「百分の十」とあるのは、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。」です(原文どおり)。幼稚園の「百分の四」は、この読み替えの対象になっていません。
改正したのは令和7年法律第68号(令和7年6月18日公布)です。附則第1条により、第3条の教職調整額の部分は令和8年1月1日、第2条第2項(主務教諭の追加)・第7条の見出しと第1項・第8条の追加は令和8年4月1日の施行です。
改正法の附則は、公立幼稚園の処遇を「検討」に回しています
「公立の幼稚園の教育職員の処遇の在り方に関し、他の公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与その他の勤務条件の特例に関する制度との整合性を確保しつつ保育所及び幼保連携型認定こども園の職員の処遇との均衡を図る観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」
出典:公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律(令和7年法律第68号)附則第7条の一部(原文どおり。主語「政府は、」と、給特法の特例の適用と子ども・子育て支援法に基づく処遇改善の措置に触れた前段は省略)
一方、勤務の状況の調査と教職調整額の率の変更を含む措置の検討を定めた附則第6条は、対象を「公立の義務教育諸学校等(幼稚園を除く。)の教育職員」としています。どちらも「検討」の規定です。公立幼稚園の教職調整額の率が今後どうなるかは、本記事の時点では決まっていません。
持ち帰った時間は「在校等時間」に入りません
給特法 第7条第1項にもとづく指針が、令和7年文部科学省告示第114号(令和7年9月25日)で全部改正され、令和8年4月1日から適用されています。対象は給特法 第2条第2項の教育職員全てで、公立幼稚園の教諭も入ります。
「教育職員が学校教育活動に関する業務を行っている時間として外形的に把握することができる時間を当該教育職員の「在校等時間」とし、服務監督教育委員会が管理すべき対象とする。」
出典:公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針(令和7年文部科学省告示第114号)第1章第3節(1)(原文どおり)
在校している時間を基本に、次のように足し引きします。
| 記号 | 扱い | 時間 |
|---|---|---|
| イ | 加える | 校外において職務として行う研修への参加や児童生徒等の引率等の職務に従事している時間として、服務監督教育委員会が外形的に把握する時間 |
| ロ | 加える | 各地方公共団体が定める方法によるテレワーク(情報通信技術を利用して行う事業場外勤務)等の時間 |
| ハ | 除く | 正規の勤務時間外に自らの判断に基づいて自らの力量を高めるために行う自己研鑽の時間その他業務外の時間(本人の申告に基づく) |
| ニ | 除く | 休憩時間 |
出典:同指針 第1章第3節(1)イ〜ニ
家での作業が足されるのは、ロのテレワーク等だけです。文部科学省のQ&Aは、持ち帰りについてこう答えています。
「いわゆる「持ち帰り」の時間については「在校等時間」には含まれません。ただし、自宅等で行う業務であっても、各地方公共団体で定める方法によるテレワーク、在宅勤務等によるものについては、「在校等時間」に含まれます。」
出典:文部科学省「同指針に係るQ&A」(令和7年11月時点)問13(原文どおり)
指針は「業務の持ち帰りは行わないことが原則」と書いています
在校等時間に入らない持ち帰りについて、指針は留意事項(第2章第4節(2))を別に置いています。
「本来、業務の持ち帰りは行わないことが原則であり、上限時間を遵守することや実施計画に定める目標を達成することのみを目的として自宅等に持ち帰って業務を行う時間が増加することは、厳に避けなければならない。仮に業務の持ち帰りが行われている実態がある場合には、その実態把握に努めるとともに、業務の持ち帰りの縮減に向けた取組を進めるものとする。」
出典:同指針 第2章第4節(2)(原文どおり)
ここで言う「上限時間」は、在校等時間から所定の勤務時間を除いた時間について、指針が置いている次の時間です。
| 場面 | 項目 | 上限 |
|---|---|---|
| 原則 | 1箇月時間外在校等時間 | 45時間 |
| 1年間時間外在校等時間 | 360時間 | |
| 児童生徒等に係る臨時的な特別の事情がある場合 | 1箇月時間外在校等時間 | 100時間未満 |
| 1年間時間外在校等時間 | 720時間 | |
| 1年のうち1箇月時間外在校等時間が45時間を超える月数 | 6月 | |
| 連続する2〜6箇月のそれぞれの期間の1箇月当たりの平均 | 80時間 |
出典:同指針 第1章第3節(2)・(3)
公立では「持ち帰りは在校等時間に数えない。そのうえで、持ち帰りは行わないのが原則で、実態があれば把握と縮減に努める」という組み立てです。
公立の幼保連携型認定こども園の保育教諭は、給特法の列挙にありません
給特法 第2条第1項の列挙は「学校教育法に規定する公立の……幼稚園」までで、幼保連携型認定こども園の名前はありません。第2条第2項の「教育職員」の列挙にも、保育教諭は出てきません。一方で教育公務員特例法 第2条第1項は、「学校」を、学校教育法第1条に規定する学校及び幼保連携型認定こども園、と並べて定義しています。
出典:給特法 第2条、教育公務員特例法(e-Gov法令API 法令ID 324AC0000000001)第2条第1項
本記事が取得した給特法・教育公務員特例法・就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(認定こども園法)に、給特法を保育教諭に当てはめる規定は見当たりませんでした。公立の認定こども園での時間外の手当の扱いは、勤め先の自治体の条例で確かめる必要があります。
私立の幼稚園は、労働基準法の「労働時間」で考えます
私立の幼稚園は「公立の」に当たらず、給特法の対象ではありません。働く人は、労働基準法 第9条の「職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者」(原文どおり)です。
- 第32条は、休憩時間を除き1週間について40時間、1日について8時間を超えて労働させてはならないとしています。
- 第37条第1項は、労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合に、割増賃金を支払わなければならないとしています。
出典:労働基準法(e-Gov法令API 法令ID 322AC0000000049)第9条・第32条・第37条第1項
持ち帰った作業の時間が「労働時間」に当たるかは、厚生労働省のガイドラインが、使用者の指揮命令下に置かれていたかで判断するとしています。詳しくは保育士の持ち帰り仕事で扱っています。本記事は、個々の持ち帰りが労働時間に当たるかどうかを判断できません。
職場の外にも、相談できる場所があります
| 窓口 | 扱っていること |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー(厚生労働省) | 賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせなど、あらゆる分野の労働問題の相談。予約不要・無料 |
| こころの耳(厚生労働省) | 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト。匿名・無料の相談窓口の案内 |
| 人事委員会又は公平委員会(公立の園) | 地方公務員法 第46条により、職員は給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、適当な措置が執られるべきことを要求できる |
出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」、こころの耳、地方公務員法(e-Gov法令API 法令ID 325AC0000000261)第46条
眠れない、食べられないといった状態が続いているときは、相談より先に受診してください。
この記事が扱っていないこと
- 教職調整額の年ごとの率と金額。栄養教諭の給料と年収で扱っています。
- 幼稚園教諭の年収・1日の流れ・免許。幼稚園教諭の年収、幼稚園の先生の1日の流れ、幼稚園教諭になるにはで扱っています。
- 持ち帰りの時間を測った国の統計。本記事では取得していません。
- 自治体の条例・上限方針・実施計画、私立の園の時間外・休日労働の協定、非常勤の扱い。本記事は取得していません。
幼稚園教諭が求人・勤め先で確認できること
- 募集しているのは公立か私立か。給特法の「義務教育諸学校等」に入るのは公立の幼稚園です。
- 公立なら、在校等時間をどう計測しているか。指針は、在校している時間をICTの活用やタイムカード等により客観的に計測することを求めています。
- 自治体が定めるテレワーク等の方法があるか。その方法による自宅での業務は在校等時間に含まれます。
- 私立なら、時間外の労働と割増賃金の扱い。持ち帰りを前提にした指示の出し方になっていないかも、面接で聞ける事実です。
よくある質問
Q. 公立の幼稚園教諭が家に持ち帰った仕事は、勤務時間になりますか。
A. 文部科学省の指針に係るQ&Aは、いわゆる「持ち帰り」の時間は「在校等時間」には含まれないとしています。各地方公共団体で定める方法によるテレワーク、在宅勤務等によるものは含まれます。
Q. 公立の幼稚園教諭に残業代は出ますか。
A. 給特法 第3条第2項は、教育職員に時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しないとしています。第3条第1項が教職調整額の支給を定めています。
Q. 教職調整額は上がりましたか。
A. 令和8年1月1日施行の改正で本則の率は百分の十になりましたが、幼稚園の教育職員は百分の四で、改正前と同じです。改正法の附則第7条は、公立の幼稚園の教育職員の処遇の在り方について検討を加えるとしています。
Q. 公立の認定こども園の保育教諭にも給特法は当てはまりますか。
A. 給特法 第2条第1項の列挙に、幼保連携型認定こども園は入っていません。本記事が取得した法令に、給特法を保育教諭に当てはめる規定は見当たりませんでした。手当の扱いは自治体の条例で確かめる必要があります。
Q. 私立の幼稚園で持ち帰った仕事は、労働時間になりますか。
A. 私立の園は給特法の対象ではなく、労働基準法の下で、使用者の指揮命令下に置かれていたかで判断されます。本記事では個々のケースを判断できません。総合労働相談コーナーで相談できます。
迷ったらここ
公立か私立かを先に確かめる
公立の幼稚園は給特法の対象で、時間外勤務手当は支給されず、教職調整額が支給されます。文部科学省の指針では、持ち帰った時間は「在校等時間」に含まれません。
- 募集しているのは公立の幼稚園か、私立の園か
- 公立なら在校等時間の計測方法と、自治体が定めるテレワーク等の方法
- 私立なら時間外の労働と割増賃金の扱い
まとめ
幼稚園教諭の持ち帰り仕事は、公立か私立かで、読む法律が違います。給特法の「義務教育諸学校等」に入るのは公立の幼稚園です。
公立では時間外勤務手当と休日勤務手当は支給されず、教職調整額が支給されます。その率は改正後も幼稚園の教育職員は百分の四のままで、改正法の附則は公立幼稚園の処遇を検討の対象にしています。
文部科学省の指針では、持ち帰った時間は「在校等時間」に含まれません。そのうえで指針は、業務の持ち帰りは行わないことが原則とし、実態があれば把握と縮減に努めるとしています。私立の園は労働基準法の下で、指揮命令下に置かれていたかで労働時間かどうかが判断されます。

