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30秒でわかるまとめ
- 病院の67.9%が患者給食を委託し、栄養士の役割が分かれます令和5年10月1日現在の病院8,122のうち、5,513が委託していました。全部委託は4,501、一部委託は1,012です。
- 病床が多いほど委託が多く、500床以上は85.0%です20~49床は62.1%でした。一部委託の割合も、20~49床の7.9%から500床以上の37.3%まで上がります。
- 委託しても、献立表の確認や検食は病院に残ります通知の別表は、病院が自ら実施すべき業務を、栄養管理や調理管理など7つの区分に分けて挙げています。
- 最終的責任は病院にあると、食事療養の通知が書いています第三者への委託は、体制と契約内容で質が確保される場合に、保険医療機関の最終的責任の下でできるとされています。
※病院栄養士の1日の流れは病院栄養士の1日と勤務時間、給食会社の側にかかる基準は給食委託がきついときで扱っています。

まず資料:病院が給食を委託しているかは、3年ごとに数えられています
使うのは、厚生労働省の「医療施設(静態)調査」です。3年ごとに、調査時点で開設している全ての医療施設を対象に行われます。最新は令和5年10月1日現在の調査です。
調査票は医療施設の管理者が自ら記入します。病院票には「委託の状況」という欄があり、給食(患者用)・滅菌(治療用具)・清掃など7つの業務ごとに、「全部委託」「一部委託」「委託していない」のどれか1つに○をつける形です(令和2年調査の病院票で確認)。
出典:令和5年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況「調査の概要」、令和2年医療施設静態調査 病院票
この記事では、給食を委託していない病院を「直営」と呼びます。ただし調査票の言葉は「委託していない」で、「直営」という語は使われていません。

ここが本題:病院の67.9%が患者給食を委託しています
| 区分 | 令和5年 | 割合 | 令和2年 | 割合 |
|---|---|---|---|---|
| 病院の総数 | 8,122 | - | 8,238 | - |
| 給食(患者用)を委託 | 5,513 | 67.9% | 5,522 | 67.0% |
| うち全部委託 | 4,501 | 55.4% | 4,535 | 55.0% |
| うち一部委託 | 1,012 | 12.5% | 987 | 12.0% |
| 委託に数えられていない | 2,609 | 32.1% | 2,716 | 33.0% |
出典:令和5年医療施設(静態)調査 全国編 第80表、令和2年同 第82表(病院数(重複計上),委託・精神科病院-一般病院・開設者別)。割合は編集部試算で、たとえば令和5年は 5,513 ÷ 8,122 × 100 = 67.9。委託に数えられていない病院は 8,122 − 5,513 = 2,609
全部委託と一部委託を足すと委託の数に一致します(4,501+1,012=5,513。編集部で検算)。病院の総数8,122は、概況の本文の病院数と同じです。
病院のおよそ3つに2つが、患者給食の全部か一部を委託しています。令和2年と比べると、病院の数は減りましたが、委託している病院の数はほとんど変わらず、割合は67.0%から67.9%になりました。
精神科病院と一般病院で分けると、委託しているのは精神科病院1,057のうち577(54.6%)、一般病院7,065のうち4,936(69.9%)です(編集部試算)。
「委託に数えられていない」2,609には、「委託していない」と答えた病院のほか、記入のなかった病院が含まれるかどうかは、表からはわかりません。

病床が多いほど委託が多く、一部委託の割合も上がります
| 病床の規模 | 病院数 | 委託 | 委託の割合 | うち一部委託 | 一部委託の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 20~49床 | 919 | 571 | 62.1% | 73 | 7.9% |
| 50~99床 | 1,997 | 1,361 | 68.2% | 167 | 8.4% |
| 100~149床 | 1,410 | 942 | 66.8% | 129 | 9.1% |
| 150~199床 | 1,378 | 922 | 66.9% | 134 | 9.7% |
| 200~299床 | 1,013 | 677 | 66.8% | 138 | 13.6% |
| 300~399床 | 670 | 462 | 69.0% | 129 | 19.3% |
| 400~499床 | 354 | 254 | 71.8% | 100 | 28.2% |
| 500床以上 | 381 | 324 | 85.0% | 142 | 37.3% |
出典:令和5年医療施設(静態)調査 全国編 第81表(病床の規模別)。500床以上は、表の500~599床から900床以上までの5区分を編集部で合算。割合はいずれも病院数に対する編集部試算
8区分の病院数を足すと8,122、委託を足すと5,513になり、総数と一致します(編集部で検算)。
委託の割合は、499床までは6割台から7割台ですが、500床以上では85.0%です。一部委託の割合は規模が大きくなるほど上がり、20~49床の7.9%に対して、500床以上では37.3%です。
表は、一部委託でどの業務を委託しているかまでは分けていません。
病床の規模ごとの1病院あたりの管理栄養士の常勤換算(20〜29床の0.9人分から900床以上の16.7人分まで)は病院栄養士のパート|国の表は常勤換算だけで、非常勤の栄養士が何人かは出ていませんで扱っています。
開設者で見ると、国と公的医療機関は8割を超えます
| 開設者 | 病院数 | 委託 | 委託の割合 | 全部委託 | 一部委託 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国 | 317 | 267 | 84.2% | 109 | 158 |
| 公的医療機関 | 1,191 | 973 | 81.7% | 702 | 271 |
| 社会保険関係団体 | 46 | 36 | 78.3% | 21 | 15 |
| 公益法人 | 185 | 117 | 63.2% | 95 | 22 |
| 医療法人 | 5,658 | 3,661 | 64.7% | 3,229 | 432 |
| その他の法人 | 594 | 383 | 64.5% | 276 | 107 |
| 会社 | 24 | 22 | 91.7% | 22 | - |
| 個人 | 107 | 54 | 50.5% | 47 | 7 |
出典:令和5年医療施設(静態)調査 全国編 第80表(開設者別)。表の「-」は原表のまま。割合は編集部試算
8つの開設者の病院数を足すと8,122、委託を足すと5,513で、総数と一致します(編集部で検算)。
病院の7割近くを占める医療法人では64.7%で、全体の67.9%を少し下回ります。国の病院は、一部委託158が全部委託109より多いのが、ほかの開設者と違う点です。
委託できる業務は、法律と政令で決まっています
医療法 第15条の3第2項は、診療や入院に著しい影響を与える業務として政令で定めるものを委託するときは、厚生労働省令で定める基準に適合する者に委託しなければならない、としています。その政令の業務の1つが、患者給食です。
「病院における患者、妊婦、産婦又はじよく婦の食事の提供の業務」
出典:医療法施行令(e-Gov法令API 法令ID 323CO0000000326)第4条の8第2号(原文どおり)
後で引く通知は、この業務を「令第4条の7第2号」と書いています。e-Gov で取得した現在の施行令では、同じ並びが第4条の8に置かれ、第4条の7は別の内容です。条番号で探すときは注意が要ります。
受託する側が満たす基準は医療法施行規則 第9条の10にあり、その中身は給食委託がきついときで扱っています。
委託できる業務の範囲は、厚生労働省の局長通知が書いています。患者等給食の業務は、食材の調達、調理、盛付け、配膳、下膳及び食器の洗浄と、そのための構造設備の管理、さらに食器の手配や食事の運搬などです。病院外の調理加工施設で調理する「院外調理」も認められていますが、喫食直前の再加熱は病院内の給食施設で行うべきとされています。
出典:「医療法の一部を改正する法律の一部の施行について」(平成5年2月15日健政発第98号。令和7年2月7日改正後)第三 4(1)ア
委託しても病院に残る業務は、通知の別表に7区分で並んでいます
同じ局長通知は、病院が自分で行う業務をこう定めています。
「患者等給食業務のうち、病院が自ら行わなければならない業務は、別表のとおりとすること。なお、献立表の作成については、病院が定めた作成基準に基づき、病院又は患者等給食業者のいずれが作成しても差し支えないが、実際に調理作業に従事する者の意見を十分に聴取し、調理作業に無理や支障を来さないよう配慮する必要があること。」
出典:同 第三 4(1)ア(イ)(原文どおり)
| 区分 | 病院が自ら実施すべき業務(別表の業務内容) | 備考 |
|---|---|---|
| 栄養管理 | 病院給食運営の総括/栄養管理委員会の開催、運営 | 受託責任者等の参加を求めること。 |
| 院内関係部門との連絡・調整/献立表作成基準の作成 | 治療食等を含む。 | |
| 献立表の確認/食数の注文・管理/食事せんの管理/嗜好調査・喫食調査等の企画・実施/検食の実施・評価/関係官庁等に提出する給食関係の書類等の確認・提出・保管管理 | 受託責任者等の参加を求めること。 | |
| 調理管理 | 作業仕様書の確認/作業実施状況の確認/管理点検記録の確認 | 治療食の調理に対する指示を含む。 |
| 材料管理 | 食材の点検/食材の使用状況の確認 | 病院外の調理加工施設を用いて調理する場合を除く。 |
| 施設等管理 | 調理加工施設、主要な設備の設置・改修/使用食器の確認 | 病院内の施設、設備に限る。 |
| 業務管理 | 業務分担・従事者配置表の確認 | |
| 衛生管理 | 衛生面の遵守事項の作成/衛生管理簿の点検・確認/緊急対応を要する場合の指示 | |
| 労働衛生管理 | 健康診断実施状況等の確認 |
出典:同 別表「病院が自ら実施すべき業務」。区切りの「/」は編集部が入れたもの
委託しても、献立表作成基準を作ること、献立表を確かめること、検食をして評価することは、病院の業務です。検食の回数などの決まりは病院栄養士の1日と勤務時間で扱っています。
課長通知「病院、診療所等の業務委託について」も、病院の側の担当者について書いています。
「献立表の作成を委託する場合にあっては、病院の担当者は、受託責任者に献立表作成基準を明示するとともに、作成された献立表が基準を満たしていることを確認すること。」
出典:「病院、診療所等の業務委託について」(平成5年2月15日指第14号。令和7年2月7日医政地発0207第1号による改正後)第四 3(2)(原文どおり)
同じ第四 3(1)は、病院は専門技術を備えた者を担当者に選び、受託責任者と随時協議させる必要があるとしています。受託責任者の側は、「病院からの指示と、その指示への対応結果を示す帳票」を業務を行う場所に備えることになっています(第四 1(1)⑥)。
食事療養の届出でも、最終的責任は病院にあります
入院時の食事を保険で出す仕組み(入院時食事療養費)の通知も、委託を扱っています。
「食事の提供に関する業務は保険医療機関自らが行うことが望ましいが、保険医療機関の管理者が業務遂行上必要な注意を果たし得るような体制と契約内容により、食事療養の質が確保される場合には、保険医療機関の最終的責任の下で第三者に委託することができる。」
出典:「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の実施上の留意事項について」(令和8年3月5日保医発0305第16号)1(2)(原文どおり)
入院時食事療養(Ⅰ)の届出の通知では、病院は食事の部門が組織化され、常勤の管理栄養士又は栄養士が部門の責任者となっていることが要件の1つです。委託の可否も同じ書き方で、保険医療機関の最終的責任の下で第三者に委託できるとしています。
届出書の添付書類には「業務委託」の欄があり、業務委託の有無、委託先、病院内受託責任者氏名、委託契約書、院外調理の有無を書きます。委託した場合は、病院が確認する帳簿を定めて整備することも求められています。
出典:「入院時食事療養及び入院時生活療養の食事の提供たる療養の基準等に係る届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第17号)別添 2(1)・(2)・(8)、届出書添付書類 3
委託しても、病院が受け取る食事の額は告示で決まっていて、入院時食事療養(Ⅰ)は1食730円です。その額の中で原価をどう考えるかは給食の原価管理のコツ|病院は1食730円、介護保険施設は1日1,545円。告示が決めるのは総額だけですで扱っています。
直営と委託で、病院の栄養士の立ち位置はこう分かれます
ここまでの通知を、病院の栄養士から見た形に並べ直します(編集部整理)。
| 業務 | 直営の病院 | 委託している病院 |
|---|---|---|
| 別表の業務(献立表作成基準の作成、献立表の確認、検食の実施・評価、作業仕様書の確認など) | 病院 | 病院(委託しても残る) |
| 献立表の作成 | 病院 | 病院又は受託者(病院の作成基準に基づく) |
| 食材の調達、調理、盛付け、配膳、下膳、食器の洗浄など | 病院 | 受託者(全部委託か一部委託かで範囲が変わる) |
| 指示と協議の窓口 | - | 病院の担当者と受託責任者が随時協議する |
出典:健政発第98号 第三 4(1)・別表、指第14号 第四 1(1)・3 を編集部が整理
委託している病院の病院側の栄養士は、調理の現場を回すより、基準を作り、確かめ、受託責任者と協議する役になります。給食会社に雇われて病院で働く栄養士は、受託者の側に立ちます。同じ厨房にいても、雇い主と通知上の役割が違います。
直営の病院では、別表の業務も、委託できる業務も病院の中で行います。どちらが働きやすいかは、この記事の資料からは決まりません。
この記事が扱っていないこと
- 一部委託の中身。調査票と表は、どの業務を委託したかを分けていません。
- 委託先の会社の数や規模、契約の金額。本記事は取得していません。
- 病院で働く栄養士のうち、病院の職員と給食会社の社員の人数の内訳。本記事が使った表は病院の数で、人の数ではありません。
- 給与・年収。病院については病院の管理栄養士の年収で扱っています。
- 介護施設や学校の給食の委託。根拠になる法令が違うため扱っていません。
- 都道府県別の数字。本記事は全国の表だけを使っています。
病院栄養士が求人を見るときに確認できること
- 給食は直営か委託か。病院の67.9%が委託しています。委託なら、全部委託か一部委託かも聞けます。
- 雇い主は病院か、給食会社か。同じ病院の厨房でも、別表の業務を担う側か、受託者の側かが変わります。
- 献立表は誰が作るか。作成基準は病院が作りますが、献立表はどちらが作っても差し支えないとされています。
- 院外調理があるか。届出書の添付書類に「院外調理の有無」を書く欄があります。
- 病院の規模。500床以上では委託が85.0%、一部委託が37.3%でした。
よくある質問
Q. 病院の給食は、委託と直営のどちらが多いのですか。
A. 令和5年10月1日現在、病院8,122のうち5,513(67.9%)が給食(患者用)を委託していました。全部委託が4,501、一部委託が1,012です。委託に数えられていない病院は2,609(32.1%)でした。
Q. 委託している病院でも、病院の栄養士の仕事はありますか。
A. あります。局長通知の別表が「病院が自ら実施すべき業務」として、献立表作成基準の作成、献立表の確認、検食の実施・評価、作業仕様書の確認などを挙げています。
Q. 献立は病院と給食会社のどちらが作りますか。
A. 局長通知は、病院が定めた作成基準に基づき、病院又は患者等給食業者のいずれが作成しても差し支えないとしています。委託する場合、病院の担当者は作成された献立表が基準を満たしているかを確認します。
Q. 大きい病院ほど委託しているのですか。
A. 令和5年の表では、委託の割合は20~49床で62.1%、500床以上で85.0%でした。一部委託の割合も、500床以上では37.3%と高くなっています。
Q. 直営と委託、どちらの病院が働きやすいですか。
A. 本記事は判断していません。違うのは、雇い主と、通知上の役割(基準を作り確かめる側か、受託した業務を行う側か)です。求人では、直営か委託か、雇い主はどこか、献立を誰が作るかを確認できます。
迷ったらここ
求人は給食の委託の有無から見る
病院の67.9%が患者給食を委託しています。委託しても、献立表の確認や検食の実施・評価などは病院が自ら実施すべき業務と通知に書かれています。
- 給食は直営か委託か、委託なら全部委託か一部委託か
- 雇い主は病院か給食会社か(担う業務の側が変わる)
- 献立表を作るのは病院か受託者か、院外調理はあるか
まとめ
- 病院の67.9%が患者給食を委託しています令和5年10月1日現在、病院8,122のうち5,513。令和2年の67.0%からほぼ横ばいです。
- 500床以上では委託が85.0%です一部委託の割合は、20~49床の7.9%から500床以上の37.3%まで上がります。
- 委託しても病院に残る業務が、通知の別表にあります献立表作成基準の作成、献立表の確認、検食の実施・評価などで、7つの区分に分かれています。
- 最終的責任は病院にあります入院時食事療養の通知は、保険医療機関の最終的責任の下で第三者に委託できるとしています。
直営か委託かで変わるのは、給食の質の良し悪しではなく、病院の栄養士がどの業務を担う立場にいるかです。求人を見るときは、雇い主と担当する業務の範囲を確かめてください。

