介護の給料はなぜ安いと言われるのか|全職種の平均より157.5万円低く、値段は国の基準で決まります

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目次

30秒でわかるまとめ

  • 介護職員の年収は、全職種の平均より157.5万円低い試算です推計年収は388.0万円と545.6万円です。差のうち111.4万円は毎月の給与、46.2万円は賞与から生じています。
  • 介護の値段は、国が定める基準で決まる仕組みになっています介護保険法は、費用の額を厚生労働大臣が定める基準により算定するとしています。訪問介護では利用者負担も基準額から決まります。
  • 多くのサービスで、給与費は収入の6割以上です訪問介護は72.2%、介護老人福祉施設は65.2%でした。訪問介護は収入の97.0%が介護料収入です。
  • 差は年齢とともに広がり、55〜59歳で最も大きくなります55〜59歳の差は2,470,600円です。勤続年数は3.7年短い一方、年齢は介護職員のほうが0.9歳上です。

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※介護職員の年収を年齢・経験年数・企業規模に分けた数字は介護職の年収の平均、処遇改善加算の仕組みは介護の処遇改善加算はいくらもらえるかで扱っています。

老人ホーム(介護職員)

まず数字:全職種の平均と、同じ表で並べます

「介護の給料は安い」と言われるとき、何と比べているのかがはっきりしないことがよくあります。この記事では、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)の一般労働者どうしで比べます。

項目全職種の平均介護職員(医療・福祉施設等)
平均年齢44.4歳45.3歳
平均勤続年数12.7年9.0年
所定内実労働時間数162時間/月162時間/月
超過実労働時間数11時間/月4時間/月
きまって支給する現金給与額370,500円277,700円
所定内給与額340,600円262,900円
年間賞与その他特別給与額1,009,600円547,800円
労働者数28,923,710人1,165,930人
推計年収(編集部試算)545.6万円388.0万円

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・産業大分類 第1表(民営事業所/産業計/企業規模計(10人以上)/男女計・学歴計)、同 一般労働者・職種 第1表(企業規模計(10人以上)/男女計)。労働者数は「十人」単位を人数に換算

職種別の表には「職種計」の行がないため、全職種の平均には産業計の総数を使いました。職種別の表のすべての職種を労働者数で重み付けして平均すると、同じ値になることを編集部で確かめています。年収は調査が直接公表していないため、同じ式で計算した試算です。

推計年収 = きまって支給する現金給与額 × 12か月 + 年間賞与その他特別給与額

  • 全職種の平均:370,500円 × 12か月 + 1,009,600円 = 5,455,600円(545.6万円)
  • 介護職員:277,700円 × 12か月 + 547,800円 = 3,880,200円(388.0万円)
  • 差:5,455,600円 - 3,880,200円 = 1,575,400円(157.5万円)

介護職員の推計年収は、全職種の平均の71.1%です(編集部算出)。

チェックリストと電卓

差の内訳:およそ7割は毎月の給与、残りは賞与です

内訳計算差
毎月の給与(きまって支給する現金給与額)の12か月分92,800円 × 12か月1,113,600円(111.4万円)
年間賞与その他特別給与額1,009,600円 - 547,800円461,800円(46.2万円)
合計1,575,400円

出典:同調査の上記2表より編集部が算出

年収の差のうち、毎月の給与の分が70.7%、賞与の分が29.3%です。毎月の差92,800円のうち所定内給与額の差が77,700円で、時間外・深夜・休日出勤などの手当の差は15,100円です。超過実労働時間数は、全職種の平均が月11時間、介護職員が月4時間でした。差の中心は、残業代ではなく、毎月決まって払われる所定内給与額です。

増える貯金

年齢と勤続年数:年齢では説明できず、勤続の短さも一部にとどまります

介護職員は全職種の平均より0.9歳年上で、勤続年数は3.7年短いという違いがあります。この2つで差を説明できるかを、同じ調査の別の表で確かめます。まず年齢階級ごとに、同じ式で推計年収を比べました。

年齢階級全職種の平均の推計年収介護職員との差
〜19歳2,853,400円348,600円
20〜24歳3,613,700円451,100円
25〜29歳4,482,000円906,100円
30〜34歳5,072,800円1,230,800円
35〜39歳5,567,100円1,423,600円
40〜44歳5,946,800円1,804,700円
45〜49歳6,136,200円1,997,500円
50〜54歳6,338,500円2,174,900円
55〜59歳6,413,500円2,470,600円
60〜64歳5,062,700円1,402,400円
65〜69歳4,017,200円871,200円
70歳〜3,528,500円612,400円

出典:同調査 産業大分類 第1表(産業計)、職種 第5表(介護職員)/企業規模計(10人以上)/男女計。編集部算出。介護職員の年齢別の数字は介護職の年収の平均にあります

12の年齢階級のすべてで、介護職員の推計年収は全職種の平均を下回っています。差は20〜24歳では451,100円ですが、55〜59歳では2,470,600円まで広がります。介護職員のほうが平均年齢は高いので、「若い人が多いから平均が低い」という説明は当てはまりません。

次に勤続年数です。介護職員を勤続年数で分けた表はないため(職種別の表は経験年数で分けています)、全職種の平均を勤続年数で分けた所定内給与額を、介護職員全体の262,900円と比べます。

全職種の平均:勤続年数所定内給与額介護職員(全体)との差
0年274,500円11,600円
1〜2年285,300円22,400円
3〜4年297,000円34,100円
5〜9年312,500円49,600円
10〜14年333,600円70,700円

出典:同調査 産業大分類 第2表(民営事業所/産業計/企業規模計(10人以上)/男女計・学歴計)。差は編集部算出

介護職員の平均勤続年数9.0年に近い5〜9年・10〜14年の階級との差は49,600円・70,700円で、全体どうしの差77,700円より小さくなります。勤続年数の短さは差の一部になり得ます。ただし勤続0年の274,500円でも介護職員全体より11,600円高く、勤続年数だけで差を説明することはできません。階級の平均と全体の平均を並べた目安で、勤続の分布までそろえた比較ではありません。

介護の値段は、介護保険法で「大臣が定める基準」により決まります

介護職員の給与は事業所が払い、その事業所の収入の多くは介護保険のサービスの対価です。その値段の決め方は、法律に書かれています。訪問介護や通所介護などの居宅サービスについて、介護保険法 第41条第4項はこう定めています。

「居宅介護サービス費の額は、次の各号に掲げる居宅サービスの区分に応じ、当該各号に定める額とする。」

出典:介護保険法(e-Gov法令API 法令ID 409AC0000000123、令和8年10月1日施行の版)第41条第4項 柱書(原文どおり)

訪問介護・通所介護などの額(第1号)は、次のとおりです。

「当該指定居宅サービスに要する平均的な費用(中略)の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該指定居宅サービスに要した費用の額を超えるときは、当該現に指定居宅サービスに要した費用の額とする。)の百分の九十に相当する額」

出典:同 第41条第4項第1号(原文どおり。括弧内の、費用から除く日常生活の費用についての定めを中略)

  • 費用の額は「厚生労働大臣が定める基準により算定」します。事業所が自分で値段を決める書き方ではありません。
  • 計算に使われるのは、基準額と実際の費用のうち低いほうです。実際の費用が基準額を超えても、使われるのは基準額です。
  • 保険から出るのは、その百分の九十に相当する額です。

「厚生労働大臣は、前項各号の基準を定めようとするときは、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴かなければならない。」

出典:同 第41条第5項(原文どおり)

施設サービスは第48条第2項・第3項が、地域密着型サービスは第42条の2第2項・第3項が、同じ作りになっています。介護の値段は、国が基準を決める価格、いわゆる公定価格です。

利用者から受け取る額も、基準額から決まります

保険から出ない残りは利用者が払いますが、その額も自由ではありません。訪問介護について、運営の基準を定めた省令はこう書いています。

「指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスに該当する指定訪問介護を提供した際には、その利用者から利用料の一部として、当該指定訪問介護に係る居宅介護サービス費用基準額から当該指定訪問介護事業者に支払われる居宅介護サービス費の額を控除して得た額の支払を受けるものとする。」

出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号。e-Gov法令API 法令ID 411M50000100037、令和7年4月1日施行の版)第20条第1項(原文どおり)

つまり「基準額 - 保険から払われる額」を利用者から受け取る決まりです。同じ条の第3項で、これとは別に受け取れるとされているのは、利用者の選定で通常の事業の実施地域以外の居宅で行う場合の交通費です。市町村は、事業所からの請求を大臣が定める基準などに照らして審査した上で支払います(介護保険法 第41条第9項)。

保険のサービスとして提供する限り、事業所が独自に値上げして収入を増やせる作りにはなっていません。

事業所の収入のうち、給与費はどれくらいか

収入のうち、どれだけが給与に回っているのか。厚生労働省の介護事業経営実態調査(令和5年度、令和4年度決算)が、サービスごとに「収入に対する給与費の割合」を出しています。調査の目的は次のとおりです。

「各サービス施設・事業所の経営状況を把握し、次期介護保険制度の改正及び介護報酬の改定に必要な基礎資料を得る。」

出典:厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果の概要」調査の目的(原文どおり)

サービス収入うち介護料収入の割合給与費収入に対する給与費の割合
介護老人福祉施設28,358千円78.2%18,478千円65.2%
地域密着型介護老人福祉施設11,438千円79.2%7,575千円66.2%
介護老人保健施設35,415千円84.2%22,728千円64.2%
訪問介護3,011千円97.0%2,175千円72.2%
通所介護5,461千円93.2%3,486千円63.8%
短期入所生活介護4,686千円78.6%2,931千円62.5%
小規模多機能型居宅介護5,581千円85.2%3,780千円67.7%
認知症対応型共同生活介護6,331千円73.9%4,050千円64.0%
特定施設入居者生活介護23,517千円45.5%10,184千円43.3%

出典:厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果」第1表・第2表・第4表・第8表・第10表・第11表・第18表・第19表・第21表(1施設・事業所当たり月額、令和4年度決算)。給与費の割合は表どおり(コロナ・物価関連の補助金を含まない収入に対する割合)。介護料収入の割合は編集部算出

ここでいう収入を、概要はこう説明しています。

「介護報酬による収入(利用者負担分含む)、保険外利用料収入、補助金収入(コロナ関連補助金及び物価高騰対策関連補助金を除く)の合計額。」

出典:同 概要「介護サービスの収入額」の説明(原文どおり)

  • 9つのうち8つのサービスで、給与費は収入の6割以上です。いちばん高いのは訪問介護の72.2%です。
  • 訪問介護は、収入の97.0%が介護料収入です。通所介護も93.2%です。表の「介護料収入」は、上の説明の「介護報酬による収入(利用者負担分含む)」にあたると読めます。
  • 特定施設入居者生活介護は、給与費の割合が43.3%、介護料収入の割合が45.5%で、収入の54.2%が保険外の利用料です。収入の組み立てがほかと違います。

収入の大部分が国の基準で決まる介護報酬で、その収入の6〜7割がすでに給与費に使われている。これが国の資料から読み取れる構図です。なお、給与費は事業所全体の額で、介護職員だけの額ではありません。

国の資料は、差をどう書いているか

国は、介護職員の給与を上げる仕組みを介護報酬の中に順に加えてきました。処遇改善加算の通知(令和8年度分)は、その経緯をこうまとめています。

時期通知に書かれていること
平成23年度まで介護職員処遇改善交付金による賃金改善
平成24年度介護報酬改定で介護職員処遇改善加算を創設
令和元年10月介護職員等特定処遇改善加算を創設
令和4年10月介護職員等ベースアップ等支援加算を創設
令和6年6月これらの加算を一本化し、介護職員等処遇改善加算を創設

出典:厚生労働省老健局長通知「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(令和8年3月13日 老発0313第6号)前文

同じ通知の「基本的考え方」は、令和8年度の期中改定の理由として、閣議決定された経済対策の次の文を引いています。

「介護分野の職員の処遇改善については、累次の取組を講じてきた結果、介護職員の賃金は改善してきたものの、他産業とはまだ差があり、人材不足が厳しい状況にあるため、他職種と遜色のない処遇改善に向けて、令和8年度介護報酬改定において、必要な対応を行う」

出典:同通知 1「基本的考え方」(「強い経済」を実現する総合経済対策(令和7年11月21日閣議決定)からの引用部分。原文どおり)

国の資料も「他産業とはまだ差があり」と書き、差を縮める手段として介護報酬の改定を使っています。加算の率と配り方は介護の処遇改善加算はいくらもらえるか、2026年6月の改定は2026年6月の改定を伝えたニュースで扱っています。

本記事が読んだ国の資料は、差の理由を「何が何割」という形では示していません。この記事で言えるのは、値段が国の基準で決まること、収入の6〜7割が給与費であること、勤続年数の違いは差の一部にとどまること、の3点です。

この記事が扱っていないこと

  • 介護職員の年齢別・経験年数別・企業規模別・男女別の内訳。介護職の年収の平均で扱っています。
  • 処遇改善加算の率と配り方、資格別の給与。介護の処遇改善加算はいくらもらえるか、介護福祉士の年収を月額で読むで扱っています。
  • 介護職員を勤続年数で分けた賃金、短時間労働者(パートなど)どうしの比較。本記事では取得していません。
  • 令和6年度・令和8年度の改定後の事業所の収支。実態調査は令和5年度(令和4年度決算)が最新で、令和8年度の実態調査は、この記事の執筆時点で結果が公表されていません。
  • 介護報酬の単位数と、大臣が定める基準(告示)の中身。本記事では取得していません。
  • 求人倍率や、民間団体の賃上げ調査。本記事は国の統計と法令だけを使っています。

介護職として給与を見るときに確認できること

  • 比べる相手をそろえているか。一般労働者どうし、賞与込みどうしで比べないと、差の大きさが変わります。
  • 賞与がいくらか。全職種の平均との差のうち29.3%は賞与の差です。賞与の額と算定方法を確認できます。
  • 処遇改善加算をどの区分で取り、どう配っているか。介護報酬の中で給与を上げる仕組みです。
  • 前の職場の経験を給与に数えるか。全職種の平均では、所定内給与額は勤続年数が長い階級ほど高くなっています。

よくある質問

Q. 介護の給料は、全職種の平均とどれくらい違いますか。
A. 一般労働者どうしの編集部試算で、介護職員(医療・福祉施設等)の推計年収は388.0万円、全職種の平均は545.6万円で、差は157.5万円です。うち111.4万円が毎月の給与、46.2万円が賞与の分です。

Q. なぜ事業所は給料を自由に上げられないのですか。
A. 介護保険のサービスの費用の額は、介護保険法 第41条第4項などで「厚生労働大臣が定める基準により算定」されます。訪問介護では、利用者から受け取る額も省令で決まっています。そのうえ本記事で見た9つのサービスのうち8つで、収入の6割以上がすでに給与費です。

Q. 介護職員は若い人が多いから平均が低いのですか。
A. 平均年齢は介護職員が45.3歳、全職種の平均が44.4歳で、介護職員のほうが年上です。年齢階級をそろえても12の階級すべてで下回り、差は55〜59歳の2,470,600円が最大です。

Q. 勤続年数が短いことは関係ありますか。
A. 平均勤続年数は介護職員が9.0年、全職種の平均が12.7年です。全職種の勤続5〜9年の階級と比べると所定内給与額の差は49,600円で、全体どうしの77,700円より小さくなります。差の一部にはなり得ますが、勤続年数だけでは説明できません。

Q. 国は差があることを認めていますか。
A. 処遇改善加算の令和8年度分の通知が引く経済対策は、介護職員の賃金について「他産業とはまだ差があり」と書き、介護報酬の改定で対応するとしています。

迷ったらここ

賞与と加算の扱いを聞く

介護職員の推計年収は全職種の平均より157.5万円低く、差のうち46.2万円は賞与の分です。介護の値段は国の基準で決まり、訪問介護では収入の72.2%が給与費でした。

  • 賞与の額と、何か月分で計算しているか
  • 処遇改善加算をどの区分で取り、どう配っているか
  • 前の職場の経験年数を給与の決め方に数えるか
介護職の転職サービスを比較する

まとめ

  • 差は157.5万円介護職員の推計年収388.0万円は、全職種の平均545.6万円の71.1%です(編集部試算)。
  • 差の7割は毎月の給与毎月の給与の分が111.4万円、賞与の分が46.2万円で、中心は所定内給与額の差です。
  • 年齢では説明できない介護職員のほうが0.9歳年上で、年齢をそろえても差は残り、55〜59歳で最も開きます。
  • 勤続の短さは一部だけ勤続年数は3.7年短いものの、勤続をそろえた目安でも差は大きく残ります。
  • 値段は国の基準で決まり、収入の6〜7割が給与費費用の額は厚生労働大臣が定める基準で算定され、訪問介護では収入の72.2%が給与費でした。

介護の給料が「安い」と言われる背景には、値段を国の基準が決め、その収入の大半がすでに人件費に回っている仕組みがあります。給与を比べるときは、相手をそろえたうえで、賞与や処遇改善加算の扱いまで確認してください。

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この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

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