30秒でわかるまとめ
- 介護職員の取り分は、国ではなく事業所が決めます通知が定めるのは事業所に入る加算の率と、その額に見合う賃金改善を行う義務です。配分は事業所の判断に任されています。
- 訪問介護の加算率は、最上位の区分で28.7%です令和8年6月以降の率で、最も下の区分は17.0%です。率は事業所の介護報酬に掛けるもので、1人あたりの額ではありません。
- 1年で増えた平均給与額は、月13,960円でした加算を取った事業所で月給・常勤の介護職員の数字です。うち手当が8,330円、基本給が4,240円でした。
- 事業者は、賃金改善の中身を書面などで答えることになっています通知は、職員から照会があれば書面を用いるなど分かりやすく回答するよう、事業者に求めています。
※職種ごとの平均給与額は生活相談員の年収、介護福祉士の資格別の数字は介護福祉士の年収を月額で読むで扱っています。

先に断ります:国は「1人あたりいくら」を決めていません
介護職員等処遇改善加算は、令和6年6月に3つの加算を1つにまとめてできた加算です。通知の前文に「令和6年6月からは、これらの加算を一本化し、介護職員等処遇改善加算を創設した。」とあります。
出典:厚生労働省老健局長通知「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(令和8年3月13日 老発0313第6号)前文(原文どおり)
事業所に入る額は、次の式で決まります。
「処遇改善加算の単位数として、サービス別の基本サービス費に各種加算減算(処遇改善加算を除く。)を加えた1月当たりの総単位数に、加算区分及びサービス類型別の加算率を乗じた単位数を算定する。」
出典:同通知 2(1)(原文どおり)
つまり「事業所の1か月の介護報酬(単位数)×加算率」です。受け取った額の使い道は、こう書かれています。
「介護サービス事業者又は介護保険施設(介護予防・日常生活支援総合事業の事業者を含む。以下「介護サービス事業者等」という。)は、処遇改善加算の算定額に相当する介護職員その他の職員の賃金(基本給、手当、賞与等(退職手当を除く。以下同じ。)を含む。)の改善(以下「賃金改善」といい、当該賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分を含むことができる。)を実施しなければならない。」
出典:同通知 2(2)(原文どおり)
決まっているのは「入った額と同じだけ、職員の賃金を改善する」という総額の義務です。1人あたりの金額は書かれていません。「いくらもらえるか」は、加算率(事業所に入る額)と配分(事業所が決める)の2段階で決まります。

ここが本題:加算率は、サービスの種類と区分で決まります
令和8年6月以降の加算率を、主なサービスについて抜き出しました。
| サービス区分 | Ⅰイ | Ⅰロ | Ⅱイ | Ⅱロ | Ⅲ | Ⅳ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 27.0% | 28.7% | 24.9% | 26.6% | 20.7% | 17.0% |
| 通所介護 | 11.1% | 12.0% | 10.9% | 11.8% | 9.9% | 8.3% |
| (介護予防)通所リハビリテーション | 10.3% | 11.1% | 10.0% | 10.8% | 8.3% | 7.0% |
| (介護予防)小規模多機能型居宅介護 | 17.1% | 18.6% | 16.8% | 18.3% | 15.6% | 12.8% |
| (介護予防)特定施設入居者生活介護 | 14.8% | 15.9% | 14.2% | 15.3% | 13.0% | 10.8% |
| (介護予防)認知症対応型共同生活介護 | 21.0% | 22.8% | 20.2% | 22.0% | 17.9% | 14.9% |
| 介護老人福祉施設 | 16.3% | 17.6% | 15.9% | 17.2% | 13.6% | 11.3% |
| 介護老人保健施設 | 9.0% | 9.7% | 8.6% | 9.3% | 6.9% | 5.9% |
| 介護医療院 | 6.2% | 6.6% | 5.8% | 6.2% | 4.7% | 4.0% |
出典:同通知 別紙1 表1-2〜表1-4(令和8年6月以降)。令和8年厚生労働省告示第87号の各サービスの加算の定め(1000分の○)と一致することを確認
- 率の高低は、給与の高低ではありません。率を掛ける相手(介護報酬の総単位数)がサービスごとに違います。訪問介護の28.7%と介護老人保健施設の9.7%を、そのまま職員の取り分の差とは読めません。
- 同じサービスでも、区分で率が変わります。訪問介護では、Ⅰロの28.7%とⅣの17.0%の間に11.7ポイントの開きがあります(編集部算出)。
- 「ロ」は令和8年6月にできた上乗せの区分です。どのサービスでも、ⅠロとⅠイの差はⅡロとⅡイの差と同じ幅です(訪問介護ならどちらも1.7ポイント)。
令和8年4月・5月の訪問介護の率は加算Ⅰで24.5%でした(同 表1-1)。6月以降、同じ位置づけのⅠイは27.0%です。年度の途中で率が引き上げられています。
この6月の改定の中身と、各区分を算定している事業所の割合は、2026年6月の改定を伝えたニュースで扱っています。
6月からは訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援などにも区分のない1つの加算が設けられ(同 表1-5)、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、居宅療養管理指導は算定の対象外です(同 表1-7)。居宅介護支援への新設はケアマネの担当件数に上限はあるかでも触れています。

区分を分けているのは、8つの要件です
| 要件 | Ⅰイ | Ⅰロ | Ⅱイ | Ⅱロ | Ⅲ | Ⅳ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ①月額賃金改善要件 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ②キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系の整備等) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ③キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ④キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組みの整備等) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
| ⑤キャリアパス要件Ⅳ(改善後の年額賃金要件) | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - |
| ⑥キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件) | ○ | ○ | - | - | - | - |
| ⑦職場環境等要件 | 区分ごとに2以上 | 区分ごとに2以上 | 区分ごとに2以上 | 区分ごとに2以上 | 区分ごとに1以上 | 区分ごとに1以上 |
| ⑧令和8年度特例要件(生産性向上や協働化に係る取組) | - | ○ | - | ○ | - | - |
出典:同通知 3(1)、別紙1 表2-2(令和8年6月以降)
- ①月額賃金改善要件は、加算Ⅳの加算額の2分の1以上を、基本給又は決まって毎月支払われる手当の改善に充てること、です。どの区分でも求められます。
- ④キャリアパス要件Ⅲは、経験に応じて昇給する仕組み、資格等に応じて昇給する仕組み、一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みのいずれかを設け、書面で整備して全ての介護職員に周知することです。
⑤は次の文です。
「経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、賃金改善後の賃金の見込額(処遇改善加算を算定し実施される賃金改善の見込額を含む。)が年額440万円以上であること(処遇改善加算による賃金改善以前の賃金が年額440万円以上である者を除く。)。」
出典:同通知 3(1)⑤(原文どおり)
年額440万円は「1人以上」の要件で、全員に保証される額ではありません。小規模事業所等で職種間の賃金バランスに配慮が必要な場合など、合理的な説明がある場合の例外もあります。令和8年度は、⑧を満たす事業所に限り、②〜⑤と⑦の整備などを令和9年3月末までに行うと誓約した場合に、申請時点から満たしているものとして扱う特例もあります。
配り方は事業所が決めます。ただし偏らせてはいけません
「処遇改善加算を用いて行う賃金改善における職種間の賃金配分については、介護職員、特に経験・技能のある介護職員(中略)の処遇改善が重要であることに留意しつつ、介護サービス事業者等の判断により、事業所内で柔軟な配分を認めることとする。ただし、例えば、一部の職員に加算を原資とする賃金改善を集中させることや、同一法人内の一部の事業所のみに賃金改善を集中させることなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分は行わないこと。」
出典:同通知 2(2)(原文どおり。括弧内の「経験・技能のある介護職員」の定義を中略)
中略した定義の中心は「介護福祉士の資格を有するとともに、所属する法人等における勤続年数10年以上の介護職員を基本としつつ、他の法人における経験や、当該職員の業務や技能等を踏まえ、各介護サービス事業者等の裁量で設定することとする。」です(同、原文どおり)。
配る相手は介護職員に限られません。厚生労働省のQ&Aは「処遇改善加算の各事業所内における配分については、問2-1にあるとおり、事業所内で柔軟な配分を認めることとしており、対象には介護職員以外の全職種(※)が含まれる。」と答えています。
出典:厚生労働省老健局老人保健課「令和8年度介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」問2-1-2(原文どおり)
配る形についても方向が示されています。通知は「また、安定的な処遇改善が重要であることから、基本給による賃金改善が望ましい。」とし(同通知 2(2)、原文どおり)、令和7年度より増えた加算額の分は、ベースアップ(賃金表の改訂で基本給又は決まって毎月支払われる手当を一律に引き上げること)で行うことを基本に、それだけで行えない場合は手当や一時金を組み合わせてもよい、としています。
通知の「基本的考え方」には、令和8年度の改定の規模も書かれています。
「介護職員のみならず、介護従事者を対象に、幅広く月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置を実施するとともに、生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員を対象に、月0.7万円(2.4%)の上乗せ措置を実施(※)することとした。」
「※定期昇給0.2万円を含め、合計で、介護職員について最大月1.9万円(6.3%)の賃上げが実現する措置」
出典:同通知 1「基本的考え方」(原文どおり)
これは措置全体の規模を示した文です。事業者に求められているのは「算定額に相当する賃金改善」で、本記事は1.0万円や1.9万円を、1人1人が受け取る額とは読みません。
給与に入る時期も、事業所が選びます
Q&Aは、6月に算定する加算の場合を例に、払う時期を3つの型から選ぶとしています。
| 型 | 払い方 |
|---|---|
| ① | 6月の労働時間に基づき、6月中に見込額で職員に支払う |
| ② | 6月の労働時間に基づき、7月中に職員に支払う |
| ③ | 6月サービス提供分の介護報酬が7月の国保連の審査を経て8月に振り込まれるため、8月中に職員に支払う |
出典:同Q&A 問1-8-1。配分のあり方について予め労使の合意を得るよう努めることとされています
年間の賃金改善額が加算額を下回ると、加算は返還の対象になります。ただしQ&Aは、不足する部分を賞与等の一時金として追加的に配分することで、返還を求めない取扱いとしても差し支えないとしています(問1-9)。
国の調査で見える「実際に上がった額」は月13,960円
厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査の令和6年度の結果(2026年10月6日時点で「結果の概要」一覧に載っている最新の回)を見ます。
介護職員等処遇改善加算Ⅰ〜Ⅴを取得(届出)している事業所で、月給・常勤の介護職員の平均給与額は、令和5年9月から令和6年9月の1年で13,960円増えました(統計表第70表)。基本給と毎月決まって支払われる手当だけの平均基本給等は、11,130円の増でした(統計表第95表)。
| 内訳 | 令和5年9月→令和6年9月の増加額 |
|---|---|
| 基本給 | 4,240円 |
| 手当 | 8,330円 |
| 一時金(賞与等) | 1,390円 |
| 平均給与額(合計) | 13,960円 |
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」p.14(統計表第70表)。一時金は4〜9月に支給された金額の6分の1
増えた分の6割近くが手当でした。ただし調査の手当には「手当は職務手当、処遇改善手当、通勤手当、家族手当などが含まれるほか、時間外手当(早朝・深夜・休日手当等)も含まれる。」とされています(同 p.14 注2、原文どおり)。
| サービスの種類 | 平均給与額の増加額(月給・常勤の介護職員) |
|---|---|
| 訪問介護 | 16,930円 |
| 介護医療院 | 15,710円 |
| 特定施設入居者生活介護 | 15,300円 |
| 介護老人福祉施設 | 14,890円 |
| 介護老人保健施設 | 14,390円 |
| 認知症対応型共同生活介護 | 11,820円 |
| 通所リハビリテーション | 11,480円 |
| 通所介護 | 10,870円 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 10,470円 |
出典:同 p.15(統計表第73表)。通所介護には地域密着型通所介護を含む。最大と最小の差は6,460円(編集部算出)
この数字を「加算でもらえた額」と読むときは、3つ注意が要ります。
- 同じ人の1年の変化です。比べているのは令和5年9月30日と令和6年9月30日のともに在籍している者で、定期昇給など加算以外の理由による増加も入っています。
- 令和8年6月の改定は入っていません。比べた時点は令和6年9月までです。
- 加算を取得している事業所だけの集計です。
同じ調査で、加算の届出をしている事業所の令和6年度の賃金改善の実施方法は、ベースアップ等により対応59.8%、定期昇給を実施することで対応43.6%、賞与等(一時金を含む)の支給金額の引き上げ又は新設により対応33.1%でした(複数回答、同 p.9、統計表第36表。介護従事者全体(介護職員に限定していない)の状況)。加算の全額を令和6年度分の賃金改善に充てた(予定)事業所は80.7%、加算額の一部を令和7年度に繰り越した(予定)事業所は14.3%です(同 p.10、統計表第42表)。どの方法で、いつ配るかは、事業所ごとに分かれています。
別の国の統計で、介護職員(医療・福祉施設等)の年収を年齢・経験年数・企業規模・男女別に試算した数字は 介護職の年収の平均は388.0万円|35〜54歳は413.9万〜416.4万円で、ほぼ横ばいですで扱っています。
この記事が扱っていないこと
- 職員1人あたりの支給額の推計。事業所の介護報酬の総額と職員数が事業所ごとに違うため、推計していません。
- 単位数を円に換える単価(地域ごとの区分)。本記事は取得していません。
- 令和8年6月の改定のあとの賃金の実績。「結果の概要」一覧に、令和6年度より新しい回は載っていません(2026年10月6日時点)。
- 表1-5のサービスの加算率と、区分ごとに何割の事業所が算定しているか。本記事では扱っていません。
- 保育の処遇改善等加算。制度が別で、保育士の処遇改善手当はいくらかで扱っています。
介護職員として確認できること
- 事業所が算定している区分。Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳのどれかで、事業所に入る率が変わります。
- 賃金改善の方法。通知は、賃金改善を行う方法等を処遇改善計画書を用いるなどにより職員に周知するよう求めています(同通知 8(1))。
- 払われる時期。算定した月の中か、翌月か、翌々月か。
- 昇給の仕組みが就業規則等に書かれているか。Ⅳ以外の区分では、キャリアパス要件Ⅲとして求められています。
- 自分の賃金改善の中身。回答の仕方も、通知に書かれています。
「職員から処遇改善加算に係る賃金改善に関する照会があった場合は、当該職員の賃金改善に係る内容について、書面を用いるなど分かりやすく回答すること。」
出典:同通知 8(1)(原文どおり)
よくある質問
Q. 処遇改善加算で、1人あたり月いくらもらえますか。
A. 通知が定めているのは、事業所に入る加算(1月当たりの総単位数×加算率)と、その算定額に相当する賃金改善を行う義務です。配分は事業所の判断で、1人あたりの額は決まっていません。国の調査では、加算を取得した事業所の月給・常勤の介護職員の平均給与額が1年で13,960円増えていますが、加算以外の理由による増加も含みます。
Q. 介護職員以外の職員にも配られますか。
A. 配られることがあります。Q&A 問2-1-2は、事業所内での配分の対象に介護職員以外の全職種が含まれるとしています。ただし通知は、介護職員、特に経験・技能のある介護職員の処遇改善が重要であることに留意するよう求めています。
Q. 賞与(一時金)だけで払われることはありますか。
A. 賃金改善には賞与等も含まれます。一方で、どの区分でも加算Ⅳの加算額の2分の1以上を基本給又は決まって毎月支払われる手当の改善に充てる要件があり、通知は基本給による賃金改善が望ましいとしています。
Q. 令和8年6月の改定で、給与はいくら上がりましたか。
A. 国の調査の結果はまだ出ていません(2026年10月6日時点)。通知は改定の規模を、介護従事者に幅広く月1.0万円(3.3%)、上乗せの区分で介護職員に月0.7万円(2.4%)の措置としています。これは措置全体の規模で、1人ごとの支給額を定めたものではありません。
迷ったらここ
処遇改善加算の区分と配り方を聞く
介護職員等処遇改善加算で事業所に入る額は「1月当たりの総単位数×加算率」で決まり、職員への配分は事業所の判断です。訪問介護の加算率は、区分によって28.7%から17.0%まで開きます。
- 事業所が算定している区分(Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳのどれか)
- 加算の分を基本給・手当・一時金のどれで払っているか
- 加算の分が払われる時期(算定した月の中・翌月・翌々月)
まとめ
事業所に入る額は1月当たりの総単位数×加算率で決まります。令和8年6月以降の訪問介護なら、率はⅠロの28.7%からⅣの17.0%までです。
事業所は算定額に相当する賃金改善を行う義務を負いますが、配分は事業所の判断で柔軟に決められ、著しく偏った配分は行わないこととされています。1人あたりの額は決められていません。
国の調査では、加算を取得した事業所で月給・常勤の介護職員の平均給与額が1年で13,960円増え、うち手当が8,330円でした。サービスの種類別では10,470円から16,930円まで幅があります。
自分の分は事業所に尋ねることができ、事業所は書面などで分かりやすく答えることになっています。区分・配分の方法・払われる時期を確かめると、加算が給与にどう届いているかが見えてきます。

