30秒でわかるまとめ
- 生活相談員の年収に全国統計は存在しません賃金構造基本統計調査の職種区分に生活相談員はなく、平均年収という数字自体が作れません
- 唯一の全国データは月額353,950円という数字です介護従事者処遇状況等調査の令和6年9月・月給常勤者の平均給与額で、年収ではありません
- 介護職員より高く介護支援専門員より低い中間の位置です平均給与額は介護職員より15,750円高く、介護支援専門員より21,460円低い金額です
- 基本給だけで比べると介護職員との差が広がります平均基本給等で比べると差は23,990円、手当や一時金を含む平均給与額では15,750円に縮みます
※同じ介護の職種でも、介護支援専門員(ケアマネジャー)は賃金構造基本統計調査に区分があり、年収の内訳まで出せます。そちらはケアマネ年収441.3万円の内訳|経験1〜4年でいったん下がりますで扱っています。この記事は統計に区分が無い職種を、どこまで読めるかの話です。

まず確認:国の賃金統計に「生活相談員」はありません
職種別の年収を調べるときに最初に当たるのは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査です。令和7年調査(2026年3月24日公表)の「職種(小分類)」には、介護分野の区分としてこれだけが並んでいます。
| この調査にある区分 | この調査にない区分 |
|---|---|
| 介護職員(医療・福祉施設等) | 生活相談員 |
| 訪問介護従事者 | 支援相談員 |
| 介護支援専門員(ケアマネージャー) | 介護福祉士 |
| その他の社会福祉専門職業従事者 | サービス提供責任者 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種)第1表の職種小分類一覧より編集部が確認
「生活相談員」という名前の区分は、この一覧に存在しません。近い名前のものとして「その他の社会福祉専門職業従事者」がありますが、生活相談員がこの区分に分類されるかどうかは、本記事では確認していません。この調査の職種解説に当たっていないためです。したがって、その数字を生活相談員の年収として示すことはしません。
同じことは他の職種でも起きています。保育補助にも幼稚園教諭にも単独の区分がありません。「国の統計に無い」は、その仕事に価値が無いという意味ではなく、統計の区分の切り方の問題です。同じ構造の話は保育補助の年収は、国の統計に存在しませんでも扱っています。

あるのは1つ:月額353,950円という数字です
ただし、生活相談員を名指しした全国調査が1つだけあります。厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査です。介護報酬改定の基礎資料を得るための調査で、令和6年度調査では13,801施設・事業所を対象に、8,180施設・事業所から有効回答(有効回答率59.3%)を得ています。
この調査の「平均給与額」は、次のように定義されています。
- 基本給(月額)+手当+一時金(4〜9月支給金額の6分の1)
- 対象は月給・常勤の者で、介護職員等処遇改善加算Ⅰ〜Ⅴを取得(届出)している事業所
- 令和5年9月30日と令和6年9月30日の両方に在籍している者を比較している
この定義で、生活相談員・支援相談員はこうなっています。
| 項目 | 令和6年9月 | 令和5年9月 | 差 |
|---|---|---|---|
| 平均給与額 | 353,950円 | 340,150円 | +13,800円 |
| 平均基本給等 | 277,800円 | 267,120円 | +10,680円 |
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」(統計表第70表・第95表)。平均基本給等は基本給(月額)+毎月決まって支払われる手当で、通勤手当・扶養手当・超過労働給与額は含まない
ここを間違えないでください。353,950円は月額です。年収ではありません。
12を掛ければ424.7万円になりますが、これは一時金が年2回、同じ額で支給されると仮定した場合の目安にすぎません。調査はこの計算をしていませんし、10月〜3月に支給される一時金は調査の対象外です。本記事では、この424.7万円を「生活相談員の平均年収」として扱いません。

同じ調査は、1年で給与がいくら増えたかも出しています。介護職員の増加額13,960円の内訳(手当8,330円・基本給4,240円)と、処遇改善加算の配り方のルールは介護の処遇改善加算はいくらもらえるか|国が決めるのは事業所に入る率まで。1年の増加は月13,960円でしたで扱っています。
職種の中での位置:介護職員より15,750円高い
同じ調査は8職種を同じ条件で並べています。生活相談員がどのあたりにいるかは、ここから読めます。
| 職種 | 平均給与額(令和6年9月) | 前年からの差 |
|---|---|---|
| 看護職員 | 384,620円 | +9,360円 |
| 介護支援専門員 | 375,410円 | +11,650円 |
| 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員 | 362,800円 | +12,610円 |
| 生活相談員・支援相談員 | 353,950円 | +13,800円 |
| 介護職員 | 338,200円 | +13,960円 |
| 管理栄養士・栄養士 | 323,810円 | +12,000円 |
| 事務職員 | 317,620円 | +11,660円 |
| 調理員 | 272,240円 | +12,100円 |
出典:同調査(統計表第70表)。いずれも月給・常勤の者、処遇改善加算Ⅰ〜Ⅴ取得事業所
差を計算すると、こうなります。
| 比較 | 差 |
|---|---|
| 看護職員 - 生活相談員 | 30,670円(生活相談員が低い) |
| 介護支援専門員 - 生活相談員 | 21,460円(生活相談員が低い) |
| 生活相談員 - 介護職員 | 15,750円(生活相談員が高い) |
| 生活相談員 - 事務職員 | 36,330円(生活相談員が高い) |
出典:同調査より編集部が算出
生活相談員は、介護現場のちょうど中間にいます。看護職員やケアマネジャーより下、介護職員や事務職員より上。資格を必須とする専門職と、現場の中心である介護職員のあいだの位置です。
同じ調査は介護職員を保有資格別にも集計しています。介護福祉士の行と、職場の種類による違いは介護福祉士の年収を月額で読む|平均給与額は350,050円、職場の種類で68,380円開きますで扱っています。
ここが本題:基本給で比べると、順位の開き方が変わります
ここからがこの記事の中心です。同じ調査は平均基本給等も職種別に出しています。手当と一時金を含めた「平均給与額」と並べると、見え方が変わります。
| 職種 | 平均基本給等 | 平均給与額 | 差(給与額-基本給等) |
|---|---|---|---|
| 介護支援専門員 | 290,340円 | 375,410円 | 85,070円 |
| 生活相談員・支援相談員 | 277,800円 | 353,950円 | 76,150円 |
| 介護職員 | 253,810円 | 338,200円 | 84,390円 |
出典:同調査(統計表第70表・第95表)。差は編集部が算出
2つの比べ方で、介護職員との距離が違います。
- 基本給等で比べると:生活相談員 277,800円 - 介護職員 253,810円 = 23,990円の差
- 平均給与額で比べると:生活相談員 353,950円 - 介護職員 338,200円 = 15,750円の差
基本給の段階では23,990円あった差が、手当と一時金を足すと15,750円まで縮みます。差の縮み方は8,240円です。つまり介護職員のほうが、基本給以外の部分をそれだけ多く受け取っている計算になります。
介護支援専門員との関係も同じ向きです。基本給等の差は12,540円ですが、平均給与額の差は21,460円に開きます。基本給で見るか、手当込みで見るかで、職種間の距離は変わります。
この差がなぜ生まれるのかは、調査資料に理由が書かれていません。本記事では理由を推測せず、数字の形だけを示します。求人票を見るときに意味を持つのは、提示額が基本給なのか、手当込みなのかという点です。
同じ事業所に置かれる機能訓練指導員も、資格の名前ではありません。省令が資格を1つも列挙していないことと、通所介護と施設で条文が違うことは機能訓練指導員の仕事内容|省令は資格を1つも書いていませんで扱っています。
「生活相談員」は資格ではありません
もう1つ、年収を考えるうえで外せない前提があります。生活相談員は資格の名前ではなく、配置基準に置かれた職名です。
特別養護老人ホームについては、省令に要件があります。
特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第5条第2項
「生活相談員は、社会福祉法第十九条第一項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。」
その社会福祉法第19条第1項が挙げているのは、次の5つです。
| 号 | 該当する者 |
|---|---|
| 第1号 | 大学等で厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者 |
| 第2号 | 都道府県知事の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者 |
| 第3号 | 社会福祉士 |
| 第4号 | 厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者 |
| 第5号 | 前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの |
出典:社会福祉法(昭和26年法律第45号)第19条第1項。この条は「社会福祉主事」の任用資格を定めたものです
注意点が2つあります。
1つめ。省令の末尾に「又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者」という受け皿があります。社会福祉主事任用資格が唯一の入口ではありません。
2つめ。通所介護(デイサービス)の生活相談員には、省令に資格要件が書かれていません。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条は人数の決め方だけを定めていて、なれる人の要件には触れていません。実際の要件は自治体の条例や通知で定められており、本記事では個別の自治体までは確認していません。応募先の都道府県・市町村の定めを確認してください。
資格で金額が決まる職種ではない——これが、生活相談員の給与を読むときの出発点になります。
その配置の根拠になる省令は、施設の種類によって違います。資格要件を書いている省令と、員数しか書いていない省令があることは生活相談員の資格要件|書いてある省令と、書いていない省令で扱っています。
椅子は1施設に1つ:配置基準が求人の数を決めています
もう1つ、求人の見え方に効いてくるのが人数の基準です。
| サービス | 生活相談員の配置基準 | 常勤要件 |
|---|---|---|
| 指定介護老人福祉施設(特養) | 入所者の数が100又はその端数を増すごとに1以上(第2条第1項第2号) | 常勤でなければならない(同条第5項) |
| 指定通所介護(デイサービス) | 提供日ごとに、生活相談員が勤務している時間数の合計数を提供している時間帯の時間数で割った数が1以上(第93条第1項第1号) | 生活相談員又は介護職員のうち1人以上が常勤(同条第6項) |
出典:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第2条/指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第93条
ここに実際の施設規模を重ねます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 介護老人福祉施設の施設数 | 8,621施設 |
| 1施設当たり定員 | 70.4人 |
| 1施設当たり在所者数 | 66.5人 |
| 通所介護の事業所数 | 24,585事業所 |
| 地域密着型通所介護の事業所数 | 18,921事業所 |
出典:厚生労働省「令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況」(令和6年10月1日現在)
1施設当たりの在所者数は66.5人です。「100人またはその端数ごとに1以上」なので、多くの特養で生活相談員は1人で基準を満たします。
これは、求人の性質を決めています。介護職員のように何人も採る職種ではなく、1施設に1つの椅子が空いたときだけ募集が出る職種です。同じ施設で栄養士・管理栄養士の配置も1以上とされており(同基準第2条第1項第4号)、こちらも構造は同じです。詳しくは介護施設の栄養士の仕事内容|週3回のミールラウンドが業務の形を決めますで扱っています。
同じ調査の統計表本体には、職種ごとの内訳(基本給・手当・一時金)や年齢・勤続年数も載っています。管理栄養士・栄養士の側からその内訳を読んだものは介護施設の栄養士の年収|基本給は介護職員より2万1,760円高いですにあります。
求人票で確認できること
1. 提示額が「基本給」か「手当込み」かを分ける
この記事で見たとおり、基本給で比べるか手当込みで比べるかで、職種間の差は8,240円動きました。求人票の金額がどちらなのかを確かめないと、統計値と比べようがありません。統計上の目安は基本給等277,800円、手当・一時金込み353,950円です。
2. 兼務があるかを聞く
特養の生活相談員は常勤要件がありますが、通所介護では生活相談員と介護職員のうち1人以上が常勤であればよい形になっています。相談業務だけを担当するのか、介護職員としても数えられるのかで、1日の中身が変わります。
3. 施設の入所者数を数字で聞く
入所者100人を超えると生活相談員は2人以上になります。1人体制か複数体制かは、休みの取りやすさに直結します。入所者数と生活相談員の人数を、両方数字で確認してください。
4. 資格要件をどう満たす想定かを確認する
特養なら社会福祉法第19条第1項各号か「同等以上と認められる者」、通所介護なら自治体の定めです。どの号で満たす想定なのかを、応募前に採用担当と自治体の両方で確かめておくと確実です。
5. 介護福祉士やケアマネジャーとの関係を見る
生活相談員の給与は、同じ施設の他職種との相対で決まっている面があります。介護福祉士からケアマネジャーへ進む道と比べてどうかは、別の記事で年齢階級別に分解しています。介護福祉士とケアマネの違いは「名称独占」と「必置資格」|年収差53.3万円を年齢別に分解しましたを参照してください。
よくある質問
Q. 結局、生活相談員の平均年収はいくらですか。
A. 公的統計に「生活相談員の平均年収」はありません。あるのは月額の平均給与額353,950円(令和6年9月・月給・常勤の者)だけです。12を掛けると424.7万円になりますが、これは一時金が年2回同額支給されると仮定した場合の目安で、調査がそう計算しているわけではありません。金額を比べたいときは、月額どうしで比べるのが確実です。
Q. 社会福祉士を取ると給与は上がりますか。
A. 生活相談員について、資格別の給与を示した統計は本記事では確認できませんでした。同じ調査には介護職員の保有資格別の数字があり、社会福祉士を持つ介護職員の平均給与額は397,620円で全体(338,200円)より59,420円高くなっています。ただしこれは介護職員の数字であって、生活相談員のものではありません。生活相談員に置き換えて読むことはできません。
Q. 未経験から生活相談員になれますか。
A. 制度の面では、資格要件を満たしていれば介護の実務経験がなくても要件上は該当します。特養なら社会福祉法第19条第1項各号または「これと同等以上の能力を有すると認められる者」で、条文に実務経験年数の定めはありません。ただし採用するかどうかは施設の判断で、条文とは別の話です。また通所介護は自治体の定めによります。実際の可否は、応募先と自治体の要件の両方を確認してください。
迷ったらここ
求人票の金額が「基本給」か「手当込み」かを先に分ける
この記事で見たとおり、介護職員との差は基本給等なら23,990円、手当・一時金を含めると15,750円に変わります。どちらの数字と比べているのかを決めないと、提示額が高いのか低いのかを判断できません。
- 提示額は基本給か手当込みか(統計上の目安は基本給等277,800円、手当・一時金込み353,950円)
- 入所者は何人で、生活相談員は何人か(特養は入所者100人ごとに1以上・常勤)
- 資格要件をどの号で満たす想定か(特養は社会福祉法第19条第1項各号、通所介護は自治体の定め)
まとめ
- 賃金構造基本統計調査の職種(小分類)に「生活相談員」という区分はない。年収の全国統計は存在しない
- 全国規模で公表されている数字は介護従事者処遇状況等調査の月額353,950円(令和6年9月)1つだけ。これは年収ではない
- 職種内の位置は中間。介護職員より15,750円高く、介護支援専門員より21,460円低い
- 基本給等で比べると介護職員との差は23,990円。手当・一時金を含めると15,750円まで縮む(差は8,240円)
- 生活相談員は資格ではなく配置基準上の職名。特養は社会福祉法第19条第1項各号+「同等以上と認められる者」、通所介護の省令には資格要件の定めがない
- 特養は入所者100人ごとに1以上・常勤。1施設当たり在所者数66.5人なので、多くの施設で椅子は1つ
金額を1つだけ覚えるなら月額353,950円ですが、それより先に「提示額が基本給か手当込みか」を分けてください。この職種では、そこで8,240円ぶんの見え方が変わります。

