准看護師は廃止されるのか|廃止を定めた法律はなく、課程の入学者は15年で約3割に

目次

30秒でわかるまとめ

  • 准看護師を廃止すると定めた法律は、見当たりません保健師助産師看護師法は今も第6条で准看護師を定め、免許・試験・受験資格の条文も置いています。
  • 准看護師課程の入学者は、15年で約3割になりました平成22年度の11,958人から、令和7年度は3,603人です。学校数は260から172に減りました。
  • 働いている准看護師の数は、2年ごとの集計で減り続けています平成14年の393,413人が最多で、その後は2年ごとの集計のたびに少なくなっています。
  • 看護師を目指す2年課程は、法律に道が書かれています准看護師が看護師国家試験を受ける道は第21条第4号にあります。2年課程の入学者は令和7年度に4,070人でした。

※看護師との法律上の違いは准看護師と正看護師の違い、准看護師になるまでの学校と時間数は准看護師になるにはで扱っています。

注射予防接種(准看護師)

まず結論:准看護師を廃止すると定めた法律は、見当たりません

この記事は、法律に定めがあるかと、人や学校の数がどう動いているかを分けて確かめます。先に法律です。保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)について、e-Gov法令APIの改正履歴を2026年10月6日に取得しました。載っている版は次の6つです。

施行日改正した法律
2016年4月1日平成二十六年法律第六十九号(行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)
2018年6月27日平成三十年法律第六十六号(地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律)
2019年4月1日同上
2022年6月17日令和四年法律第六十八号(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律)
2025年6月1日同上
2026年5月21日(現行)令和五年法律第六十三号(デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律)

出典:e-Gov法令API(v2)保健師助産師看護師法 法令ID 323AC0000000203 の改正履歴(2026年10月6日取得)

6つの版の本文を1つずつ取り寄せ、准看護師の定義(第6条)・免許(第8条)・試験(第18条)・受験資格(第22条)の条文を比べました。6つの版のすべてで、4つの条文は現行と1字も違いませんでした。改正した法律の題名に「准看護師」を含むものもありません。

まだ施行されていない改正も、履歴に載っていませんでした。確かめた範囲(2016年4月1日施行の版から現行版まで)で、准看護師の規定をなくす改正はありません。

手術で医師を補佐

現行法の条文:定義・免許・試験・受験資格がそろっています

「この法律において「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者をいう。」

出典:保健師助産師看護師法(e-Gov法令API 法令ID 323AC0000000203)第6条(原文どおり)

「准看護師になろうとする者は、准看護師試験に合格し、都道府県知事の免許を受けなければならない。」

出典:同法 第8条(原文どおり)

条現行の文言(原文から該当部分を抜き出し)
第18条准看護師試験は、都道府県知事が、厚生労働大臣の定める基準に従い、毎年少なくとも一回これを行う。
第22条准看護師試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、これを受けることができない。
第22条第2号文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に従い、都道府県知事の指定した准看護師養成所を卒業した者

出典:同法 第18条・第22条(各条の該当部分を原文どおり抜き出した。第18条は冒頭の保健師・助産師・看護師の国家試験の部分を、第22条は第1号・第3号・第4号を省略)

定義・免許・試験・養成所の条文が、現行法にそろっています。

病院夜勤のイメージ

2019年の改正は、准看護師試験の事務を任せられる条を足すものでした

2019年4月1日施行の版(平成三十年法律第六十六号による改正)では、准看護師に関する条文が増えています。

「准看護師試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)をつかさどらせるために、都道府県に准看護師試験委員を置く。」

出典:同法 第25条第1項(原文どおり)

条定め
第27条第1項都道府県知事は、一般社団法人又は一般財団法人であって都道府県知事が指定する者(指定試験機関)に、試験事務の全部又は一部を行わせることができる
第27条の2〜第27条の15指定試験機関の役員の選任、事業計画、試験事務規程、秘密の保持、監督命令などの定め

出典:同法 第27条第1項、第27条の2〜第27条の15(要約)。2018年6月27日施行の版には第27条の2〜第27条の15がなく、2019年4月1日施行の版から載っていることを、e-Govの2つの版を比べて確かめた

試験を行うことを前提に、その事務の担い手を広げる改正です。試験の科目や手続は准看護師試験の難易度で扱っています。

准看護師課程の学校数・定員・入学者数の推移

法律とは別に、学校の数と入学者の数は国の統計で毎年わかります。厚生労働省「看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」の、准看護師課程の表を5年おきに並べます。

年度学校数1学年定員入学者数充足率
平成22年度26011,933人11,958人100.2%
平成27年度23410,697人10,199人95.3%
令和2年度2149,316人7,073人75.9%
令和7年度1726,700人3,603人53.8%

出典:厚生労働省「看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査」(e-Stat)各年度の「入学状況、設置主体別(准看護師課程)」の全国の行。平成22年度の学校数は同年度の「定員、学校養成所区分別、設置主体別(准看護師)」の総数。充足率は表の値(入学者数÷1学年定員)

  • 入学者数は、15年で約3割になりました。編集部試算:3,603÷11,958=30.1%
  • 学校数は260から172、1学年定員は11,933人から6,700人に減りました。
  • 入学者は定員より速く減り、令和7年度の充足率は53.8%でした。

この表には高等学校の衛生看護科も含まれます(令和7年度は高等学校衛生看護科が15校、1学年定員800人、入学者数500人)。学校数には募集を中止した学校も数えられており、令和7年度は除くと152校です(同調査「総括表、都道府県別(募集中止除く)(准看護師課程)」)。

看護師2年課程も、同じ15年で入学者が減っています

准看護師が看護師を目指す道は、法律に書かれています。看護師国家試験の受験資格を定める第21条第4号が、准看護師が大学・学校・養成所で修業する場合を定めています。条文の中身は准看護師になるにはで扱っています。

この道の受け皿が看護師2年課程です。同じ調査の表は、2年課程の入学者を「准看護業務歴別」にも分けて集計しています。

年度学校数1学年定員入学者数充足率
平成22年度22012,149人10,682人87.9%
平成27年度17910,290人8,803人85.5%
令和2年度1598,839人6,461人73.1%
令和7年度1206,446人4,070人63.1%

出典:同調査 各年度の「入学状況、設置主体別(看護師2年課程)」の全国の行(定時制・通信制を含み、短期大学の2年課程は別の表のため含まない)。平成22年度の学校数は同年度の「定員、学校養成所区分別、設置主体別(看護師2年課程)」の総数

2年課程の入学者数は、15年で約4割になりました。編集部試算:4,070÷10,682=38.1%。令和7年度の2年課程を募集中止の学校を除いて数えると、高等学校専攻科6校と養成所100校です(同調査「総括表、都道府県別(募集中止除く)(看護師2年課程)」)。

通信制の入学の条件は准看護師から通信制で看護師へで扱っています。

働いている准看護師の数は、平成14年が最多でした

就業している准看護師の数は、厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)」で2年ごとにわかります。各年末の数です。

年末就業准看護師
平成12年388,851人
平成14年393,413人
平成18年382,149人
平成22年368,148人
平成26年340,153人
平成30年304,479人
令和2年284,589人
令和4年254,329人
令和6年233,022人

出典:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」統計表2(平成12年の数は「准看護婦(士)」の数)。表では一部の年を省いたが、平成14年から令和6年まで、2年ごとの集計のたびに減っている

令和6年は、前回(令和4年)に比べ21,307人(8.4%)減少したと概況は書いています。看護師との人数の比較は准看護師と正看護師の違いで扱っています。

同じ概況には、年齢階級別の数も載っています。

  • 20〜24歳の就業准看護師は、平成12年の42,467人から、令和6年は4,496人です。
  • 令和6年の年齢階級で最も多いのは「65歳以上」の44,314人(19.0%)です。

出典:同概況 統計表2、表3。年齢と年収の関係は准看護師の年収で扱っています。

国の検討会は、平成8年に「統合」を提言していました

平成14年1月16日の全国厚生労働関係部局長会議の医政局資料は、こう書いています。

「准看護婦問題については、平成8年12月に准看護婦問題調査検討会報告書において、「21世紀初頭の早い段階を目途に、看護婦養成制度の統合に努める」とともに、「一方、具体的な検討を行うに当たっては、地域医療の現場に混乱を生じさせないこと等、国において広く関係者との十分な協議を重ねながら行うこと」が提言されたところである。」

出典:厚生労働省「全国厚生労働関係部局長会議資料(医政局)」平成14年1月16日 関係資料22(原文どおり)

本記事は報告書そのものを厚生労働省のサイトで見つけられませんでした。上の文は、省の会議資料が提言を引いたものです。提言から約30年たった現在も、第6条は准看護師を定めています。この記事は、制度が今後どうなるかを予測しません。

この記事が扱っていないこと

  • 2016年4月1日施行の版より前の改正。e-Govの改正履歴に載っていないため、本記事は取得していません。
  • 准看護婦問題調査検討会の報告書の全文。厚生労働省のサイトで見つけられず、取得していません。
  • 国の審議会・検討会が、最近、准看護師制度の在り方を議論した資料。本記事は取得していません。
  • 准看護師試験の合格者数と、年収の数字。本記事は取得していません。年収は別の記事で扱っています。

准看護師として働く人・目指す人が確認できること

  • 資格の根拠は今も法律にあるか。第6条・第8条・第18条・第22条が現行法にあります。
  • 通える学校が近くにあるか。准看護師課程は令和7年度に172校で、募集中止の学校を除くと152校です。近くの学校の募集の有無は、各学校の案内で確かめます。
  • 看護師を目指すなら2年課程の場所と定員。2年課程は令和7年度に120校、1学年定員6,446人です。
  • 求人の応募資格の書き方。「看護師」だけか、准看護師も含むかは求人ごとに違います。

よくある質問

Q. 准看護師は廃止が決まっていますか。
A. 本記事が取得した保健師助産師看護師法の改正履歴(2016年4月1日施行の版から現行版まで)に、准看護師の規定をなくす改正はありませんでした。現行法の第6条が准看護師を定めています。

Q. 今から准看護師の資格を取っても意味はありますか。
A. 資格は現行法の第8条に基づく都道府県知事の免許です。令和7年度の准看護師課程は、募集中止の学校を除いて152校あり、3,603人が入学しています。進路の判断は、通える学校や看護師課程への進学の予定とあわせて考えることになります。

Q. 准看護師から看護師になる道はなくなりませんか。
A. 看護師国家試験の受験資格を定める第21条第4号に、准看護師の道が書かれています。受け皿の2年課程は令和7年度に120校あります。

Q. 国が准看護師をなくすと決めたことはありますか。
A. 厚生労働省の平成14年の会議資料によると、平成8年12月の准看護婦問題調査検討会報告書が「21世紀初頭の早い段階を目途に、看護婦養成制度の統合に努める」と提言しました。現行法には、准看護師の条文が残っています。

迷ったらここ

准看護師の数の動きを知る

准看護師を廃止すると定めた法律は見当たりません。一方で准看護師課程の入学者は、令和7年度に3,603人でした。

  • 求人の応募資格が「看護師」だけか、准看護師も含むか
  • 看護師2年課程への進学と勤務を両立できる体制があるか
  • 同じ職場で働く准看護師の人数と年齢層
看護師の転職サービスを比較する

まとめ

保健師助産師看護師法は、今も第6条で准看護師を定義し、免許(第8条)・試験(第18条)・受験資格(第22条)を置いています。e-Govの改正履歴で確かめた範囲(2016年4月1日施行の版から現行版まで)で、これらの条文は変わっておらず、廃止を定めた改正はありません。2019年の改正は、准看護師試験の事務を指定試験機関に任せられる条を足すものでした。

一方で、国の統計の数字ははっきり動いています。准看護師課程の入学者は平成22年度の11,958人から令和7年度の3,603人へ、看護師2年課程の入学者は10,682人から4,070人へ減りました。就業している准看護師は平成14年の393,413人が最多で、その後は減り続けています。

変わっているのは条文ではなく、資格を取る人と、働いている人の数です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

医療・福祉・保育の人材紹介の現場で求職者の相談を受けてきた編集者が担当しています。キャリアアドバイザー歴8年、転職相談・紹介の対応実績1,500人以上(自社実績/2026年8月時点)。介護・看護師・保育士・栄養士の4分野を担当。記事の数値には必ず出典と公表時点を添えています。

目次