30秒でわかるまとめ
- 生活相談員の資格要件は、施設によって根拠が違います介護保険の省令が要件を書いていない場合があり、そのときは別の法令に定めが置かれています。
- 特別養護老人ホームには、条文の定めがあります社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者、またはこれと同等以上と認められる者です。
- 通所介護の省令は、員数しか書いていません提供している時間帯に1以上が確保されることだけが定められ、資格の要件は出てきません。
- 施設長は、生活相談員より道が1つ多いです社会福祉事業に2年以上従事した者という選択肢が、施設長の側にだけ書かれています。
※金額は生活相談員の年収に全国統計はありません、同じ事業所に置かれる職種は機能訓練指導員の仕事内容とサービス提供責任者の仕事内容で扱っています。

先に断ります:全国共通の一本の要件ではありません
「生活相談員になるには何の資格が必要か」を一本の条文で言い切ることはできません。どの施設・どの事業の生活相談員かによって、根拠になる法令が変わるからです。
本記事は、条文に何が書いてあり、何が書いていないかを並べます。自治体が独自に示している取扱いには踏み込みません。

ここが本題:特別養護老人ホームには資格要件の条があります
老人福祉法に基づく特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)の第5条は、見出しが「職員の資格要件」です。第2項にこう書かれています。
「生活相談員は、社会福祉法第十九条第一項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。」
出典:特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100046)第5条第2項(原文どおり)
「又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者」という受け皿が付いています。ここをどう認めるかは、条文の外にあります。

社会福祉法第19条第1項は、5つの号を挙げています
引用されている社会福祉法第19条は、社会福祉主事の資格等を定めた条です。第1項の柱書は「年齢十八年以上の者であつて、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、かつ、次の各号のいずれかに該当するもの」となっています。
| 号 | 該当する者 |
|---|---|
| 1 | 大学等において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者 |
| 2 | 都道府県知事の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者 |
| 3 | 社会福祉士 |
| 4 | 厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者 |
| 5 | 前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの |
出典:社会福祉法(e-Gov法令API 法令ID 326AC0000000045)第19条第1項第1号〜第5号
第2項は、第1項第2号の養成機関及び講習会の指定について「政令で定める」としています。
第3号の社会福祉士の受験資格は、社会福祉士及び介護福祉士法第7条に12の号で定められています。その中身は社会福祉士と介護福祉士の違い|受験資格は12通り、どの号も学校か養成施設を通りますで扱っています。
通所介護の省令には、この要件がありません
一方、介護保険の側です。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)の第93条は、通所介護の従業者の員数を定めた条です。第1号が生活相談員です。
「生活相談員 指定通所介護の提供日ごとに、当該指定通所介護を提供している時間帯に生活相談員(専ら当該指定通所介護の提供に当たる者に限る。)が勤務している時間数の合計数を当該指定通所介護を提供している時間帯の時間数で除して得た数が一以上確保されるために必要と認められる数」
出典:同省令(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100037)第93条第1項第1号(原文どおり)
書かれているのは数え方だけです。この条にも、この章にも、社会福祉法を引いた資格要件は出てきません。
同じ省令の中で生活相談員が出てくる主な条を並べると、こうなります。
| 事業 | 条 | 置き方 |
|---|---|---|
| 通所介護 | 第93条第1項第1号 | 提供している時間帯に1以上が確保されるために必要と認められる数 |
| 短期入所生活介護 | 第121条第1項第2号 | 常勤換算方法で、利用者の数が100又はその端数を増すごとに1以上 |
| 特定施設入居者生活介護 | 第175条第1項第1号 | 常勤換算方法で、利用者の数が100又はその端数を増すごとに1人以上 |
出典:同省令 第93条、第121条、第175条。いずれも資格要件の定めは置かれていません
介護保険の居宅サービスでは、「常勤」は常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していることと、解釈通知が定義しています。定義と短時間勤務の扱いは介護の常勤換算とは|割る時間数は「32時間を下回る場合は32時間」が基本ですで扱っています。
特別養護老人ホーム側は、人数と常勤も書いています
| 項目 | 定め | 条 |
|---|---|---|
| 生活相談員の数 | 入所者の数が100又はその端数を増すごとに1以上 | 第12条第1項第3号 |
| 常勤かどうか | 施設長と生活相談員は常勤の者でなければならない | 第12条第4項 |
| 資格要件 | 社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者等 | 第5条第2項 |
出典:特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準 第5条第2項、第12条第1項第3号・第4項
常勤であることまで条文に書かれています。求人が非常勤の生活相談員を募集している場合、その事業がどの根拠で動いているかを確かめる手がかりになります。
介護保険の事業の管理者は、これとは別の省令に定めがあります。研修の修了や認知症介護の経験を求める事業と、求めない事業の分かれ目は介護の管理者の仕事内容|研修の修了が要る事業と要らない事業で扱っています。
施設長には、もう1つ道があります
同じ第5条の第1項は施設長の要件です。生活相談員の第2項と並べると、書き方が少し違います。
| 条文が挙げているもの | |
|---|---|
| 施設長(第1項) | 社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者若しくは社会福祉事業に2年以上従事した者又はこれらと同等以上の能力を有すると認められる者 |
| 生活相談員(第2項) | 社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者 |
出典:同基準 第5条第1項・第2項
「社会福祉事業に2年以上従事した者」という選択肢は、施設長の側にだけ書かれています。同じ条の中で並んでいるので、書き分けだと分かります。
求人を見るときに確認できること
- どの事業の生活相談員か。特別養護老人ホームなのか、通所介護なのか、短期入所生活介護なのかで、根拠になる省令が変わります。
- その事業の省令に資格要件が書かれているか。書かれていない場合、募集要項の要件は事業所または自治体の判断によるものです。
- 社会福祉法第19条第1項のどの号に当たるか。自分が社会福祉士なら第3号、指定科目を修めて卒業していれば第1号です。
- 常勤の募集か。特別養護老人ホームの生活相談員は、条文上は常勤とされています。
- 配置の人数。入所者100人ごとに1以上という枠の中で、何人配置されているかを聞けます。
よくある質問
Q. 社会福祉士がないと生活相談員になれませんか。
A. 社会福祉法第19条第1項が挙げる5つの号のうちの1つが社会福祉士です。ほかの号に該当する道も条文に並んでいます。
Q. 介護福祉士は要件に入りますか。
A. 社会福祉法第19条第1項の5つの号に、介護福祉士という文字はありません。第5号は厚生労働省令で定めるものとされており、本記事はその省令までは確認していません。
Q. 通所介護の生活相談員に資格は要りませんか。
A. 省令の第93条に資格要件の定めがない、というのが本記事で確認できたことです。募集要項に条件が書かれている場合、それは省令以外の根拠によるものです。
Q. 「同等以上の能力を有すると認められる者」とは誰ですか。
A. 条文はそこまで書いていません。認定の基準は条文の外にあります。
Q. 非常勤でも生活相談員になれますか。
A. 特別養護老人ホームについては、第12条第4項が常勤の者でなければならないと定めています。ほかの事業の定めは、それぞれの省令によります。
Q. 給与はどのくらいですか。
A. 全国統計の有無を生活相談員の年収に全国統計はありませんで扱っています。
迷ったらここ
応募先がどの事業かを、先に確かめる
資格要件を書いている省令と、書いていない省令があります。だから同じ職名でも、求人の条件が事業所ごとに違って見えます。
- 応募先が特別養護老人ホームか、通所介護などか
- 自分が社会福祉法第19条第1項のどの号に当たるか
- 常勤の募集か(特養の生活相談員は条文上は常勤)
まとめ
生活相談員の資格要件は、書いてある省令と、書いていない省令があります。
書いてあるのは老人福祉法側の特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準 第5条第2項です。社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者とされています。
その第19条第1項が挙げるのは5つ。指定科目を修めた卒業者、指定養成機関・講習会の修了者、社会福祉士、従事者試験の合格者、そして省令で定める同等以上の者です。
一方、介護保険の省令が通所介護について書いているのは員数の数え方だけでした。短期入所生活介護も特定施設入居者生活介護も同じで、資格要件の条はありません。
応募する前に確かめられるのは、その事業の根拠がどちらにあるかです。

