30秒でわかるまとめ
- 介護職員の常勤換算は、勤務延時間数を割って出す数です従業者の勤務延時間数を、常勤の従業者が勤務すべき時間数で除して、常勤の員数に換算する方法です。
- 割る時間数は、32時間を下回る場合は32時間が基本です事業所の定めが32時間より短くても、通知は32時間を基本とします。兼務の人は、その職種の時間だけを数えます。
- 短時間勤務の人は、30時間以上の勤務で1と扱えます育児・介護休業法の短時間勤務などの措置がある場合です。令和6年の改正で、治療のための短縮措置も加わりました。
- 常勤の人が育休中でも、非常勤の複数人で人員基準を満たせます産前産後休業や育児休業などの期間は、同じ資質を持つ複数の非常勤の従事者を常勤に換算できます。
※常勤換算の考え方が出てくる職種の記事として、介護の管理者の仕事内容、サービス提供責任者の仕事内容も参考にしてください。

まず条文:省令の定義は「勤務延時間数÷常勤が勤務すべき時間数」です
「常勤換算方法」という言葉は、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号。以下「居宅基準」)の第2条第8号に定義があります。
「当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいう。」
出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100037)第2条第8号(原文どおり)
式にすると、次のとおりです。
常勤換算の数 = 従業者の勤務延時間数 ÷ 常勤の従業者が勤務すべき時間数
つまり常勤換算は、人数を数える方法ではなく、時間を足して割る方法です。短い時間で働く人が何人いても、時間を合計してから割ります。

ここが本題:通知は「32時間を下回る場合は32時間を基本」と足しています
省令の定義を、厚生労働省の解釈通知「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成11年9月17日老企第25号)が「第2 総論」の「用語の定義」で詳しくしています。令和6年度の改正後の文言です。
「当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該事業所の指定に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該事業所が訪問介護と訪問看護の指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が訪問介護員等と看護師等を兼務する場合、訪問介護員等の勤務延時間数には、訪問介護員等としての勤務時間だけを算入することとなるものであること。」
出典:厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成11年9月17日老企第25号)第2の2⑴ 第1段落。令和6年度介護報酬改定の新旧対照表(別紙10)の「新」欄(原文どおり)
割る時間数には下限があり、兼務の人はその職種の時間だけを数えます。訪問介護と訪問看護を兼ねる人なら、訪問介護員等の勤務延時間数に入るのは、訪問介護員等としての勤務時間だけです。

編集部の計算例:割り算を1つずつたどります
ここからは編集部の計算例です。実在の事業所の数字ではありません。通知のこの部分は期間を書いていませんが、厚生労働省の分科会資料が「週30時間以上」という書き方をしているため、1週間の時間数で置きます。
例1:常勤の従業者が勤務すべき時間数を週40時間と定めている事業所
| 従業者 | 1週間の勤務時間 |
|---|---|
| Aさん(常勤) | 40時間 |
| Bさん(非常勤) | 30時間 |
| Cさん(非常勤) | 20時間 |
| Dさん(非常勤) | 16時間 |
勤務延時間数は 40+30+20+16=106時間 です。
106 ÷ 40 = 2.65
この事業所の常勤換算の数は2.65になります。4人いても、常勤換算では4ではありません。
例2:常勤の従業者が勤務すべき時間数を週30時間と定めている事業所
定めが32時間を下回るので、割る時間数は32時間が基本です。週24時間働く非常勤の人は、次のとおりです。
24 ÷ 32 = 0.75
事業所の定めの30時間で割ると 24 ÷ 30 = 0.8 になりますが、通知は32時間を基本としています。
例3:例1のBさんが、育児のための短時間勤務をしている場合
次の節で見るただし書により、30時間以上の勤務なら1として扱うことができます。Aさん1、Bさん1、CさんとDさんは (20+16) ÷ 40 = 0.9 で、合計は2.9になります。
短時間勤務の人は、30時間以上の勤務で「1」と扱えます
同じ通知の⑴には、ただし書があります。
「ただし、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第13条第1項に規定する措置(以下「母性健康管理措置」という。)又は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)第23条第1項、同条第3項又は同法第24条に規定する所定労働時間の短縮等の措置若しくは厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に沿って事業者が自主的に設ける所定労働時間の短縮措置(以下「育児、介護及び治療のための所定労働時間の短縮等の措置」という。)が講じられている場合、30時間以上の勤務で、常勤換算方法での計算に当たり、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1として取り扱うことを可能とする。」
出典:老企第25号 第2の2⑴ 第2段落。令和6年度介護報酬改定の新旧対照表(別紙10)の「新」欄(原文どおり)
対象は、母性健康管理措置、育児・介護休業法の所定労働時間の短縮等の措置、治療のための所定労働時間の短縮措置の3つです。
治療のための短縮措置は、令和6年度の改正で加わったものです。同じ新旧対照表の「旧」欄では、この部分が「育児及び介護のための所定労働時間の短縮等の措置」となっていて、治療のガイドラインは入っていません。
「週」の書き方について、厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会(第223回)資料2は、令和3年度の見直しを「週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める」と説明しています。
「常勤」の定義と、休業中の人の扱い
常勤換算で割る数に出てくる「常勤」も、同じ通知の⑶で定義されています。
「当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。ただし、母性健康管理措置又は育児、介護及び治療のための所定労働時間の短縮等の措置が講じられている者については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合は、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことを可能とする。」
出典:老企第25号 第2の2⑶ 第1段落。令和6年度介護報酬改定の新旧対照表(別紙10)の「新」欄(原文どおり)
⑶には、あと2つの定めがあります。
| 場面 | 通知の定め(要約) |
|---|---|
| 併設の事業所の職務を兼ねる | 同一の事業者によって事業所に併設される事業所(同一敷地内に所在する又は道路を隔てて隣接する事業所。管理上支障がない場合は、その他の事業所を含む)の職務で、同時並行的に行われることが差し支えないものは、勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば常勤の要件を満たす |
| 常勤の人が休業中 | 人員基準に常勤要件がある場合、産前産後休業、母性健康管理措置、育児休業、介護休業、育児休業に準ずる休業を取得中の期間は、求められる資質を有する複数の非常勤の従事者を常勤の従業者の員数に換算することで、人員基準を満たすことが可能 |
出典:老企第25号 第2の2⑶ 第2段落・第3段落(令和6年度改正後)
併設の事業所のかっこ書き(同一敷地内に所在する又は道路を隔てて隣接する事業所をいう、など)は、令和6年度の改正で加わった文言です。「旧」欄にはありません。
「勤務延時間数」と「専ら従事する」
割り算の上の数になる勤務延時間数は、通知の⑵で定義されています。ただし、令和3年度と令和6年度の新旧対照表では、⑵はどちらも「(略)」で、本記事は⑵の最新の全文を取得していません。
厚生労働省の分科会資料は、勤務延時間数を次のように説明しています。
「勤務表上、当該事業に係るサービスの提供に従事する時間又は当該事業に係るサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置づけられている時間の合計数。なお、従業者1人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数が上限となる。」
出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第223回・令和5年9月8日)資料2「人員配置基準等」の説明文(原文どおり)
1人が数えられる時間には上限があります。例1の事業所で、常勤のAさんが勤務表上で週40時間を超えて働いても、勤務延時間数に入れられるのは40時間までです。
人員基準でよく並ぶ「専ら従事する」は、通知の⑷で定義されています。
「原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従業者の当該事業所における勤務時間(指定通所介護及び指定通所リハビリテーションについては、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。」
出典:老企第25号 第2の2⑷ 第1段落の冒頭。令和3年度介護報酬改定の新旧対照表(別紙8)の「新」欄(原文どおり)。令和6年度の新旧対照表では⑷は「(略)」です
「常勤」と「専ら」は別の話です。常勤は勤務時間の長さ、専らは勤務時間中にほかの職務をしないこと、を指しています。非常勤でも「専ら従事する」人はいます。
「前年度の平均値」:利用者の数の数え方
人員基準には、利用者の数に応じて必要な員数が変わるものがあります。そのときの利用者の数について、通知の⑸が「前年度の平均値」を定めています。
「この場合、利用者数等の平均は、前年度の全利用者等の延数を当該前年度の日数で除して得た数とする。この平均利用者数等の算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げるものとする。」
出典:老企第25号 第2の2⑸①。令和6年度介護報酬改定の新旧対照表(別紙10)の「新」欄(原文どおり)
年度は「毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる年度」です。⑸①の対象として通知が挙げているのは、居宅基準の第121条第3項(短期入所生活介護)と第175条第3項(特定施設)です。
利用者の数を員数と結びつける数え方は、介護報酬にもあります。居宅介護支援費では、月末に給付管理を行っている利用者の総数を、常勤換算方法により算定した介護支援専門員の員数で割った「取扱件数」で区分が変わり、ケアマネの担当件数に上限はあるか|報酬の告示は、45件以上の部分から単位数を下げていますで扱っています。
居宅基準で「常勤換算方法」が出てくる条
居宅基準の本則で「常勤換算方法」という言葉が出てくるのは、定義の第2条のほかに、次の11の条です。員数の中身は、それぞれの職種の記事で扱います。
| 条 | 章 | この条で常勤換算方法が使われる職種 |
|---|---|---|
| 第5条 | 訪問介護 | 訪問介護員等、サービス提供責任者 |
| 第60条 | 訪問看護 | 看護職員 |
| 第111条 | 通所リハビリテーション | 看護師 |
| 第121条 | 短期入所生活介護 | 生活相談員、介護職員又は看護職員 |
| 第140条の27 | 短期入所生活介護(基準該当) | 介護職員又は看護職員 |
| 第142条 | 短期入所療養介護 | 看護職員又は介護職員 |
| 第175条 | 特定施設入居者生活介護 | 生活相談員、看護職員、介護職員 |
| 第192条の4 | 特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型) | 生活相談員、介護職員 |
| 第194条 | 福祉用具貸与 | 福祉用具専門相談員 |
| 第205条の2 | 福祉用具貸与(基準該当) | 福祉用具専門相談員 |
| 第208条 | 特定福祉用具販売 | 福祉用具専門相談員 |
出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令API 法令ID 411M50000100037)本則(附則を除く)
訪問介護でも施設系でも、同じ「常勤換算方法」という言葉で、同じ割り算をしています。違うのは、条ごとに決められている員数のほうです。
常勤換算方法は、介護報酬の告示にも出てきます。介護老人福祉施設の個別機能訓練加算(Ⅰ)で、入所者の数が100を超える施設に求める配置がその一例で、個別機能訓練加算とは|通所介護は1日56単位と76単位、月20単位の3区分ですで扱っています。
この記事が扱っていないこと
- 各サービスの人員基準の数字。それぞれの職種の記事で扱っているため、本記事では書いていません。
- 通知の⑵「勤務延時間数」の最新の全文。新旧対照表では「(略)」で、本記事は取得していません。
- 地域密着型サービス、居宅介護支援、介護保険施設の基準と解釈通知。本記事は取得していません。
- 介護報酬の加算で使う常勤換算や、常勤職員の割合の数え方。報酬告示と留意事項通知の領域で、本記事は取得していません。
- 自治体が独自に示している勤務表の書き方や運用。本記事は取得していません。
介護の職場で確認できること
- その事業所の「常勤の従業者が勤務すべき時間数」は何時間か。就業規則や勤務表で決まっている時間で、32時間を下回る場合は32時間が基本です。
- 兼務のとき、勤務表にどの職種として書かれているか。常勤換算に入るのは、その職種としての勤務時間だけです。
- 短時間勤務を使うとき、何時間なら「1」と扱われるか。通知のただし書は30時間以上の勤務です。
- 自分の働き方が「専ら従事する」に当たるか。勤務時間中にほかの職務をしない働き方で、常勤・非常勤は問いません。
よくある質問
Q. 常勤換算とは何ですか。
A. 居宅基準 第2条第8号は、「当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法」と定義しています。時間を合計して割る方法です。
Q. 育児の短時間勤務をしていると、常勤換算で1になりませんか。
A. 老企第25号の⑴のただし書により、育児・介護休業法の短時間勤務などの措置が講じられている場合、30時間以上の勤務で1として取り扱うことができます。令和6年度の改正で、治療のための短縮措置も対象に加わりました。
Q. 常勤の人が育休に入ったら、人員基準を満たせなくなりますか。
A. 老企第25号の⑶は、休業を取得中の期間は、求められる資質を有する複数の非常勤の従事者を常勤の従業者の員数に換算することで、人員基準を満たすことが可能としています。
Q. 非常勤でも「専ら従事する」になりますか。
A. 老企第25号の⑷は、専ら従事するとは、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことで、「当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない」としています。
迷ったらここ
常勤換算の計算を確かめる
常勤換算は、勤務延時間数を常勤の従業者が勤務すべき時間数で割る方法です。割る時間数は32時間を下回る場合は32時間が基本です。
- 事業所の常勤の従業者が勤務すべき時間数は何時間か
- 兼務のとき、勤務表にどの職種として書かれているか
- 短時間勤務を使うとき、30時間以上で1と扱われるか
まとめ
常勤換算は、居宅基準 第2条第8号が定める勤務延時間数 ÷ 常勤の従業者が勤務すべき時間数の割り算です。厚生労働省の解釈通知(老企第25号)は、割る時間数を32時間を下回る場合は32時間を基本とし、兼務の人はその職種としての勤務時間だけを数えるとしています。
育児・介護・治療のための短時間勤務などの措置がある人は、30時間以上の勤務で1として扱えます。常勤の人が休業中のときは、複数の非常勤の従事者を常勤に換算して人員基準を満たすことができます。
各サービスで何人分が必要かは、条ごとに別に決まっています。自分の職場の数字は、職種ごとの記事と、事業所の勤務表で確かめてください。

