30秒でわかるまとめ
- 保育園栄養士の1日は調理の場所で決まります満3歳未満の食事は必ず施設内で調理し、外部搬入が使えるのは満3歳以上の場合だけです。
- 他の6施設には栄養士配置が明記されています乳児院や児童養護施設など6施設の省令には、栄養士又は管理栄養士と書かれています。
- 外部搬入をするなら、栄養士の関与が要件です満3歳以上の食事を外部搬入する場合に限り、栄養士又は管理栄養士の指導を受ける体制が条件になります。
- 保育園栄養士だけ配置の義務がありません省令が保育所に置くと定めた職員は保育士・嘱託医・調理員の3つで、栄養士は含まれていません。
※病院の栄養士の1日は診療報酬の施設基準が、介護施設の栄養士の業務は介護報酬の加算要件が形を決めています。それぞれ病院栄養士の1日|検食は毎食、夕食の配膳は午後6時以降と介護施設の栄養士の仕事内容|週3回のミールラウンドが業務の形を決めますで扱っています。保育所は根拠になる制度が違います。

その3つのうちの1つが調理員です。調理員という職名に資格の定めが無いことと、調理師との書き分けは調理師と調理員の違い|片方だけに、法律がありますで扱っています。
省令が保育所に置くと定めた職員は3つだけです
まず条文から確認します。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第33条第1項です。
「保育所には、保育士(中略)、嘱託医及び調理員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する施設にあつては、調理員を置かないことができる。」
挙げられているのは3つです。栄養士も管理栄養士も、この条文には出てきません。
しかも調理員には例外まで用意されています。調理業務を全部委託すれば、調理員も置かなくてよい。つまり保育所で、食に関する職員として省令が必ず求めているものは、条件によってはゼロになります。
なお、保育士の数の定め(乳児おおむね3人につき1人以上など)は同条第2項にあり、保育士以外の者を算入できる範囲は第3項に限定されています。その構造は保育補助の年収は、国の統計に存在しません|140の職種区分にない数字を4つの公的データから見立てるで扱っています。

給食施設として報告された児童福祉施設のうち、管理栄養士のいる施設は25.8%で、栄養士は23,149人でした。数字で見た配置は管理栄養士の資格が活かせる仕事|給食の現場では38.8%が病院で働いていますで扱っています。
他の6施設には、栄養士が明記されています
ここが本題です。同じ省令の中で、他の児童福祉施設はどうなっているかを見ます。
| 施設 | 職員を定めた条 | 「栄養士又は管理栄養士」の記載 |
|---|---|---|
| 乳児院 | 第21条第1項 | あり(乳幼児10人未満を入所させる乳児院を除く) |
| 児童養護施設 | 第42条第1項 | あり(児童40人以下の施設は置かないことができる) |
| 福祉型障害児入所施設 | 第49条 | あり |
| 児童発達支援センター | 第63条 | あり |
| 児童心理治療施設 | 第73条 | あり |
| 児童自立支援施設 | 第80条 | あり |
| 保育所 | 第33条第1項 | なし |
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準。各章の「職員」を定めた条を編集部が確認しました
たとえば乳児院の第21条第1項は、こう書いています。
「乳児院(乳幼児十人未満を入所させる乳児院を除く。)には、小児科の診療に相当の経験を有する医師又は嘱託医、看護師、個別対応職員、家庭支援専門相談員、栄養士又は管理栄養士及び調理員を置かなければならない。」
児童養護施設の第42条第1項も同じ形で、こちらには規模による例外が付いています。
「ただし、児童四十人以下を入所させる施設にあつては栄養士又は管理栄養士を、調理業務の全部を委託する施設にあつては調理員を置かないことができる。」
入所施設には置く。保育所には求めない。これが省令の書き分けです。理由は条文に書かれていないため、本記事では推測しません。読み取れるのは、保育所の栄養士は「配置義務のある職種として採用される人」ではない、という事実です。

実際の配置を集計した調査では、私立の保育所1施設あたりの栄養士は常勤0.8人(常勤換算)です。給与の水準とあわせて 保育園栄養士の年収|私立の常勤は賞与込み月額338,336円、12か月分で406.0万円ですで扱っています。
それでも制度は、栄養士がいる前提で書かれています
ところが同じ省令の中に、保育所と栄養士を結びつけている条文があります。第32条の2(保育所の設備の基準の特例)です。
この条は、満3歳以上の幼児の食事を外部で調理して搬入する方法を認める規定です。その要件の第2号に、こう書かれています。
「当該保育所又は他の施設、保健所、市町村等の栄養士又は管理栄養士により、献立等について栄養の観点からの指導が受けられる体制にある等、栄養士又は管理栄養士による必要な配慮が行われること。」
置く義務はないのに、外部搬入をするときには関与が要件になっています。この省令で「栄養士」が保育所の文脈に出てくるのは、ここだけです。
条文をよく読むと、想定されている関与の形が4通り並んでいます。
- 当該保育所の栄養士・管理栄養士(=園に置いている場合)
- 他の施設の栄養士・管理栄養士
- 保健所の栄養士・管理栄養士
- 市町村等の栄養士・管理栄養士
園にいなくてもよい、という書き方です。ここに、保育所の栄養士という職種の位置づけがそのまま出ています。
乳児の食事については、国のガイドが食品を増やす順番と調理の固さを示しています。おかゆから始めて2回食で主食・副菜・主菜を組み合わせる進め方は離乳食の献立の作り方|国のガイドが示す食品の順番と固さで扱っています。
1日の形を決めるのは、時刻ではなく「どこで調理するか」です
「保育園栄養士の1日」を知りたい人が多いので、先に断っておきます。保育所の食事について、時刻を定めた規定はこの省令にありません。何時に検食する、何時までに配膳する、といった決まりは置かれていません。病院とは、そこが違います。
代わりに省令が決めているのは、調理の場所です。第11条第1項が原則を置いています。
「児童福祉施設(助産施設を除く。)において、入所している者に食事を提供するときは、当該児童福祉施設内で調理する方法(中略)により行わなければならない。」
そして第32条の2が、保育所に限った例外を置いています。
| 対象 | 調理の場所 | 根拠 |
|---|---|---|
| 満3歳未満の乳幼児 | 施設内で調理する方法のみ(外部搬入は認められていない) | 第11条第1項 |
| 満3歳以上の幼児 | 5つの要件を満たせば外部搬入も可。ただし加熱・保存等の調理機能を有する設備は備える | 第32条の2第1項 |
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第11条第1項、第32条の2第1項
0歳・1歳・2歳の食事は、必ず園の中で作られます。離乳食の段階ごとの対応も、アレルギー児の除去食も、その場に調理室があることが前提になっています。栄養士の1日が調理室を軸に回るのは、この条文の帰結です。
第11条は他にも、献立と調理について定めています。
- 第2項:献立は、できる限り変化に富み、入所している者の健全な発育に必要な栄養量を含有するものでなければならない
- 第3項:食品の種類及び調理方法について、栄養並びに身体的状況及び嗜好を考慮したものでなければならない
- 第4項:調理は、あらかじめ作成された献立に従つて行わなければならない
- 第5項:児童の健康な生活の基本としての食を営む力の育成に努めなければならない
出典:同基準 第11条第2項〜第5項
「あらかじめ作成された献立に従つて」(第4項)が、献立作成を業務の起点に置いています。その日の朝に決めるものではありません。衛生面については第10条第1項が「衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講じなければならない」と定めています。
アレルギー対応そのものは、別のガイドラインが原則を定めています。完全除去が「提供するか、しないか」であることと、生活管理指導表が起点になることは保育園の食物アレルギー対応|原則は完全除去、量は減らしませんで扱っています。
外部搬入の5つの要件と、アレルギー・食育
第32条の2第1項が定める5つの要件を並べます。ここに、この職種に求められていることが具体的に書かれています。
| 号 | 要件 |
|---|---|
| 第1号 | 食事の提供の責任が当該保育所にあり、管理者が衛生面・栄養面等業務上必要な注意を果たし得る体制と、調理業務の受託者との契約内容が確保されていること |
| 第2号 | 当該保育所又は他の施設、保健所、市町村等の栄養士又は管理栄養士により、献立等について栄養の観点からの指導が受けられる体制にある等、必要な配慮が行われること |
| 第3号 | 調理業務の受託者が、給食の趣旨を十分に認識し、衛生面・栄養面等、調理業務を適切に遂行できる能力を有する者であること |
| 第4号 | 年齢・発達の段階・健康状態に応じた食事の提供や、アレルギー、アトピー等への配慮、必要な栄養素量の給与等、食事の内容・回数・時機に適切に応じることができること |
| 第5号 | 食を通じた乳幼児の健全育成を図る観点から、発育及び発達の過程に応じて配慮すべき事項を定めた食育に関する計画に基づき食事を提供するよう努めること |
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第32条の2第1項第1号〜第5号
読みどころが2つあります。
1つめ。アレルギー対応が条文に書かれています(第4号)。「アレルギー、アトピー等への配慮」という言葉が、外部搬入の要件として明記されています。園にとってのアレルギー対応は、努力目標ではなく制度の一部です。
2つめ。食育に「計画」という言葉が入っています(第5号)。ただし語尾は「努めること」で、努力義務です。第11条第5項の「食を営む力の育成に努めなければならない」と対応しています。
なおこの5要件は外部搬入をする場合の規定です。自園調理の保育所にそのまま適用されるわけではありません。ただし第2号・第4号・第5号が求めている内容は、自園調理でも栄養士の実務そのものです。
学校給食も、根拠になる制度が別です。学校給食法 第9条と、そこから委任された告示の中身は学校給食の衛生管理基準|「望ましい基準」に数字が並んでいますで扱っています。
病院・介護施設とは、根拠になる制度が違います
同じ「給食のある職場」でも、栄養士の業務を規定しているものが違います。
| 職場 | 業務の形を決めている制度 | 栄養士の配置 |
|---|---|---|
| 病院 | 診療報酬(入院時食事療養の施設基準など) | 施設基準による |
| 介護老人福祉施設など | 介護報酬(加算要件)と人員基準の省令 | 省令に配置の定めあり |
| 保育所 | 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(設備・運営の省令) | 省令に配置の定めなし |
出典:各制度。病院は病院栄養士の1日、介護施設は介護施設の栄養士の仕事内容で扱っています
報酬が業務を決める職場(病院・介護施設)と、設備と運営の基準が枠を決める職場(保育所)。この違いが、日々の仕事の性格を分けています。病院と介護施設では加算の要件が回数や時刻を指定しますが、保育所では時刻の指定がなく、代わりに「施設内で調理する」という場所の指定があります。
受託会社の側で働く場合の考え方は給食委託がきついとき|受託者の基準13項目に、人数の下限はありませんで扱っています。
同じ「1日」でも、幼稚園は根拠になる制度が違います。保育所が場所(施設内調理)で枠を決めているのに対し、幼稚園は時間の長さと年間の週数で決まります。その違いは幼稚園教諭の仕事内容と1日|教育課程は4時間、その後にもう一層ありますで扱っています。
就職・転職前に確認できること
1. 自園調理か外部搬入かを聞く
満3歳未満がいる保育所なら、その食事は施設内調理です。3歳以上だけ外部搬入にしている園があるので、「全部自園調理か、一部だけか」を確認してください。調理室の使い方と1日の動きが変わります。
2. 栄養士が何人いるかを数字で聞く
配置義務がない以上、人数は園の方針で決まります。1人職場かどうかは、応募前に数字で確認する価値があります。
3. 調理業務を委託しているかを聞く
第33条第1項ただし書により、調理業務を全部委託すれば調理員を置かなくてよい形になっています。委託先の職員と自園の栄養士でどう分担するのかは、園ごとに違います。
4. アレルギー対応の体制を聞く
第32条の2第1項第4号が要件として挙げている項目です。対象児が何人いて、除去食をどう管理しているかは、業務量に直結します。
5. 食育計画があるかを聞く
第5号は「食育に関する計画に基づき食事を提供するよう努めること」としています。計画があるかどうかで、行事や保護者向けの発信にどれだけ関わるかが変わります。
よくある質問
Q. 保育所に栄養士は必要ないということですか。
A. 省令の職員規定に入っていない、という意味です。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第1項が置くべきとしているのは保育士・嘱託医・調理員の3つです。一方、同基準 第32条の2第1項第2号は外部搬入の要件として栄養士又は管理栄養士の関与を求めており、制度は栄養士がいることを前提にした書き方をしています。置く義務がないことと、必要ないことは別です。
Q. 1日のタイムスケジュールを教えてください。
A. 保育所の食事について、時刻を定めた規定はこの省令にありません。したがって本記事では具体的な時刻を示しません。制度から言えるのは、満3歳未満の食事は施設内調理であること(第11条第1項)、調理はあらかじめ作成された献立に従うこと(同条第4項)までです。実際の時間割は園ごとに違うので、見学時に確認してください。
Q. 保育所の栄養士は管理栄養士でないとだめですか。
A. 第32条の2第1項第2号は「栄養士又は管理栄養士」と並記しており、どちらでもよい書き方になっています。ただし自治体の補助制度や園の採用条件で管理栄養士を求めている場合があり、それは条文の外の話です。本記事では個別の自治体・園の条件を確認していません。
迷ったらここ
見学では「自園調理か」「栄養士は何人か」を数字で聞く
省令が保育所に置くと定めた職員は保育士・嘱託医・調理員の3つで、栄養士は入っていません。だから人数も業務範囲も園ごとに決まります。職種名からは中身が読めないので、この2つを先に確かめてください。
- 食事は全部自園調理か、満3歳以上だけ外部搬入か(満3歳未満は施設内調理のみ)
- 栄養士・管理栄養士は何人いるか(配置義務がないので園の方針で決まる)
- 調理業務を委託しているか、委託先とどう分担するか(第33条第1項ただし書)
まとめ
- 省令が保育所に置くと定めた職員は保育士・嘱託医・調理員の3つ(第33条第1項)。栄養士は入っていない。調理員も全部委託なら置かなくてよい
- 同じ省令で乳児院・児童養護施設・福祉型障害児入所施設・児童発達支援センター・児童心理治療施設・児童自立支援施設の6施設には「栄養士又は管理栄養士」が明記されている
- それでも外部搬入の要件(第32条の2第1項第2号)に栄養士又は管理栄養士の関与が入っている。ただし園に置く形でなくてもよい書き方
- 1日の形を決めるのは時刻ではなく場所。満3歳未満の食事は施設内調理のみ(第11条第1項)。外部搬入は満3歳以上だけで、5つの要件がある
- アレルギー対応(第4号)と食育計画(第5号)は条文に書かれている。食育の語尾は「努めること」
この職種を理解する鍵は、「置く義務がないのに、制度が前提にしている」という一点にあります。だから園によって仕事の中身が大きく違います。求人を見るときは、職種名ではなく自園調理か/何人いるか/委託の範囲の3つを確かめてください。

