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30秒でわかるまとめ
- 保育士が働く企業主導型の保育料は、事業者が設定します要綱は利用者負担額を児童ごとに設定するよう求め、その目安を利用者負担相当額として別紙4に示しています。
- 目安の利用者負担相当額は、0歳で月額37,100円です1・2歳児は37,000円、3歳児は26,600円、4歳以上児は23,100円。この額で設定するのが原則とされています。
- 無償化は施設等利用給付ではなく、要綱の給付費で行います企業主導型は法第7条第10項第4号ハで施設等の範囲から外れ、施設利用給付費が利用者負担相当額を埋めます。
- 園の収入は、助成と保護者の利用料の組み合わせです基本分単価の総額から利用者負担相当額の総額を差し引いた額が交付され、その分を利用料で受け取る形です。
※助成の単価そのものは企業主導型保育の年収と単価表、制度上の位置づけは企業主導型保育のメリットとデメリットで扱っています。

まず結論:保育料は、要綱の目安をもとに事業者が設定します
企業主導型保育の保育料(要綱の言葉では「利用者負担額」)の決め方は、企業主導型保育事業費補助金実施要綱に書かれています。本記事は令和8年度の要綱を使いました。要綱 第3の4の(4)①は、利用者負担額を児童ごとに設定しなければならないとし、無償化の対象でない児童について、こう定めています。
「当該児童に係る利用者負担額については、別紙1に定める基本分単価の総額から別紙4に定める金額(以下「利用者負担相当額」という。)の総額を控除した額が交付されることを踏まえ、具体的な利用者負担額を設定すること。その際、当該利用者負担相当額は利用者負担額の平均的な水準として設定しているものであることから、当該利用者負担相当額を利用者負担額として設定することを原則とし、その水準を必要以上に超えて高額にすることのないようにすること。」
出典:企業主導型保育事業費補助金実施要綱(令和8年度)第3の4の(4)①ア(原文どおり)
額を設定するのは施設を運営する側で、要綱のこの部分に市町村が額を決めるという定めはありません。目安は利用者負担相当額で、その額にするのが原則、必要以上に高くしないこと、とされています。

目安の利用者負担相当額は、年齢で4つに分かれます
| 年齢区分 | 利用者負担相当額(1人当たり月額) |
|---|---|
| 4歳以上児 | 23,100円 |
| 3歳児 | 26,600円 |
| 1、2歳児 | 37,000円 |
| 0歳児 | 37,100円 |
出典:企業主導型保育事業費補助金実施要綱(令和8年度)別紙4「基本分単価から控除する額(1人当たり月額)」
同じ4つの金額は、こども家庭庁の「企業主導型保育施設の無償化に関する説明資料」に、令和元年10月以降の標準的な利用料の金額(予定)として載っています。令和元年の説明資料と令和8年度の要綱で、4区分とも金額は同じです。
年齢は「年度初日の前日における満年齢」で判断します(要綱 第3の2の(3))。説明資料は「年齢は、学年(クラス)により判断します。」と説明しています。なお、要綱の①アには、世帯の所得に応じて額を変えるという定めは書かれていません。

枠で差をつけることも、企業の負担で下げることもできます
定員は従業員枠と地域枠に分かれ、地域枠は「ア以外の児童(施設の利用定員の50%以内。)」です(要綱 第3の2の(1)①)。この2つの枠と保育料について、要綱は①アの続きでこう書いています。
「なお、企業主導型保育事業は、従業員等に対する福利厚生等の側面があることを踏まえ、企業の負担により利用者負担を引き下げることは可能であること、また同様に従業員枠と地域枠との間で利用者負担に差を設けることは可能であるが、差異の程度については社会通念上合理的と考えられる範囲に収めること。」
出典:企業主導型保育事業費補助金実施要綱(令和8年度)第3の4の(4)①ア(原文どおり)
同じ施設でも、枠によって保育料が違うことがあり得ます。そのため本記事は「企業主導型は安い」「高い」とは書きません。額は施設ごと、枠ごとに違い得る、というのが要綱から言えることです。
利用者負担額のほかに、要綱は2種類のお金を保護者から受け取れるとしています。
| 種類 | 中身と手続 |
|---|---|
| 保育の質の向上の対価 | 保育に要する費用として見込まれるものの額と利用者負担相当額との差額に相当する金額の範囲内。使途・金額・理由を書面で明らかにして説明し、文書による同意を得る |
| 実費 | 日用品・文房具、行事への参加、3歳以上の児童の食事の提供、通う際の便宜などの費用。書面で明らかにして説明する(同意は文書によることを要しない) |
出典:企業主導型保育事業費補助金実施要綱(令和8年度)第3の4の(4)②〜④
無償化:施設等利用給付の対象外。要綱の施設利用給付費で無償になります
認可外保育施設の無償化は、子ども・子育て支援法の施設等利用給付で行われます。その対象の「子ども・子育て支援施設等」を定めた第7条第10項第4号は、児童福祉法第59条の2第1項の届出がされた施設を挙げつつ、除くものとしてハに「第五十九条の二第一項の規定による助成を受けているもののうち政令で定めるもの」を置いています。その政令が、施行令 第1条です。
「子ども・子育て支援法(以下「法」という。)第七条第十項第四号ハの政令で定める施設は、法第五十九条の二第一項の規定による助成を受けている施設のうち、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第五十九条の二第一項に規定する施設(同項の規定による届出がされたものに限る。)であって同法第六条の三第十二項に規定する業務を目的とするものとする。」
出典:子ども・子育て支援法施行令(e-Gov法令API 法令ID 426CO0000000213)第1条(原文どおり)
さらに法 第30条の4は、施設等利用給付の対象から「第七条第十項第四号ハの政令で定める施設を利用している小学校就学前子ども」を除いています。それでも無償化の対象外ではありません。こども家庭庁のFAQはこう答えています。
「企業主導型保育事業は、子ども・子育て支援法第7条第10項第4号ハの政令で定める施設として、特定子ども・子育て支援施設等ではないため、子育てのための施設等利用給付の対象にはなりませんが、子ども・子育て拠出金(事業主拠出金)によって、3歳から5歳までの子供と、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子供の標準的な利用料(※1)が無償(※2)になります。」
出典:こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化に関するFAQ【2024年7月1日版】」1-18(原文どおり)。※1は補助要綱で示している額、※2は主食費・副食費の扱いの注記
これを行うのが、要綱 第2の2の(3)の企業主導型保育事業(施設利用給付費)です。対象児童の利用者負担額は、こう定められています。
「当該児童に係る利用者負担額については、企業主導型保育事業(施設利用給付費)として利用者負担相当額が交付されることを踏まえ、アに掲げる児童に係る利用者負担額から、利用者負担相当額を減じた額(当該額が0円を下回る場合には、0円。)を利用者負担額として設定すること。」
出典:企業主導型保育事業費補助金実施要綱(令和8年度)第3の4の(4)①イ(原文どおり)
編集部試算:原則どおり利用者負担相当額と同じ額を利用者負担額にしている施設なら、無償化の対象の3歳児は 26,600円−26,600円=0円 です。目安より高い額の施設では差額が残ります。FAQ 11-8も、実際の利用料が目安を上回っても下回っても「要綱等で定めた標準的な利用料(利用者負担相当額)が無償化の対象となります。」としています。
無償化の対象になる子どもは、枠で確かめ方が違います
| 年齢 | 従業員枠を利用する児童 | 地域枠を利用する児童 |
|---|---|---|
| 3歳から5歳 | 全ての児童 | 子ども・子育て支援法第20条の認定(第19条第2号又は第3号)を受けている児童 |
| 0歳から2歳 | 市町村民税世帯非課税者である児童 | 上記の認定を受け、かつ市町村民税世帯非課税者である児童 |
出典:企業主導型保育事業費補助金実施要綱(令和8年度)第3の2の(3)
FAQ 11-1は、地域枠では事業実施者と利用者の間に雇用関係がなく、保育の必要性を客観的に判断することが難しいため、市町村の認定で確かめると説明しています。FAQ 11-2は、認定の要件を満たさない地域枠の利用者は、施設は利用できても無償化の対象とはならないと答えています。
無償化の後も負担は残ります。説明資料は「通園送迎費、食材料費、行事費などは、これまでどおり保護者の負担になります。」と書いています。
認可保育所の保育料は、市町村が所得の状況をみて定めます
子ども・子育て支援法 第27条第3項は、施設型給付費の額を、第1号の費用の額から第2号の額を控除した額としています。第2号が保護者の負担に当たる部分です。
「政令で定める額を限度として当該教育・保育給付認定保護者の属する世帯の所得の状況その他の事情を勘案して市町村が定める額」
出典:子ども・子育て支援法(e-Gov法令API 法令ID 424AC0000000065)第27条第3項第2号(原文どおり)
施行令 第4条第1項は、満3歳以上の子ども(同項の範囲)について「法第二十七条第三項第二号の政令で定める額は、零とする」と定めています。満3歳未満は、第2項が所得割の合算額などで分けた区分ごとに額を定めています。
| 認可保育所 | 企業主導型保育 | |
|---|---|---|
| 額を定めるのは | 市町村(政令の額が限度) | 事業実施者(利用者負担相当額が目安) |
| 所得との関係 | 世帯の所得の状況等を勘案 | 要綱の①アに定めなし |
| 3歳から5歳の無償化 | 政令で定める額が零 | 施設利用給付費で利用者負担相当額を減額 |
出典:子ども・子育て支援法 第27条第3項、同法施行令 第4条、企業主導型保育事業費補助金実施要綱(令和8年度)第3の4の(4)
無償化は、認可保育所では政令の「零」で、企業主導型では要綱の給付費で組み込まれています。こども家庭庁の「幼児教育・保育の無償化について」のページも、企業主導型保育事業を幼稚園・保育所・認定こども園・地域型保育と同じ欄に並べています。
保育士から見た園の収入:助成と利用料の2本立てです
| お金 | 出し手 | 根拠 |
|---|---|---|
| 運営費(基本分単価の総額から利用者負担相当額の総額を控除した額など) | 実施機関 | 要綱 第3の4の(4)①ア |
| 利用者負担額(保育料) | 保護者(企業が負担して下げる場合あり) | 同上 |
| 施設利用給付費(無償化の対象児の利用者負担相当額) | 実施機関 | 要綱 第2の2の(3)、第3の4の(4)①イ |
| 保育の質の向上の対価・実費 | 保護者 | 要綱 第3の4の(4)②③ |
FAQ 11-9は、無償化の対象児の分の給付の方法を、こう説明しています。
「具体的な給付の方法としては、実施機関から施設に対し、これまで控除していた利用者負担相当額分を含めて助成を行うこととしております(利用者負担相当額分を控除せずに助成する形で、施設が代理受領する)。」
出典:こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化に関するFAQ【2024年7月1日版】」11-9(原文どおり)
同じ回答は、整備費・運営費の助成を「事業主拠出金を財源とした」ものとしています。法 第69条第2項は「一般事業主は、拠出金を納付する義務を負う。」と定めています。
働く側から見ると、在籍する子どもの年齢と人数が、助成にも利用料にも効いてきます。単価の金額と給与との関係は企業主導型保育の年収と単価表で扱っています。
この記事が扱っていないこと
- 個別の施設の保育料。施設ごと、枠ごとに違い得るため書いていません。
- 認可保育所の保育料の市町村ごとの金額と、施行令 第4条第2項の区分ごとの額。本文には書いていません。
- 私立の認可保育所で費用がどの経路で支払われるかの条文。本記事は第27条第3項の枠組みだけを扱っています。
- 能登半島地震に関する利用者負担額減免臨時給付費、施設で行う一時預かり・病児保育の利用料。取得していません。
保育士が企業主導型の求人を見るときに確認できること
- 従業員枠と地域枠の定員は何人ずつか。枠によって保育料や無償化の確かめ方が違い得ます。
- 保育料は利用者負担相当額のとおりか。企業負担での引下げや枠ごとの差があるかで、保護者への説明が変わります。
- 保育の質の向上の対価や実費を集めているか。書面で使途と金額を示す手続があります。
- 年齢別の在籍児童数。利用者負担相当額も助成の単価も、年齢区分ごとに決まっています。
よくある質問
Q. 企業主導型保育の保育料は誰が決めますか。
A. 施設を運営する事業実施者が設定します。要綱 第3の4の(4)①は、別紙4の利用者負担相当額を利用者負担額として設定することを原則としています。
Q. 目安の金額はいくらですか。
A. 令和8年度の要綱 別紙4では、1人当たり月額で4歳以上児23,100円、3歳児26,600円、1、2歳児37,000円、0歳児37,100円です。
Q. 企業主導型保育も無償化の対象ですか。
A. 対象です。ただし施設等利用給付ではなく、要綱の施設利用給付費で行われます。3歳から5歳までと、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもの標準的な利用料が対象で、地域枠では市町村の認定が要件です。
Q. 無償化の対象なら、保育料は0円になりますか。
A. 施設の通常の利用者負担額から利用者負担相当額を差し引いた額(0円を下回る場合は0円)です。通常の額が目安より高い施設では差額が残ります。通園送迎費、食材料費、行事費なども保護者の負担です。
Q. 認可保育所の保育料とは何が違いますか。
A. 認可保育所では、子ども・子育て支援法 第27条第3項第2号により、政令で定める額を限度に、世帯の所得の状況等を勘案して市町村が定めます。企業主導型では、要綱の目安をもとに事業実施者が設定します。
迷ったらここ
企業主導型保育の保育料
保育料は要綱の利用者負担相当額を目安に事業者が設定し、0歳児は月額37,100円です。無償化は施設等利用給付ではなく、要綱の施設利用給付費で行われます。
- 従業員枠と地域枠の定員の内訳
- 保育料が利用者負担相当額どおりか、枠で差があるか
- 保育の質の向上の対価や実費の集め方と書面での説明
まとめ
- 保育料は事業実施者が設定します。目安は要綱 別紙4の利用者負担相当額で、0歳児37,100円、1、2歳児37,000円、3歳児26,600円、4歳以上児23,100円(1人当たり月額)です。
- 企業の負担で下げることも、枠で差を設けることもできます。差の程度は社会通念上合理的と考えられる範囲とされています。
- 無償化は施設利用給付費で行われます。法第7条第10項第4号ハと施行令 第1条で施設等利用給付から外れています。
- 認可保育所の保育料は市町村が定めます。所得の状況等を勘案し、満3歳以上は政令の額が零です。

