30秒でわかるまとめ
- 私立保育所の施設長は、保育士の1.70倍の月額です賞与の12分の1を含む月額で、施設長は580,354円、保育士は341,468円です。平均勤続年数は26.8年と11.4年です。
- 12か月分に直すと、私立の施設長は696.4万円になります580,354円×12か月の編集部試算です。3月分の月給に、前年度の賞与の12分の1を足した月額がもとになっています。
- 公立の施設長は私立より64,953円高い月額です主任保育士は公立562,944円、私立472,529円です。施設長と主任保育士の差は、私立のほうが大きくなっています。
- 定員が大きい私立の園ほど、施設長の月額は高くなります40名以下は518,706円、151名以上は634,324円です。どれも平均で、園長になればこの額になるという意味ではありません。
※保育士全体の年収は保育士の年収の平均、園に上乗せされる手当の仕組みは保育士の処遇改善手当はいくらかで扱っています。

まず資料:国が保育所の職種別に給与を集計した表です
この記事の数字は、こども家庭庁の「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」の集計結果から取っています。こども家庭庁の調査ページに掲載されている、いちばん新しい回です。
| 項目 | 資料の記載 |
|---|---|
| 抽出の方法 | 層化無作為抽出法により抽出(地域区分・定員区分を考慮) |
| 実施時期 | 令和6年8月中旬〜9月上旬 |
| 職員の給与の時点 | 職種別の勤続年数や支給額等(令和6年3月) |
| 保育所の有効回答数 | 5,922か所(うち私立3,210か所) |
| 給与の表の集計施設数 | 私立3,008施設、公立2,298施設 |
出典:こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果」調査概要・保育所(私立・公立)職種別職員1人当たり給与月額
保育所の表では、職種名が「施設長」になっています。この記事では、キーワードの「園長」にあたる職として、この「施設長」の数字を使います。
いちばん大事なのは、金額の中身です。表の注記は次のとおりです。
「「1人当たり給与月額(賞与込み)」の金額は、令和6年3月分の月額給与。職員の給与には、月額給与の他、令和5年度分の賞与の1/12が含まれる。」
出典:同集計結果 保育所(私立・公立)(2)職種別職員1人当たり給与月額 注記(原文どおり)
つまり1か月の月給に、1年分の賞与を12で割った額を足したものです。表からは、月給と賞与をそれぞれいくらもらっているかは分かりません。

施設長の数え方:私立は3,008施設で、常勤2,776人
表は職員を「常勤」と「非常勤」に分けています。常勤は「施設で定めた勤務時間(所定労働時間)のすべてを勤務する者」、非常勤は「常勤職員以外の従事者」です。
| 区分 | 集計施設数 | 常勤の施設長 | 非常勤の施設長 |
|---|---|---|---|
| 私立 | 3,008施設 | 2,776人 | 10人 |
| 公立 | 2,298施設 | 2,091人 | — |
出典:同調査 e-Stat 第28表(私立・公立保育所 総括表)の集計対象人数。公立の非常勤は人数に小数を含むため省略
私立の保育所について、1施設あたりの実際の配置を見ると、施設長は常勤1.0人、非常勤0.0人です(常勤換算、集計施設数2,230施設)。1つの園に常勤の施設長が1人いる形が、平均の姿です。
出典:同集計結果 保育所(3)職員配置の状況(私立施設)
この記事では、常勤の施設長の数字を使います。

私立の施設長は580,354円。12か月分で696.4万円(編集部試算)
調査は「年収」を出していません。この記事の年額は、次の式で編集部が計算した試算です。
推計年額 = 1人当たり給与月額(賞与込み)× 12か月
月額に賞与の12分の1が入っているので、12倍すると「3月分の月給の12か月分+令和5年度の賞与」になります。3月分の月給が1年間続いたと仮定した数字で、誰かが1年間に受け取った額を集めたものではありません。
| 私立・常勤 | 平均勤続年数 | 給与月額(賞与込み) | 推計年額(編集部試算) |
|---|---|---|---|
| 施設長 | 26.8年 | 580,354円 | 6,964,248円(696.4万円) |
| 主任保育士 | 22.9年 | 472,529円 | 5,670,348円(567.0万円) |
| 保育士 | 11.4年 | 341,468円 | — |
出典:同集計結果 保育所(私立・公立)(2)職種別職員1人当たり給与月額。推計年額は編集部算出
計算式:580,354円 × 12か月 = 6,964,248円(696.4万円)。主任保育士は472,529円 × 12か月 = 5,670,348円です。
保育士の年収は別の統計で詳しく扱っているため、この記事では保育士の年額を試算していません。比べるのは同じ表の月額だけにします。
主任保育士・保育士と比べる:施設長は保育士の1.70倍です
| 私立・常勤の比較 | 月額の差 | 倍率 |
|---|---|---|
| 施設長と主任保育士 | 107,825円 | — |
| 主任保育士と保育士 | 131,061円 | 1.38倍 |
| 施設長と保育士 | 238,886円 | 1.70倍 |
出典:同集計結果より編集部が算出(倍率は小数第3位を四捨五入)
平均勤続年数は、施設長26.8年、主任保育士22.9年、保育士11.4年です。施設長と保育士では、勤続年数に15.4年の差があります。月額の差には、役職の違いと勤続の違いの両方が入っていて、この表からは分けられません。
勤続年数の数え方にも注意が要ります。
「「平均勤続年数」は、現に勤務している施設だけでなく、過去に勤務していた保育所等における勤続年数も含めて算定。」
出典:同集計結果 保育所(私立・公立)(2)職種別職員1人当たり給与月額 注記(原文どおり)
いまの園に26.8年いるという意味ではありません。ほかの保育所等で働いた年数も足した平均です。
認定こども園では、主幹保育教諭の給与月額が保育教諭の1.36倍です。同じ調査の表で役職ごとに並べた比較は 保育教諭の年収|私立の常勤は賞与込み月額327,240円、12か月分で392.7万円ですで扱っています。
公立は645,307円。私立との差は施設長で64,953円
| 常勤 | 私立 | 公立 | 公立-私立 |
|---|---|---|---|
| 施設長 | 580,354円(26.8年) | 645,307円(29.8年) | 64,953円 |
| 主任保育士 | 472,529円(22.9年) | 562,944円(23.7年) | 90,415円 |
| 保育士 | 341,468円(11.4年) | 363,315円(10.6年) | 21,847円 |
出典:同集計結果 保育所(私立・公立)(2)職種別職員1人当たり給与月額。( )は平均勤続年数。差は編集部算出
公立の施設長を同じ式で12か月分にすると、645,307円 × 12か月 = 7,743,684円(774.4万円)です(編集部試算)。私立との差は、12か月分で779,436円になります。主任保育士は562,944円 × 12か月 = 6,755,328円(675.5万円)です。
公立と私立の差は、保育士では21,847円ですが、施設長では64,953円、主任保育士では90,415円に広がります。公立の施設長は、平均勤続年数も私立より3.0年長くなっています。
公立の中で比べると、施設長と主任保育士の差は82,363円、施設長と保育士の差は281,992円で、施設長は保育士の1.78倍です。施設長と主任保育士の差は、私立の107,825円のほうが大きい形です。
定員が大きい私立の園ほど、施設長の月額は高い
同じ調査は、e-Statで定員区分別の表も公表しています。私立の常勤の数字を並べます。
| 定員区分(私立) | 施設長 | 施設長の平均勤続年数 | 施設長の人数 | 主任保育士 | 保育士 |
|---|---|---|---|---|---|
| 40名以下 | 518,706円 | 26.2年 | 305人 | 425,938円 | 324,040円 |
| 41〜90名 | 568,339円 | 25.7年 | 1,232人 | 461,093円 | 337,233円 |
| 91〜120名 | 600,722円 | 27.1年 | 679人 | 485,314円 | 344,431円 |
| 121〜150名 | 627,553円 | 30.0年 | 332人 | 505,752円 | 350,646円 |
| 151名以上 | 634,324円 | 29.5年 | 171人 | 512,648円 | 349,576円 |
出典:同調査 e-Stat 第30表(私立・公立保育所 定員区分別)。金額は1人当たり給与月額(賞与込み)、円未満を四捨五入(編集部)
私立の施設長は、定員が大きい区分ほど月額が高く、40名以下と151名以上の差は115,618円です。同じ2つの区分の差は、主任保育士で86,710円、保育士で25,536円でした。定員による差がいちばん大きいのは、施設長です。
公立の施設長は、40名以下621,586円、41〜90名632,359円、91〜120名656,096円、121〜150名657,638円、151名以上656,285円です。40名以下と151名以上の差は34,699円で、私立ほど開いていません。
出典:同 第30表(公立・常勤)
読むときの注意が2つあります。
- 定員区分別の人数を足しても、全体の人数になりません。私立の施設長は5区分の合計が2,719人で、全体の2,776人と合いません。集計施設数も合計2,947施設で、全体の3,008施設と違います。理由は表に書かれておらず、本記事は取得していません。
- 区分ごとの月額を人数で平均しても、全体の580,354円にはなりません。集計の方法は表に説明がないため、区分どうしの大小を見る材料として使ってください。
小規模保育事業でも、私立のA型の管理者の給与月額は定員6〜12名で405,926円、13〜19名で422,838円です。小規模保育園の年収|A型の常勤の保育士は賞与込み月額289,529円、12か月分で347.4万円ですで扱っています。
地域区分別:私立の施設長は552,861円から639,585円まで
e-Statの地域区分別の表も並べます。区分の名前は表のとおりです。区分の決め方は、本記事では取得していません。
| 地域区分 | 私立の施設長 | 人数 | 公立の施設長 | 人数 |
|---|---|---|---|---|
| 20/100地域 | 595,963円 | 241人 | 675,783円 | 213人 |
| 16/100地域 | 639,585円 | 144人 | 716,880円 | 78人 |
| 15/100地域 | 587,307円 | 220人 | 726,699円 | 83人 |
| 12/100地域 | 599,567円 | 284人 | 717,639円 | 100人 |
| 10/100地域 | 605,494円 | 221人 | 686,861円 | 127人 |
| 6/100地域 | 569,879円 | 312人 | 658,382円 | 388人 |
| 3/100地域 | 560,234円 | 346人 | 624,725円 | 383人 |
| その他地域 | 552,861円 | 1,008人 | 598,252円 | 719人 |
出典:同調査 e-Stat 第29表(私立・公立保育所 地域区分別)。常勤。金額は円未満を四捨五入(編集部)
私立でいちばん高い16/100地域と、いちばん低いその他地域の差は86,724円です。私立の施設長の36.3%は、その他地域の1,008人です(編集部算出)。
どの区分でも、公立の施設長のほうが私立より高い数字でした。
この記事が扱っていないこと
- 月給と賞与の内訳。表の金額は、3月分の月給に賞与の12分の1を足した額だけです。賞与の額や月数は取得していません。
- 施設長の給与の分布や中位数。表は平均だけで、分布は取得していません。
- 前回(令和元年度)の調査との施設長の比較。前回分は内閣府の旧ページにあり、本記事は取得していません。
- 幼稚園・認定こども園・地域型保育事業の園長や管理者の数字。同じ調査にありますが、本記事は保育所だけを扱っています。
- 公定価格の上で施設長の人件費がどう見込まれているか。本記事は取得していません。
- 手当の加算の金額や仕組み。保育士の処遇改善手当はいくらかで扱っています。
- 手取りの額、施設長になるための要件。本記事は取得していません。
園長・主任をめざすときに確認できること
- 提示の額が賞与込みか、月給だけか。統計の580,354円は、賞与の12分の1を含む月額です。月給だけの額と比べると、差を大きく見積もることになります。
- 園の定員はどの区分か。私立の施設長は、40名以下の518,706円から151名以上の634,324円まで差がありました。
- 運営が私立か公立か。常勤の施設長の平均は、私立580,354円、公立645,307円です。
- 前年度の賞与の実績。月額に入っている賞与は、前年度の分の12分の1です。
- 勤続年数をどう数えるか。統計の平均勤続年数は、過去に勤めた保育所等の年数も含めています。
給与とは別に、園長(施設長)になる条件が国の基準でどこまで決まっているかは、保育園の園長になるには|保育所の省令に園長の資格の条はなく、こども園は免許・登録と5年以上ですで扱っています。
よくある質問
Q. 保育園の園長の年収はいくらですか。
A. 調査は年収を公表していません。私立保育所の常勤の施設長の給与月額(賞与込み)は580,354円で、12か月分にすると6,964,248円(696.4万円)です。公立は645,307円で、12か月分は7,743,684円(774.4万円)です。どちらも編集部試算の平均です。
Q. 主任保育士とはどれくらい違いますか。
A. 私立では、施設長580,354円と主任保育士472,529円で、差は107,825円です。公立では施設長645,307円と主任保育士562,944円で、差は82,363円です。
Q. 園の規模で変わりますか。
A. 私立の施設長は、定員40名以下で518,706円、151名以上で634,324円と、定員の大きい区分ほど高くなっていました。差は115,618円です。公立の差は34,699円でした。
Q. 園長になれば、この金額をもらえますか。
A. この金額は平均です。私立の施設長の平均勤続年数は26.8年で、過去に勤めた保育所等の年数も含みます。個別の園の給与は、定員や運営主体、賞与の実績を確認してください。
迷ったらここ
園長の給与は定員でも変わる
私立保育所の常勤の施設長の給与月額(賞与込み)は580,354円で、保育士の1.70倍です。定員40名以下と151名以上では、施設長の月額に115,618円の差があります。
- 提示の額が賞与込みか、月給だけか(統計の額は賞与の12分の1を含む月額)
- 園の定員はどの区分か、運営は私立か公立か
- 前年度の賞与の実績と、勤続年数の数え方
まとめ
- 私立保育所の常勤の施設長は、賞与込みの給与月額580,354円。12か月分で696.4万円(編集部試算)
- 同じ私立の保育士341,468円の1.70倍。主任保育士472,529円との差は107,825円
- 公立の施設長は645,307円で、私立より64,953円高い
- 私立では定員が大きい区分ほど高く、40名以下と151名以上の差は115,618円
- 金額は3月分の月給に前年度の賞与の12分の1を足した平均で、勤続年数には過去の保育所等の年数も入る
園長の給与は、1つの数字で言い切れるものではありません。私立か公立か、定員がどれくらいかで、平均の額が動きます。提示された額を見るときは、賞与込みかどうかと、園の規模を合わせて確かめてください。

