30秒でわかるまとめ
- 管理栄養士が使う判定は6項目で、低・中・高の3段階ですBMI、体重減少率、血清アルブミン値、食事摂取量、栄養補給法、褥瘡の6項目を、国の通知の様式例が表にしています。
- 高リスクの項目が1つでもあれば、高リスクと判断します全ての項目が低リスクなら低リスク、それ以外は中リスクです。BMIなど3項目は、個々の状態で高リスクと判断される場合もあります。
- アルブミン3.0g/dl未満は、単独で高リスクの欄です体重減少率は1か月に5%以上、3か月に7.5%以上、6か月に10%以上が高リスクの欄に入り、褥瘡も高リスクの欄にあります。
- 施設では入所後一週間以内に把握し、3月毎に見直します入所時の把握は介護支援専門員が管理栄養士と連携して行う書き方です。モニタリングの間隔もリスクの段階で変わります。
※介護施設の栄養士の業務全体と加算の話は介護施設の栄養士の仕事内容、病院側の栄養スクリーニングは病院栄養士の1日の仕事内容で扱っています。

まず前提:判定基準は、通知の「様式例」に載っています
介護施設で使われる低栄養状態のリスクの判定基準は、法律や省令の条文ではありません。厚生労働省の老健局が出した通知の、別紙様式(様式例)に載っている表です。
いま使われている通知は、令和6年3月15日付けの「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」(老高発0315第2号ほか。介護保険最新情報Vol.1217)です。以前の通知の名前で探すと、古い版に行き当たることがあります。通知自身が、こう書いています。
「本通知は、令和六年四月一日から適用するが、「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和三年三月一六日老認発〇三一六第三・老老発〇三一六第二)については、本通知を新たに発出することから廃止することにご留意されたい。」
出典:厚生労働省老健局「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」(令和6年3月15日 老高発0315第2号ほか)前文(原文どおり)
判定基準の表があるのは、施設向けの別紙様式4-1-1「栄養・摂食嚥下スクリーニング・アセスメント・モニタリング(施設)(様式例)」です。この様式には、次の注があります。
「スクリーニングにおいては、把握可能な項目(BMI、体重減少率、血清アルブミン値等)により、低栄養状態のリスクを把握する。」
出典:同通知 別紙様式4-1-1の注1(原文どおり)
「把握可能な項目」で把握する、という書き方です。すべての項目がそろわないと判定できない、という書き方にはなっていません。

ここが本題:6項目の閾値を、表のとおりに並べます
様式例の表は、縦に6つの項目、横に「低リスク」「中リスク」「高リスク」の3つの欄があります。欄の中身を、そのまま写します。
| リスク分類 | 低リスク | 中リスク | 高リスク |
|---|---|---|---|
| BMI | 18.5〜29.9 | 18.5未満 | (記載なし) |
| 体重減少率 | 変化なし(減少3%未満) | 1か月に3〜5%未満 3か月に3〜7.5%未満 6か月に3〜10%未満 | 1か月に5%以上 3か月に7.5%以上 6か月に10%以上 |
| 血清アルブミン値 | 3.6g/dl以上 | 3.0〜3.5g/dl | 3.0g/dl未満 |
| 食事摂取量 | 76〜100% | 75%以下 | (記載なし) |
| 栄養補給法 | (記載なし) | 経腸栄養法 静脈栄養法 | (記載なし) |
| 褥瘡 | (記載なし) | (記載なし) | 褥瘡 |
出典:同通知 別紙様式4-1-1 リスク分類の表。「(記載なし)」は、原本の欄が空白であることを編集部が示したもの
表から読み取れることは3つです。
- 3つの欄すべてに数字が入っているのは、体重減少率と血清アルブミン値の2項目です。
- BMIと食事摂取量は、高リスクの欄が空白です。表の上では、この2項目は中リスクまでです。
- 栄養補給法は中リスクの欄だけ、褥瘡は高リスクの欄だけに書かれています。
体重減少率は、期間ごとに線が違います。同じ5%の減少でも、1か月なら高リスクの欄(1か月に5%以上)、3か月なら中リスクの欄(3か月に3〜7.5%未満)に入ります。体重を測った時点と期間をそろえて記録しないと、この表には当てはめられません。

判定のルール:高リスクが1つでもあれば「高リスク」
表のすぐ下に、判断のしかたが書かれています。
「全ての項目が低リスクに該当する場合には、「低リスク」と判断する。高リスクにひとつでも該当する項目があれば「高リスク」と判断する。それ以外の場合は「中リスク」と判断する。」
出典:同通知 別紙様式4-1-1<低栄養状態のリスクの判断>(原文どおり)
平均をとる方式ではありません。たとえばBMIが低リスクの幅にあっても、血清アルブミン値が3.0g/dl未満なら、その時点で高リスクです。逆に、高リスクの項目がなく、中リスクの項目が1つでもあれば、低リスクにはなりません。
空欄の意味:BMI・食事摂取量・栄養補給法には、もう1つの注があります
「BMI、食事摂取量、栄養補給法については、その程度や個々人の状態等により、低栄養状態のリスクは異なることが考えられるため、対象者個々の程度や状態等に応じて判断し、「高リスク」と判断される場合もある。」
出典:同通知 別紙様式4-1-1<低栄養状態のリスクの判断>(原文どおり)
ここで名前が挙がっている3項目は、表で高リスクの欄が空白になっている3項目と同じです。表の上では中リスクまでしか書かれていない項目でも、程度や状態によっては高リスクと判断される場合がある、という書き方です(この対応は編集部の読み方です)。
「BMIが18.5未満なら中リスク」と機械的に決めてよい、とは書かれていません。どの程度なら高リスクとみるかの数字は、様式例には書かれていません。施設の手順や、多職種での判断に委ねられている部分です。
なお、栄養補給法と褥瘡は低リスクの欄が空白です。空欄の行を「全ての項目が低リスク」の判定でどう扱うかは、様式例には書かれていません。本記事は解釈を示さず、施設の手順を確認する事項としておきます。
誰が、いつ判定するか:施設では入所後一週間以内です
施設サービスの栄養ケア・マネジメントについて、通知はまず考え方を示しています。
「栄養ケア・マネジメントは、低栄養状態のリスクにかかわらず、入所者全員に対し、各入所者の状態に応じ実施することで、低栄養状態等の予防・改善を図り、自立支援・重度化防止を推進するものである。」
出典:同通知 第二章第三 Ⅰ1(原文どおり)
そのうえで、入所時の把握(栄養スクリーニング)の手順です。
「介護支援専門員は、管理栄養士と連携して、入所(院)者の入所(院)後遅くとも一週間以内に、関連職種と共同して低栄養状態のリスクを把握する(以下「栄養スクリーニング」という。)。なお、栄養スクリーニングは、別紙様式4-1-1の様式例を参照すること。」
出典:同通知 第二章第三 Ⅰ3⑴(原文どおり)
- 主語は介護支援専門員です。管理栄養士は「連携して」の側に書かれています。
- 期限は「遅くとも一週間以内」です。
スクリーニングを踏まえて、入所者ごとに解決すべき課題を把握するのが栄養アセスメントで、こちらの主語は管理栄養士です(同 Ⅰ3⑵)。手順そのもの(栄養スクリーニング、栄養アセスメント、栄養ケア計画、モニタリング、評価等)は、施設長があらかじめ定めることになっています(同 Ⅰ2⑶)。
見直しの間隔も書かれています。
「介護支援専門員は、管理栄養士と連携して、低栄養状態のリスクにかかわらず、栄養スクリーニングを3月毎に実施する。」
出典:同通知 第二章第三 Ⅰ3⑻(原文どおり)
リスクの段階で、モニタリングの間隔が変わります
「その際、低栄養状態の低リスク者はおおむね3月毎、低栄養状態の高リスク者及び栄養補給法の移行(経管栄養法から経口栄養法への変更等)の必要性がある者の場合には、おおむね二週間毎等適宜行う。ただし、低栄養状態の低リスク者も含め、体重は1月毎に測定する。」
出典:同通知 第二章第三 Ⅰ3⑺①(原文どおり)
| 対象 | モニタリングの間隔 |
|---|---|
| 低リスク者 | おおむね3月毎 |
| 高リスク者/栄養補給法の移行の必要性がある者 | おおむね二週間毎等適宜 |
| 全員(低リスク者も含む) | 体重は1月毎に測定 |
出典:同通知 第二章第三 Ⅰ3⑺①
中リスク者の間隔は、この文には書かれていません。通知は、スクリーニングで把握したリスクのレベルに応じてそれぞれのモニタリング間隔を設定し、栄養ケア計画に記載する、としています(同 Ⅰ3⑺①)。中リスク者の間隔は、施設の栄養ケア計画で決まる部分です。
また、体重は低リスク者も含めて1月毎です。体重減少率の欄が1か月・3か月・6か月で区切られていることと、この測定の間隔はかみ合っています。
食事の観察でも、高リスクの人は様式例の食事摂取量や口腔関係の項目などを総合的に、中リスクの人は栄養ケア計画に書いた「特に確認すべき視点」を中心に見る、と書き分けられています(同 第二章第三 Ⅱ1⑴)。
通所・居宅では、判定する人と間隔の書き方が違います
通所・居宅サービス向けの様式例(別紙様式4-3-1)にも、施設向けと同じリスク分類の表と判断のルールが載っています。違うのは、誰がいつ行うかです。
| 施設(第二章第三) | 通所・居宅(第二章第四) | |
|---|---|---|
| 最初の把握 | 介護支援専門員が管理栄養士と連携して、入所後遅くとも一週間以内 | 管理栄養士が、利用開始時に、関連職種と共同して |
| モニタリング | 低リスク者おおむね3月毎/高リスク者等おおむね二週間毎等適宜 | 低リスク者3月毎/高リスク者等二週間毎等適宜 |
| 再スクリーニング | リスクにかかわらず3月毎 | 低栄養状態のおそれのある者の把握を3月毎 |
出典:同通知 第二章第三 Ⅰ3⑴⑺⑻、第二章第四 Ⅰ3⑴⑺⑻
通所・居宅では、把握の結果やモニタリングの結果を3月毎に介護支援専門員等へ情報提供することも書かれています(第二章第四 Ⅰ3⑺③)。
この記事が扱っていないこと
- 加算の算定要件や報酬の額。介護報酬の告示・留意事項通知の領域で、本記事は取得していません。業務との関係は介護施設の栄養士の仕事内容で扱っています。
- 病院で使われる栄養スクリーニングの方法。診療報酬の領域で、本記事は取得していません。
- BMIや食事摂取量で「高リスク」とみる具体的な数字。様式例に書かれておらず、施設の判断に委ねられています。
- 様式例の「GLIM基準による評価」の欄の判定方法。様式例では医療機関から情報提供があった場合に記入する欄とされており、その基準は本記事では取得していません。
- 学会や民間団体のスクリーニング方法。一次資料の範囲外です。
管理栄養士・栄養士が職場で確認できること
- 施設の栄養ケア・マネジメントの手順書があるか。通知は、手順を施設長があらかじめ定めるとしています。
- 入所時のスクリーニングを、誰がどう分担しているか。通知の主語は介護支援専門員で、管理栄養士は連携する側です。
- 血清アルブミン値を把握できる体制か。注1は「把握可能な項目」で把握するとしています。どの項目を実際に使っているかは施設で違います。
- 体重を毎月測る仕組みが回っているか。低リスク者も含めて1月毎の測定です。
よくある質問
Q. 低栄養リスクの判定基準は、法律で決まっていますか。
A. 法律や省令の条文ではなく、厚生労働省の通知の別紙様式(様式例)に載っている表です。現在の通知は令和6年3月15日付けの「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」で、令和3年の通知はこれにより廃止されています。
Q. 6項目がそろわないと判定できませんか。
A. 様式例の注1は「把握可能な項目(BMI、体重減少率、血清アルブミン値等)により、低栄養状態のリスクを把握する」としています。すべての項目がそろうことを前提にした書き方にはなっていません。
Q. BMIが18.5未満なら、何リスクですか。
A. 表では中リスクの欄にあります。ただし判断のルールの注に、BMI・食事摂取量・栄養補給法は個々の程度や状態等に応じて判断し、「高リスク」と判断される場合もある、と書かれています。
Q. 血清アルブミン値だけが悪い場合はどうなりますか。
A. 3.0g/dl未満は高リスクの欄です。高リスクにひとつでも該当する項目があれば「高リスク」と判断する、というルールなので、他の項目が低リスクでも高リスクになります。3.0〜3.5g/dlは中リスクの欄です。
迷ったらここ
判定の手順と見直し間隔を聞く
低栄養状態のリスクは様式例の6項目で判定し、高リスクの項目が1つでもあれば高リスクです。施設では入所後遅くとも一週間以内に把握し、3月毎に再スクリーニングします。
- 栄養ケア・マネジメントの手順書があるか(手順は施設長があらかじめ定める)
- 入所時のスクリーニングを誰が担っているか(通知の主語は介護支援専門員)
- 体重を毎月測る仕組みがあるか(低リスク者も含めて1月毎)
まとめ
低栄養状態のリスクの判定基準は、厚生労働省の通知(令和6年3月15日付け)の別紙様式4-1-1(様式例)にある表です。BMI、体重減少率、血清アルブミン値、食事摂取量、栄養補給法、褥瘡の6項目を、低・中・高の3つの欄に分けています。
判断は「高リスクにひとつでも該当する項目があれば高リスク」「全ての項目が低リスクなら低リスク」「それ以外は中リスク」です。BMI・食事摂取量・栄養補給法は、個々の状態で高リスクと判断される場合もあります。
施設では入所後遅くとも一週間以内に介護支援専門員が管理栄養士と連携して把握し、3月毎に再スクリーニングします。モニタリングは低リスク者がおおむね3月毎、高リスク者等がおおむね二週間毎等で、体重は全員1月毎に測ります。

