30秒でわかるまとめ
- 管理栄養士と栄養士の違いは、第1条の書き方に表れます同じ条の第1項が栄養士、第2項が管理栄養士の定義で、業務の書き方がまったく違います。
- 栄養士の業務は、栄養の指導の1つです都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事する者とされています。
- 管理栄養士の業務は、条文に4つ並んでいます傷病者の療養のための指導、個人に応じた健康の保持増進の指導、給食管理、施設への指導です。
- 免許の要件は、養成施設か国家試験かで分かれます栄養士は養成施設で2年以上修得した者、管理栄養士は国家試験に合格した者に与えられます。
※栄養士の免許の取り方は栄養士になるには試験がありません、管理栄養士の受験資格は管理栄養士になるには、職場ごとの仕事内容は栄養士の仕事内容で扱っています。

まず条文:栄養士法 第1条は2つの項でできています
栄養士法 第1条は、第1項と第2項で2つの資格を定義しています。並べると、長さがまったく違います。
第1項(栄養士)
「この法律で栄養士とは、都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者をいう。」
第2項(管理栄養士)
「この法律で管理栄養士とは、厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導並びに特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導等を行うことを業とする者をいう。」
出典:栄養士法(e-Gov法令API 法令ID 322AC0000000245)第1条第1項・第2項(原文どおり)

介護施設で栄養状態を把握するときは、BMIや血清アルブミン値など6項目で低・中・高に分ける様式例が使われます。その判定基準は低栄養リスクの判定基準|6項目のうち高リスクが1つでもあれば「高リスク」ですで扱っています。
ここが本題:第2項は業務を4つ書き分けています
第2項の「、」「並びに」「及び」で区切ると、業務は4つになります。
| # | 第2項が挙げる業務 | 誰に・どこで |
|---|---|---|
| 1 | 傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導 | 傷病者 |
| 2 | 個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導 | 個人 |
| 3 | 特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における、利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理 | 給食施設の利用者 |
| 4 | これらの施設に対する栄養改善上必要な指導等 | 給食施設 |
出典:同法 第1条第2項。区切りと番号は編集部が付した
第1項の栄養士が「栄養の指導」の一語で書かれているのに対して、第2項は対象(傷病者/個人/給食施設の利用者/給食施設)ごとに業務を分けて書いています。
「栄養の指導」という語は第2項にも2回出てきます。そこに「傷病者に対する療養のため必要な」「高度の専門的知識及び技術を要する」という限定が付いている点が、第1項との違いです。

この業務を担う管理栄養士を、どの施設に置き、誰が行政の仕事を命じるかは、健康増進法が別に名指ししています。管理栄養士の仕事内容|健康増進法が名指しする条は4つですで扱っています。
2つの資格を、条文ごとに並べます
| 項目 | 栄養士 | 管理栄養士 | 条 |
|---|---|---|---|
| 定義に書かれた業務 | 栄養の指導 | 上の表の4つ | 第1条 |
| 免許を与える者 | 都道府県知事 | 厚生労働大臣 | 第1条・第2条 |
| 免許の要件 | 養成施設において2年以上栄養士として必要な知識及び技能を修得した者 | 管理栄養士国家試験に合格した者 | 第2条 |
| 名簿を備える場所 | 都道府県 | 厚生労働省 | 第3条の2 |
| 傷病者への指導で主治の医師の指導を受ける定め | 条文なし | あり | 第5条の5 |
| 名称を用いて業務を行うことの禁止 | 第6条第1項 | 第6条第2項 | 第6条 |
出典:同法 第1条、第2条、第3条の2、第5条の5、第6条
第5条の5は管理栄養士だけの条です。「管理栄養士は、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導を行うに当たつては、主治の医師の指導を受けなければならない」とあります。第2項の1つめの業務と、同じ言葉で対応しています。
栄養士の免許のままでも、特定保健指導では告示の研修(計30時間)を受けて食生活の支援を担う道があります。要件と担える範囲は特定保健指導の研修|栄養士が支援を担う条件は、告示が定める計30時間の研修ですで扱っています。
管理栄養士は、栄養士の免許の先にあります
第5条の3は、管理栄養士国家試験の受験資格です。第1号から第3号は、いずれも「養成施設を卒業して栄養士の免許を受けた後」に、厚生労働省令で定める施設で栄養の指導に従事した年数を求めています。
つまり、多くの道で栄養士の免許が管理栄養士の手前にあるという組み立てです。受験資格の4つのルートと年数は管理栄養士になるにはで扱っています。
病院で働く管理栄養士には、免許の先に、診療報酬の施設基準が求める研修もあります。栄養サポートチームの管理栄養士に求められる40時間以上の研修はNST専門療法士とは|診療報酬の要件は、資格名ではなく40時間以上の研修ですで扱っています。
どちらを目指すか考えるときに確認できること
- 働きたい場所で、どの業務をするか。傷病者の療養のための指導や、特別の配慮を要する給食管理は、第2項に書かれた業務です。
- 求人が栄養士か管理栄養士か。名称を用いて業務を行うことの禁止は、それぞれ第6条第1項と第2項に分かれています。
- 進学先の養成施設の修業年限。管理栄養士国家試験の受験資格に必要な実務年数が、修業年限で変わります(第5条の3)。
- 病院で働く場合の指示系統。管理栄養士の傷病者への指導には、主治の医師の指導を受ける定めがあります。
管理栄養士として病院で栄養の指導をするときは、医師の指示に基づき、初回は概ね30分以上行うことが診療報酬の通知に書かれています。指示事項や記録の決まりは栄養指導のやり方|初回は概ね30分以上。誰に・何を渡し・何を記録するかまで通知に書かれていますで扱っています。
よくある質問
Q. 栄養士は傷病者の栄養指導ができませんか。
A. 第1条第1項は業務を「栄養の指導」とだけ書いており、対象を限定していません。第6条が禁じているのは、資格のない者が名称を用いて業務を行うことです。
Q. 管理栄養士になると栄養士の免許はなくなりますか。
A. 第5条第4項は、管理栄養士の処分を受けた者が栄養士の免許を受けている場合の通知を定めています。両方の免許を持つことを前提にした書き方です。
Q. 管理栄養士は国家資格で、栄養士は違いますか。
A. どちらも栄養士法に定められた免許です。与える者が、栄養士は都道府県知事、管理栄養士は厚生労働大臣という違いがあります。
Q. 栄養士に試験はありますか。
A. 第2条第1項は、養成施設で2年以上修得した者に免許を与えるとしています。詳しくは栄養士になるには試験がありませんで扱っています。
Q. 給料はどのくらい違いますか。
A. 国の賃金統計の区分と金額は管理栄養士の年収はいくらかで扱っています。
Q. 管理栄養士でないとできない仕事はありますか。
A. 栄養士法が禁じているのは名称を用いて業務を行うことです。職場ごとに管理栄養士の配置を求める法令は別にあり、栄養士の仕事内容で根拠の法令を整理しています。
迷ったらここ
担いたい業務から、資格を選ぶ
管理栄養士の定義には業務が4つ書き分けられています。傷病者の療養のための指導や特別の配慮を要する給食管理が、そこに入っています。
- 働きたい場所で担う業務が、第1条のどちらの項に書かれているか
- 求人が栄養士か管理栄養士か
- 養成施設の修業年限(受験資格の年数が変わる)
まとめ
管理栄養士と栄養士の違いは、栄養士法 第1条の2つの項に書かれています。
第1項の栄養士は「栄養の指導に従事することを業とする者」。第2項の管理栄養士は、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導/個人に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導/特別の配慮を必要とする給食管理/施設に対する栄養改善上必要な指導等の4つです。
免許を与えるのは、栄養士が都道府県知事、管理栄養士が厚生労働大臣。免許の要件は、栄養士が養成施設で2年以上の修得、管理栄養士が国家試験の合格です。
傷病者への指導で主治の医師の指導を受ける定め(第5条の5)は、管理栄養士の側にだけ置かれています。

