30秒でわかるまとめ
- 管理栄養士の名前が出る条は、健康増進法に4つあります市町村の相談、行政の栄養指導員、給食施設への配置、置かない設置者への勧告で、第17条・第19条・第21条・第23条です。
- 医学的な管理の給食で1回300食以上なら、指定の対象です1日750食以上も同じです。それ以外の給食施設は1回500食以上又は1日1,500食以上が、知事の指定の線です。
- 行政の栄養指導員は、医師か管理栄養士から命じられます命じるのは都道府県知事です。給食施設への立入検査も、この栄養指導員が行うと第24条にあります。
- 置かない設置者には、知事が勧告し、命令までできる定めです第23条は、管理栄養士を置かない設置者に勧告でき、従わなければ措置を命ずることができるとしています。
※管理栄養士の定義そのものは管理栄養士と栄養士の違い、給食施設の人数と契約の関係は給食委託がきついときで扱っています。

まず前提:業務の定義は栄養士法、置く場面は健康増進法です
管理栄養士の業務は、栄養士法 第1条第2項が定義しています。傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導や、給食管理などが並んでいます。定義の中身は管理栄養士と栄養士の違いで扱っています。
ただ、定義は「何をする資格か」までです。どこに管理栄養士を置くか、誰が管理栄養士に仕事を命じるかは、別の法律に書かれています。
この記事は、健康増進法と同法施行規則で「管理栄養士」という語が出てくる条を読み、仕事内容として整理します。

ここが本題:「管理栄養士」が出てくる条は4つです
健康増進法の本則(附則を除く)で「管理栄養士」という語が出てくる条は、第17条・第19条・第21条・第23条の4つです。
| 条 | 場面 | 管理栄養士の書かれ方 |
|---|---|---|
| 第17条第1項 | 市町村が住民の相談に応じ、栄養指導その他の保健指導を行う | 相談・指導を行わせる職員として列挙される職種の1つ |
| 第19条 | 都道府県等の専門的な栄養指導と、給食施設への指導 | 栄養指導員は医師又は管理栄養士の資格を有する職員から命ずる |
| 第21条第1項・第2項 | 特定給食施設の設置者が置く職員 | 知事が指定する施設は管理栄養士を置かなければならない。それ以外は栄養士又は管理栄養士を置くように努める |
| 第23条第1項 | 置かない設置者への勧告 | 第21条第1項に違反して管理栄養士を置かない設置者に、知事が勧告できる |
出典:健康増進法(e-Gov法令API 法令ID 414AC0000000103)第17条・第19条・第21条・第23条。条の数は本則の条文を編集部が数えたもの
同法施行規則では、第3条(国民健康・栄養調査員)、第6条(届出事項)、第7条(指定する施設)、第8条(少なくとも1人は管理栄養士)に「管理栄養士」が出てきます。
出典:健康増進法施行規則(e-Gov法令API 法令ID 415M60000100086)第3条・第6条・第7条・第8条
場面は大きく分けて、住民への指導、行政としての指導、給食施設での栄養管理の3つです。以下、条文の順に見ていきます。

市町村:住民の相談と栄養指導(第17条)
第17条第1項は、市町村が行う相談と保健指導を定めています。
「市町村は、住民の健康の増進を図るため、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、管理栄養士、栄養士、歯科衛生士その他の職員に、栄養の改善その他の生活習慣の改善に関する事項につき住民からの相談に応じさせ、及び必要な栄養指導その他の保健指導を行わせ、並びにこれらに付随する業務を行わせるものとする。」
出典:健康増進法 第17条第1項(原文どおり)
名前が挙がっている職種は10職種で、管理栄養士はその1つです。栄養士も並んでいます。最後は「その他の職員」で、この10職種に限る書き方ではありません。
同条第2項は、市町村がこの業務の一部を、病院又は診療所その他適当と認められるものに委託できるとしています。市町村の場面で条文が書いている業務は、住民の相談と、栄養指導その他の保健指導です。
病院や診療所で管理栄養士が行う栄養指導は、診療報酬の点数表と通知が、対象患者・時間・記録の型を定めています。外来・入院・集団の栄養食事指導の決まりは栄養指導のやり方|初回は概ね30分以上。誰に・何を渡し・何を記録するかまで通知に書かれていますで扱っています。
都道府県:栄養指導員は医師か管理栄養士です(第18条・第19条)
第18条第1項は、都道府県、保健所を設置する市及び特別区が行う業務として、第1号で住民の健康の増進を図るために必要な栄養指導その他の保健指導のうち、特に専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと、第2号で特定かつ多数の者に対して継続的に食事を供給する施設に対し、栄養管理の実施について必要な指導及び助言を行うことを挙げています(第3号は前二号の業務に付随する業務を行うこと)。
出典:健康増進法 第18条第1項
この業務を行う者について、第19条がこう定めています。
「都道府県知事は、前条第一項に規定する業務(同項第一号及び第三号に掲げる業務については、栄養指導に係るものに限る。)を行う者として、医師又は管理栄養士の資格を有する都道府県、保健所を設置する市又は特別区の職員のうちから、栄養指導員を命ずるものとする。」
出典:健康増進法 第19条(原文どおり)
第17条が10職種を並べていたのに対し、第19条が挙げる資格は医師又は管理栄養士の2つだけです。栄養士はここには入っていません。
第24条第1項は、都道府県知事が栄養指導員に、特定給食施設に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させることができるとしています。第2項は身分を示す証明書の携帯と提示を求めています。
出典:健康増進法 第24条第1項・第2項
行政の管理栄養士には、住民への専門的な栄養指導と、給食施設を指導・検査する側の仕事がある、という組み立てです。
栄養指導員が指導・検査する給食施設のうち、管理栄養士を置かなければならない施設として知事が指定した施設は、国の統計で令和6年度末に2,663施設、そのうち1,622施設が病院でした。施設の種類ごとの管理栄養士の人数は管理栄養士の資格が活かせる仕事|給食の現場では38.8%が病院で働いていますで扱っています。
給食施設:管理栄養士を置かなければならない施設(第21条・規則第7条)
第21条第1項は、特定給食施設のうち、特別の栄養管理が必要なものとして都道府県知事が指定するものの設置者は、管理栄養士を置かなければならないとしています。どの施設を指定するかは、施行規則 第7条が定めています。
「医学的な管理を必要とする者に食事を供給する特定給食施設であって、継続的に一回三百食以上又は一日七百五十食以上の食事を供給するもの」
「前号に掲げる特定給食施設以外の管理栄養士による特別な栄養管理を必要とする特定給食施設であって、継続的に一回五百食以上又は一日千五百食以上の食事を供給するもの」
出典:健康増進法施行規則 第7条第1号・第2号(原文どおり。号の番号は省いた)
そもそも特定給食施設に当たる線は、施行規則 第5条が継続的に1回100食以上又は1日250食以上の食事を供給する施設と定めています。数字で並べると次のとおりです。
| 区分 | 食数(継続的に) | 管理栄養士について | 条 |
|---|---|---|---|
| 特定給食施設 | 1回100食以上又は1日250食以上 | 栄養士又は管理栄養士を置くように努める | 規則第5条、法第21条第2項 |
| うち一定規模以上 | 1回300食又は1日750食以上 | 置く者のうち少なくとも1人は管理栄養士であるように努める | 規則第8条 |
| 知事の指定(医学的な管理を必要とする者) | 1回300食以上又は1日750食以上 | 管理栄養士を置かなければならない | 規則第7条第1号、法第21条第1項 |
| 知事の指定(それ以外) | 1回500食以上又は1日1,500食以上 | 管理栄養士を置かなければならない | 規則第7条第2号、法第21条第1項 |
出典:健康増進法 第21条第1項・第2項、同法施行規則 第5条・第7条・第8条
読むときの注意が2つあります。
- 義務がかかるのは「都道府県知事が指定する」施設です。第21条第1項は、食数だけで自動的に決まる書き方ではなく、知事の指定を通す書き方です。
- 第2号は「管理栄養士による特別な栄養管理を必要とする」施設です。食数を満たせば足りる書き方ではありません。
なお、同じ「1回300食以上又は1日750食以上」という数字は、衛生管理のマニュアルの適用範囲にも出てきます。そちらは別の文書で、意味も別です。大量調理施設衛生管理マニュアルで扱っています。
第8条の努力義務は、条文をそのまま読むとこうです。
「法第二十一条第二項の規定により栄養士又は管理栄養士を置くように努めなければならない特定給食施設のうち、一回三百食又は一日七百五十食以上の食事を供給するものの設置者は、当該施設に置かれるこれらの者のうち少なくとも一人は管理栄養士であるように努めなければならない。」
出典:健康増進法施行規則 第8条(原文どおり)
特定給食施設の設置者が都道府県知事に届け出る事項(法第20条第1項)は施行規則 第6条が6つの号で定めていて、第5号が一日の予定給食数及び各食ごとの予定給食数、第6号が管理栄養士及び栄養士の員数です。食数と配置が、並んで届け出る事項になっています。
出典:健康増進法施行規則 第6条第5号・第6号
置かれた後の栄養管理の中身は、施行規則 第9条が基準を定めています。号ごとの中身は給食委託の栄養士の仕事内容で扱っています。
置かれた後に献立をどう組むか(利用者の把握、給与栄養量の目標の設定、献立で配慮する事項)は献立作成のコツ|通知は、献立より先に「給与栄養量の目標」を置いていますで扱っています。
置かないとき:知事の勧告と命令(第22条・第23条)
第22条は、都道府県知事が、第21条第1項又は第3項の栄養管理の実施を確保するため必要があると認めるときに、設置者に指導及び助言をすることができるとしています。その先にあるのが第23条です。
「都道府県知事は、第二十一条第一項の規定に違反して管理栄養士を置かず、若しくは同条第三項の規定に違反して適切な栄養管理を行わず、又は正当な理由がなくて前条の栄養管理をしない特定給食施設の設置者があるときは、当該特定給食施設の設置者に対し、管理栄養士を置き、又は適切な栄養管理を行うよう勧告をすることができる。」
出典:健康増進法 第23条第1項(原文どおり)
同条第2項は、勧告を受けた設置者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、その措置をとるべきことを命ずることができるとしています。
出典:健康増進法 第23条第2項
勧告と命令の対象になっているのは、第21条第1項(管理栄養士を置く義務)と第3項(栄養管理)です。第2項の「置くように努める」施設は、第23条の「管理栄養士を置かず」の対象としては書かれていません。
国の調査にも名前があります(規則第3条)
健康増進法施行規則 第3条第1項は、国民健康・栄養調査員についてこう定めています。
「国民健康・栄養調査員は、医師、管理栄養士、保健師その他の者のうちから、毎年、都道府県知事が任命する。」
出典:健康増進法施行規則 第3条第1項(原文どおり)
同条第2項は、国民健康・栄養調査員を非常勤としています。毎年任命される、非常勤の仕事です。
この記事が扱っていないこと
- 病院の診療報酬(栄養食事指導料など)。本記事では扱っていません。病院の現場は病院栄養士の1日の仕事内容をご覧ください。
- 介護施設の報酬や人員基準。介護施設の栄養士の仕事内容で扱っています。
- 健診後の保健指導の制度。特定保健指導とはで扱っています。
- 各都道府県が実際に指定している施設の数や一覧、指定の手続の細目。本記事は取得していません。
- 行政で働く管理栄養士の採用の数、試験、給与。本記事は取得していません。
管理栄養士の求人を見るときに確認できること
- その施設が特定給食施設か、食数はどのくらいか。規則第5条の1回100食以上又は1日250食以上が、特定給食施設の線です。
- 都道府県知事の指定を受けた施設か。指定施設なら、第21条第1項により管理栄養士を置かなければなりません。
- 管理栄養士と栄養士が何人いるか。規則第6条第6号で、員数は届出事項になっています。
- 行政(保健所など)の求人なら、栄養指導員の業務を含むか。給食施設への指導・助言や立入検査を担う立場です。
- 市町村の求人なら、住民の相談と栄養指導が中心か。第17条第1項の業務です。
よくある質問
Q. 管理栄養士でないとできない仕事はありますか。
A. 本記事で見た健康増進法の中では、知事が指定する特定給食施設への配置(第21条第1項)と、医師又は管理栄養士の資格を有する職員から命じられる栄養指導員(第19条)が、管理栄養士を名指ししています。名称の扱いは管理栄養士と栄養士の違いで扱っています。
Q. 1日750食以上の病院なら、管理栄養士は置かれていますか。
A. 規則第7条第1号は、医学的な管理を必要とする者に食事を供給し、継続的に1回300食以上又は1日750食以上の特定給食施設を、知事が指定する施設としています。指定を受けていれば、第21条第1項により置かなければなりません。個々の施設が指定を受けているかは、本記事では確認していません。
Q. 大量調理施設衛生管理マニュアルの食数と同じですか。
A. 別の文書です。本記事の数字は健康増進法施行規則 第7条・第8条のもので、管理栄養士の配置の線です。マニュアルの適用範囲は大量調理施設衛生管理マニュアルで扱っています。
Q. 1回100食にも1日250食にも届かない施設では、どうなりますか。
A. 規則第5条の特定給食施設に当たらないため、第21条の配置の定めはかかりません。ただし保育所や介護施設など、施設の種類ごとの基準は別にあります。
迷ったらここ
施設が知事の指定を受けているかを聞く
医学的な管理を必要とする者に食事を供給し、1回300食以上又は1日750食以上の特定給食施設は、都道府県知事が指定すると管理栄養士を置かなければなりません。
- その施設が特定給食施設か(1回100食以上又は1日250食以上か)
- 都道府県知事の指定を受け、管理栄養士を置かなければならない施設か
- 管理栄養士と栄養士は何人いるか(員数は届出事項になっている)
まとめ
管理栄養士の業務の定義は栄養士法 第1条第2項にあり、どこに置くか・誰が命じるかは健康増進法に書かれています。
健康増進法の本則で「管理栄養士」が出てくる条は第17条・第19条・第21条・第23条の4つです。市町村の相談と栄養指導、医師又は管理栄養士から命じられる栄養指導員、特定給食施設への配置、置かない設置者への勧告です。
配置の線は食数です。医学的な管理を必要とする者に食事を供給する施設は1回300食以上又は1日750食以上、それ以外は1回500食以上又は1日1,500食以上で、知事が指定すると管理栄養士を置かなければなりません。
置かない設置者には、知事が勧告し、従わなければ命令できます(第23条)。
「管理栄養士でなければならない」と読めるのは、指定施設への配置と、栄養指導員(医師と並んで)の2つです。それ以外は、努力義務か、職種の列挙です。

