30秒でわかるまとめ
- 栄養士になるのに、国家試験は要りません厚生労働大臣が指定した養成施設で2年以上修得すれば、都道府県知事が免許を与えます
- かつての栄養士試験は、1992年で役目を終えました昭和60年の法改正で廃止され、経過措置も1992年3月31日で打ち切られました
- 試験がないぶん、審査は学校の側にかかっています栄養士法施行規則第9条が、養成施設の指定基準を19項目にわたって定めています
- 必要な単位数は、進学先の種類で12単位変わります大学・短期大学なら50単位、専修学校などは基礎分野12単位が上乗せされて62単位です
※管理栄養士になる制度(受験資格の4ルート、実務経験年数、国家試験の合格率)は管理栄養士になるには|ルートは4つ。どれも「学校+実務=5年」で揃いますで扱っています。この記事は栄養士の側の制度だけを扱います。免許を取ったあとの給与水準は栄養士の年収404.0万円は「平均」です|半数は所定内25万9,400円以下を参照してください。

その定義の一文には、業務についての書き方も含まれています。仕事内容を定めた条が栄養士法に無いことと、根拠が職場ごとに違うことは栄養士の仕事内容|法律が書いているのは一文だけですで扱っています。
まず定義:免許を出すのは都道府県知事です
栄養士法(昭和22年法律第245号)第1条第1項が、こう定めています。
「この法律で栄養士とは、都道府県知事の免許を受けて、栄養士の名称を用いて栄養の指導に従事することを業とする者をいう。」
同じ条の第2項が管理栄養士を定義していて、そちらは厚生労働大臣の免許です。免許を出す人が、そもそも違います。
| 項目 | 栄養士 | 管理栄養士 |
|---|---|---|
| 免許を与える人 | 都道府県知事(第1条第1項) | 厚生労働大臣(第1条第2項) |
| 取得の条件 | 養成施設で2年以上修得(第2条第1項) | 管理栄養士国家試験に合格(第2条第3項) |
| 国家試験 | ない | ある |
| 登録される名簿 | 栄養士名簿(第4条第1項) | 管理栄養士名簿(第4条第3項) |
出典:栄養士法 第1条、第2条、第4条

管理栄養士の免許は、これとは別の要件で与えられます。栄養士法 第1条が2つの資格の業務をどう書き分けているかは管理栄養士と栄養士の違い|条文が書く業務は1つと4つですで扱っています。
なるには1本道:養成施設で2年以上
栄養士法 第2条第1項が、取得の条件そのものです。
「栄養士の免許は、厚生労働大臣の指定した栄養士の養成施設(以下「養成施設」という。)において二年以上栄養士として必要な知識及び技能を修得した者に対して、都道府県知事が与える。」
条文はこれだけです。試験の規定はありません。「指定された養成施設で2年以上修得する」——これが唯一の入口です。
入学できる人も条文で決まっています。第2条第2項は、養成施設に入所できる者を学校教育法第90条に規定する者としています。同条第1項は「大学に入学することのできる者」を、高等学校もしくは中等教育学校を卒業した者、通常の課程による12年の学校教育を修了した者、または文部科学大臣の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められた者、と定めています。
つまり高校卒業(またはそれと同等以上)が入口の条件です。なお栄養士法 第12条に、中等学校令による中等学校の卒業者等について「当分の間」入所できるとする規定も残っています。
修業年限が2年以上なので、実際の進学先は次のように分かれます。
- 2年制の栄養士養成施設(短期大学・専修学校など)
- 3年制・4年制の栄養士養成施設
- 4年制の管理栄養士養成施設(卒業時に栄養士免許を申請でき、管理栄養士国家試験の受験資格も得られる)
ここが進学先選びで最も間違えやすいところです。「栄養士養成施設」と「管理栄養士養成施設」は別の指定で、どちらを選ぶかで管理栄養士国家試験を受けるまでに必要な実務経験年数が変わります。その先の話は管理栄養士になるには|ルートは4つ。どれも「学校+実務=5年」で揃いますで扱っています。

同じ給食の現場で働く資格でも、調理師には実務を経て試験を受ける道があります。試験の問題数や6科目の割合は調理師免許の取り方|パートの実務は「週4日以上かつ1日6時間以上」が原則ですで扱っています。
「栄養士試験」は1992年3月31日を最後に行われていません
「栄養士 試験」で検索すると、かつての制度の情報が出てくることがあります。栄養士試験は実在しましたが、いまはありません。
栄養士法及び栄養改善法の一部を改正する法律(昭和60年法律第73号)附則第5条が、こう定めています。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 第1項 | 旧法の規定による栄養士試験に合格した者は、新法第2条第1項の規定にかかわらず、栄養士の免許を受けることができる |
| 第2項 | 栄養士試験は、昭和六十七年三月三十一日まではなお、従前の例により行う |
| 第3項 | 旧法第2条第3項又は第12条第2項の規定に該当する者は、前項の栄養士試験を受けることができる |
| 第4項 | 第2項の栄養士試験に関する事務は、新法第6条の2に規定する管理栄養士国家試験委員がつかさどる |
出典:栄養士法 附則(昭和60年6月25日法律第73号)第5条。条文の「昭和六十七年三月三十一日」は西暦では1992年3月31日にあたります
経過措置の期限は1992年3月31日です。それ以降、栄養士試験は実施されていません。いま栄養士免許を取る方法は、養成施設で2年以上修得する1本だけです。
この点は、いまも制度に痕跡が残っています。栄養士法施行規則 第1条第2項第1号は、免許申請書に添える書類として「養成施設において二年以上栄養士として必要な知識及び技能を修得した者又は昭和60年法律第73号 附則第5条第1項に規定する者であることを証する書類」を挙げています。旧試験の合格者のための受け皿が、条文の中に残っている形です。
栄養士の免許は、学校で働く栄養教諭の免許状の基礎資格にもなっています。短期大学士の学位と栄養士の免許で二種免許状、という組み合わせは栄養教諭の免許の取り方|管理栄養士か栄養士の免許が、基礎資格に入っていますで扱っています。
ここが本題:試験がないぶん、基準は学校側にかかっています
受ける側に試験がないなら、質はどこで担保されているのか。答えは「学校の側」です。
栄養士法施行令(昭和28年政令第231号)第9条が、養成施設の指定基準の骨格を3つ定めています。
- 第1号:入所資格は法第2条第2項または第12条に規定する者であること
- 第2号:修業年限は2年以上であること
- 第3号:教育の内容、施設の長の資格、教員の組織・数・資格、学生の定員、同時に授業を行う学生の数、施設の構造設備、機械、器具、図書その他の備品、経営の方法について、厚生労働省令で定める基準に適合すること
この第3号を受けて、栄養士法施行規則 第9条が19項目の基準を並べています。主なものを抜き出します。
| 号 | 基準 |
|---|---|
| 第1号 | 教育の内容は、学校教育法第1条の学校は別表第一、それ以外の施設は別表第二に定めるもの以上であること |
| 第3号 | 専任の教員の数は、学校以外の施設にあっては9人以上 |
| 第4号 | 「社会生活と健康/人体の構造と機能/食品と衛生」のいずれか、「栄養と健康」「栄養の指導」「給食の運営」の各担当について、それぞれ1人以上が専任 |
| 第5号 | 専任の助手は3人以上で、そのうち2人以上は管理栄養士 |
| 第6号 | 教員は担当科目を大学等で修めた者で、卒業後5年以上その内容に関し教育研究または実地指導に従事した経験を有する者など |
| 第7号 | 人体の構造と機能を担当する教員のうち1人以上は医師 |
| 第8号 | 栄養の指導・給食の運営を担当する専任教員のうち、それぞれ1人以上は管理栄養士または同等の知識・経験を有する者 |
| 第10号 | 同時に授業を行う学生・生徒の数はおおむね40人(教育効果を十分にあげられる場合は除く) |
| 第11号 | 専用の講義室・研究室・実験室・実習室と給食実習室(実習食堂を備えるもの)を有すること |
| 第13号 | 更衣室、図書室、医務室および運動場を有すること |
| 第17号 | 別表第一の教育内容に関する2,000冊以上の図書と5種以上の学術雑誌を備えること |
| 第18号 | 当該施設以外の適当な施設を給食の運営の実習施設として利用できること |
出典:栄養士法施行規則(昭和23年厚生省令第2号)第9条第1項。全19号のうち主なものを抜粋
蔵書2,000冊、学術雑誌5種、1クラスおおむね40人、助手のうち2人以上は管理栄養士。ここまで細かく決まっているのは、受験者を選抜する仕組みが無いぶん、養成の側で水準を揃える設計になっているからと読めます。
進学先を比べるとき、「合格率」という比較軸は使えません。代わりに見るべきは、この基準を上回っているかどうかです。
管理栄養士養成施設のほうは、別表第四で124単位と定められています。その内訳と、国家試験の9科目との重なり方は管理栄養士国家試験の難易度|9科目は養成施設の124単位と重なりますで扱っています。
単位数は学校の種類で12単位変わります
施行規則第9条第1号が指している別表を開くと、必要な教育内容と単位数が出てきます。ここに、学校の種類による違いがあります。
別表第一(学校教育法第1条の学校=大学・短期大学など)
| 教育内容 | 講義又は演習 | 実験又は実習 |
|---|---|---|
| 社会生活と健康 | 4単位 | この3区分をまとめて4単位 |
| 人体の構造と機能 | 8単位 | |
| 食品と衛生 | 6単位 | |
| 栄養と健康 | 8単位 | この3区分をまとめて10単位 |
| 栄養の指導 | 6単位 | |
| 給食の運営 | 4単位 | |
| 合計 | 36単位 | 14単位 |
出典:栄養士法施行規則 別表第一。合計は編集部が算出(4+8+6+8+6+4=36/4+10=14)
別表第二(それ以外の施設=専修学校など)には、この専門分野の前に基礎分野が置かれています。
| 区分 | 教育内容 | 講義又は演習 |
|---|---|---|
| 基礎分野 | 人文科学/社会科学/自然科学/外国語/保健体育 | 12単位 |
| 専門分野 | 別表第一と同じ6区分 | 36単位(+実験・実習14単位) |
| 合計 | — | 62単位 |
出典:栄養士法施行規則 別表第二。合計は編集部が算出(12+36+14=62)
並べると、こうなります。
| 進学先 | 適用される別表 | 最低単位数 |
|---|---|---|
| 大学・短期大学など(学校教育法第1条の学校) | 別表第一 | 50単位 |
| 専修学校などそれ以外の施設 | 別表第二 | 62単位 |
| 差 | — | 12単位(基礎分野のぶん) |
出典:同規則 別表第一・別表第二より編集部が作成。いずれも「定めるもの以上であること」とされた最低基準です
専門分野の中身は同じです。違うのは、基礎分野12単位が課されるかどうかだけです。大学・短期大学では一般教養として別枠で履修する内容が、それ以外の施設では栄養士養成の基準そのものに書き込まれている、という構造になっています。
学校で働く場合は、免許に加えてもう一つ条件が付きます。学校給食法 第7条は、栄養士・管理栄養士の免許を持つ者について「学校給食の実施に必要な知識若しくは経験を有するもの」と定めています。この要件と、現場で求められる衛生管理の中身は学校給食の衛生管理基準|「望ましい基準」に数字が並んでいますで扱っています。
免許は「名簿に登録」されて初めて効力を持ちます
卒業しただけでは栄養士になりません。申請と登録が要ります。
栄養士法 第4条第1項「栄養士の免許は、都道府県知事が栄養士名簿に登録することによつて行う。」第2項「都道府県知事は、栄養士の免許を与えたときは、栄養士免許証を交付する。」
申請書に書く内容も省令で決まっています(施行規則 第1条第1項)。
| 号 | 記載事項 |
|---|---|
| 第1号 | 本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者はその国籍) |
| 第2号 | 住所及び氏名 |
| 第3号 | 罰金以上の刑に処せられたことの有無(ある場合はその罪、刑、刑の確定年月日) |
| 第4号 | 第1条の業務に関し犯罪又は不正の行為を行つたことの有無(ある場合は事実と年月日) |
出典:栄養士法施行規則 第1条第1項。添付書類は、養成施設で2年以上修得したことを証する書類等と、戸籍謄本・戸籍抄本または住民票の写しです(同条第2項)
第3号・第4号が置かれているのは、栄養士法 第3条が欠格事由を定めているからです。
- 第1号:罰金以上の刑に処せられた者
- 第2号:前号に該当する者を除くほか、第1条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
ただし条文は「免許を与えないことがある」という書き方です。該当すれば必ず不許可になるという定めではありません。
取ったあとの位置づけも押さえておきます。第6条第1項は「栄養士でなければ、栄養士又はこれに類似する名称を用いて第1条第1項に規定する業務を行つてはならない」と定め、第8条第3号がこれに違反した者を30万円以下の罰金としています。名称独占であって、業務独占ではありません。
免許を取った後に独立を考える場合、栄養士法が守っているのは名称までで、実際に効いてくるのは医師法・健康増進法・薬機法・景品表示法の4本です。その線の位置は栄養士の開業で失敗するとき|資格が守ってくれない4本の線で扱っています。
栄養士の免許は、介護の分野でも条文に名前が出てきます。ケアマネジャーの受験資格を定めた省令は「栄養士」「管理栄養士」を名指しで挙げています。その一覧と数え方はケアマネの受験資格|省令が挙げる22資格と、通算5年の中身ですで扱っています。
進学先を決める前に確認できること
1. 「栄養士養成施設」か「管理栄養士養成施設」かを確認する
指定が別です。4年制の管理栄養士養成施設を出れば管理栄養士国家試験の受験資格が実務経験なしで得られますが、栄養士養成施設(4年制を含む)だと実務経験1年が要ります。この違いは進学時に決まってしまいます。
2. 別表第一と別表第二のどちらが適用されるかを見る
学校教育法第1条の学校なら50単位、専修学校などなら62単位です。時間割の重さが12単位ぶん違います。パンフレットの卒業要件単位数を、この最低基準と並べてみてください。
3. 給食の運営の実習先を聞く
施行規則第9条第18号は、養成施設の外に実習施設を確保できることを求めています。どこで実習するのかは、学校ごとに違います。病院なのか、介護施設なのか、給食受託会社なのかで、卒業後に見える景色が変わります。実際の現場の姿は病院栄養士の1日|検食は毎食、夕食の配膳は午後6時以降で扱っています。
4. 免許申請の手続きを在学中に確認しておく
免許は名簿への登録で効力を持ちます。申請先は都道府県です(管理栄養士は厚生労働大臣)。学校が一括して手続きするのか、自分で申請するのかは学校によって異なります。
5. 「合格率」で比べようとしないこと
栄養士に試験はないので、栄養士免許について合格率は存在しません。比べるなら、管理栄養士国家試験の実績です。ただしそれは学校が管理栄養士養成施設である場合の話で、栄養士養成施設の卒業生は実務経験を積んでからの受験になります。
よくある質問
Q. 独学や通信教育で栄養士になれますか。
A. できません。栄養士法 第2条第1項は「厚生労働大臣の指定した栄養士の養成施設において二年以上」修得した者に免許を与えると定めており、これ以外の取得方法を条文は用意していません。かつての栄養士試験は昭和60年改正で廃止され、経過措置も1992年3月31日で終わっています。通学以外の方法があるかどうかについて、本記事では条文以外の情報を確認していません。
Q. 4年制の栄養士養成施設と2年制で、免許は違いますか。
A. 栄養士免許そのものは同じです。第2条第1項の条件は「2年以上」なので、2年でも4年でも与えられる免許は変わりません。違いが出るのは管理栄養士国家試験の受験資格で、栄養士養成施設は2年制なら実務3年、3年制なら実務2年、4年制なら実務1年が必要になります。詳しくは管理栄養士になるにはで扱っています。
Q. 栄養士の資格がないと栄養の仕事はできませんか。
A. 名称独占です。第6条第1項が禁じているのは「栄養士又はこれに類似する名称を用いて」業務を行うことで、違反には30万円以下の罰金があります(第8条第3号)。名乗らずに栄養に関わる仕事をすること自体を条文が禁じているわけではありません。ただし特定給食施設への配置など、法令が有資格者を求める場面は別にあります。個別の職種ごとの取り扱いは本記事では確認していません。
迷ったらここ
進学先を決める前に「どちらの養成施設の指定か」を確かめる
栄養士免許は試験ではなく養成施設で2年以上修得することで与えられます。結果を左右するのは受験ではなく進学先で、栄養士養成施設か管理栄養士養成施設かによって、その先に要る実務経験年数が変わります。
- パンフレットの指定は「栄養士養成施設」か「管理栄養士養成施設」か(指定が別)
- 卒業要件の単位数は最低基準を上回るか(学校なら50単位、それ以外の施設なら62単位)
- 給食の運営の実習をどこで行うか(施行規則第9条第18号が外部施設の確保を求めている)
まとめ
- 栄養士に国家試験はない。厚生労働大臣が指定した養成施設で2年以上修得すれば、都道府県知事が免許を与える(第2条第1項)
- かつての栄養士試験は1992年3月31日で終了。いま取得方法は養成施設の1本だけ(附則第5条第2項)
- 試験がないぶん、施行規則第9条が学校側に19項目の基準を課している。専任教員9人以上、助手3人以上(うち2人以上は管理栄養士)、蔵書2,000冊以上、1クラスおおむね40人
- 最低単位数は学校なら50単位、それ以外の施設なら62単位。差の12単位は基礎分野のぶん
- 免許は栄養士名簿への登録で効力を持つ(第4条第1項)。名称独占で、違反は30万円以下の罰金(第6条第1項・第8条第3号)
この資格は「受かるかどうか」で決まりません。決まっているのは、どの学校に入るかです。その一点に、制度の重心が置かれています。

