30秒でわかるまとめ
- 看護助手は書類整理や伝票代行も仕事です通知は業務を療養生活上の世話・環境整備・書類伝票整理の3系統に分け、看護職員の指導の下で行うと定めています
- 看護師にしかできない行為は7つあります病状の観察や与薬などの治療の介助は、看護師または指示を受けた准看護師が行うものです
- 看護助手の年収は337.1万円、残業は最少です推計年収337.1万円は看護師524.7万円、准看護師427.5万円より低く、残業月2時間は看護系で最短です
- 35〜39歳の年収は30〜34歳より下がります35〜39歳は321.3万円、30〜34歳は327.2万円で、年齢と賃金は比例しません

まず用語から:求人票の「看護助手」=制度上の「看護補助者」
調べはじめると「看護助手」「看護補助者」「メディカルスタッフ」「ナースエイド」など呼び名がばらばらで、同じものなのか分からなくなります。整理すると、こうです。
| 呼び名 | 使われる場面 | 法的な位置づけ |
|---|---|---|
| 看護助手 | 求人票、院内の通称 | 法令上の資格名ではない |
| 看護補助者 | 診療報酬の告示・通知 | 業務範囲が国の通知に明記されている |
| 看護師/准看護師 | 保健師助産師看護師法 | 免許による業務独占(看護師は厚生労働大臣、准看護師は都道府県知事) |
ここが最初の分かれ道です。看護師と准看護師には法律上の免許があり、無資格の人がその業務を行うことは禁じられています(保健師助産師看護師法 第31条・第32条)。一方で看護補助者になるために必要な国家資格はありません。だから「無資格・未経験可」の求人が成り立ちます。
ただし「資格が要らない」ことと「何をしてもいい」ことは別です。むしろ資格がないからこそ、できる仕事の範囲が文書ではっきり区切られています。次の章がそれです。

看護師の側の診療の補助にも、法律で研修が定められた一群があります。手順書により行う38の特定行為と、その研修の骨格は特定行為研修とは|法律に書かれた、38行為のための研修ですで扱っています。
通知に書かれている仕事内容をそのまま読む
厚生労働省の「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日 保医発0305第7号)別添2には、看護補助者の業務がこう書かれています。
「看護補助者は、看護師長及び看護職員の指導の下に、原則として療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動等)、病室内の環境整備やベッドメーキングのほか、病棟内において、看護用品及び消耗品の整理整頓、看護職員が行う書類・伝票の整理及び作成の代行、診療録の準備等の業務を行うこととする。」
この一文を分解すると、仕事は大きく3つの系統になります。
| 系統 | 通知に挙がっている具体例 | 患者との接触 |
|---|---|---|
| 療養生活上の世話 | 食事、清潔、排泄、入浴、移動 | 直接ある |
| 環境・物品の管理 | 病室内の環境整備、ベッドメーキング、看護用品及び消耗品の整理整頓 | 間接 |
| 事務の代行 | 看護職員が行う書類・伝票の整理及び作成の代行、診療録の準備 | なし |
見落とされやすいのは3つめです。書類・伝票の整理、その作成の代行、診療録の準備は、通知に名指しで書かれた看護補助者の業務です。「看護助手=身体介助だけ」という理解は正確ではありません。
もうひとつ、条件が付いています。「看護師長及び看護職員の指導の下に」です。看護補助者が自分の判断だけで動く前提にはなっていません。同じ通知は、看護補助者の業務範囲について院内規程を定め、個別の業務内容を文書で整備することも求めています(その根拠として、平成19年12月28日 医政発第1228001号「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」が挙げられています)。
つまり「どこまでやるか」は病院ごとの文書で決まっているということです。面接や見学の場で「看護補助者の業務内容を定めた院内規程はありますか」と聞けるかどうかで、入職後のギャップはかなり減ります。

働く場所が診療所でも、この線引きは変わりません。医療法が診療所について何を定め、何を定めていないのかはクリニック看護師の仕事内容|人数の基準がある診療所とない診療所で扱っています。
看護師にしかできない7つの行為
同じ通知には、看護補助者の業務の説明のすぐ手前に、看護師または看護師の指示を受けた准看護師が行うものとして次の7つが並んでいます。
| № | 行為 |
|---|---|
| ① | 病状の観察 |
| ② | 病状の報告 |
| ③ | 身体の清拭、食事、排泄等の世話等療養上の世話 |
| ④ | 診察の介補 |
| ⑤ | 与薬・注射・包帯交換等の治療の介助及び処置 |
| ⑥ | 検温、血圧測定、検査検体の採取・測定、検査の介助 |
| ⑦ | 患者、家族に対する療養上の指導 |
出典:同通知 別添2 第2の4の(6)のイ。原文は「患者の病状に直接影響のある看護は、看護師又は看護師の指示を受けた准看護師が行うものである」と結ばれています
ここで多くの人がつまずきます。③に「食事、排泄等の世話」が入っているのに、看護補助者の業務にも「食事、清潔、排泄」が入っているからです。矛盾しているように見えます。
通知の書き分けを丁寧に読むと、違いは3点です。看護師側は「療養上の世話」、看護補助者側は「療養生活上の世話」と語が変えてあること。看護師側の列挙は「患者の病状に直接影響のある看護」という言葉で束ねられていること。そして看護補助者側には「看護師長及び看護職員の指導の下に」という条件が付いていること。
言い換えれば、同じ「食事の介助」でも、患者の病状の判断が入る場面は看護師の仕事であり、看護補助者はその判断の下で日常生活の部分を担う、という構造になっています。この境界を機械的な作業リストで割り切ることはできません。だから病院ごとに院内規程を作れ、と通知が求めているわけです。
なお、①〜⑦の中でも⑤や⑥のような医行為の周辺は、保健師助産師看護師法 第31条(看護師でない者は第5条に規定する業をしてはならない)が直接かかる領域です。「忙しいから」という理由で頼まれても、引き受けてよい話ではありません。断りにくいときは、業務範囲を定めた院内規程を根拠に相談してください。
ここに出てくる「看護師の指示を受けた准看護師」という言い方は、保健師助産師看護師法 第6条に由来します。看護師と准看護師を分けているのがその一句だけである点は准看護師と正看護師の違い|法律が分けているのは「指示を受けて」の1点ですで扱っています。
入職後に必ずある「年1回以上の院内研修」
看護補助者を配置して診療報酬の加算を算定する病院には、研修の実施が施設基準として課されています。内容は通知に6項目が明記されています。
- ア 医療制度の概要及び病院の機能と組織の理解
- イ 医療チーム及び看護チームの一員としての看護補助業務の理解
- ウ 看護補助業務を遂行するための基礎的な知識・技術
- エ 日常生活にかかわる業務
- オ 守秘義務、個人情報の保護
- カ 看護補助業務における医療安全と感染防止等
出典:同通知 別添2 第2の11の(4)。「以下の基礎知識を習得できる内容を含む院内研修を年1回以上受講した者であること」とされています(アは内容に変更がなければ2回目以降の受講を省略可)
あわせて、「看護職員と看護補助者との業務内容及び業務範囲について、年1回以上見直しを行うこと」も施設基準に入っています。仕事の線引きは一度決めて終わりではなく、毎年見直される前提になっているということです。
キャリアの段は「3年」と「介護福祉士」で変わります
看護補助者には国家資格がないぶん、昇進の道筋が見えにくい職種です。ただし診療報酬の側には、経験年数と資格をはっきり評価する仕組みがあります。
| 制度上の区分 | 求められるもの | 意味 |
|---|---|---|
| 看護補助体制充実加算1(一般病棟等) | その病院で3年以上の看護補助者としての勤務経験を有する看護補助者が5割以上配置 | 長く勤める人がいること自体が病院の収入要件になる |
| 看護補助・患者ケア体制充実加算1(療養病棟) | 主として直接患者に療養生活上の世話を行う看護補助者を入院患者100人につき1以上配置。その人は介護福祉士、または看護補助者として3年以上の勤務経験+12時間程度の所定の研修を修了した者 | 介護福祉士か3年+研修が、明確な上の段になっている |
出典:同通知 別添2 第4の3の10、第2の11の2。研修は国・都道府県または医療関係団体等が主催するもので、①療養生活上の世話に伴う医療安全 ②患者・家族等とのコミュニケーション ③食事・清潔・排泄・入浴・移動等の具体的業務、を講義と演習で行うものとされています
「3年」と「介護福祉士」は、制度が名指しで置いた2つの段です。求人票の待遇が同じに見えても、この要件を満たす人を必要としている病院かどうかで、その後の扱いは変わります。
配置の密度も知っておくと職場選びの物差しになります。急性期看護補助体制加算は入院患者25人につき1人、50人につき1人、75人につき1人の3段階。夜間の加算は30人・50人・100人につき1人の3段階です。回復期リハビリテーション病棟入院料では、看護補助者30対1以上が施設基準として定められています。数字が小さいほど手厚い配置で、その病棟が看護補助者をどれだけ本気で置いているかが分かります。
看護助手の年収は337.1万円。年齢で頭打ちになります
厚生労働省の賃金構造基本統計調査には「看護助手」という職種区分があります(令和7年調査、2026年3月24日公表)。
| 項目 | 看護助手 | 准看護師 | 看護師 |
|---|---|---|---|
| 平均年齢 | 48.7歳 | 51.8歳 | 42.1歳 |
| 平均勤続年数 | 10.3年 | 13.6年 | 9.8年 |
| 所定内実労働時間数 | 155時間/月 | 159時間/月 | 156時間/月 |
| 超過実労働時間数 | 2時間/月 | 4時間/月 | 6時間/月 |
| きまって支給する現金給与額 | 240,800円 | 303,200円 | 365,900円 |
| 所定内給与額 | 224,200円 | 279,400円 | 333,200円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 481,200円 | 636,800円 | 856,400円 |
| 労働者数 | 108,620人 | 122,920人 | 903,060人 |
| 推計年収(編集部試算) | 337.1万円 | 427.5万円 | 524.7万円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種)第1表/企業規模計(10人以上)/男女計/産業計
推計年収の計算式:240,800円 × 12か月 + 481,200円 = 3,370,800円
正確に書いておきます。この調査は「年収」を直接公表していません。公表されているのは月額の給与と年間賞与で、上の337.1万円は月額を12倍して賞与を足した編集部の試算です。他サイトの「看護助手の年収」もほぼ同じ計算によるもので、統計そのものに載っている数字ではありません。
年齢別に見ると、この職種の性格がはっきり出ます。
| 年齢階級 | 推計年収 | 労働者数 |
|---|---|---|
| 19歳以下 | 231.1万円 | 240人 |
| 20〜24歳 | 277.6万円 | 6,150人 |
| 25〜29歳 | 314.9万円 | 6,310人 |
| 30〜34歳 | 327.2万円 | 6,210人 |
| 35〜39歳 | 321.3万円 | 7,860人 |
| 40〜44歳 | 388.0万円 | 10,120人 |
| 45〜49歳 | 368.4万円 | 16,280人 |
| 50〜54歳 | 357.9万円 | 15,460人 |
| 55〜59歳 | 342.6万円 | 17,660人 |
| 60〜64歳 | 312.9万円 | 15,520人 |
| 65〜69歳 | 296.0万円 | 4,570人 |
| 70歳以上 | 263.0万円 | 2,220人 |
出典:同調査(職種)第5表 職種(小分類)、年齢階級別/企業規模計(10人以上)/男女計。年収はすべて同じ式で試算
ピークは40〜44歳の388.0万円で、そこから下がります。45〜49歳368.4万円、50〜54歳357.9万円、55〜59歳342.6万円。年齢が上がるほど賃金が上がる、という一般的な形にはなっていません。しかも35〜39歳(321.3万円)は30〜34歳(327.2万円)を下回ります。
年齢構成も偏っています。第5表の労働者数を合計すると108,600人。そのうち30歳未満は12,700人で11.7%、55歳以上は39,970人で36.8%です(編集部算出)。40代以降が中心の職種だと分かります。
企業規模による差は限定的です。1,000人以上355.0万円、100〜999人333.0万円、10〜99人328.4万円で、規模差は26.6万円。同じ計算で看護師は100.1万円の差がつきます。大きい病院に移ることで得られる伸びは、看護師の4分の1程度にとどまります。
一方、労働時間の条件は良い部類です。超過実労働時間は月2時間。看護師の6時間、准看護師の4時間より短く、この統計の中では残業がもっとも少ない看護系職種です。所定内実労働時間も155時間と、看護師の156時間、准看護師の159時間より短くなっています。
賞与の水準は差がつきます。年間賞与を所定内給与額で割ると、看護助手は481,200円 ÷ 224,200円 = 2.15か月分。看護師は856,400円 ÷ 333,200円 = 2.57か月分です。基本となる給与が低いうえ、その何か月分が出るかという倍率でも下回っています。
賃金のほかに、体の負担への備えも職場ごとに確かめられる点です。国の腰痛予防対策指針が事業者に求めていること(全介助の人の抱上げを原則として人力で行わせない、など)は看護助手がきついとき|国の指針は、人力による人の抱上げを原則として行わせないとしていますで扱っています。
これから待遇はどう動くか(確認できる範囲で)
令和8年度診療報酬改定では、医療機関の賃上げを診療報酬で支える「ベースアップ評価料」が見直されました。厚生労働省の改定資料には、令和8年度・令和9年度にそれぞれ3.2%の賃上げを目指す一方、看護補助者と事務職員については5.7%という数字が示されています。
| 年度 | 対象職員(一般) | 看護補助者・事務職員 |
|---|---|---|
| 令和8年度 | 3.2% | 5.7% |
| 令和9年度 | さらに3.2% | さらに5.7% |
出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定について」(令和8年3月10日版)および「令和8年度診療報酬改定項目の概要」
ここは慎重に読んでください。これは国が掲げた目標であって、個々の病院の給与がその通りに上がることを保証する数字ではありません。評価料は医療機関に支払われる報酬であり、実際に賃金へどう反映されるかは各医療機関の運用によります。求人票の金額がこの目標を織り込んでいるかどうかも、確認しなければ分かりません。
また、同じ改定では看護補助者に関する加算の名称が「看護補助・患者ケア体制充実加算」へ見直されました。名称が変わっても、必要な経験年数や研修の考え方は上で見たとおりです。
よくある質問
Q. 看護助手は資格がなくてもできますか?
A. 看護補助者になるために必要な国家資格はありません。ただし加算を算定する病棟では、6項目の内容を含む院内研修を年1回以上受けることが施設基準になっています。また療養病棟で「主として直接患者に療養生活上の世話を行う看護補助者」として位置づけられるには、介護福祉士の資格か、3年以上の勤務経験+12時間程度の所定の研修が必要です。「資格不問で入れる」ことと「入った後に研修がない」ことは別です。
Q. 血圧を測ったり、薬を渡したりしてもいいのですか?
A. 通知では、検温・血圧測定・検体の採取と測定・検査の介助(⑥)、与薬・注射・包帯交換等の治療の介助及び処置(⑤)は、看護師または看護師の指示を受けた准看護師が行うものとして整理されています。看護補助者の業務としては挙げられていません。現場で頼まれることがあっても、まずは自院の業務規程を確認してください。看護師の業務は保健師助産師看護師法 第31条で業務独占とされています。
Q. 看護助手から看護師になれますか?
A. 看護補助者としての勤務経験が、そのまま看護師の受験資格になる仕組みはありません。看護師になるには保健師助産師看護師法に基づく養成課程を経る必要があります。本記事で確認できる範囲では、看護助手の平均年収337.1万円に対し准看護師427.5万円、看護師524.7万円で、差はそれぞれ90.4万円と187.6万円です。進学にかかる期間・費用と、この差額を並べて判断してください。個別の進学ルートの要件・年限・費用については、本記事では確認していないため書いていません。
迷ったらここ
給与より先に「看護補助者の業務範囲を定めた院内規程」を見せてもらう
通知は業務範囲を院内規程として文書で整備することを求めています。ここが曖昧な職場では、看護師の領域とされる7つの行為まで頼まれる場面が出てきます。
- 業務範囲を定めた院内規程はあるか(文書で確認できるか)
- 年1回以上の院内研修は実施されているか(6項目のどこまで扱っているか)
- 看護補助者は入院患者何人につき1人か(25対1・50対1・75対1のどれか)
まとめ
- 「看護助手」は法律上の資格名ではなく、制度上の呼び名は「看護補助者」。業務範囲は診療報酬の通知に明記されている
- 仕事は療養生活上の世話(食事・清潔・排泄・入浴・移動)/環境整備・ベッドメーキング・物品整理/書類・伝票の整理と作成の代行、診療録の準備の3系統。いずれも看護師長及び看護職員の指導の下に行う
- 病状の観察・報告、診察の介補、与薬や注射の介助、検温・血圧測定、患者家族への指導など7つは看護師(または指示を受けた准看護師)の領域
- 加算を算定する病棟では6項目の院内研修を年1回以上。業務範囲は年1回以上見直すことになっている
- キャリアの段は「勤務経験3年」と「介護福祉士」。診療報酬がこの2つを名指しで評価している
- 平均年収は337.1万円。ピークは40〜44歳の388.0万円で以降は下降。残業は月2時間と看護系では最も少ない
看護助手の仕事を見極めるときは、求人票の業務欄より先に「院内規程で業務範囲がどう定めてあるか」を聞いてください。その一問で、通知どおりに線を引いている職場かどうかが分かります。

